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蓄電池で電気代はいくら安くなる?節約額シミュレーション【2026年版】

エネチョイス編集部

この記事の結論

蓄電池の節約額は「1kWhあたりの単価差 × 1年間に放電できたkWh」でほぼ決まります。東京電力エナジーパートナーの夜トク8では昼夜の単価差が10.96円/kWh、オール電化向けのスマートライフでは7.90円/kWh(いずれも税込、燃料費調整額は別)。ニチコンESS-U4M1(蓄電容量11.1kWh、初期実効容量9.4kWh)を毎日使い切れた場合、夜トク8のピークシフトだけで年間約3.7万円が上限です。太陽光を併用する場合は、2026年度FITの5〜10年目8.3円/kWhと自家消費の便益27.45円/kWh(結論部分の別紙では27.31円/kWh)の差・約19円/kWhが効きます。

蓄電池の節約額は「1kWhあたりの単価差 × 1年間に放電できたkWh」でほぼ決まります。 単価差は電力会社が公表しており、放電できるkWhはメーカーが公表する初期実効容量が上限。つまり、上限額は誰でも自分で計算できます。この記事は、その計算を公表値だけで組み立て直したものです。

【2026年8月28日時点】 国の「令和7年度補正 DRリソース導入のための家庭用蓄電システム等導入支援事業」(1申請あたり上限60万円)は、2026年5月29日に交付申請額が予算に達して公募終了しました。次回の予定は公表されていないため、いま国の蓄電池補助金に新規申請することはできません。出典: SII 公式

この記事でわかること(数字はすべて電力会社・公的機関・メーカー公式の公表値です)

  • 蓄電池の節約額を決める2つの単価差とその実額
  • 自分で再現できるシミュレーションの式と前提
  • 太陽光なし、太陽光あり、オール電化での年間節約額の目安
  • 初期費用の公的なベンチマークと回収年数
  • 試算が外れやすい5つのポイント

蓄電池で電気代が安くなる2つの仕組み

仕組み1:ピークシフト(時間帯別料金の単価差を取る)

安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電して買電を減らす方法です。東京電力エナジーパートナーが公表している単価(税込。実際の請求はここに燃料費調整額と再エネ賦課金が加わります)は次のとおりです。

プラン高い時間帯安い時間帯単価差
夜トク8午前7時〜午後11時 42.60円午後11時〜翌午前7時 31.64円10.96円/kWh
夜トク12午前9時〜午後9時 44.16円午後9時〜翌午前9時 33.33円10.83円/kWh
スマートライフS・L午前6時〜翌午前1時 35.76円午前1時〜午前6時 27.86円7.90円/kWh

ここで押さえておきたい点が2つあります。ひとつは、オール電化向けのスマートライフの安い時間帯は午前1時〜午前6時の5時間しかないこと。もうひとつは、夜トク8の昼間42.60円が、標準的なスタンダードSの第3段階(301kWh〜)40.49円より高いことです。プランを変えれば単価差は取れますが、蓄電池が肩代わりしない昼間の電気は高くなります。

仕組み2:太陽光の余剰を「売る」から「使う」へ

太陽光がある家庭では、余剰電力を売るか、貯めて夜に使うかの選択になります。2026年度の住宅用FIT(10kW未満)の買取価格は1〜4年目24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWh(資源エネルギー庁)。一方、調達価格等算定委員会は2026年度の自家消費分の便益を27.45円/kWh(大手電力の直近10年間の家庭用電気料金単価に消費税10%を加味した値)と設定し、買取期間終了後(卒FIT)の売電価格は2025年12月時点の買取メニューで平均10.0円/kWh、中央値9.5円/kWhと確認しています。ただし同じ資料の別紙(調達価格等に関する結論)は同年度の便益を「2025年度の想定値27.31円/kWhを据え置き」と記しており、0.14円/kWhの幅があります。以下の数値は小数第2位まで厳密な値としては扱わないでください。

時期売電した場合自家消費の便益蓄電池が生む差
FIT 1〜4年目24円/kWh27.45円/kWh3.45円/kWh
FIT 5〜10年目8.3円/kWh27.45円/kWh19.15円/kWh
卒FIT後(中央値)9.5円/kWh27.45円/kWh17.95円/kWh

2026年度に太陽光を新設した家庭では、最初の4年間は余剰を貯めても1kWhあたり3.45円しか差が出ません。 蓄電池の経済効果が本格的に立ち上がるのは5年目からです。

