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太陽の光が差し込むソーラーパネル

太陽光発電の売電価格推移【2012〜2026年度】24円と8.3円の2段階に

エネチョイス編集部

この記事の結論

住宅用太陽光(10kW未満)のFIT調達価格は、2012年度の42円/kWhから2024年度の16円/kWh、2025年度上半期の15円/kWhまで段階的に引き下げられてきました(2023年度と2024年度はいずれも16円/kWhで据え置きでした)。2025年度下半期からは「初期投資支援スキーム」に切り替わり、2026年度・2027年度はいずれも運転開始から4年目まで24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWhの2段階価格です(買取期間は10年で変わりません)。総額を増やす制度ではなく、受け取りを前半に寄せる設計のため、後半は自家消費や卒FIT後の売電(大手電力の標準的なメニューで7〜8.5円/kWh程度)が収支の中心になります。出典は資源エネルギー庁および調達価格等算定委員会。

【2026年8月25日時点】 住宅用太陽光(10kW未満)のFIT調達価格は、2025年度下半期から「初期投資支援スキーム」に切り替わりました。2026年度は運転開始から4年目まで24円/kWh、5〜10年目は8.3円/kWhです。出典: 資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2026年度以降)」

住宅用太陽光の売電価格は、2012年度の42円/kWhから2024年度の16円/kWhまで段階的に引き下げられてきました。ただし2025年度下半期に制度の形そのものが変わり、2026年度は「はじめの4年間が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWh」という2段階価格になっています。

つまり「毎年1〜2円ずつ下がっていく」という従来の読み方は、2026年時点ではもう当てはまりません。数字が上がったように見えても受け取り総額が増えたわけではなく、受け取るタイミングが前倒しになった、というのが制度の中身です。

この記事では、資源エネルギー庁が公表している調達価格をそのまま並べたうえで、2026年度の制度がどう変わったのか、卒FIT後にいくらで売れているのかを、一次情報の出典付きで整理します。

この記事でわかること

  • 住宅用(10kW未満)の売電価格の2012〜2026年度の推移(資源エネルギー庁の公表値)
  • 2025年度下半期に始まった初期投資支援スキームの中身と注意点
  • 2027年度の価格と、国が現時点で示している今後の方向性
  • 卒FIT後に大手電力が実際に提示している買取単価
  • 売電価格だけでは採算を判断できない理由(自家消費の価値・設置費用の最新実態)

屋根の太陽光パネルと青空

住宅用(10kW未満)の売電価格推移【2012〜2026年度】

FIT(固定価格買取制度)は2012年7月に開始されました。住宅用10kW未満の調達価格と調達期間は、資源エネルギー庁が年度ごとに公表しています。以下は同庁の過去の買取価格・期間等および2026年度以降の価格表からの転載です。

年度調達価格(10kW未満)調達期間
2012年度(平成24)42円/kWh10年
2013年度(平成25)38円/kWh10年
2014年度(平成26)37円/kWh10年
2015年度(平成27)33円/kWh(出力制御対応機器の設置義務なし)/ 35円/kWh(義務あり)10年
2016年度(平成28)31円/kWh / 33円/kWh10年
2017年度(平成29)28円/kWh / 30円/kWh10年
2018年度26円/kWh / 28円/kWh10年
2019年度24円/kWh / 26円/kWh10年
2020年度21円/kWh10年
2021年度19円/kWh10年
2022年度17円/kWh10年
2023年度16円/kWh10年
2024年度16円/kWh10年
2025年度(4〜9月)15円/kWh10年
2025年度(10〜3月)24円/kWh(〜4年)・8.3円/kWh(5〜10年)10年
2026年度24円/kWh(〜4年)・8.3円/kWh(5〜10年)10年

表を読むときの3つの注意点

1. 2015〜2019年度は2本立ての価格でした。 出力制御対応機器の設置義務がある地域では、機器の費用を織り込んだ高い方の価格が適用されました(対象地域は年度ごとに定められていました)。自宅の実際の売電単価は、契約書または電力会社からの通知でご確認ください。

2. 2018年度までは「ダブル発電」の区分がありました。 家庭用燃料電池(エネファーム)などを併設した場合の価格が別に設定されており、たとえば2012年度は34円/kWh、2018年度は25円/kWh(設置義務なし)でした。

