リフォーム時の蓄電池は、国の補助金の対象になります。 住宅省エネ2026キャンペーンを構成する「みらいエコ住宅2026事業」で、蓄電池は補助対象工事④「エコ住宅設備の設置」に位置づけられ、設置台数によらず96,000円/戸が定額で交付されます(出典: みらいエコ住宅2026事業 エコ住宅設備の設置)。
ただし、蓄電池だけを設置しても申請はできません。 同事業は断熱改修を軸にした「要件化工事」を行うことが補助の入口になっており、対象住宅も原則として平成28年12月31日以前に新築された住宅に限られます。この記事では、公式サイトに書かれている条件と金額だけを整理します。
【2026年8月25日時点】 国のDR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正・上限60万円/申請)は2026年3月24日に公募が始まり、2026年5月29日に交付申請額の合計が予算に達したため公募終了しています。次回公募は未公表です。出典: SII 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業
この記事でわかること
- リフォームで蓄電池に補助が出る制度は2026年8月時点で何か
- みらいエコ住宅2026事業の蓄電池96,000円/戸の条件(トリガールーム・対象住宅・SII登録品)
- 窓・給湯器の補助事業とどう役割分担しているか
- 国のDR補助金が止まっている中での自治体制度の位置づけ
- リフォーム減税に蓄電池が入っていないという事実
2026年8月時点、リフォームで蓄電池に使える補助金
住宅省エネ2026キャンペーンは、4つの補助事業をまとめた総称です。リフォームに関わる事業と予算は次のとおりです(出典: 住宅省エネ2026キャンペーン【リフォーム】)。
| 事業名 | 所管 | 予算 | 補助上限/戸 | 蓄電池 |
|---|---|---|---|---|
| みらいエコ住宅2026事業 | 国土交通省 | 300億円 | 40万〜100万円 | 対象(96,000円/戸) |
| 先進的窓リノベ2026事業 | 環境省 | 1,125億円 | 100万円 | 対象外 |
| 給湯省エネ2026事業 | 経済産業省 | 570億円 | 戸建2台まで | 対象外 |
| 賃貸集合給湯省エネ2026事業 | 経済産業省 | 35億円 | 1台 | 対象外 |
つまり、蓄電池の補助が乗るのはみらいエコ住宅2026事業だけです。窓リノベと給湯省エネは、それぞれ開口部と給湯器の専用事業で、蓄電池は入っていません。
これとは別に国の「DR家庭用蓄電池事業」がありますが、冒頭のとおり公募は終了しています。SIIの公表によると、この事業の交付決定は2026年8月19日更新時点で8,508件・3,593,467,441円。予算は3事業合計59.6億円のうち家庭用蓄電システム分が54億円程度とされていました(出典: SII 事業概要)。国の蓄電池単体補助の現況は国のDR補助金の終了と次回の見通しにまとめています。
予算はどれくらい消化されているか
各事業は予算上限に達した時点で受付終了になるため、残量は判断材料になります。以下は各事業の公式グラフページに掲載された月別実績(いずれも更新日2026年8月10日、ページの表示は2026年8月25日0時時点)です。
| 事業 | 予算総額 | 2026年7月末までの累計申請額 |
|---|---|---|
| みらいエコ住宅2026事業(リフォーム) | 300億円 | 2,574戸・6億406万円 |
| 先進的窓リノベ2026事業 | 1,125億円 | 77,533戸・160億6,672万円 |
| 給湯省エネ2026事業 | 570億円 | 204,377戸・180億191万円 |
出典: みらいエコ住宅2026事業 交付申請状況(リフォーム)、先進的窓リノベ2026事業 交付申請状況、給湯省エネ2026事業 交付申請状況
みらいエコ住宅2026事業のリフォームは受付開始が2026年6月30日と遅く、7月末までの累計は6億円台です。いずれの事業も「補助金申請額が予算上限(100%)に達し次第、交付申請の受付を終了します」と明記されているため、申請予定があるなら公式グラフページで最新の消化状況を確認してから工程を組むのが安全です。
みらいエコ住宅2026事業:蓄電池96,000円/戸の条件
対象になるのは「平成28年以前に新築された住宅」
同事業のリフォームで補助対象になる住宅は、「平成28年12月31日以前に新築されたことが『不動産登記における建物の登記事項証明書(全部事項証明書)』により確認できる住宅」です。ただし注記で「平成29年以降に新築された住宅においても、平成11年基準を満たさない住宅であることが証明できる場合は対象とする」とされています(出典: みらいエコ住宅2026事業 事業概要)。
