ene-choice

PR 本記事にはアフィリエイト広告が含まれます

オール電化住宅のイメージ

オール電化住宅に蓄電池は必要?全負荷型の選び方と2026年8月の補助金の現状

エネチョイス編集部

この記事の結論

オール電化住宅で蓄電池を検討するなら、確認すべきは「全負荷型かどうか」「停電時の自立出力が何kVAか」の2点です。ビルトインIHの多くは単相3線式200Vの電源工事が必要な機器で、停電時に200V出力できる全負荷型でなければ動かせません。ただし全負荷型でも自立出力は製品により3.0〜5.9kVA程度で、総消費電力5.8kWのIHをフルパワーで使うことは想定されていません。2026年8月19日時点で国のDR家庭用蓄電池補助金は公募終了しており、使えるのは自治体の制度が中心です。

オール電化住宅で「蓄電池を入れれば停電時も普段どおり」と説明されることがあります。ですが実際にメーカーの仕様書を開くと、その言葉が指す範囲はかなり限定的です。

オール電化住宅で蓄電池を検討するときの判断軸は「全負荷型か」「停電時の自立出力が何kVAか」の2つに集約されます。 ビルトインIHの多くは単相3線式200Vの電源工事が必要な機器で、200V出力に対応した全負荷型でなければ停電時に動かせません。そして全負荷型を選んでも、自立出力の上限を超えれば運転は止まります。

【2026年8月19日時点】 国の「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業」(上限60万円/申請)は、2026年3月24日に公募を開始し、2026年5月29日に交付申請額が予算に達したため公募終了しました。次回公募は未公表で、現在は新規申請できません。出典: SII 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業

この記事でわかること

  • オール電化プランの夜間と昼間の実際の単価差(2026年8月時点)
  • 停電時にIH・エコキュートを動かすための全負荷型と200V出力の条件
  • メーカーが公表している自立出力の上限と、IHの消費電力とのギャップ
  • エコキュートと蓄電池をどう組み合わせるか(昼間沸き上げの考え方)
  • 2026年8月時点で実際に使える補助金の状況

まず前提:オール電化プランの単価差は「2倍」ではない

蓄電池の説明でよく使われるのが「深夜の安い電気を貯めて昼間に使う」という説明です。ただし現在のオール電化向けプランの単価を見ると、その差は思ったほど大きくありません。

東京電力エナジーパートナーの「スマートライフS/L」(オール電化向けプラン)の単価は次のとおりです。

区分単価(税込)
基本料金(10Aにつき)311.75円
電力量料金 午前6時〜翌午前1時35.76円/kWh
電力量料金 午前1時〜午前6時27.86円/kWh

出典: 東京電力エナジーパートナー「スマートライフ(オール電化)」(別途、燃料費調整額と再エネ賦課金が加算されます)

安い時間帯は午前1時から午前6時までの5時間だけで、単価差は7.90円/kWhです。かつての深夜電力プランのような「昼夜で倍以上」という構造ではなくなっています。

つまり、オール電化住宅で蓄電池の経済性を語るなら、系統からの深夜充電よりも太陽光の余剰電力をどれだけ自家消費に回せるかが主役になります。2026年度に新規認定を受けた住宅用太陽光(10kW未満)の売電単価は1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhです(出典: 資源エネルギー庁 買取価格・期間等(2026年度以降))。5年目以降は売るより使うほうが有利になる構造で、蓄電池の役割はここにあります。

オール電化住宅のキッチン

停電時にIH・エコキュートを使うための条件と「自立出力の壁」

オール電化住宅の停電対策で最初に確認すべきなのが、停電時のバックアップ範囲と出力電圧です。

  • 全負荷型: 停電時に分電盤の全回路をバックアップする方式。ニチコンは自動切替分電盤について「停電時に蓄電システムから給電する配線系統を選ばない」「200VのエアコンやIH調理器も使うことが可能」と説明しています(出典: ニチコン ESS-U4シリーズ
  • 特定負荷型: あらかじめ選んだ回路だけをバックアップする方式。ニチコンESS-U5シリーズは全負荷対応と特定負荷対応の両方を選べる構成になっています(出典: ニチコン ESS-U5シリーズ