3. 調達期間は住宅用10kW未満で一貫して10年間です。 価格は変動してきましたが、買取期間そのものは2026年度まで10年のまま据え置かれています。

なお、10kW以上の事業用は買取期間が20年で、価格の水準も住宅用とは別に設定されています。2026年度は10kW以上50kW未満(地上設置)が9.9円/kWh、50kW以上(地上設置・入札対象外)が9.6円/kWhです。加えて、事業用太陽光(地上設置)は2027年度以降、FIT/FIP制度の新規認定対象外となることが決まっています。

2026年度の「24円 → 8.3円」は何が変わったのか

2026年度の住宅用の価格は、数字だけ見ると2025年度上半期の15円/kWhから24円/kWhに跳ね上がったように見えます。これは初期投資支援スキームという新しい価格の付け方によるものです。

経済産業省は次のように説明しています。

屋根設置太陽光発電の導入を加速化するため、国民負担が増えない範囲の中で、2025年度下半期より、初期投資支援スキームを導入し、住宅用太陽光発電は24円(〜4年)、8.3円(5〜10年)、事業用太陽光発電(屋根設置)は19円(〜5年)、8.3円(6〜20年)としています。 — 経済産業省 2026年3月19日 ニュースリリース

ポイントは「国民負担が増えない範囲の中で」という一文です。買取に使えるお金の総額を増やしたわけではなく、同じ原資の受け取り方を前半に寄せたという設計になっています。したがって、次の点は誤解しないでおきたいところです。

  • 売電収入の合計が大きく増える制度ではありません。前半4年に厚く、後半6年に薄く配分されます
  • 買取期間は10年のままです。短縮されたわけではありません
  • 前半で回収を進められる分、設置後5年目以降は自家消費の比重が一気に高まります。8.3円/kWhで売るより、自宅で使う方が経済的に有利になる局面が早く訪れます

適用対象は2025年10月以降にFIT認定を受ける案件です。それ以前に認定を受けた設備の単価は、認定時の価格が買取期間の満了まで続きます。

売電価格はどうやって決まっているのか

FITの調達価格は、標準的な設備を導入したときに一定の利回りが得られるよう、コストや発電量の「想定値」から逆算して決められます。調達価格等算定委員会の令和8年度以降の調達価格等に関する意見(2026年2月5日)が置いた住宅用(10kW未満)の想定値は次のとおりです。

項目2026年度の想定値
システム費用(資本費)25.5万円/kW
運転維持費0.30万円/kW/年
設備利用率13.7%
余剰売電比率70.0%
自家消費分の便益27.31円/kWh(2025年度の想定値を据え置き)
調達期間終了後の売電価格10.0円/kWh
IRR(税引前)3.2%
調達期間10年間

※ 自家消費分の便益は、意見書の別紙(結論部分)では「2025年度の想定値27.31円/kWhを2026年度も据え置き」と整理されている一方、本文(31ページ)には「2026年度は27.45円/kWhと設定されている」との記載もあります。本記事は結論部分の数値を採っています。どちらにせよ27円台で、後述の売電単価を大きく上回る水準です。

つまり、売電価格の引き下げは、想定される設備コストの低下を反映した結果です。同委員会の分析では、事業用太陽光(地上設置)のパネル費用は2013年から2025年までに65%低下しています。

ただし、住宅用については足元の動きが違います。同じ資料には、住宅用(10kW未満)のシステム費用が「直近2023年度以降はやや増加傾向」にあり、2025年設置の新築案件の平均が28.9万円/kW(中央値29.4万円/kW)だったと記載されています。これは2026年度の想定値25.5万円/kWを上回る水準で、2024年設置より0.6%、2023年設置より1.9%高くなっています。費用の内訳は太陽光パネルが約47%、工事費が約29%です。

「パネル価格は下がり続けているから今が買い時」という説明は、住宅用の直近データでは裏付けが取れません。 実際の見積金額がこの水準と比べてどうかを確認する、という使い方が現実的です。見積書の見方は太陽光発電の見積書チェックポイントにまとめています。

