オール電化の電気代は「単価 × 使用量」でしか決まりません。 単価は電力会社が公表しているので誰でも確認でき、あとは検針票の使用量を掛けるだけです。この記事では、東京電力エナジーパートナーの公表単価と総務省・家計調査の実績値だけで電気代の出し方を組み立てます。
【2026年8月28日時点】 2026年9月分の電気料金には、国の電気・ガス料金支援による値引き単価(低圧供給:4.50円/kWh)が含まれています。支援がない月は、同じ使用量でもこの分だけ高くなります。出典: 東京電力エナジーパートナー「燃料費調整のお知らせ(2026年9月分)」
この記事でわかること
数字はすべて電力会社・公的統計の公表値です。
- オール電化プランの実質単価(燃料費調整・再エネ賦課金込み)の出し方
- 家計調査でみる世帯人数別の電気代と、その数字の限界
- 使用量から月額を出す試算表、および従量制プランとの比較
- 家計調査の月次データでみる季節変動の実測値
- ガス代がいくら消えるか、いま申請できる補助金はどれか
世帯人数別の月額電気代シミュレーション
まず「実質単価」を確かめる
代表例として、東京電力エナジーパートナーのスマートライフS/L(関東エリア)を見ます。電力量料金は時間帯で2段階。ここに毎月変わる燃料費調整単価と年度で決まる再エネ賦課金を足し引きしたものが、実際に払う1kWhあたりの金額です。
| 項目 | 昼(6:00〜翌1:00) | 夜(1:00〜6:00) |
|---|---|---|
| 電力量料金 | 35.76円/kWh | 27.86円/kWh |
| 燃料費調整単価(2026年9月分) | −10.96円/kWh | −10.96円/kWh |
| 再エネ賦課金(2026年5月〜2027年4月分) | +4.18円/kWh | +4.18円/kWh |
| 実質単価 | 28.98円/kWh | 21.08円/kWh |
基本料金は10Aにつき311.75円(60A契約なら1,870.50円)、6kVA以上の契約では1kVAにつき311.75円です(東京電力エナジーパートナー)。再エネ賦課金の4.18円/kWhは全国一律で、消費税等相当額を含む単価です。2026年4月分の3.98円/kWhから引き上げられました(同社「賦課金等について」)。
ここで押さえておきたいのが、夜間と昼間の差は7.90円/kWh、率にして約22%しかないという事実です。「深夜電力は昼間の3分の1」という説明を見かけますが、現在の主要なオール電化プランには当てはまりません。燃料費調整と再エネ賦課金は時間帯を問わず同額なので、差額は電力量料金の差そのままです。
家計調査でみる世帯人数別の電気代
総務省統計局の家計調査(2025年平均)による、1世帯当たり1か月間の光熱費です。
| 世帯人数 | 電気代 | ガス代 | 他の光熱(灯油等) |
|---|---|---|---|
| 単身世帯 | 7,337円 | 2,999円 | 861円 |
| 2人 | 12,144円 | 4,663円 | 1,662円 |
| 3人 | 13,915円 | 5,096円 | 1,319円 |
| 4人 | 13,928円 | 5,112円 | 804円 |
| 5人 | 15,665円 | 4,877円 | 1,003円 |
| 6人以上 | 17,322円 | 5,361円 | 1,913円 |
| 二人以上の世帯 平均 | 13,218円 | 4,882円 | 1,377円 |
出典: 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 第3-1表(2025年)、単身世帯は同 単身世帯 第1表(2025年)
この表はオール電化世帯に限った数字ではありません。 家計調査はガス併用世帯を含む全世帯の平均で、オール電化だけを抜き出した公的な月額平均は公表されていません。オール電化なら電気代はこれより高く、ガス代は0円になる、という構造で読んでください。
使用量から月額を出す
自分の家の金額は、検針票(Web明細)の使用量kWhから計算できます。スマートライフS・60A契約・関東エリア・2026年9月分の単価による目安が次の表です。
| 月間使用量 | 夜間40%(支援あり) | 夜間40%(支援なし) | 夜間20%(支援あり) |
|---|---|---|---|
| 300kWh | 約9,600円 | 約11,000円 | 約10,100円 |
| 400kWh | 約12,200円 | 約14,000円 | 約12,800円 |
| 500kWh | 約14,800円 | 約17,000円 | 約15,600円 |
