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VPPに蓄電池で参加する方法|条件・報酬・補助金の実態【2026年版】

エネチョイス編集部

この記事の結論

VPP(バーチャルパワープラント)とは、家庭の蓄電池などの分散型エネルギーリソースを制御して発電所と同等の機能を提供する仕組みです(資源エネルギー庁の定義)。家庭が蓄電池で参加する入口は、(1)蓄電池アグリゲーターとDR契約を結ぶ、(2)小売電気事業者のDRメニューに加入する、の2つです。報酬額は事業者と需要家の契約で決まり、2026年8月時点で公開されている家庭向けの例は「月額100円の電気料金割引」「節電量に応じたポイント」「卒FIT後の買取単価の上乗せ」などです。国のDR補助金(1申請あたり上限60万円)は2026年5月29日に予算到達で公募終了しており、現在の金銭的メリットは東京都など自治体の補助金加算が中心です。

「蓄電池を入れるとVPPで稼げる」という説明を見て検索した方へ。結論から言うと、家庭用蓄電池のVPP参加は「毎月まとまった副収入が入る仕組み」ではなく、補助金の上乗せ条件や電気料金の割引・ポイントとして効いてくる仕組みです。公開されている家庭向けの対価は、月額100円の電気料金割引、変動制のポイント、卒FIT後の買取単価の上乗せ(東京電力エリアで8.5円/kWh→15円/kWh)といった形で、毎月定額の副収入が入るものではありません。

一方、東京都のように「DR実証に参加すること」で助成額の上限が変わる制度は数十万円単位で効きます。この記事では、資源エネルギー庁・SII・東京都・各事業者の公開情報だけでVPP参加の実態を整理します。

【2026年8月19日時点】 国の「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業」(1申請あたり上限60万円)は2026年3月24日に公募開始、2026年5月29日に交付申請額が予算に達し公募終了しました(出典: SII 事業概要)。事務局は公募終了に伴う注意事項として「公募の再開を行う予定はありません」と告知しており、次回公募は未公表です(出典: SII トップページ)。

この記事でわかること

  • 資源エネルギー庁の定義によるVPPとDRの正確な意味
  • 家庭が蓄電池でVPPに参加する2つの入口
  • 2026年8月時点で実際に公開されている報酬額の例
  • 東京都の補助金でDR参加が効く金額(不参加時の上限との差)
  • 契約期間・遠隔制御・停電時の残量など参加前の確認ポイント

VPPとは何か — 国の定義で確認する

VPP(Virtual Power Plant)は、資源エネルギー庁によって次のように定義されています。

需要家側エネルギーリソース、電力系統に直接接続されている発電設備、蓄電設備の保有者もしくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御することで、発電所と同等の機能を提供すること

出典: 資源エネルギー庁「VPP・DRとは」

同ページでは、家庭などが持つ分散型のエネルギーリソースはひとつずつは小規模でも、IoTを活用したエネルギーマネジメント技術で束ね(アグリゲーション)、遠隔・統合制御することで電力の需給バランス調整に活用できる、と説明されています。これが「あたかも一つの発電所のように機能する」=仮想発電所と呼ばれる理由です。

DR(ディマンドリスポンス)との関係

混同されやすいDRも、同じページに定義があります。DRは「需要家側エネルギーリソースの保有者もしくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御することで、電力需要パターンを変化させること」です。DRは2つの軸で分類されます。

分類軸区分内容
需要制御のパターン下げDR需要を減らす。需給ひっ迫時などに使用を抑える
需要制御のパターン上げDR需要を増やす。再エネの供給過剰時に蓄電池を充電するなど
需要制御の方法電気料金型時間帯別の料金設定で需要家に行動を促す
需要制御の方法インセンティブ型電力会社やアグリゲーター等と契約を結び、要請に応じて需要を抑制等する

インセンティブ型の下げDRは、とくにネガワット取引と呼ばれます。また資源エネルギー庁は「アグリゲーター等と契約により、事業者だけでなく一般家庭の需要家もVPP・DRに参加することができます」「報酬は、アグリゲーター等と需要家間の契約により決定します」と明記しています(出典: VPP・DRの活用)。一律の相場は国のどこにも示されていない、というのが出発点です。

