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太陽光パネルが設置された住宅

卒FITとは?固定買取終了後の3つの選択肢と最適な対処法

エネチョイス編集部

この記事の結論

卒FITとは、太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)の10年間の買取期間が終了することです。終了後の選択肢は3つ:①蓄電池を導入して自家消費を増やす、②新電力会社と新しい売電契約を結ぶ、③何もせず大手電力の買取(7〜9円/kWh)を利用する。最も経済的なのは蓄電池導入による自家消費の最大化です。

この記事でわかること

卒FIT(固定価格買取制度の終了)を迎えた・これから迎える方が取るべき対策を、3つの選択肢に整理して解説します。

  • 卒FITの仕組みと、自分がいつ対象になるか確認する方法
  • 3つの選択肢(自家消費・新電力への売電・現状維持)それぞれのメリットとデメリット
  • 経済的に最もお得な対処法と、具体的な手続きの流れ
  • 蓄電池導入で年間5〜10万円の追加メリットを得る方法

この記事を読めば、卒FIT後に何をすべきかが明確になり、損をしない最適な選択ができるようになります。

太陽光パネルが設置された住宅街

卒FITとは?わかりやすく解説

卒FITとは、住宅用太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)の契約期間が満了し、高い買取価格での売電が終了することです。2019年11月に最初の大量卒FIT(約56万件)が発生し、現在も毎年数十万件が順次卒FITを迎えています。

FIT制度の仕組み

FIT(Feed-in Tariff)制度とは、再生可能エネルギーの普及を目的として2012年に始まった国の制度です。住宅用太陽光発電(10kW未満)の場合、発電した電気を10年間、固定価格で電力会社に買い取ってもらえる仕組みになっています。

買取価格は設置した年度によって異なります。

設置年度買取価格(1kWhあたり)買取期間卒FIT時期
2009年48円10年間2019年11月
2010年48円10年間2020年
2011年42円10年間2021年
2012年42円10年間2022年
2013年38円10年間2023年
2014年37円10年間2024年
2015年33〜35円10年間2025年
2016年31〜33円10年間2026年

2009年に設置した方は2019年に、2016年に設置した方は2026年に卒FITを迎えます。自分の卒FIT時期は、太陽光発電を設置した際の売電契約書や、電力会社からの通知で確認できます。

卒FIT後に何が変わるのか

卒FIT後、最も大きく変わるのは売電価格の大幅な低下です。

FIT期間中は38〜48円/kWhで売電できていたものが、卒FIT後に何もしなければ大手電力会社の「余剰電力買取」に自動移行します。この場合の買取価格は7〜9円/kWhと、FIT期間中の5分の1〜7分の1にまで下がります。

たとえば、年間4,000kWhを売電していた場合の収入変化は以下のとおりです。

  • FIT期間中(38円の場合):4,000kWh × 38円 = 年間152,000円
  • 卒FIT後(8円の場合):4,000kWh × 8円 = 年間32,000円
  • 差額:年間120,000円の減少

ただし、これは「何も対策をしなかった場合」です。適切な対策を取ることで、この差額を大幅に縮められます。

卒FIT後の3つの選択肢

卒FIT後の選択肢は3つあり、最も経済メリットが大きいのは蓄電池を導入して自家消費を最大化する方法です。ただし、初期費用や家庭の電気使用パターンによって最適解は異なります。ここでは3つの選択肢をそれぞれ詳しく解説します。

選択肢①:蓄電池を導入して自家消費を増やす

蓄電池の導入は、卒FIT対策として最も経済メリットが大きい選択肢です。 売電価格が7〜9円に下がる一方、自家消費すれば電力会社から買う電気(30円/kWh前後)を節約できるため、1kWhあたり20円以上の差額が生まれます。

蓄電池導入のメリット

蓄電池を導入することで得られるメリットは、単に売電収入の補填にとどまりません。

経済面のメリット:

  • 日中に発電した電気を貯めて夜間に使うことで、電気代を大幅に削減できる
  • 自家消費率を30%から70〜80%に引き上げられる
  • 年間の電気代削減効果は5〜10万円(4〜5人家庭、蓄電池容量7〜10kWhの場合)
  • 深夜の安い電気を貯めて昼間に使う「ピークシフト」も可能