ビルトインIHの多くは200V電源を前提としており、日立はビルトイン3口IH「HT-N2000Tシリーズ」について「単相3線式200Vの電源工事が必要となります」と案内しています(対象機種にマークを付す形での表記です)。同シリーズは、複数のIHやグリルを同時に使う場合の総消費電力を5.8kW(設置時に4.8kWへ切替可、節電モードで4.8kWまたは4.0kWへ切替可)としています(出典: 日立 HT-N2000Tシリーズ)。

全負荷型でも「出力の上限」は残る

全負荷型を選んでも、停電時に流せる電力には上限があります。メーカーが公表している自立出力(停電時の定格出力)は次のとおりです。

製品蓄電容量停電時の自立出力
ニチコン ESS-U4X116.6kWh合計3.0kVA(片相1.5kVA)、AC101V/AC202V 単相3線式
ニチコン ESS-U4M111.1kWh合計3.0kVA(片相1.5kVA)、AC101V/AC202V 単相3線式
ニチコン ESS-U5L19.7kWh5.9kVA、AC202V/AC101V 単相3線式
ニチコン ESS-U5M17.7kWh4.0kVA、AC202V/AC101V 単相3線式
パナソニック 創蓄連携システムT9.7kWh5.5kVA(片相2.75kVA)、停電時出力100V/200V

出典: ニチコン ESS-U4ニチコン ESS-U5パナソニック 創蓄連携システムT

先ほどのIHの総消費電力5.8kWと並べると、関係がはっきりします。自立出力3.0kVAの製品では、IHを高火力で使うことは想定されていません。 パナソニックも創蓄連携システムTについて「停電時、同時に使用可能な電力は合計5.5kVAまで。バックアップ回路のご使用機器全体の消費電力が自立出力より大きい場合は運転を停止します」と明記しています。

さらにパナソニックは、オール電化住宅で特に重要な注意も出しています。

エコキュートなど自動運転する機器をバックアップする場合は、夜間などに蓄電池残量が無くなり、パワーステーションが自立運転を停止する場合があります。導入前に機器の自動運転を休止する操作が可能かご確認ください。 (出典: パナソニック 創蓄連携システムT

全負荷型はエコキュートも回路としてバックアップしますが、停電中にエコキュートが自動で沸き上げを始めると、蓄電池を一気に消費してシステムごと止まりかねないということです。「全負荷型だから何も考えなくていい」わけではありません。

エコキュートは停電しても「お湯ゼロ」にはならない

エコキュート側の実態を知ると、優先順位が変わります。パナソニックのエコキュート災害時Q&Aには次の記載があります。

  • 断水していなければ、自動湯はりはできないが、タンクにお湯が残っていればシャワーや蛇口からのお湯は使える
  • タンク本体の非常用取水栓からお湯(水)を取り出せる。飲用は避け、生活用水として使う
  • 断水するとシャワー・蛇口のお湯は使えず、湯はり・追いだき・保温運転もできない

出典: パナソニック エコキュート:水害時・停電時・断水時のQ&A(※機種により挙動が異なり、停電中は水しか出ない型式もあると同社は案内しています)

貯湯タンクの容量は各社で幅があり、三菱電機のエコキュートは180L・300L・370L・430L・460L・550Lといったラインアップです(出典: 三菱電機 エコキュート)。満タンに近い状態で停電すれば、そこに数百リットルの生活用水が残っているということになります。

したがって停電対策の優先順位としては、「蓄電池でエコキュートを動かし続ける」よりも、冷蔵庫・照明・通信・エアコンを確実に維持し、給湯はタンクの残湯でしのぐという設計のほうが現実的なケースが多くなります。この考え方は停電時の蓄電池活用ガイドでも詳しく整理しています。

エコキュートと蓄電池の組み合わせ方

経済性の面では、エコキュートの沸き上げをどう扱うかが効いてきます。パナソニックは創蓄連携システムTのページで、オール電化住宅を想定した試算例を公開しています。

項目太陽光のみ太陽光+創蓄連携システムT
自家消費率23.6%67.9%
年間電気代81,685円66,496円

試算条件は、東京(東京電力)、4人世帯、オール電化プラン(スマートライフL)、売電単価24円(1〜4年目)・8.3円(5〜10年目)、太陽光5.5kW(年間発電量5,887kWh)、蓄電池9.7kWh、自家消費モード、エコキュートはヒートポンプあり、年間電気使用量5,112kWh(出典元は建築研究所)。同社は「当社試算によるシミュレーション値であり保証値ではありません」と明記しています(出典: パナソニック 創蓄連携システムT)。