誰が束ねるのか

蓄電池オーナーが直接電力市場に参加するわけではありません。あいだに入るのがアグリゲーターで、需要家とVPPサービス契約を直接締結する「リソースアグリゲーター(RA)」と、RAが制御した電力量を束ねて一般送配電事業者や小売電気事業者と取引する「アグリゲーションコーディネーター(AC)」に整理されています。家庭が契約するのは前者、または小売電気事業者です。

アグリゲーターは何で稼いでいるのか

家庭に払われる対価の水準を判断するには、束ねた側がどこで換金しているかを知っておくと見通しが良くなります。想定されている出口は、卸電力市場に加えて、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が運営する2つの市場です。

  • 容量市場: 「電源が持つ供給力(発電することができる能力)を価値化し、将来に必要となる供給力を前もって効率的に確保する」市場。メインオークションは実需給の4年度前に行われ、2020年度から実施されています(出典: OCCTO 容量市場
  • 需給調整市場: 一般送配電事業者が必要とする調整力を広域的に調達する市場。「2021年度以降、『需給調整市場』による広域調達を順次拡大し、2024年度には全ての調整力を広域的に調達」するとされ、一次調整力から三次調整力②までの5商品が取引されています(出典: OCCTO 需給調整市場

ただし、この市場収益を家庭に分配する仕組みは、まだ一般化していません。ENEOS Powerは自社の蓄電池サービスについて「市場活用時や需給逼迫時に遠隔制御する事で得た市場収益の一部をお客さまへ還元するサービスの展開を検討しています」と記載する一方、同じページで「ENEOS Powerが各種電力市場へ参入する時期は予定段階にあり、現時点で確定しているものではありません」とも注記しています(出典: ENEOS Power 蓄電池導入のご案内)。市場価格に連動した分配を前提にした収入計画は、現時点ではまだ立てられないと考えておくのが安全です。

蓄電池がVPPで担う役割は「上げDR」と「下げDR」

家庭用蓄電池は、DRの両方向に使える数少ない機器です。SIIの公募要領では、上げDRの例として「再生可能エネルギーの供給が過剰となり、電力の供給が過多になってしまう時に蓄電システムを充電モードにする等で需要を創出するDR」、下げDRの例として「電力の需給ひっ迫時等に…蓄電システムの電気を使用することで需要を抑制するDR」が挙げられています(出典: 公募要領PDF)。

重要なのは、この2つで求められる制御の重さが違うことです。同要領では「下げDRは遠隔での制御を必須とし、上げDRは制御指示も可とする」と定められており、需給ひっ迫時の放電は事業者側が遠隔で行うのが前提です。

アグリゲーターがDR要請や遠隔制御を行うタイミングも定められています。

  • 需給ひっ迫注意報の発令時
  • 需給ひっ迫警報の発令時
  • 国からの節電要請時(この期間中のDRは任意)

これに加えて、再エネの出力制御が見込まれる期間として2026年10月22日〜11月11日、2027年4月22日〜5月12日、2027年10月21日〜11月10日が「データ取得期間」に指定されています。ただしこれはデータの取得・提出を求める期間であって、制御を行う期間の指定ではありません。国の制度が求めるDR発動は上記3つの場面に限られますが、実際にどれくらいの頻度で蓄電池が動かされるかは契約するサービス次第で、たとえばUPDATERは「日々電力需給状況や卸電力市場価格等をモニタリング」して制御すると説明しています。

家庭がVPPに参加する2つの入口

国の制度上、家庭がVPP(DR)に参加するルートは明確に2つに整理されています。SII公募要領の補助対象者要件では、以下のいずれかに該当することが求められていました。

入口契約相手内容
アグリ型蓄電池アグリゲーターDR契約を締結し、状態監視と遠隔制御・制御指示を受ける
小売型小売電気事業者事業者が提供するDRメニューに加入する

アグリ型:蓄電池アグリゲーターと契約する

SIIが2026年5月21日時点で登録・公表した蓄電池アグリゲーターは12社です。

株式会社NTTスマイルエナジー、東京瓦斯株式会社、東邦瓦斯株式会社、シャープエネルギーソリューション株式会社、パナソニック エレクトリックワークス株式会社、株式会社Shizen Connect、Nature株式会社、NextDrive株式会社、北陸電力株式会社、auエネルギー&ライフ株式会社、ENEOS Power株式会社、エリーパワー株式会社(出典: 蓄電池アグリゲーター一覧PDF)。