補助対象は「戸建、共同(集合)住宅によらず、既存住宅に」行う省エネ改修等の事業とされ、住宅の種別は問いません。リフォームの補助対象者は「補助対象事業の発注者」と定義されています。キャンペーン公式サイトの一覧では、みらいエコ住宅2026事業の補助対象用途は持家・貸家・借家等とされています(出典: 住宅省エネ2026キャンペーン【リフォーム】)。
「トリガールーム」で要件化工事をするのが入口
ここが一番の関門です。同事業はリフォーム工事を「要件化工事」と「補助対象工事」の2種類に分け、要件化工事を行った居室を「トリガールーム」と呼びます。公式の説明は次のとおりです。
対象となる住宅における、「外皮に面する開口部を有する1つの居室」において、本事業においてあらかじめ定めた組み合わせで実施される工事を「要件化工事」といいます。 (出典: みらいエコ住宅2026事業 リフォーム)
要件化工事の組み合わせは2パターンで、住宅の新築時期に応じて上限額が変わります。
| 対象住宅の新築時期 | 義務基準に相当する工事(①開口部の断熱改修+②躯体の断熱改修+③特定エコ住宅設備の設置) | 次世代省エネ基準に相当する工事(①開口部の断熱改修+②躯体の断熱改修) |
|---|---|---|
| 〜平成3年 | 100万円/戸 | 50万円/戸 |
| 平成4年〜平成28年 | 80万円/戸 | 40万円/戸 |
トリガールームは「外皮に面する開口部が1つ以上あること」「壁または建具により仕切られた居室であること」が条件で、居間・寝室・子供部屋・台所・書斎などが該当します。トイレ、浴室、洗面室、廊下、納戸、倉庫、玄関ホール、車庫は居室に該当しません。開口部の一部のみを断熱改修した居室や、2025年11月27日以前に開口部を断熱改修した居室も認められません。
蓄電池はトリガールームの外に設置しても補助対象になります。 公式には「補助対象工事は、トリガールームで実施する工事だけでなく、対象住宅において実施されるその他のリフォーム工事も含みます」と書かれています。要件化工事さえ成立していれば、蓄電池の96,000円は積み上げられるという構造です。
蓄電池と同時に積める設備の補助額
④エコ住宅設備の設置に含まれる設備と補助額は次のとおりです(出典: エコ住宅設備の設置)。
| 設備 | 補助額 |
|---|---|
| 蓄電池 | 96,000円/戸 |
| 高断熱浴槽 | 48,000円/戸 |
| 太陽熱利用システム | 45,000円/戸 |
| 節水型トイレ(掃除しやすい機能を有するもの) | 34,500円/箇所 |
| 節水型トイレ(上記以外) | 31,500円/箇所 |
| 節湯水栓 | 9,000円/箇所 |
| 第一種換気設備(ダクト式) | 70,000円/セット |
| 第一種換気設備(ノンダクト式) | 20,000円/箇所 |
③特定エコ住宅設備では、ヒートポンプ給湯機(エコキュート)とハイブリッド給湯機が45,000円/戸、潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)と潜熱回収型石油給湯機(エコフィール)が30,000円/戸、高効率エアコンが52,000円/箇所です(出典: 特定エコ住宅設備の設置)。
対象製品はSII登録品に限られる
蓄電池の製品要件は明確です。
定置用リチウム蓄電池のうち、一般社団法人環境共創イニシアチブにおいて令和4年度以降登録・公表されている蓄電システムであること。
登録済製品はSIIのサイトで型式ごとに検索できます(出典: SII 蓄電システム登録済製品一覧検索)。見積書に書かれた型式が登録されているかを、契約前に自分の目で確認してください。
申請のスケジュールと金額の下限
- 契約期間: 問わない。対象工事の着手期間は2025年11月28日以降に着手したもの(リフォームの着手期間に終期の定めはありません)
- 交付申請(予約を含む)の受付: 2026年6月30日〜遅くとも2026年12月31日
- 交付申請の予約: 2026年6月30日〜遅くとも2026年11月16日
- 1つの交付申請で申請する補助額合計が5万円以上であること
蓄電池の96,000円だけでも5万円の下限は超えますが、前提として要件化工事が必要な点は変わりません。なお、他の構成事業(先進的窓リノベ2026事業、給湯省エネ2026事業、賃貸集合給湯省エネ2026事業)で交付決定を受けている場合、この下限は2万円以上に緩和されます(他事業の補助額を含めることはできません)。
既存住宅への後付け全般の進め方は蓄電池の後付け設置ガイドも参考にしてください。
窓・給湯器の補助金とどう役割分担しているか
「窓もやるなら窓リノベ、給湯器もやるなら給湯省エネ」と単純に足し算できるわけではなく、性能区分で振り分けられているのが2026年の設計です。