シミュレーション条件

前提はすべて公表値に置きます。

項目設定値出典
蓄電池ニチコン ESS-U4M1(蓄電池容量11.1kWh、初期実効容量9.4kWh、定格出力3.0kW)ニチコン 公式
世帯の電気使用量年間3,911kWh、電気代11.1万円(令和5年度・全国平均)環境省 家庭CO2統計
太陽光4kW、設備利用率13.7%、余剰売電比率70.0%(2026年度の想定値)調達価格等算定委員会
充電に必要な買電量放電量と同じ(9.4kWh)と置く変換ロスを上乗せしないため、以下は上限側の値

年間3,911kWhは1日あたり約10.7kWh。つまり実効容量9.4kWhの蓄電池は、平均的な世帯の1日分の電気にほぼ匹敵する量です。毎日それを高い時間帯だけで使い切るのは簡単ではないため、以下では「毎日使い切れた(100%)」「7割」「5割」の3水準で並べます。

パターン1:蓄電池のみ(太陽光なし)

夜トク8に加入し、深夜に充電して日中に放電する場合です。計算式は 放電量 × 10.96円 × 365日

1日の放電量1日の差額年間
9.4kWh(毎日使い切り)約103円約37,600円
6.6kWh(7割)約72円約26,300円
4.7kWh(5割)約52円約18,800円

同じ機種をスマートライフS(単価差7.90円/kWh)で運用すると、毎日使い切りでも年間約27,100円、7割なら約19,000円まで下がります。どのプランに入るかで結果が3割変わるため、プラン選びは蓄電池選びと同じくらい効きます(時間帯別プランの仕組み)。

そして忘れられがちなのが、プラン変更そのものの損得です。スタンダードSの第3段階40.49円から夜トク8の42.60円に移ると、蓄電池が肩代わりしない昼間の電気は1kWhあたり2.11円高くなります。基本料金の体系も変わります(スタンダードSは10Aにつき311.75円、夜トク8は契約電力1kWにつき255.69円で、契約電力は30分ごとの使用実績から決まるスマート契約です)。検針票の使用量をもとに、プラン変更後の請求額そのものを計算し直すのが正しい手順です。

パターン2:蓄電池 + 太陽光パネル

4kW・設備利用率13.7%なら年間発電量は約4,800kWh、余剰売電比率70.0%なら余剰は年3,360kWh。1日平均で約9.2kWhとなり、実効容量9.4kWhの蓄電池とほぼ釣り合う規模です。ただし70.0%はあくまで制度上の想定値で、同委員会が2025年1〜8月に集めた実績は平均64.8%(中央値60.7%)。実際の余剰はこれより1〜2割少なくなる可能性があります。発電も季節と天候で大きく振れるため、余剰を全量吸収できるわけではありません。

蓄電池が吸収できた余剰FIT 1〜4年目FIT 5〜10年目卒FIT後
3,360kWh(全量)約11,600円約64,300円約60,300円
2,352kWh(7割)約8,100円約45,000円約42,200円
1,680kWh(5割)約5,800円約32,200円約30,200円

この表は「余剰を売らずに使った」ことによる差額だけを示しています。自家消費の便益27.45円/kWhは全国・大手電力の10年平均という制度上の想定値なので、夜トク8の昼間42.60円のような高い単価を回避できる家庭では実際の効果はこれより大きく、安い時間帯にしか放電できなければ小さくなります。

なお、太陽光を実際に使っている世帯は全国で6.3%(令和5年度、環境省 家庭CO2統計)。多数派ではないぶん、既築での後付けは屋根の条件確認から始まります。

パターン3:オール電化を足すとどうなるか

オール電化向けのスマートライフS・Lは、安い時間帯が午前1時〜午前6時の5時間です。9.4kWhを5時間で入れるには平均1.9kW前後の充電が要ります。なおニチコンが公表しているのは放電側の定格出力3.0kWで、充電電力の定格はカタログに記載がないため、何時間で満充電になるかは販売店に確認してください。そしてもう一点、同じ5時間にエコキュートの沸き上げなど大きな負荷が重なります。

太陽光がある家庭では、エコキュートの沸き上げを深夜から昼間に寄せて余剰電力で沸かす制御に対応した機種もあります。ただし削減額は給湯の使用量と機種の制御方式で大きく変わるため、メーカーが公表している機種ごとの試算値と取扱説明書で確認してください。数値を一般化して当てはめると外れます。

節電効果を左右する5つのポイント

ポイント1:カタログ容量ではなく初期実効容量で計算する

ニチコンのESS-U4M1は蓄電池容量11.1kWhに対し初期実効容量9.4kWh、ESS-U4X1は16.6kWhに対し14.4kWh(いずれもJEM1511による)。同社は「蓄電池容量は単電池(セル)の容量合計」で、実際に使える充放電量は充電深度と電力変換効率をかけた値だと明記しています。