なお同PDFの連絡先は販売事業者向けで、個人の問い合わせ先ではないと注記されています。個人は販売店(共同実施事業者)経由で手続きするのが原則でした。なお公募終了に伴い、共同実施事業者・蓄電池アグリゲーター・小売電気事業者・DRメニューの新規登録も2026年5月29日で終了しています。

小売型:電力会社のDRメニューに加入する

もうひとつは、契約している電力会社のDRメニューに加入する方法です。SIIが2026年5月13日時点で公表したDRメニューは8社分で、インセンティブ型が5件、電気料金型が3件でした(出典: DRメニュー一覧PDF)。

事業者メニュー名種類制御方法
東京電力エナジーパートナーエコ・省エネチャレンジインセンティブ型メール通知(機器制御オプションあり)
TGオクトパスエナジーオクトパス・家庭用蓄電池DRチャレンジインセンティブ型前日までにメール通知、利用者がモード変更
九州電力九電ecoアプリインセンティブ型アプリのプッシュ通知
株式会社UPDATER蓄電池制御によるDRオプションインセンティブ型同社による遠隔制御
サーラeエナジーサーラのえこチャレンジインセンティブ型メールでの制御要請
東邦ガストクトクタイムプラン(昼トク)電気料金型時間帯別単価
HTBエナジー低圧市場連動プラン電気料金型JEPXスポット価格に連動
日本エネルギー総合システムDReco電灯A・DReco電灯B・DReco動力電気料金型季節・時間帯別の固定単価

一覧を見てわかるとおり、家庭向けDRメニューの多くは「メールやアプリで要請が届き、自分で操作する」タイプで、事業者が蓄電池を直接遠隔制御するのは一部です。「登録すれば全自動で報酬が入る」という説明は、公表されているメニューの実態とは一致しません。

参加すると実際にいくら得なのか(2026年8月時点の公表情報)

ここが最も誤情報の多いところです。公開情報から確認できる金額だけを並べます。

1. 電気料金の割引・ポイント

  • UPDATER「蓄電池制御によるDRオプション」: 東京電力エリアが対象。同社が遠隔で充放電を制御し、対価として月額100円(税込)を電気料金から割引(出典: DRメニュー一覧PDF

  • 東京電力エナジーパートナー「エコ・省エネチャレンジ」: 節電量・負荷創出量に応じてくらしTEPCOポイントを付与。進呈するポイントは対象時間帯ごとに変動し、その都度メールで案内される方式で、事前に年額を提示する仕組みではありません。実施期間も通年ではなく、2026年度は負荷創出(上げDR)が2026年4月1日〜5月31日と10月1日〜11月1日、節電(下げDR)が2026年7月1日〜10月9日と12月1日〜2027年2月26日に実施予定と公表されています(出典: 東京電力EP エコ・省エネチャレンジ

  • 九州電力「九電ecoアプリ」: 「成功量1kWhあたり、PayPayポイントを5ポイント付与しております」と公表。ただし同社は「付与ポイントについては予告なく変更することがあります」とも注記しています(出典: 九州電力 九電ecoアプリ

なお、くらしTEPCOポイントは300ポイントから各交換先のポイント・ギフトに交換でき、交換先によっては1ポイント1円相当にならない場合があると同社が注記しています。

単価が公表されている2件を並べると、水準感がつかめます。UPDATERの月額100円(税込)割引は単純計算で年1,200円。九電ecoアプリの1kWhあたり5ポイントは、動かした1kWhで見ると2026年度の住宅用FIT買取価格(1〜4年目24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWh)を下回る水準です(出典: 資源エネルギー庁 買取価格・期間等)。DRの対価は「売電の代わりに稼ぐもの」ではなく、あくまで上乗せの小遣い、というのが公表値の姿です。

成果は「ベースラインとの差」で測られる

インセンティブ型DRで受け取れる額を左右するのは、使った量そのものではなく「標準的な使用量(ベースライン)からどれだけ動かせたか」です。

東京電力エナジーパートナーは「標準的な使用量から0.01kWh以上使用量を削減できた場合に成功となります」としたうえで、標準的な使用量は資源エネルギー庁の「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスに関するガイドライン」(令和7年11月19日最終改定)に基づき算定すると説明しています。TGオクトパスエナジーの規約も同ガイドラインの「代替ベースライン High 4 of 5(当日調整なし)」を採用し、実施日の直近5日間のうち実施時間帯の平均需要量が多い4日間の平均値を使うと明記しています(出典: TGオクトパスエナジー 節電チャレンジサービス規約)。