2027年度以降はどうなるのか

将来の売電価格について、2026年8月時点で「決まっている事実」と「決まっていないこと」を分けて整理します。

決まっていること

  • 2027年度の住宅用(10kW未満)は24円/kWh(〜4年)・8.3円/kWh(5〜10年) です。調達価格等算定委員会の意見(別紙)に2026年度と同じ価格として明記されています
  • 事業用太陽光(地上設置)は2027年度以降、FIT/FIP制度の新規認定対象外になります(2026年度の落札案件を除く)
  • 初期投資支援スキームについて、委員会は「支援期間の短縮」の適用開始を2029年度とすることを基本とする方針を示しています。卒FIT後のビジネスモデルが成熟するまでの準備期間として、さらに2年程度の猶予を設ける、という整理です

決まっていないこと

2028年度以降の具体的な調達価格は決まっていません。毎年度の調達価格等算定委員会で、その時点のシステム費用・電気料金・卒FIT後の売電相場などを踏まえて審議されます。

インターネット上には「2030年には○円になる」といった予測が流通していますが、これらは公的に決定された数値ではありません。導入判断は、確定している2027年度までの価格と、自宅の自家消費見込みをもとに行うのが確実です。

太陽光パネルが設置された住宅の外観

卒FIT後の売電価格はいくらか

住宅用のFIT買取期間は10年です。2009年11月開始の余剰電力買取制度から数えると2019年11月以降、FIT開始(2012年7月)から数えると2022年7月以降、順次買取期間が満了しています。満了後も売電は可能で、資源エネルギー庁は公式サイトどうする?ソーラーで、蓄電池やEVを使った自家消費、小売電気事業者との相対契約などの選択肢を案内しています。

2026年8月時点で大手電力が公表している買取単価は次のとおりです。

事業者プラン買取単価(税込)
東京電力エナジーパートナー再エネ買取標準プラン8.50円/kWh
関西電力買取期間終了後の余剰電力買取8.00円/kWh
中部電力ミライズ新たなデンキ買い取りサービス7円/kWh(シンプルプラン)・8円/kWh(プレミアムプラン)・7〜12円/kWh(再エネスマートプラン)

いずれも単価は見直される可能性があると各社が明記しています。また、調達価格等算定委員会が2025年12月時点で確認した買取メニュー全体では、平均10.0円/kWh、中央値9.5円/kWhでした。同委員会は「10円/kWh水準以上のメニューは、当該小売電気事業者による電気供給とのセット販売や、蓄電池併設等の条件付きであることが比較的多い」と注記しています。単価の高さだけで比較せず、適用条件をセットで確認する必要があります。

卒FITを迎える際の手続きや選択肢は卒FIT後の選択肢ガイドで詳しく解説しています。

売電価格が下がっても導入が成り立つ理由

売電価格の低下だけを見ると不利に思えますが、収支のもう一方には「買わずに済んだ電気」があります。

自家消費1kWhの価値は売電単価を上回る

調達価格等算定委員会は、自家消費分の便益を27.31円/kWhと想定しています(別紙の2025年度の想定値で、2026年度は据え置き。前述のとおり本文には27.45円/kWhとの記載もあります)。これは大手電力の直近10年間の家庭用電気料金単価に、消費税率10%を加味した値です。同委員会が今回あらためて直近10年間(2015〜2024年度)の平均で試算した値は27.86円/kWhでした。

この27円台という水準と、FIT後半の8.3円/kWh、あるいは卒FIT後の7〜8.5円/kWhを並べると、発電した電気を自宅で使う方が1kWhあたりの価値が高い構図がはっきりします。だからこそ、初期投資支援スキームで前半に受け取りが寄った2026年度以降は、5年目以降の自家消費率をどう上げるかが実質的な論点になります。

自家消費率を上げる手段には蓄電池、EV、エコキュートの昼間稼働などがあります。蓄電池を追加した場合の効果は蓄電池の電気代削減シミュレーションで試算方法を紹介しています。

電気代には再エネ賦課金も乗っている

2026年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金は1kWhあたり4.18円です。経済産業省は、1か月の電力使用量400kWhの需要家モデルで月額1,672円、年額20,064円と試算しています(2026年5月検針分から2027年4月検針分まで適用)。