| 600kWh | 約17,400円 | 約20,100円 | 約18,300円 |
| 800kWh | 約22,500円 | 約26,100円 | 約23,800円 |
前提は基本料金1,870.50円(60A)、実質単価は昼28.98円/kWh・夜21.08円/kWh。「支援なし」は国の値引き4.50円/kWhを除いた場合(昼33.48円/kWh、夜25.58円/kWh)です。夜間比率は記事内の仮定で、エコキュートの沸き上げをどれだけ深夜帯に寄せられるかで動きます。
同じ800kWhでも、夜間比率を20%から40%に上げて減るのは約1,300円/月。対して国の支援の有無による差は3,600円/月(4.50円 × 800kWh)です。節約努力より制度のほうが金額を動かしているのが2026年の実情です。
オール電化プランと従量制プラン、どちらが安いか
同じ東京電力エナジーパートナーの従量制プランスタンダードS(関東エリア)は、120kWhまで29.80円/kWh、121〜300kWhが36.40円/kWh、301kWh以上が40.49円/kWhです。同じ燃料費調整・再エネ賦課金を加味し、60A契約で並べると次のようになります。
| 月間使用量 | スマートライフS(夜間40%) | スマートライフS(夜間20%) | スタンダードS |
|---|---|---|---|
| 300kWh | 約9,600円 | 約10,100円 | 約10,000円 |
| 500kWh | 約14,800円 | 約15,600円 | 約16,700円 |
| 600kWh | 約17,400円 | 約18,300円 | 約20,100円 |
| 800kWh | 約22,500円 | 約23,800円 | 約26,800円 |
使用量が多いほどオール電化プランが有利になります。 これは夜間単価が安いからだけではなく、スマートライフSの昼間単価35.76円/kWhが、スタンダードSの301kWh以上の単価40.49円/kWhより安いためです。
逆に使用量が少なく、深夜帯に寄せられる割合も低い家庭では差が消えます。 300kWhで夜間20%なら、スマートライフS約10,100円に対しスタンダードSが約10,000円と、従量制のほうがわずかに安くなります。夜間帯は午前1時〜午前6時の5時間しかないため、夜間40%は沸き上げをこの時間帯にきちんと寄せられている家庭の想定です。自宅がどちらに近いかは、検針票の時間帯別使用量で確認してください。
ただしスマートライフSは、総容量(入力)1kVA以上の夜間蓄熱式機器またはオフピーク蓄熱式電気温水器を使用している家庭が加入条件で、適用プランは設備状況に応じて電力会社が決定します。誰でも選べるわけではありません。詳しくは「オール電化向け電力プランの選び方」をご覧ください。
季節ごとの電気代の変動
電気代は季節で大きく動きます。家計調査(二人以上の世帯)の2025年の月次データで、その振れ幅を見てみます。
| 月 | 電気代 | ガス代 |
|---|---|---|
| 1月 | 14,904円 | 6,472円 |
| 2月 | 16,552円 | 6,822円 |
| 3月 | 16,559円 | 7,000円 |
| 4月 | 14,805円 | 6,423円 |
| 5月 | 12,220円 | 5,734円 |
| 6月 | 10,709円 | 4,804円 |
| 7月 | 10,907円 | 3,974円 |
| 8月 | 12,593円 | 3,284円 |
| 9月 | 13,825円 | 2,949円 |
| 10月 | 12,913円 | 2,969円 |
| 11月 | 11,138円 | 3,518円 |
| 12月 | 11,497円 | 4,640円 |
出典: 家計調査 長期時系列 用途分類(月次・二人以上の世帯)
最も高い3月(16,559円)と最も低い6月(10,709円)の差は5,850円、約1.55倍です。なお家計調査はその月に支払った金額の集計なので、ピークが2〜3月に見えるのは真冬の使用分がその月に請求されているためです。
冬に電気代が上がる理由は、オール電化ではとくにはっきりしています。
- 暖房の稼働時間が長い:エアコンや蓄熱式暖房機の運転時間が増える
- 給湯の消費電力が増える:水温が下がるぶん、同じ湯量に多くの電力が要る
- 日照時間が短い:太陽光を併用していれば日中の自家発電量が減る
エコキュート単体の電気代は「エコキュートの電気代は月いくら?節約のコツ5選」で扱っています。
オール電化 vs ガス併用の年間光熱費比較
都市ガスエリアの場合