ポイントは、蓄電池の効果が「電気代がいくら下がるか」ではなく自家消費率が23.6%から67.9%へ上がることとして示されている点です。売電単価が5年目以降8.3円/kWhまで下がる以上、余剰を売らずに自宅で使い切る設計が価値を持ちます。

エコキュートの沸き上げを昼間に寄せる発想もこの延長線上にあります。ダイキンは「おひさまエコキュート」について「太陽光発電でつくった電力を自家消費して、主に昼間に沸き上げを行う」と説明しています(出典: ダイキン おひさまエコキュートの特長)。既設のエコキュートで昼間沸き上げに対応できるかは機種によるため、取扱説明書か販売店での確認が必要です。オール電化の光熱費全体の考え方はオール電化の電気代シミュレーションも参考にしてください。

容量は「カタログ値」ではなく「実効容量」で比べる

蓄電池のカタログに載る蓄電容量(kWh)と、実際に使える容量は別物です。メーカーは初期実効容量として別の数値を公表しています。

製品蓄電容量初期実効容量自立出力時の定格出力可能時間
ニチコン ESS-U4X116.6kWh14.4kWh(JEM1511による)300分
ニチコン ESS-U4M111.1kWh9.4kWh(JEM1511による)195分
ニチコン ESS-U5L19.7kWh8.6kWh(JIS C 4413による)
ニチコン ESS-U5M17.7kWh6.8kWh(JIS C 4413による)

出典: ニチコン ESS-U4ニチコン ESS-U5

ESS-U4X1の「定格出力可能時間300分」は、自立出力の定格(合計3.0kVA)を出し続けた場合の時間としてメーカーが示している値です。16.6kWhという数字だけを見て「丸一日もつ」と考えると、実態とずれます。

なおニチコンは、蓄電容量の30%を非常時用に常に確保しておく機能(工場出荷時30%設定、変更可)も備えています。この分は普段の節電には回らないため、容量設計時に織り込んでおくとよいでしょう。自宅に必要な容量の求め方は蓄電池の容量の選び方で詳しく解説しています。

2026年8月時点の補助金の状況

冒頭のとおり、国のDR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正、上限60万円/申請)は2026年5月29日に公募終了しています。次回公募は未公表です(出典: SII)。詳しい経緯はDR補助金の終了と次回見通しにまとめています。

一方、自治体の制度は動いています。東京都の「令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業」は次の内容です。

  • 蓄電池パッケージは蓄電容量あたり10万円/kWh(助成対象経費(税抜)が上限)。既設への蓄電池ユニット増設は6万円/kWhと別単価
  • DR実証に参加しない場合、蓄電池パッケージは上限120万円/戸(ユニット増設は上限72万円/戸)
  • DR実証に参加する場合は1台あたり10万円または15万円の加算(エネルギーマネジメント機器・IoT関連機器の設置有無による)
  • 受付は事前申込が令和8年5月29日開始、交付申請兼実績報告が令和8年6月30日開始
  • 令和8年10月1日以降に事前申込をする場合、SIIが令和8年度の登録済製品一覧に登録した機器のみが助成対象(令和8年4月1日〜6月30日に契約締結または契約・工事完了した事業を除く)

出典: クール・ネット東京 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業

最後の条件は重要です。10月1日を境に対象機器の範囲が変わるため、検討中の機種が令和8年度の登録済製品一覧に載っているかを、契約前に販売店へ確認してください。

見積もりを取る前に確認したい5項目

家庭用蓄電池はオープン価格の製品も多い一方、希望小売価格を公表しているメーカーもあります。ニチコンESS-U4X1(16.6kWh)は4,500,000円、ESS-U4M1(11.1kWh)は3,700,000円(いずれも税抜の本体価格。出典: ニチコン ESS-U4)。パナソニック創蓄連携システムTは、パワーステーション5.5kWと蓄電池ユニット9.7kWh、専用通信線5mの構成で希望小売価格合計4,691,500円(税抜4,265,000円)と掲載されています(出典: パナソニック 創蓄連携システムT)。ただしこれらは構成部材の価格で工事費を含みません。実際の販売価格は販売店により異なるため、見積もりで確認してください。そのうえで確認しておきたいのは次の5点です。