賦課金は電気の使用量に比例するため、自家消費で買電量を減らすと賦課金の負担も一緒に減ります。制度の詳細は再エネ賦課金とはをご覧ください。

補助金の現況は申込前に確認する

2026年8月時点で、国のDR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正・上限60万円/申請)は新規申請ができません。2026年3月24日に公募が始まりましたが、2026年5月29日に交付申請額の合計が予算に達したため公募終了となっています(SII公式)。次回公募の予定は公表されていません。経緯はDR補助金の終了と次回見通しにまとめています。

一方、自治体の制度は動いています。たとえば東京都の令和8年度「家庭における蓄電池導入促進事業」は蓄電容量あたり10万円/kWh、DR実証に参加しない場合は上限120万円/戸で受付中です。ただし令和8年10月1日以降に事前申込をする場合は、SIIの令和8年度登録済製品一覧に登録された機器のみが対象になります(クール・ネット東京)。

まとめ

  • 推移の事実: 住宅用(10kW未満)の調達価格は2012年度42円/kWh → 2024年度16円/kWh → 2025年度上半期15円/kWhと下がり、2025年度下半期から24円/kWh(〜4年)・8.3円/kWh(5〜10年)の2段階に変わりました。買取期間は一貫して10年です
  • 2026年度・2027年度は同じ価格: どちらも24円/kWh(〜4年)・8.3円/kWh(5〜10年)です。2028年度以降は未定で、確定した予測値は存在しません
  • 卒FIT後の実勢: 大手電力の標準的なメニューは7〜8.5円/kWh程度。10円/kWh超のメニューは電気のセット販売や蓄電池併設などの条件付きが多く、条件の確認が必要です
  • 判断の軸は自家消費: 委員会が置く自家消費の便益は27.31円/kWhで、売電単価を大きく上回ります。ただし住宅用の設置費用は2023年度以降やや上昇傾向(2025年設置の新築平均28.9万円/kW)のため、自宅の屋根条件と使用パターンで複数社の見積もりを比較して判断してください

よくある質問

Q.2026年度の太陽光発電の売電価格はいくらですか?

A.住宅用(10kW未満)は「初期投資支援スキーム」が適用され、運転開始から4年目までが24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhです。買取期間は従来どおり10年間です。事業用は、10kW以上50kW未満(地上設置)が9.9円/kWh、50kW以上(地上設置・入札対象外)が9.6円/kWh、10kW以上の屋根設置は19円/kWh(〜5年)と8.3円/kWh(6〜20年)です。出典は資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2026年度以降)」。

Q.売電価格は今後も毎年下がり続けるのですか?

A.2026年8月時点で国が公表しているのは2027年度までで、住宅用(10kW未満)は2027年度も24円/kWh(〜4年)・8.3円/kWh(5〜10年)と示されています。それ以降の価格は決まっていません。なお調達価格等算定委員会は、初期投資支援スキームについて「支援期間の短縮」の適用開始を2029年度とすることを基本とする方針を示しています。2028年度以降の具体的な数値は毎年度の委員会審議を経て決まるため、確定値として扱える予測はありません。

Q.FIT期間(10年)が終わったら売電できなくなりますか?

A.いいえ、買取期間が満了しても小売電気事業者との相対契約で売電を続けられます。ただし単価はFIT価格より下がります。2026年8月時点の公表値では、東京電力エナジーパートナーの再エネ買取標準プランが8.50円/kWh(税込)、関西電力が8.00円/kWh(税込)、中部電力ミライズが7円/kWh(シンプルプラン)〜8円/kWh(プレミアムプラン)です。調達価格等算定委員会が2025年12月時点で確認した買取メニューの平均は10.0円/kWh、中央値は9.5円/kWhでした。

Q.売電価格が下がっているのに太陽光を導入する意味はありますか?

A.判断材料が「売電収入」から「自家消費による電気代の削減」に移っている、というのが実態です。調達価格等算定委員会は、自家消費1kWhあたりの便益を大手電力の直近10年間の家庭用電気料金単価に消費税10%を加味した水準として想定しており、別紙の想定値は27.31円/kWh(2026年度は2025年度の想定値を据え置き)です。一方で住宅用の設置費用は2023年度以降やや上昇傾向にあり(2025年設置の新築案件の平均は28.9万円/kW)、屋根形状や使用パターンで採算は大きく変わります。複数社の見積もりで自宅の条件に当てはめて確認してください。

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