生活面のメリット:

  • 停電時に非常用電源として使える(災害対策)
  • 電気の自給自足に近づき、電気料金の値上がりリスクを軽減できる
  • V2H(Vehicle to Home)対応機種なら、EVとの連携も可能

蓄電池の費用と回収期間

蓄電池導入の初期費用と、投資回収のめやすは以下のとおりです。

蓄電池容量初期費用(工事費込み)年間削減効果回収期間の目安
5kWh80〜120万円4〜6万円15〜20年
7kWh110〜150万円6〜8万円14〜19年
10kWh140〜200万円8〜12万円12〜17年

2026年現在、国や自治体の補助金を活用すれば初期費用を30〜60万円程度抑えられるケースもあります。補助金を差し引くと、回収期間は10〜13年程度まで短縮できる場合があります。蓄電池の寿命は15〜20年ですので、補助金を活用すれば十分に元が取れる計算になります。

蓄電池導入のデメリット・注意点

  • 初期費用が高い(80〜200万円)
  • 蓄電池自体に寿命がある(サイクル数6,000〜12,000回、約15〜20年)
  • 設置スペースが必要(屋外設置の場合は基礎工事も)
  • 容量選びを間違えると十分な効果が得られない

蓄電池選びで最も重要なのは容量の選定です。家庭の夜間消費電力量に合わせた容量を選ぶことで、無駄なく電気を使い切れます。一般的な4人家族なら7〜10kWhが適正とされています。

選択肢②:新電力会社と売電契約を結ぶ

初期費用をかけたくない場合、新電力会社と売電契約を結ぶことで、大手電力より高い買取価格で売電を続けられます。 手続きも比較的簡単で、切り替えにかかる費用はほとんどの場合ゼロです。

新電力の買取価格

卒FIT向けの買取プランを提供している新電力会社は多数あります。2026年時点での買取価格の相場は以下のとおりです。

買取先買取価格の目安特徴
大手電力会社(自動移行)7〜9円/kWh手続き不要、価格は最も低い
新電力会社(一般的)9〜12円/kWhWeb手続きで完了、違約金なしが多い
新電力会社(プレミアム)12〜16円/kWh電気の購入契約とセットが条件
地域電力・生協系8〜11円/kWh地域限定、環境価値を重視

「プレミアム」プランは買取価格が高い反面、その会社から電気を購入することが条件になっています。電気料金プラン全体で比較しないと、買取価格が高くてもトータルで損をする場合があるので注意しましょう。

新電力への切り替えメリット

  • 初期費用ゼロで売電収入を増やせる
  • 手続きが簡単(Webで申し込み、数週間で切り替え完了)
  • 違約金なしのプランが多く、不満があれば他社に乗り換えやすい
  • 蓄電池導入と併用もできる

新電力への切り替えデメリット

  • 買取価格はFIT時代と比べると依然として大幅に低い
  • 買取価格が変更される可能性がある(固定価格ではないケースが多い)
  • 新電力会社の経営リスク(撤退・倒産の可能性)
  • 会社によっては電気購入とのセット契約が条件になる

年間4,000kWhを売電する場合、大手電力(8円)から新電力(11円)に切り替えると年間12,000円の改善になります。蓄電池導入ほどのインパクトはありませんが、コストゼロで始められる点が大きな強みです。

選択肢③:大手電力の買取をそのまま利用する

「とりあえず何もしない」という選択肢も実はありです。卒FIT後、何も手続きしなければ大手電力会社の余剰電力買取に自動的に移行します。買取価格は7〜9円/kWhと低いですが、手続き不要・リスクゼロで売電を継続できます。

現状維持のメリット

  • 手続きが一切不要(自動移行)
  • 大手電力会社なので倒産リスクが極めて低い
  • 契約の縛りがなく、いつでも他の選択肢に切り替えられる
  • 初期費用ゼロ

