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住宅の屋根に設置された太陽光パネル

太陽光発電の余剰電力を活用する5つの方法|卒FIT後の選び方【2026年8月時点】

エネチョイス編集部

この記事の結論

太陽光発電の余剰電力を活用する方法は、蓄電池に貯める、給湯(エコキュート)を昼間に動かす、EV充電やV2Hで使う、電力会社の卒FIT向けメニューを選び直す、家電の運転時間を昼にずらす、の5つに整理できます。2026年度の住宅用FIT(10kW未満)は1〜4年目24円/kWh・5〜10年目8.3円/kWhで、買取期間が終わると東京電力エナジーパートナーの再エネ買取標準プランは8.50円/kWh(税込)。一方で同社スマートライフS/Lの電力量料金は午前6時〜翌午前1時が35.76円/kWh(税込・燃料費調整額別)のため、1kWhを売るより自宅で使うほうが金額の差は大きくなります。なお国のDR家庭用蓄電池補助金は2026年5月29日に公募終了しており、2026年8月25日時点で新規申請はできません。

【2026年8月25日時点】 国の「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業」(上限60万円/申請)は2026年3月24日に公募開始、2026年5月29日に交付申請額が予算に達して公募終了しました。次回公募は未公表で、現在は新規申請ができません。出典: 環境共創イニシアチブ(SII)DR家庭用蓄電池事業

太陽光発電を入れたあと、「昼に余った電気がもったいない」と感じる方は多いはずです。

結論から言うと、余剰電力は「1kWhいくらで売れるか」ではなく「1kWhいくらの電気を買わずに済むか」で考えると判断を間違えにくくなります。東京電力エナジーパートナー(以下、東京電力EP)の場合、FIT買取期間が終わったあとの買取単価は8.50円/kWh(税込)ですが、同社スマートライフS/Lで買う電気は午前6時〜翌午前1時が35.76円/kWh(税込・燃料費調整額別)。売る電気と買う電気では1kWhの重みがまったく違います。

この記事では余剰電力の使い道を5つに整理し、公式に確認できることと見積もり次第のことを分けて解説します。

この記事でわかること

  • 2026年度のFIT単価と、卒FIT後の買取単価が公式にいくらなのか
  • 余剰電力を活用する5つの方法と、それぞれの前提条件
  • 蓄電池・V2Hの補助金が2026年8月時点で使えるのかどうか
  • 蓄電池を買わずにできること(電力会社の預かりメニュー、給湯の時間シフト)
  • 契約前に確認したい点と、点検商法への注意点

太陽光パネルが設置された住宅

「売る」と「自宅で使う」で1kWhの価値はどれだけ違うか

まず前提となる単価を、公式情報で押さえます。

**新しくFIT認定を受ける場合(2026年度・10kW未満)**は、1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhの2段階で、買取期間は10年です(出典: 資源エネルギー庁 買取価格・期間等|FIT・FIP制度)。初期に手厚く、後半は下がる設計になっています。

**FIT買取期間が終わったあと(卒FIT)は、各社が自社で決めた単価での買取に移ります。東京電力EPの「再エネ買取標準プラン」は8.50円/kWh(税込)**で、FIT期間満了まで同社に売電していた場合は手続きなしで自動的にこのプランへ移行します。買取単価には非化石価値相当額と消費税等相当額が含まれ、同社は「買取単価は今後、見直す場合がございます」と明記しています(出典: 東京電力EP 再エネ買取標準プラン)。

一方で買う電気は、同社スマートライフS/Lの場合、午前6時〜翌午前1時が35.76円/kWh、午前1時〜午前6時が27.86円/kWh(いずれも税込・燃料費調整額別)です(出典: 東京電力EP スマートライフ(オール電化))。

1kWhの行き先単価(東京電力EPの例)
卒FIT後に売る8.50円/kWh(税込)
昼間に自宅で使う(買わずに済む)35.76円/kWh(税込・燃料費調整額別)
深夜に自宅で使う(買わずに済む)27.86円/kWh(税込・燃料費調整額別)

同じ1kWhでも、売った場合と昼間の買電を減らした場合とでは27円前後の開きがあります。これが「売るより使う」と言われる根拠です。

ただし単価はエリア・小売事業者・料金プランで変わり、実際の請求には燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金も乗ります。自宅の検針票と契約中のプランで確認するのが確実です。

そもそも余剰はどのくらい出るのか

太陽光発電協会(JPEA)は設置容量1kWあたりの年間発電量を約1,000kWh、住宅屋根に4kWなら年間4,000kWh程度としています。一般家庭の平均年間電力消費量を4,892kWhとすれば、必要な電力量の82%程度に相当する計算です(出典: JPEA よくあるご質問)。