  1. 全負荷型か特定負荷型か、そして停電時の出力電圧に200Vが含まれるか
  2. **自立出力の定格(kVAまたはkW)**と、片相あたりの上限
  3. 初期実効容量(JEM1511やJIS C 4413による表記)と、非常時確保分の設定
  4. 保証条件: ニチコンESS-U4は「充電可能容量50%以上を設置から10年保証」で、有償の延長により最大15年。ESS-U5はオーナーズ倶楽部への登録と申請により15年無償保証と案内されています
  5. 設置環境の制約: ESS-U4は運転可能温度が-10℃〜40℃で、北海道では使用できないと明記されています。ESS-U5も蓄電池ユニットの動作温度は-10℃〜+40℃(設置条件の欄は-20℃〜+40℃)で、同社は「-20℃〜-10℃の範囲は充電電力が大幅に低下します(1kW未満)」と注記しています。寒冷地では「設置条件」ではなく「動作温度」の下限を確認しておきたいところです

また、太陽光・蓄電池まわりでは訪問販売のトラブルが増えています。国民生活センターは2025年6月4日、「太陽光発電システムの点検商法」に関する相談件数が2017年度57件から2024年度613件へ増加したとして注意喚起を出しました(出典: 国民生活センター)。その場で契約せず、複数社から見積もりを取って比較するのが基本です。見積書の読み方は蓄電池の見積もりチェックポイントにまとめています。

まとめ

  • オール電化プランの単価差は「昼夜で倍」ではない。東京電力スマートライフS/Lは午前6時〜翌午前1時が35.76円/kWh、午前1〜6時が27.86円/kWhで差は7.90円。深夜充電より太陽光の自家消費が主役になる
  • 停電時にIHなどの200V機器を動かすには全負荷型と200V出力が必要だが、自立出力は製品により3.0〜5.9kVA程度。総消費電力5.8kWのIHをフルパワーで使う前提にはなっていない
  • エコキュートは停電しても断水していなければタンクの残り湯を使える。給湯より冷蔵庫・照明・通信の維持を優先する設計のほうが現実的なことが多い
  • 2026年8月19日時点で国のDR補助金は公募終了。自治体制度(例: 東京都の蓄電池パッケージは10万円/kWh、DR不参加で上限120万円/戸)が中心で、東京都は令和8年10月1日以降に対象機器の要件が変わる

よくある質問

Q.オール電化住宅に蓄電池を入れると電気代はどのくらい下がりますか?

A.条件により大きく変わるため一律の金額は示せません。パナソニックが公開している試算例(東京電力スマートライフL、4人世帯オール電化、太陽光5.5kW、蓄電池9.7kWh、エコキュートあり)では、太陽光のみの場合の年間電気代81,685円に対し、蓄電池を加えた場合は66,496円とされています。あくまでメーカーの試算値で保証値ではなく、発電状況や電力消費量により変わります。

Q.停電時にIHクッキングヒーターやエコキュートは使えますか?

A.停電時に200V出力できる全負荷型の蓄電池であれば、200V機器に電気を送ること自体は可能です。ただし自立出力には上限があり、たとえばビルトインIHは総消費電力が5.8kW(設定により4.8kWや4.0kWに切替可)に達するため、蓄電池の自立出力を超えると運転が停止します。停電時は火力を絞る、同時使用を避けるといった運用が前提です。

Q.オール電化なら蓄電池は何kWh必要ですか?

A.カタログの蓄電容量と、実際に使える初期実効容量は別物です。ニチコンESS-U4X1は蓄電容量16.6kWhに対し初期実効容量14.4kWh(JEM1511による)、ESS-U5L1は9.7kWhに対し8.6kWh(JIS C 4413による)と公表されています。まず自宅の1日の電力使用量を検針票やHEMSで確認し、実効容量ベースで比較するのが確実です。

Q.2026年8月時点でオール電化住宅の蓄電池に使える補助金はありますか?

A.国のDR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正)は2026年5月29日に予算到達で公募終了しており、新規申請はできません。次回公募は未公表です。一方、東京都の令和8年度事業のように受付中の自治体制度はあります。お住まいの都道府県・市区町村の制度を確認してください。

関連記事