この測り方には、家庭側から見て不利に働く場面があります。

  • すでに節電している家庭ほど成果が出にくい。ベースライン自体が低いので、そこからさらに削るのが難しくなります
  • 同じ量を動かしても、直近5日間の使い方次第で成功にも不成功にもなる。旅行などでベースラインが下がった直後は不利です

「参加すればポイントが貯まる」ではなく、「ベースラインを上回って動かせたときだけ対価が出る」仕組みだと理解しておくと、受け取り額のブレに驚かずに済みます。

2. 卒FIT後の買取単価の上乗せ

蓄電池のDRサービスに同意することで、余剰電力の買取単価が変わるケースがあります。UPDATER(みんな電力)は、指定の販売店で対象機種を購入し「蓄電池制御によるDRオプション特約」に同意した場合に適用される「蓄電池プレミアム」を15円/kWh(同社の「新規申込プレミアム」を併用する場合は11年目のみ20円/kWh、12年目以降は15円/kWh)、蓄電池なしの場合を8.5円/kWhと公表しています(いずれも東京電力エリア・住宅用10kW未満)(出典: みんな電力 蓄電池)。

住宅用太陽光のFIT買取期間は10年と定められており、2019年以降、順次満了しています(出典: 国民生活センター)。卒FIT後の単価をどう確保するかは、卒FIT後の選択肢とあわせて考えたい論点です。

3. 補助金の加算(一度きりだが金額は最大)

金額として最も大きいのは、実は毎月の報酬ではなく補助金です。東京都の令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業では、蓄電池システムの助成が蓄電容量1kWhあたり10万円で、DR実証に参加しない場合は1戸あたり120万円が上限。DR実証に参加する場合は、蓄電池システム1台あたり、エネルギーマネジメント機器およびIoT関連機器を設置するなら15万円、設置しないなら10万円が加算され、助成額は「蓄電容量×10万円+DR実証参加10万円+(機器設置台数×5万円)」と助成対象経費を比べて小さい方となります(出典: クール・ネット東京 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業実施要綱PDF)。

実際、ENEOS Powerが公表している東京都在住者向けプラン例では、DR実証に参加した場合の補助金交付総額が蓄電容量5.7kWhで67万円、11.4kWhで124万円、17.1kWhで181万円と示されています(出典: ENEOS Power 蓄電池導入のご案内)。大容量ほど、DR実証に参加するかどうかで受け取れる額の差が大きくなる構造です。

なお都の案内では、交付申請兼実績報告の前にDR実証契約を締結する必要があり、受付後に契約した場合は上乗せが適用されない点、2026年10月1日以降に事前申込をする場合は国の令和8年度登録機器に限られる点が注意喚起されています。詳しくは東京都の蓄電池補助金を確認してください。

加算とセットで「電力会社・機種・契約年数」が固定されることがある

DR前提の補助金や割引は、機器と契約をセットで縛る形で提供されることがあります。ENEOS Powerが案内する京セラ「ハウスマイルe」の蓄電池プランは、東京都の補助金(DR実証参加)を使う場合の条件として「対象のお客さま:東京都内にお住まいの方」「申込資格:ENEOS太陽光買取サービスご契約中もしくは契約申し込み中のお客さま」を挙げ、さらに交付決定を受けた年度から起算して2か年度の間、ENEOS太陽光買取サービスとENEOSでんき「自家消費応援プラン」の契約継続を求めています(出典: ENEOS Power 蓄電池導入のご案内)。

加算額だけを見て決めず、縛られる期間中に電力会社や買取先を変えたくなったらどうなるかまで見積書と約款で確認してください。

参加の条件と手順、そして「やめられるか」

契約期間

国のDR家庭用蓄電池事業を使って導入した場合、DR契約またはDRメニューへの加入は少なくとも2028年3月31日まで継続することが要件でした(DR対応期間)。さらに、DR対応期間終了後も補助対象設備の処分制限期間(法定耐用年数の期間)中は善良なる管理者として使用し、売却や廃棄など活用状況の変更が必要な場合は事前にSIIに連絡することが求められます。「気が変わったらすぐやめる」という前提では申し込めない制度です。