ただしこれは1年間の合計の話です。太陽光は夜に発電せず、家庭の消費は朝夕と夜に偏るため、量が足りていても時間帯がずれた分は売電に回ります。余剰電力の活用とは、このズレをどう埋めるかの工夫です。

余剰電力を活用する5つの方法

方法1:蓄電池に貯めて夜に使う

昼の余剰を貯めて夜に放電する、もっとも直接的な方法です。停電時のバックアップにもなります。

判断で効いてくるのは補助金の有無です。国の「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業」(正式名称: 令和7年度補正 再生可能エネルギー導入拡大・分散型エネルギーリソース導入支援等事業費補助金(DRリソース導入のための家庭用蓄電システム等導入支援事業)、上限60万円/申請)は2026年5月29日に予算到達で公募終了しており、2026年8月25日時点で新規申請はできません(出典: SII DR家庭用蓄電池事業)。次回公募は未公表です。詳しくは国のDR補助金が終了した経緯と次回の見通しで整理しています。

自治体の制度は国とは別枠で動いています。東京都の「令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業」は蓄電池パッケージが10万円/kWh、DR実証に参加しない場合の上限が120万円/戸、蓄電池ユニット増設は6万円/kWhで、DR実証に参加しない場合の上限が72万円/戸です。事前申込は令和8年5月29日開始、交付申請兼実績報告は令和8年6月30日開始。さらに令和8年10月1日以降の事前申込は、SIIの令和8年度登録済製品一覧に登録された機器のみが対象になります(出典: クール・ネット東京 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業)。他の自治体も要件と締切がそれぞれ異なるため、お住まいの自治体の公式ページで受付状況を確認してください。

本体価格は、家庭用蓄電池はオープン価格としているメーカーが多く公式サイトに定価が載っていないのが一般的です。容量・パワコン構成・工事範囲で総額が動くため、販売店の見積もりで確認するのが前提になります。

なお2026年8月3日に日本発売されたテスラ Powerwall 3も価格は非公表です。容量13.5kWh・保証10年とされていますが、国内での設置案内は2026年9〜10月以降とされており、出力などの詳細仕様と実際の総額は公式サイトと認定販売施工会社の見積もりで確認してください(参考: テスラ Powerwall)。

方法2:給湯(エコキュート)の沸き上げを昼にずらす

家庭で消費するエネルギーのうち給湯は大きな比率を占めるため、沸き上げの時間帯を発電中に寄せられれば効果が出やすい領域です。

ここで注意したいのが、手持ちのエコキュートの設定を変えるだけで昼間に全量を沸かせるわけではないという点です。コロナは公式FAQで「『エコキュート』は夜間蓄熱機器であるため、昼間に100%沸き上げることはできません」と説明しています。同社の2022年6月以降発売機種には「ソーラーモードアプリ」があり、天気予報とアプリ設定をもとに翌日が晴れ予報の場合は昼間に最大80%まで沸き上げます(無線LAN対応インターホンリモコンが必要)(出典: コロナ よくあるご質問)。

昼間沸き上げを前提に設計された機種が「おひさまエコキュート」(昼間沸上げ形 自然冷媒CO2ヒートポンプ給湯機)です。パナソニックの製品では昼間の沸き上げ時間帯が初期設定9時〜16時で、8時〜17時の範囲・4時間以上でリモコンから変更できます。日射量予報をもとに沸き上げ開始時刻をずらす「日射量シフト」も搭載されています。同社の試算条件(4kW太陽光、地域区分6地域、昼間沸き上げ比率80%、日射量シフト「入」など)では、給湯の年間光熱費が従来機HE-S37LQSの約42,700円(税込)に対し、おひさまエコキュートHE-Y37LQVは約24,900円(税込)と比較されています。あくまでメーカーの試算条件下の数値で、気象条件や使用状況で変わる点は同社も注記しています(出典: パナソニック おひさまエコキュート)。

見落としやすいのが電力契約とのセットです。パナソニックは「夜間蓄熱型のエコキュートと電力契約が異なります」と明記しており、三菱電機は対応プランとして東北電力「よりそう+おひさまeバリュー」、東京電力EP「くらし上手」、中部電力「昼とくプラン」、中国電力「おひさまシフトコース」、四国電力「昼トクeプラン」、九州電力「おひさま昼トクプラン」を挙げています(出典: 三菱電機 おひさまエコキュート)。機器だけ替えてプランを放置すると想定どおりにならないことがあります。