オール電化にすると、光熱費は「消えるガス代」と「増える電気代」の引き算になります。消える側は家計調査で確認できます。
二人以上の世帯の平均で、ガス代が月4,882円(年58,584円)、灯油などの他の光熱が月1,377円(年16,524円)。4人世帯ならガス代は月5,112円(年61,344円)です。オール電化にすればこの支出とガスの基本料金の負担がなくなります。
一方、増える側は自宅の給湯量と機器効率で決まるため、一律の目安を示せません。 給湯はエコキュート(ヒートポンプ給湯機)が担いますが、その効率は省エネ法のトップランナー制度で区分ごとに目標基準値が定められています。2025年度目標基準値は一般地で3.0〜3.5、寒冷地で2.7〜2.9です(給湯省エネ2026事業「対象機器の詳細(エコキュート)」)。効率3.0なら、年間を通して投入した電力量の約3倍の熱量を得る計算です。
年間の総額は、自宅の給湯量・断熱条件を入れた試算を施工事業者に出してもらうのが確実です。10年スパンの比較は「オール電化 vs ガス併用、10年間のトータルコスト比較」もご覧ください。
プロパンガスエリアの場合
プロパンガス(LPガス)地域では、消える側の金額が大きくなる傾向があります。石油情報センターの調査による家庭用LPガスの全国平均小売価格は、10立方メートルで9,697円、20立方メートルで16,892円(2026年6月確報、いずれも消費税込み)です(石油情報センター 価格情報)。
家計調査のガス代(月4,882円)は都市ガス世帯とLPガス世帯を合わせた平均なので、LPガスだけを使っている家庭の実額はこれより高いことが多くなります。手元のガス検針票の金額と使用量を確認したうえで判断してください。
電気代を抑える5つのポイント
1. 深夜電力を最大限活用する
スマートライフSでは、昼と夜の電力量料金の差は7.90円/kWhです。エコキュートの沸き上げ、洗濯機、食洗機のタイマーを深夜帯(1:00〜6:00)に寄せて、月200kWh分を昼から夜へ移せば、削減額は月1,580円、年約19,000円になります。倍率ではなく差額で考えるのがコツです。
2. エコキュートは効率で選ぶ
買い替えのときは、年間給湯保温効率(JIS C 9220)の数値を確認してください。ただし給湯省エネ2026事業の基本額7万円/台の対象になるには、効率だけでは足りません。 公表されている性能要件は、トップランナー制度の2025年度目標基準値以上であることに加えて、インターネットに接続でき、翌日の天気予報や日射量予報に連動して昼間の時間帯に沸き上げをシフトする機能を持つこと、または「おひさまエコキュート」であることです(おひさまエコキュートは目標基準値を満たさない機種も対象)。一部の機種は台所リモコンや無線LANアダプターを追加すると要件を満たします。さらに目標基準値+0.2以上(基本の性能要件の機種に比べCO2排出量5%以上削減に相当)の機種には性能加算3万円/台が上乗せされます(給湯省エネ2026事業「対象機器の詳細(エコキュート)」、事業概要)。同じ湯量でも効率が0.2違えば、給湯にかかる電力量はその分だけ減ります。
3. 太陽光発電を導入する
2026年度の住宅用太陽光(10kW未満)のFIT買取価格は、1〜4年目24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWhです(資源エネルギー庁)。一方で昼間の買電単価は実質28.98円/kWh(国の支援がない場合33.48円/kWh)。売るより自分で使うほうが1kWhあたりの価値が高い構造です。日中の在宅時間が長い家庭ほど効果が出ます。
4. 蓄電池を併用する
深夜(1:00〜6:00)に系統から充電して昼間に放電する使い方で削減できるのは、昼夜の単価差7.90円/kWhです。燃料費調整と再エネ賦課金は時間帯で変わらないため差額は電力量料金の差に収れんし、充放電のロスぶんさらに小さくなります。
太陽光の余剰を貯める運用では、比べる相手は買電単価ではなく売電単価です。 余剰1kWhは売れば収入になるので、貯めて自家消費に回したときの上乗せ分は「回避できた買電単価 − 手放した売電単価」になります。放電先が夕方から翌1:00までなら回避できるのは28.98円/kWhなので、FIT1〜4年目(24円/kWh)は差し引き4.98円/kWh、5〜10年目(8.3円/kWh)は20.68円/kWhです。FITの期間と放電する時間帯によって採算は大きく変わります。
5. 電力プランと契約容量を見直す