ポイント2:定格出力の上限を超えて放電はできない

ESS-U4M1の定格出力は3.0kW。同社の仕様表では「定格出力可能時間」が系統連系時・自立出力時とも195分です(ニチコン ESS-U4)。停電時の自立出力は合計3.0kVAですが片相あたり1.5kVAが上限なので、片側の回路だけで3kW近くを使うことはできません。エアコンと乾燥機と食洗機を同時に回すような使い方は、容量ではなく出力で頭打ちになります。

ポイント3:効果は年々小さくなる

ニチコンの保証条件は「充電可能容量50%以上を、設置から10年保証」。本体保証は10年で、購入時に申し込めば有償で5年延長でき最大15年です。初年度の節約額が15年続く前提の試算は成り立ちません蓄電池の寿命と保証)。

ポイント4:プラン変更の副作用を織り込む

前述のとおり、時間帯別プランは昼間単価が高く設定されています。蓄電池でカバーしきれない昼間の消費が多い世帯では、単価差を取った分を打ち消すことがあります。

ポイント5:補助金の有無で桁が変わる

国のDR家庭用蓄電池事業は2026年8月28日時点で新規申請できません。一方、東京都の令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業は蓄電容量10万円/kWh、DR実証に参加しない場合の上限120万円/戸(ユニット増設は6万円/kWh、上限72万円/戸)。助成額は「蓄電容量×単価+加算」と対象経費(機器費+工事費から国や他自治体の補助金を引いた額、税抜)の小さいほうが適用されます。対象は都内の住宅にSII登録機器を新規設置する場合で、事前申込が必要です。都外にお住まいの場合、この助成を前提にした回収年数はそのままは当てはまりません。

投資回収のリアルな目安

初期費用には、参照できる公的なベンチマークがあります。国のDR補助事業では、補助対象になる条件として**2025年度の目標価格「設備費+工事費・据付費の合計で12.5万円/kWh(税抜、蓄電容量ベース)以下」**が定められていました(SII 公募要領)。11.1kWhなら約139万円です。

一方でメーカーの希望小売価格は別物で、ニチコンはESS-U4M1を370万円、ESS-U4X1を450万円(いずれも税抜、工事費別。必須オプションの自動切替分電盤EH-F1333-1-Rは18万円)と公表しています希望小売価格と実勢価格は大きく離れるため、判断材料にするのは実際の見積書です。

目標価格ベースの約139万円で回収年数を見ると、こうなります。

条件年間の差額回収年数
蓄電池のみ・夜トク8・毎日使い切り約37,600円約37年
太陽光併用・FIT5〜10年目・余剰の7割を吸収約45,000円約31年
上記に東京都の助成111万円を適用(都内の住宅のみ・実質約28万円)約45,000円約6年

※東京都の助成額は「蓄電容量×10万円」と助成対象経費(機器費+工事費から他の補助金を差し引いた額・税抜)の小さいほうが適用されるため、対象経費が111万円を下回る場合の実質負担はこの試算より大きくなります。あくまで規模感の目安です。

経済メリットだけで見ると、補助金なしの蓄電池は本体保証10年を大きく超える回収期間になります。 数字が変わるのは補助金が乗ったときで、自治体の助成が使えるかどうかが実質的な分岐点です。そのうえで、停電時に定格出力で195分ぶんの電気を確保できること、電気料金が上がる局面では自家消費の価値も上がることを、どう評価するかという判断になります。

お手元の見積もり額で試すなら、下の入力欄に数字を入れてください。

回収年数シミュレーター(単純計算)

実質負担を年間の便益で割っただけの単純計算です。数字を動かして、どの前提が回収年数を大きく変えるかを確かめてください。

10 kWh
125 万円
0 万円
8 kWh
27.31 円

実質負担125万円

年間の便益79,700円/年

単純回収年数15.7

年間の便益 = 1日に使う量(kWh) × 365 × 便益単価(円/kWh)
単純回収年数 = (総額 − 補助金) ÷ 年間の便益

この計算に入っていないもの:蓄電池の容量劣化、パワコンや本体の買い替え、点検・保守の費用、借入金利、電気料金の値上がり、停電時に電気が使えることの価値。実際の判断は見積書の総額と、適用できる補助金の受付状況で決まります。とくに補助金の有無で回収年数は大きく動きます。