エコキュート自体の選び方はエコキュートの基礎と選び方にまとめています。

方法3:EVに充電する・V2Hで自宅に戻す

EVの駆動用バッテリーは家庭用蓄電池より容量が大きく、昼間に充電すれば余剰電力の受け皿になります。さらにV2H充放電設備を入れれば、EVに貯めた電気を自宅側へ戻せます。

V2Hには国の補助金があります。「令和7年度補正 クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金(V2H充放電設備)」の交付申請期間は令和8年7月17日(金)〜令和8年9月30日(水)17時で、申請額の累計が予算額を超えると見込まれる場合は期間中でも受付終了となります。

補助金額の考え方は次のとおりです(出典: 次世代自動車振興センター V2H充放電設備の導入補助金応募要領(PDF))。

区分補助金交付額
設備本体購入費(税抜)×補助率1/2以内 と、型式ごとの交付上限額のいずれか低い額
設置工事(個人宅など)1基設置の場合の交付上限 550,000円

工事費は基礎工事35,000円、据付工事80,000円、本体搬入費15,000円、電気関連工事300,000円、諸費用120,000円と項目別の上限も定められています。

手続きでは、発注・工事開始が交付決定日以降であること、設置情報の国・地方公共団体への提供に了承し災害時の要請に可能な範囲で協力することが交付条件である点、取得財産に5年間の保有・運用義務がある点に注意が必要です。

V2Hの仕組みそのものはV2Hとは何かで解説しています。

方法4:電力会社の卒FIT向けメニューを選び直す

卒FIT後は「どこにいくらで売るか」だけでなく、「売らずに預ける」という選択肢もあります。

東京電力EPの「再エネおあずかりプラン」は、蓄電池を設置せずに余剰電力を自宅の使用分に充当する仕組みです。毎月250kWhを上限に、使用電力量のうち単価の高い時間帯から順に電力量料金単価相当で買い取り、250kWhを超える分や使用電力量を上回る分は8.5円/kWhでの買取になります。おあずかりサービス料は4,000円/月(税込10%)です。加入には同一住所での電気の供給契約と再エネ発電の供給契約、クレジットカード払い、指定プランへの加入が必要で、余剰電力の非化石価値は同社に帰属します(出典: 東京電力EP 再エネおあずかりプラン)。

同社自身も「お客さまの余剰電力量やご使用状況によってはおトクにならない場合もございます」と注記しています。サービス料は年48,000円(税込)に相当し、高い単価で相殺できる量が少ない家庭では負担が上回ることもあります。検針票の余剰電力量と使用電力量で試算してから判断してください。

メニュー設計は電力会社ごとに違います。卒FITで何を見直すべきかは卒FIT後の選択肢ガイドにまとめています。

方法5:家電の運転時間を発電中にずらす

初期費用がかからない方法です。洗濯乾燥機・食洗機・掃除機の充電・炊飯などをタイマーや予約運転で発電時間帯に寄せます。

削減額は家電の消費電力量と契約単価で変わるため一律には示せませんが、考え方は単純です。

昼にずらしたkWh ×(買電単価 − 売電単価)

東京電力EPの例なら 35.76円 − 8.50円 = 27.26円/kWh が1kWhずらすごとの差です。消費電力量の大きい家電から、発電中に動かせるものを1つずつ移すのが現実的です。

時間帯別の料金プランでは昼間の単価が高く設定されていることが多いため、プランの見直しと合わせて考えると効果を評価しやすくなります。

5つの方法をどう選ぶか

方法初期費用主な確認先向いている家庭
家電の時間シフトなし契約中の料金プランまず何かを試したい家庭
給湯の昼間沸き上げ設定変更はなし、機器更新は要見積もりメーカー公式・電力会社のプラン給湯機が更新時期の家庭
電力会社の預かり・買取メニューなし(月額サービス料がかかる場合あり)契約中の小売電気事業者余剰量が多く日中の使用量も多い家庭
V2H要見積もり(補助金は期間限定)次世代自動車振興センターEVを持っている・購入予定の家庭
蓄電池要見積もり(価格は非公表が一般的)自治体の補助制度・販売店停電対策も同時に考えたい家庭

検討する順番としては、費用のかからないものから試し、機器投資は補助金の受付状況を確認してからが無理のない進め方です。家電の運転時間と料金プランの見直しを起点に、給湯機やEVの更新・購入タイミングが来たら機器側の選択肢を、蓄電池は自治体の受付状況を見てから検討する、という順序になります。