基本料金は10Aにつき311.75円。60Aから50Aに落とせば月311.75円、年3,741円が固定的に減ります。ただしオール電化住宅は同時に使う機器が多いため、使用実績を確認してから判断してください。前掲のとおり、使用量が少ない家庭では従量制プランのほうが安くなる場合もあります。
太陽光発電・蓄電池を併用した場合のシミュレーション
太陽光と蓄電池を足したときの効果は、機器の価格と補助金で大きく変わります。2026年8月時点の制度状況は次のとおりです。
- エコキュート:給湯省エネ2026事業が受付中。基本額7万円/台+性能加算3万円/台、戸建住宅はいずれか2台まで。予算570億円(令和7年度補正)に対する申請額の割合は公式サイトのトップページで毎日更新され、予算上限に達し次第終了(給湯省エネ2026事業 公式)。
- 蓄電池(国):「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業」(上限60万円/申請)は2026年5月29日に予算到達で公募終了。次回は未公表で、2026年9月時点で新規申請はできません(SII 公式)。詳しくは「国の蓄電池補助金(DR)が終了、次回はいつか」をご覧ください。
- 蓄電池(自治体):東京都の令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業は蓄電容量10万円/kWh、DR実証に参加しない場合の上限120万円/戸(東京都)。自治体ごとに条件が異なるため、お住まいの自治体の公式ページで公募要領を確認してください。
1kWhをどう使うかで効果が変わる
ここまでに確認した単価だけで、蓄電池が生む差額は機械的に出せます。
| 使い方 | 1kWhあたり | 年1,825kWh(1日5kWh)なら |
|---|---|---|
| 深夜1:00〜6:00に系統から充電し、6:00以降に放電 | 7.90円 | 約14,400円 |
| 太陽光の余剰を貯めて夕方〜翌1:00に放電(FIT1〜4年目) | 4.98円 | 約9,100円 |
| 太陽光の余剰を貯めて夕方〜翌1:00に放電(FIT5〜10年目) | 20.68円 | 約37,700円 |
| 太陽光の余剰を貯めて深夜1:00〜6:00に放電(FIT1〜4年目) | −2.92円 | 約−5,300円 |
いずれも充放電ロスと機器代・工事費を差し引く前の粗い上限値です。最終行がマイナスなのは、24円/kWhで売れる電気を21.08円/kWhの深夜買電の置き換えに使っているためで、その時間帯に放電するなら売ったほうが得という意味になります。
太陽光を単体で入れる場合も計算は同じです。昼間に発電した1kWhをその場で使えば28.98円/kWhの買電を回避でき、売れば1〜4年目は24円/kWh。差は4.98円/kWhなので、年1,000kWhを売電から自家消費に振り替えても約5,000円にしかなりません。売電単価が8.3円/kWhに下がる5年目以降は、同じ1,000kWhの振り替えが約20,700円になります。自家消費を増やす投資の採算は、5年目以降の姿で判断するのが筋です。
回収年数を試算するときは、買電単価(昼28.98円/kWh、夜21.08円/kWh)と売電単価(1〜4年目24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWh)を分けて置くことが欠かせません。自家消費に回した1kWhは買電を減らし、余った1kWhは売電単価でしか評価されないためです。組み合わせ方は「オール電化+太陽光発電のベストな組み合わせ」で解説しています。
なお、カタログで使われる電力料金の目安単価31円/kWh(税込)は、全国家庭電気製品公正取引協議会が令和4年7月22日に改定したものです(家電公取協)。家電の消費電力から概算する共通のものさしで、自宅の実際の単価とは異なります。
まとめ
- スマートライフS(関東)の実質単価は昼28.98円/kWh、夜21.08円/kWh。夜間が安いのは事実だが、差は7.90円/kWhで「昼の3分の1」ではない
- 家計調査(2025年平均)の電気代は4人世帯で月13,928円、ガス代は5,112円。ただしオール電化限定の数字ではないため、自宅の金額は検針票の使用量から計算する
- 2026年9月分の料金には国の支援(低圧4.50円/kWh)が含まれる。800kWh使う家庭では月3,600円にあたり、支援の有無が節約努力より大きく効いている
- エコキュートの補助(給湯省エネ2026事業、7万円+加算3万円)は受付中だが、国のDR蓄電池補助は2026年5月29日に終了している
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