窓は性能区分で事業が分かれる
みらいエコ住宅2026事業の開口部の断熱改修には、次の注記があります。
開口部の性能区分のうち、P、S、A(内窓を除く)の補助対象の事業は、先進的窓リノベ2026事業となります。(先進的窓リノベ2026事業の補助金申請額が予算上限に達するまでの期間については、みらいエコ住宅2026事業では補助対象となりません) (出典: 開口部の断熱改修)
高性能な窓は環境省の窓リノベ(住宅は1戸あたり100万円が上限)へ、それ以外は国交省のみらいエコ住宅へ、という仕分けです。窓リノベの対象工事はガラス交換、内窓設置、外窓交換(カバー工法・はつり工法)、ドア交換(カバー工法・はつり工法)の6種類です(出典: 先進的窓リノベ2026事業 事業概要)。
給湯器は給湯省エネ2026事業のほうが厚い
給湯省エネ2026事業の補助額は、ヒートポンプ給湯機(エコキュート)7万円/台、電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)10万円/台、家庭用燃料電池(エネファーム)17万円/台。性能加算はエコキュート3万円/台、ハイブリッド給湯機2万円/台です。設置台数は戸建住宅がいずれか2台まで、共同住宅等が1台までとされています(出典: 給湯省エネ2026事業 事業概要)。
同じエコキュートでも、みらいエコ住宅2026事業の45,000円/戸に対して給湯省エネ2026事業は7万円/台(+性能加算3万円/台)です。なお撤去加算(電気蓄熱暖房機の撤去4万円/台、電気温水器の撤去2万円/台)については、「みらいエコ住宅2026事業において高効率給湯器の補助を受ける場合、撤去による加算は受けられません」と明記されています。
さらに、みらいエコ住宅2026事業には「本事業において『高効率給湯器』の工事を申請しない場合でも、『給湯省エネ2026事業』または『賃貸集合給湯省エネ2026事業』にて補助対象となる交付決定を受けている時は、『高効率給湯器』の工事を行ったものとして取り扱います」という規定があります。給湯省エネ側で申請した給湯器を、みらいエコ住宅側の要件化工事(義務基準に相当する工事)の③としてカウントできるという意味で、実務上は大きな取り扱いです。
補助金同士の組み合わせ方の考え方は国と自治体の補助金の併用ルールでも整理しています。
国の蓄電池補助は止まり、自治体の制度は動いている
東京都は10万円/kWh、上限120万円/戸
東京都の令和8年度「家庭における蓄電池導入促進事業」は、蓄電池パッケージ(蓄電池システム)が蓄電容量10万円/kWh、DR実証に参加しない場合は上限120万円/戸です。DR実証に参加する場合は、エネルギーマネジメント機器およびIoT関連機器を設置するなら1台当たり15万円、設置しないなら1台当たり10万円の加算があります。既設への蓄電池ユニット増設は6万円/kWh・上限72万円/戸(DR実証に参加しない場合)、リフォーム瑕疵保険等は7,000円/契約です(出典: クール・ネット東京 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業)。
受付は事前申込が令和8年5月29日開始、交付申請兼実績報告が令和8年6月30日開始。令和8年10月1日以降に事前申込をする場合、SIIが令和8年度の登録済製品一覧に登録した機器のみが助成対象になります(令和8年4月1日から6月30日までに契約締結または契約・工事完了された事業を除く)。詳細は東京都の蓄電池補助金2026にまとめています。
「国の補助を受けた分は対象経費から引かれる」設計に注意
東京都の助成対象経費の定義は次のとおりです。
対象経費=(蓄電池システム機器費+蓄電池システム工事費+IoT機器費+IoT工事費)-国および他の地方公共団体からの補助金
助成額は、この対象経費と「蓄電容量×10万円+DR実証参加10万円+(DR実証の参加に必要なエネルギーマネジメント機器およびIoT関連機器設置台数×5万円)」を比較し、小さいほうが採用されます。国の補助金を受けると都の対象経費が同額だけ減るため、単純に足し算した金額が返ってくるわけではありません。自治体の制度は同種の設計を採っていることが多いので、募集要領の「対象経費」の定義まで読んでおきましょう。
なお、住宅省エネ2026キャンペーンの公式サイトのトップページにも「掲載している支援制度であっても、国費が充当されている制度は、本キャンペーンの各事業と併用できません。詳細については、各地方公共団体にお問い合わせください。」という注意書きがあります(出典: 住宅省エネ2026キャンペーン)。お住まいの自治体の制度は、同キャンペーンからもリンクされている地方公共団体における住宅リフォーム支援制度検索サイトで調べられます。
リフォーム減税に蓄電池は入っていない