現状維持のデメリット

  • 買取価格が最も低い(7〜9円/kWh)
  • 自家消費との差額(20円以上/kWh)を丸ごと逃している
  • 電気代の値上がりリスクに対する備えにならない

この選択肢は「蓄電池を検討しているがまだ決まっていない」「引越しの予定がある」など、当面の判断を先送りしたい方には合理的です。ただし、先送りした期間分だけ経済的な機会損失は積み重なります。

3つの選択肢を比較

3つの選択肢を、年間4,000kWh売電している標準的な家庭(FIT価格38円)のケースで比較します。

比較項目①蓄電池導入②新電力で売電③現状維持
初期費用80〜200万円(補助金で軽減可)0円0円
年間の経済メリット電気代削減5〜10万円 + 余剰売電売電収入4〜5万円売電収入3〜3.5万円
FIT時代との差額年間4〜8万円の減少年間11〜12万円の減少年間12〜12.5万円の減少
災害対策あり(非常用電源)なしなし
手続きの手間多い(工事・申請)少ない(Web完結)なし
リスク蓄電池の故障・寿命新電力の経営リスク機会損失
おすすめの人長期居住予定の持ち家世帯まず手軽に始めたい人判断を保留したい人

蓄電池と太陽光パネルの連携イメージ

卒FIT後のベストな組み合わせ

最もおすすめなのは「蓄電池導入 + 新電力での余剰売電」の組み合わせです。 蓄電池で自家消費率を最大化しつつ、それでも余る電気は新電力に高く買い取ってもらうことで、経済メリットを最大限に引き出せます。

具体的なシミュレーションを見てみましょう。

モデルケース:4人家族、太陽光4.5kW、年間発電量5,000kWh

項目蓄電池なし(現状維持)蓄電池7kWh + 新電力
自家消費量1,500kWh(30%)3,750kWh(75%)
売電量3,500kWh1,250kWh
自家消費による電気代削減45,000円(@30円)112,500円(@30円)
売電収入28,000円(@8円)13,750円(@11円)
年間メリット合計73,000円126,250円
差額+53,250円/年

蓄電池を導入することで、年間約5.3万円の追加メリットが得られる計算です。蓄電池の初期費用を130万円(補助金適用後90万円)とすると、約17年(補助金適用後は約12年)で投資回収できます。

蓄電池と相性の良い活用法

蓄電池の効果をさらに高めるポイントをいくつか紹介します。

電気料金プランの見直し: 時間帯別料金プラン(夜間が安いプラン)に切り替えると、蓄電池のピークシフト効果が加わりさらにお得になります。深夜電力(15〜20円/kWh程度)を蓄電池に貯めて、日中の高い時間帯(25〜40円/kWh)に使うだけで追加の節約になります。

EV(電気自動車)との連携: V2H対応の蓄電池を選べば、EVのバッテリーも家庭用蓄電池として活用できます。EVのバッテリー容量は40〜70kWhと家庭用蓄電池の5〜10倍あるため、より大きな自家消費効果が見込めます。

HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の活用: HEMSを導入すると、天気予報に連動して蓄電池の充放電を自動最適化できます。翌日が晴れなら夜間の充電を控え、太陽光で充電するように制御するなど、細かな最適化が可能です。

卒FIT後にやるべき手続きの流れ

卒FITの手続きは、まず「自分の卒FIT時期の確認」から始めましょう。 卒FIT時期の半年〜1年前から準備を始めるのが理想的です。以下に、各選択肢ごとの手続きの流れをまとめます。

全員共通:まずやること

  1. 卒FIT時期を確認する — 売電契約書、電力会社のマイページ、または電力会社のコールセンターで確認できます。「特定契約の供給開始日」から10年後が卒FIT日です。
  2. 現在の売電量・自家消費量を把握する — 電力会社のマイページや検針票で月別の売電量を確認しましょう。年間の売電量がわかれば、各選択肢の経済メリットを具体的に計算できます。
  3. 太陽光パネルの状態を確認する — 10年経過したパネルの状態を確認しましょう。パワーコンディショナーの寿命は10〜15年で、交換費用は20〜30万円です。蓄電池導入と同時にパワコン交換すると工事費を節約できることがあります。