総額の初期値は SII 公募要領 の2025年度目標価格12.5万円/kWh(設備費+工事費・据付費、税抜)で、実売価格ではありません。便益単価の初期値は 調達価格等算定委員会 意見(2026年2月5日) の自家消費1kWhの便益で、同資料は本文で27.45円/kWh、結論部分の別紙で27.31円/kWhと記述が分かれています(当図は小さいほうの27.31円を初期値に採用)。1日の放電量は台帳に根拠のない仮定値です(確認: 2026-09-01)。

まとめ

  • 節約額は単価差 × 年間放電量。東京電力EPの夜トク8で10.96円/kWh、スマートライフで7.90円/kWh(税込、燃料費調整額は別)
  • 太陽光併用では、FIT5〜10年目に約19円/kWh(自家消費の便益27.45円(別紙では27.31円) − 売電8.3円)の差が生まれる。1〜4年目は約3.5円しかない
  • 試算は初期実効容量(ESS-U4M1なら9.4kWh)で組み、年々小さくなる前提で見る
  • 補助対象の目標価格12.5万円/kWh(税抜)で11.1kWhは約139万円。回収年数は補助金の有無で大きく変わる

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よくある質問

Q.蓄電池だけで年間いくら電気代が安くなりますか?

A.「昼夜の単価差 × 年間の放電量」で決まります。東京電力エナジーパートナーの夜トク8は午前7時〜午後11時が42.60円/kWh、午後11時〜翌午前7時が31.64円/kWh(税込、燃料費調整額は別)で差は10.96円/kWh。初期実効容量9.4kWhの機種を毎日使い切れたとして年間約37,600円が上限で、7割しか使えなければ約26,300円です。なお時間帯別プランに変えると、蓄電池が肩代わりしない昼間の電気も高くなる(夜トク8の42.60円はスタンダードSの第3段階40.49円より高い)点は試算に含めてください。

Q.蓄電池と太陽光パネルを併用するとどのくらい変わりますか?

A.2026年度の住宅用FITは1〜4年目24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWhです。調達価格等算定委員会が置く自家消費分の便益は27.45円/kWh(結論部分の別紙では27.31円/kWh)なので、蓄電池が生む差は1〜4年目でわずか3.45円/kWh前後、5〜10年目で19.15円/kWh前後になります。4kW・設備利用率13.7%・余剰売電比率70.0%(いずれも2026年度の想定値)なら余剰は年3,360kWh。その7割を蓄電池が吸収できた場合、5〜10年目で年間約45,000円です。

Q.蓄電池の投資回収には何年かかりますか?

A.国の補助事業が定めた2025年度の目標価格は設備費と工事費・据付費の合計で12.5万円/kWh(税抜)でした。11.1kWhなら約139万円です。年45,000円の節約なら回収は約31年で、本体保証10年(有償延長で最大15年)を大きく超えます。ただし東京都の令和8年度の助成(10万円/kWh、DR実証不参加で上限120万円/戸)を使えば実質負担は約28万円まで下がり、約6年の計算になります。国のDR家庭用蓄電池事業は2026年8月28日時点で新規申請できません。

Q.カタログの蓄電容量と実際に使える量は違いますか?

A.違います。ニチコンのESS-U4M1は蓄電池容量11.1kWhに対し、初期実効容量が9.4kWh(JEM1511による)と公表されています。蓄電池容量はセルの容量合計で、実際に使える充放電量は充電深度と電力変換効率をかけた値です。さらに経年で減っていき、同社の保証は「充電可能容量50%以上を設置から10年」。シミュレーションはカタログ容量ではなく初期実効容量で組み、年数が経つほど効果が落ちる前提で見てください。

出典・参考にした一次情報

本記事は以下の公的機関・事業者の公表資料にもとづいて作成しています(記事更新日: 2026年9月1日)。制度・価格は改定されるため、申し込み前に各リンク先で最新の内容をご確認ください。

  1. SII 公式 (dr-battery.sii.or.jp)
  2. 夜トク8 (www.tepco.co.jp)
  3. スマートライフS・L (www.tepco.co.jp)
  4. スタンダードS (www.tepco.co.jp)
  5. 資源エネルギー庁 (www.enecho.meti.go.jp)
  6. 調達価格等算定委員会 (www.meti.go.jp)
  7. ニチコン 公式 (www.nichicon.co.jp)
  8. 環境省 家庭CO2統計 (www.env.go.jp)
  9. 環境省 家庭CO2統計 (www.env.go.jp)
  10. 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業 (www.tokyo-co2down.jp)
  11. SII 公募要領 (dr-battery.sii.or.jp)

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