「補助金がだめなら減税で」と考える方もいますが、省エネ改修のリフォーム減税(住宅特定改修特別税額控除)の対象工事に蓄電池は含まれていません。国税庁のタックスアンサーが挙げる一般省エネ改修工事は、全居室の全窓の断熱改修などに加えて「1の工事と併せて行う当該家屋と一体となって効用を果たす一定の太陽光発電装置などの設備の取替えまたは取付けに係る工事」です(出典: 国税庁 No.1219 省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除))。
同ページで押さえておきたい点は3つです。
- 控除額は「A×10%+B×5%」で計算する。Aは一般省エネ改修工事の標準的な費用の額(控除対象限度額を限度)、Bは限度額を超える部分や併せて行う一定の工事費用などで、いずれも補助金等の交付を受ける場合はその額を控除した後の金額になる
- 控除対象限度額は、令和4年1月1日以後に居住の用に供した場合で250万円(太陽光発電設備設置工事が含まれる場合は350万円)
- 一般省エネ改修工事に係る標準的な費用の額(補助金等控除後)が50万円を超えることが要件
なお同ページは「令和7年4月1日現在法令等」に基づく内容で、記載された適用期間は「平成26年4月1日から令和7年12月31日までの間にその者の居住の用に供したとき」です。延長の有無を含め、確定申告の前に国税庁の最新のタックスアンサーで適用期間を確認してください。
契約前に確認する5つのこと
1. 登録事業者かどうか
みらいエコ住宅2026事業では、補助対象者(発注者)に代わって交付申請を行うのは事務局に登録された登録事業者(リフォームの場合は工事施工業者)です。「交付申請(予約を含む)までに事業者登録が必要です」と明記されており、登録していない業者では申請できません。事業者は住宅省エネ2026キャンペーンの事業者検索で確認できます。
2. 補助金がどう還元されるか
登録事業者は交付された補助金を、①補助事業に係る契約代金に充当する方法、②現金で支払う方法のいずれかで発注者に還元します。②の場合は還元時期をあらかじめ合意し、補助金の交付から遅くとも2ヶ月以内に還元を完了することが必要とされています。契約書のどこに還元方法が書かれているかを確認しましょう。
3. 施主支給はできない
同事業では「住宅の所有者等が住宅設備を購入し、その取付を住宅事業者に依頼する工事(いわゆる施主支給や材工分離による工事)」は補助対象になりません。蓄電池を自分で調達して取付だけ頼む進め方は、補助の対象から外れます。
4. 工事前の写真を撮り忘れない
蓄電池を含む設備工事は、申請する設置箇所ごとに工事前後の写真が各1枚必要です。公式サイトには「必ず工事前の写真を撮影してください。(忘れた場合、補助金の交付を受けることはできません。)」と書かれています。性能を証明する書類は、蓄電池の場合「出荷証明書または保証書の写し」です。
5. 訪問販売の「補助金が出るから安い」に即決しない
国民生活センターは2021年6月3日に「家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意!」を公表しています。PIO-NETに寄せられた家庭用蓄電池の相談件数は2016年度の325件から2020年度は1,314件へ増加しました。具体例として、太陽光パネルの無料点検で訪問した事業者に「国の補助金が出るので安くなる」と言われて約200万円の契約をした事例や、「補助金の申請は代行する」と説明されたが実際は申請されていなかった事例が挙げられています。同センターは「その場で契約をせずに複数社から見積もりをとり比較検討しましょう」とアドバイスしています(出典: 国民生活センター)。
2026年8月時点では、国のDR蓄電池補助は公募終了中です。「国の補助金が使える」という説明を受けたら、どの事業のことかを聞き、その場で公式サイトの公募状況を開いて確認してください。 見積書の読み方は見積書のチェックポイントで解説しています。
まとめ
- リフォーム時の蓄電池に国の補助が乗るのはみらいエコ住宅2026事業で、設置台数によらず96,000円/戸。対象製品はSIIに令和4年度以降登録された蓄電システムに限られる
- ただし蓄電池だけでは申請できない。「外皮に面する開口部を有する1つの居室(トリガールーム)」で断熱改修を軸にした要件化工事を行うことが前提で、対象住宅も原則として平成28年12月31日以前に新築された住宅
- 上限額は住宅の新築時期と要件化工事の内容に応じて40万〜100万円/戸、1申請の補助額合計は5万円以上(他の構成事業で交付決定済みなら2万円以上)
- 国のDR家庭用蓄電池事業は2026年5月29日に予算到達で公募終了。自治体制度は動いているが、東京都のように国の補助金を対象経費から差し引く設計が一般的で、単純な足し算にはならない