契約前に確認しておきたいこと

余剰電力の活用は設備投資につながりやすく、訪問販売のきっかけにもなっています。

国民生活センターは2025年6月4日、太陽光発電システムの点検商法に関する注意喚起を公表しました。PIO-NETに登録された相談件数は2017年度57件、2018年度59件、2019年度53件、2020年度62件、2021年度90件、2022年度154件、2023年度304件、2024年度613件と推移しています。「点検が義務化された」と言われても安易に契約せず、点検の要否をまず確認すること、契約する場合はその場で決めずに複数社から見積もりを取ることが呼びかけられています。不安な場合は消費者ホットライン「188」に相談できます(出典: 国民生活センター 太陽光発電システムの点検商法が急増!)。

見積もりを比較するときは、次の点を書面で確認しておくと後戻りが減ります。

  • 機器の型番・容量(kWh)・定格出力(kW)と、メーカー公式カタログの表記が一致しているか
  • 保証年数と保証の対象範囲(機器・容量維持・工事)
  • 停電時に使える範囲(全負荷か特定負荷か)と出力
  • 電気工事・基礎工事・撤去などの内訳が分かれているか

補助金には「交付決定日以降でなければ発注・工事に着手できない」といった条件がある制度もあります(V2Hの令和7年度補正分もこの条件です)。契約を急がせる説明があったら、公式の応募要領に戻って確認してください。悪質な勧誘の見分け方は太陽光・蓄電池の詐欺的な勧誘に注意でも扱っています。

まとめ

  • 余剰電力は「いくらで売れるか」より「いくらの電気を買わずに済むか」で見る。東京電力EPの例では卒FIT後の買取8.50円/kWhに対し、昼間の買電は35.76円/kWh(税込、買電は燃料費調整額別)
  • 2026年8月25日時点で国のDR家庭用蓄電池補助金は公募終了。自治体の制度(東京都は10万円/kWh、DR実証不参加で上限120万円/戸など)は別枠なので、住んでいる自治体の公式情報を確認する
  • 蓄電池を入れなくても、給湯の昼間沸き上げ・家電の時間シフト・電力会社の預かりメニューという選択肢がある。月額料金がかかるメニューは自宅の余剰量で試算してから判断する
  • 機器の価格は非公表(オープン価格)が一般的で、総額は工事範囲で変わる。複数社の見積もりを取り、型番・保証・停電時の出力まで書面で確認する

よくある質問

Q.卒FIT後の余剰電力はいくらで売れますか?

A.買取単価は電力会社ごとに異なります。東京電力エナジーパートナーの「再エネ買取標準プラン」は8.50円/kWh(税込、非化石価値相当額を含む)で、FIT買取期間が満了すると自動的にこのプランに移行します(同社は今後見直す場合があると明記)。他エリア・他社では単価も条件も変わるため、契約中の買取先の公式情報で確認してください。

Q.国の蓄電池補助金は今から使えますか?

A.2026年8月25日時点では使えません。国の「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業」(上限60万円/申請)は2026年3月24日に公募が始まり、2026年5月29日に交付申請額が予算に達したため公募終了となりました。次回公募は未公表です。一方で自治体の制度は別枠で、東京都の令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業は10万円/kWh(DR実証に参加しない場合は上限120万円/戸)で実施されています。

Q.蓄電池がなくても余剰電力を活用できますか?

A.できます。給湯の沸き上げ時間帯を昼に寄せる、洗濯乾燥機や食洗機を発電時間帯に回す、といった費用ゼロの方法があります。加えて東京電力エナジーパートナーには蓄電池なしで余剰電力を自宅の使用分に充当する「再エネおあずかりプラン」があり、月250kWhを上限に単価の高い使用電力量から電力量料金単価相当で買い取る仕組みです(おあずかりサービス料4,000円/月・税込、上限超過分は8.5円/kWh)。同社も余剰電力量や使用状況によっては割安にならない場合があると明記しています。

Q.普通のエコキュートでも昼間に沸き上げできますか?

A.全量を昼間に回すことはできません。コロナは公式FAQで「エコキュートは夜間蓄熱機器であるため、昼間に100%沸き上げることはできません」と説明しています。ただし同社の2022年6月以降発売機種には「ソーラーモードアプリ」があり、翌日が晴れ予報なら昼間に最大80%まで沸き上げます(無線LAN対応インターホンリモコンが必要)。昼間沸き上げを前提にした機種が「おひさまエコキュート」で、パナソニックの場合は初期設定9時〜16時、8時〜17時の範囲で4時間以上に変更できます。

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