機器の条件

公募要領では、HEMSゲートウェイなどIoT化関連機器を介したDR対応も可とされていました。ただし、蓄電システムとは別に新たにIoT化関連機器を設置する場合は、JC-STAR★1を取得した機器を通じて制御することが条件です。

参加までの流れ

  1. DRに対応した蓄電池と、対応するアグリゲーターまたは小売電気事業者を確認する
  2. 販売事業者に見積もりを依頼し、DR契約またはDRメニュー加入の条件を書面で確認する
  3. 自治体の補助金を使う場合は、申請の前に必要な契約(東京都ならDR実証契約)を締結する
  4. 設置・設定後、遠隔制御または制御指示による運用が始まり、割引やポイントの形で対価を受け取る

容量の決め方は蓄電池の容量(kWh)の選び方、国の補助金の現状はDR補助金の終了と次回の見通しを参照してください。

参加前に知っておきたい注意点

「VPPで儲かる」を売り文句にした勧誘に注意

国民生活センターが2021年6月に公表した注意喚起によると、同センターに寄せられた家庭用蓄電池に関する相談は2019年度で1,302件、2020年度で1,314件と高止まりしていました。相談事例には、突然の訪問で「この値段は今日限り」と契約を急かされる、電力会社の関連会社をかたられる、「補助金の申請は代行する」と説明されたのに実際は申請されていなかった、といったケースが挙げられています。同センターは「その場で契約をせずに複数社から見積もりをとり比較検討しましょう」ともアドバイスしています(出典: 国民生活センター)。

VPP報酬の年額を具体的な数字で断定してくる営業には、根拠となる契約書面の提示を求めてください。手口は蓄電池・太陽光の悪質商法も参考になります。

太陽光がある家庭は「上げDR」で不利になることがある

東京電力エナジーパートナーは、太陽光発電設備を設置している顧客について「本チャレンジに参加いただけますが、ポイント進呈の対象とならない可能性が高い」と注意喚起しています。太陽光の電気で家電を使っても買電量が増えないためです。あわせて「売電単価によっては売電金額の減少分が、電気料金の削減分を上回る可能性がございます」、夜間の単価が安い料金プランでは昼間へのシフトで電気代が高くなる可能性があり値上がり分は補填されない、とも明記されています。

UPDATERも「当社による制御やお客さまのご使用状況、ご契約の料金プランによっては、電気代節約効果を得られない場合があります」と注記しており、DR参加は電気代削減を保証するものではない、という前提で判断するのが安全です。

停電時の残量は「設定できるか」を確認する

災害時に蓄電池が空になっていないかは、多くの人が気にする点です。UPDATERは「お客さまが最低充電量を設定している場合、充電量が最低充電量を下回る制御は行いません」と公表しています。ただしこれは事業者ごとの仕様で、すべてのサービスに共通する保証ではありません。契約前に、非常用の確保残量を自分で設定できるかを確認してください。

充放電回数と保証の関係

VPP参加で充放電の回数がどれだけ増え、それが保証にどう影響するかは、メーカー保証条件とDR契約の内容の両方で決まります。サイクル寿命への影響を数値で示した公的資料は、2026年8月時点では確認できませんでした。

判断材料になるのは、メーカーが公表している免責条件のほうです。パナソニックは無料修理の対象外となるケースとして「蓄電池の日常使用可能容量に対し1日1サイクルを超えて、日常的に使用されていることが確認された場合」を挙げています(出典: パナソニック 免責事項)。国の制度に沿ったDRの発動は需給ひっ迫注意報・警報・国の節電要請の3場面に限られるため1日1サイクルを超えにくい一方、電気料金型DRのように日常の充放電パターンそのものを変えるメニューは、この免責条件と近づきます

加入するメニューの制御内容と、メーカー保証書の免責事項を並べて確認するのが現実的な対応です。

まとめ

  • 家庭の参加窓口は、蓄電池アグリゲーターとのDR契約か、小売電気事業者のDRメニューへの加入の2つです
  • 報酬はアグリゲーター等と需要家の契約で決まり、公表されている家庭向けの例は月額100円の電気料金割引や変動制のポイントなど。国が示す一律の相場はありません
  • 金額として大きいのは自治体補助金の加算です。東京都ではDR実証に参加しない場合の上限120万円/戸に対し、参加すると「容量×10万円+10万円(+機器台数×5万円)」で計算され、大容量ほど差が開きます
  • 国のDR家庭用蓄電池事業(上限60万円)は2026年5月29日に公募終了し、再開予定はないと告知されています。DR契約は少なくとも2028年3月31日まで継続する必要があるため、停電時の確保残量や保証条件とあわせて書面で確認しましょう

よくある質問

Q.VPPに蓄電池で参加すると、いくらもらえますか?