蓄電池を導入する場合の手続き

ステップ内容目安時期
複数の蓄電池メーカー・施工会社から見積もりを取る卒FIT 6ヶ月前〜
自治体の補助金情報を確認・申請する補助金受付期間中(年度初めが多い)
蓄電池の機種・容量を決定し、契約する卒FIT 3〜4ヶ月前
設置工事・電力会社への系統連系変更届出卒FIT 1〜2ヶ月前
動作確認・引き渡し卒FIT前後

見積もりは最低3社以上から取ることを強くおすすめします。同じ蓄電池でも施工会社によって30〜50万円の価格差が生じることがあります。一括見積もりサイトを活用すると、効率よく比較できます。

新電力に切り替える場合の手続き

  1. 卒FIT向け買取プランを提供している新電力会社を比較する — 買取価格だけでなく、電気購入プランとのセット条件、契約期間、解約条件も確認しましょう。
  2. 新電力会社のWebサイトから申し込む — 契約者情報、供給地点特定番号、現在の契約内容を入力します。供給地点特定番号は検針票に記載されています。
  3. 切り替え完了を待つ — 通常2〜4週間で切り替わります。現在の電力会社への解約手続きは新電力会社が代行してくれます。

切り替えの手続き自体は非常に簡単で、15〜30分程度のWeb申し込みだけで完了します。

現状維持の場合

特に手続きは不要です。FIT契約が終了すると、自動的に大手電力会社の余剰電力買取に移行します。電力会社から「買取期間満了のお知らせ」が届いた場合は、内容を確認しておきましょう。

なお、「何もしない」を選んだ後でも、いつでも蓄電池導入や新電力への切り替えは可能です。ただし、先送りした分だけ経済的なメリットを逃すことになるため、できるだけ早い段階での検討をおすすめします。

まとめ

卒FIT対策で最も大切なのは、「何もしない」を避けることです。FIT期間中と比べて売電価格は5分の1以下に下がりますが、適切な対策を取れば経済的な影響を最小限に抑えられます。

3つの選択肢のポイント:

  • 蓄電池導入(おすすめ度:★★★)— 初期費用はかかるが、年間5〜10万円の電気代削減効果。補助金活用で10〜13年で回収可能。災害対策にもなる一石二鳥の選択肢
  • 新電力で売電(おすすめ度:★★☆)— 初期費用ゼロで始められる手軽さが魅力。大手電力より2〜4円/kWh高く売れる。蓄電池導入までのつなぎとしても有効
  • 現状維持(おすすめ度:★☆☆)— 手続き不要だが経済的には最も不利。判断の先送りは機会損失になる

今すぐやるべきこと:

  1. 自分の卒FIT時期を確認する
  2. 現在の売電量と自家消費量を把握する
  3. 蓄電池の一括見積もりを取得して、具体的な費用対効果を確認する

太陽光パネルはまだ15〜20年使えます。卒FITは「終わり」ではなく、太陽光発電をより賢く活用するための「新しいスタート」です。蓄電池と組み合わせることで、電気代の大幅削減と停電への備えを同時に実現しましょう。

よくある質問

Q.卒FIT後の売電価格はいくらになりますか?

A.大手電力会社の場合、7〜9円/kWhが一般的です。FIT期間中の48円や38円と比べると大幅に下がります。新電力会社と契約すれば10〜12円/kWh程度で売電できる場合もあります。

Q.卒FIT後に蓄電池は必要ですか?

A.必須ではありませんが、経済的には最も有利です。売電価格が7〜9円に下がる一方、自家消費すれば30円/kWh以上の電気代削減になるため、蓄電池で自家消費率を上げることで年間5〜10万円の追加メリットが得られます。

Q.卒FIT後も太陽光パネルはそのまま使えますか?

A.はい、FIT期間が終了しても太陽光パネル自体は25〜30年使えます。パネルの出力低下は年0.5%程度で、20年後でも初期出力の90%程度を維持します。手続きをしなくても自動的に大手電力の買取に移行されます。

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