2024年度の日本の電源構成は、資源エネルギー庁の区分で「新エネ等」が15.6%、「水力(揚水を含む)」が7.4%。合わせると再生可能エネルギーは電源構成の約23%です。 政府は2040年度の電源構成について再エネ「4〜5割程度」という見通しを示していますが、これは確定した目標値ではなく、複数のシナリオを用いた幅として提示された数字です。なお政府の見通しは揚水を含まない再エネ区分で、2023年度(速報値)の22.9%を起点としています。
【2026年8月25日時点】 国のDR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正・上限60万円/申請)は2026年3月24日に公募が始まり、2026年5月29日に予算到達で公募終了しています。次回公募は未公表です。出典: SII 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業
この記事でわかること
- 2024年度の電源構成に占める再エネの実数値と、その読み方の注意点
- FIT開始前からの推移と、電源別の内訳
- 2030年度36〜38%程度、2040年度4〜5割程度という2つの政府見通し
- 比率が思うように伸びない4つの構造的な理由
- 家庭の屋根が制度上どう位置づけられているか
2024年度の再生可能エネルギー比率は約23%
電源構成の実数値
資源エネルギー庁「エネルギー動向(2026年版)」は、2024年度の電源構成を次のように公表しています。
| 電源 | 構成比 | 発電電力量 |
|---|---|---|
| LNG | 32.2% | 3,194億kWh |
| 石炭 | 28.1% | 2,785億kWh |
| 新エネ等 | 15.6% | 1,551億kWh |
| 原子力 | 9.4% | 935億kWh |
| 水力(揚水含む) | 7.4% | 735億kWh |
| 石油等 | 7.2% | 711億kWh |
出典: 資源エネルギー庁 エネルギー動向(2026年版)第1章第4節 二次エネルギーの動向
太字の2つを足すと約23%。これが「日本の再生可能エネルギー比率」として一般に語られる水準です。
ただし読み方には注意が要ります。この統計の「水力」には揚水発電が含まれます。揚水は夜間などに汲み上げた水を落として発電する仕組みで、電気を貯めて出し直す設備という性格を持ちます。したがって23%という数字は、太陽光や風力のような自然変動電源だけを指すものではありません。
FIT開始前からの推移
第7次エネルギー基本計画は、「2012年7月の固定価格買取制度(FIT制度)の導入以降、当時10%であった電源構成に占める再生可能エネルギー比率は2022年度には約22%にまで拡大した」と記述しています(出典: 資源エネルギー庁 第7次エネルギー基本計画(PDF))。
同計画の概要資料が示す推移は次のとおりです。
| 年度 | 再エネ | 原子力 | 火力 |
|---|---|---|---|
| 2013年度 | 10.9% | 0.9% | 88.3% |
| 2022年度 | 21.8% | 5.6% | 72.6% |
| 2023年度(速報値) | 22.9% | 8.5% | 68.6% |
出典: 資源エネルギー庁 第7次エネルギー基本計画の概要(PDF)
10年ほどで約2倍になりました。発電量ベースでも、FIT制度が始まった2012年度の新エネ等は309億kWhで、2024年度は1,551億kWhと約5倍です。ただし第7次エネルギー基本計画は、太陽光発電の年間導入量が「FIT制度導入当初に比べ低下している」と記しており、毎年新しく積み増す設備のペース自体は初期より鈍っています(詳しくは後述)。
内訳は太陽光と水力が中心
第7次エネルギー基本計画の概要資料は、2023年度(速報値)の再エネ22.9%の内訳を電源別に示しています。
| 電源 | 2023年度(速報値) | 2040年度(見通し) |
|---|---|---|
| 太陽光 | 9.8% | 23〜29%程度 |
| 水力 | 7.6% | 8〜10%程度 |
| バイオマス | 4.1% | 5〜6%程度 |
| 風力 | 1.1% | 4〜8%程度 |
| 地熱 | 0.3% | 1〜2%程度 |
| 再エネ合計 | 22.9% | 4〜5割程度 |
出典: 資源エネルギー庁 第7次エネルギー基本計画の概要(PDF)
太陽光と水力で再エネの7割以上を占めており、風力と地熱は現時点では小さな比率にとどまります。
設備の側から見ても同じ傾向です。FIT・FIP制度の情報公表用ウェブサイトによると、2026年3月末時点の導入量(新規認定分)は次のようになっています。
| 電源 | 導入量(新規認定分) | 件数 |