A.報酬はアグリゲーター等と需要家の契約で決まると資源エネルギー庁が説明しており、一律の相場はありません。2026年8月時点で公開されている家庭向けの例では、UPDATER(みんな電力)の「蓄電池制御によるDRオプション」が月額100円(税込)の電気料金割引、東京電力エナジーパートナーの「エコ・省エネチャレンジ」は節電量や負荷創出量に応じたポイント付与で、ポイント数は対象時間帯ごとに変動しメールで案内される仕組みです。年額を断定する広告には注意してください。

Q.VPPに参加するには何が必要ですか?

A.国のDR家庭用蓄電池事業の公募要領では、(1)蓄電池アグリゲーターとDR契約を締結するか、(2)小売電気事業者が提供するDRメニューに加入するか、いずれかが要件とされています。DR契約では蓄電システムの状態監視と遠隔制御・制御指示ができることが条件で、需給ひっ迫時の下げDRは遠隔制御が必須です。蓄電池とは別にIoT関連機器を新設する場合は、JC-STAR★1を取得した機器を通じて制御することが求められます。

Q.VPPに参加すると、停電時に蓄電池が空になっていることはありませんか?

A.サービスによっては最低充電量を設定でき、その残量を下回る制御は行わないと明記している事業者があります。たとえばUPDATER(みんな電力)は「お客さまが最低充電量を設定している場合、充電量が最低充電量を下回る制御は行いません」と公表しています。ただし条件は事業者ごとに異なるため、契約前に非常用の残量確保の扱いを確認してください。

Q.VPP参加を条件にした国の補助金は、今も使えますか?

A.2026年9月時点では使えません。国の「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業」(1申請あたり上限60万円)は2026年3月24日に公募を開始しましたが、2026年5月29日に交付申請額が予算に達したため公募終了となりました。事務局はトップページの「公募終了に伴う注意事項」で「公募の再開を行う予定はありません」と告知しており、次回公募も未公表です。一方、東京都のようにDR実証への参加を条件に助成額を上乗せする自治体制度は継続しています。

出典・参考にした一次情報

本記事は以下の公的機関・事業者の公表資料にもとづいて作成しています(記事更新日: 2026年9月8日)。制度・価格は改定されるため、申し込み前に各リンク先で最新の内容をご確認ください。

  1. SII 事業概要 (dr-battery.sii.or.jp)
  2. SII トップページ (dr-battery.sii.or.jp)
  3. 資源エネルギー庁「VPP・DRとは」 (www.enecho.meti.go.jp)
  4. VPP・DRの活用 (www.enecho.meti.go.jp)
  5. OCCTO 容量市場 (www.occto.or.jp)
  6. OCCTO 需給調整市場 (www.occto.or.jp)
  7. ENEOS Power 蓄電池導入のご案内 (www.eneos-power.co.jp)
  8. 公募要領PDF (dr-battery.sii.or.jp)
  9. 蓄電池アグリゲーター一覧PDF (dr-battery.sii.or.jp)
  10. DRメニュー一覧PDF (dr-battery.sii.or.jp)
  11. 東京電力EP エコ・省エネチャレンジ (www.tepco.co.jp)
  12. 九州電力 九電ecoアプリ (customer.kyuden.co.jp)
  13. 資源エネルギー庁 買取価格・期間等 (www.enecho.meti.go.jp)
  14. TGオクトパスエナジー 節電チャレンジサービス規約 (octopusenergy.co.jp)
  15. みんな電力 蓄電池 (minden.co.jp)
  16. 国民生活センター (www.kokusen.go.jp)
  17. クール・ネット東京 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業 (www.tokyo-co2down.jp)
  18. 実施要綱PDF (tokyo-co2down.g.kuroco-img.app)
  19. パナソニック 免責事項 (sumai.panasonic.jp)

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