|---|---|---|
| 太陽光(住宅・10kW未満) | 1,290.4万kW | 2,610,053件 |
| 太陽光(非住宅・10kW以上) | 6,010.1万kW | 704,820件 |
| 風力 | 504.6万kW | 2,532件 |
| バイオマス | 668.0万kW | 785件 |
| 中小水力 | 173.2万kW | 1,026件 |
| 地熱 | 16.3万kW | 93件 |
出典: FIT・FIP制度 情報公表用ウェブサイト(2026年8月18日更新)
住宅用太陽光だけで261万件。家庭の屋根が、日本の再エネの相当部分を物理的に支えている構図です。
なお国際的な位置づけについて、第7次エネルギー基本計画は「導入容量は再生可能エネルギー全体で世界第6位」、太陽光については「国土面積当たりの太陽光の導入容量は主要国最大」、地熱については「日本の地熱資源のポテンシャルは世界第3位」と記載しています(出典: 資源エネルギー庁 第7次エネルギー基本計画(PDF))。
2030年度36〜38%程度、2040年度4〜5割程度
政府の見通しは2つあり、拠って立つ計画が違います。現行の計画は2025年2月18日に閣議決定された第7次エネルギー基本計画ですが、第7次は2030年度の電源構成の数字を置き直しておらず、「まずは、2030年度エネルギー需給見通しなどで示した具体的な施策を着実に実行していき」としています。つまり2030年度の36〜38%程度は、ひとつ前の第6次エネルギー基本計画に由来する数字です。
2030年度については、第6次エネルギー基本計画(2021年10月閣議決定)が「合計3,360〜3,530億kWh程度の導入、電源構成では36〜38%程度を見込む」としています。同計画は続けて「なお、この水準は、上限やキャップではない」とも明記しています(出典: 資源エネルギー庁 第6次エネルギー基本計画(PDF))。
2040年度については、2025年2月18日に閣議決定された第7次エネルギー基本計画が次の見通しを示しています(出典: 資源エネルギー庁 エネルギー基本計画について)。
| 項目 | 2023年度(速報値) | 2040年度(見通し) |
|---|---|---|
| 再エネ | 22.9% | 4〜5割程度 |
| 原子力 | 8.5% | 2割程度 |
| 火力 | 68.6% | 3〜4割程度 |
| 発電電力量 | 9,854億kWh | 1.1〜1.2兆kWh程度 |
| エネルギー自給率 | 15.2% | 3〜4割程度 |
出典: 資源エネルギー庁 第7次エネルギー基本計画の概要(PDF)
ここで押さえておきたいのは、この数字の性格です。同資料は「2040年度エネルギー需給の見通しは、諸外国における分析手法も参考としながら、様々な不確実性が存在することを念頭に、複数のシナリオを用いた一定の幅として提示」と明記しています。単一の確定目標ではなく、幅を持った見通しだということです。
もうひとつ注目すべきは、発電電力量そのものが増える前提になっている点です。9,854億kWhから1.1〜1.2兆kWh程度へ。DXやGXの進展で電力需要が増える想定のため、比率を上げるには分母の増加分も上回る速度で再エネを増やす必要があります。
比率が伸び悩む4つの理由
1. 適地の不足
第7次エネルギー基本計画は、太陽光について「年間導入量は、地域と共生しながら効率的に事業が実施できる適地の不足等を背景に、FIT制度導入当初に比べ低下している」と率直に書いています。そのうえで「需給近接型での導入が可能な建築物の屋根や壁面の有効活用を追求していくことが重要」と方向性を示しています(出典: 資源エネルギー庁 第7次エネルギー基本計画(PDF))。
2. 送電網(系統)の制約
再エネの適地と需要地は離れています。同計画は、地域間連系線について「今後10年間程度で、過去10年間(約120万kW)と比べて8倍以上の規模(1000万kW以上)で整備を目指しており、資金調達等の課題に対応するための必要な制度的措置等を検討していく」としています。整備の費用は「再生可能エネルギー賦課金や全国の託送料金等を通じて負担する仕組み」です(出典: 資源エネルギー庁 第7次エネルギー基本計画(PDF))。
3. 出力制御
送電できる量を超えると、発電を絞る出力制御が発生します。電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、再エネ発電設備の出力抑制を「需給バランス制約による出力抑制」と「流通設備混雑(系統制約)による出力抑制」の2区分に分けて検証結果を公表しています(出典: OCCTO 再生可能エネルギー発電設備の出力抑制に関する検証結果)。住宅用に多い10kW未満の扱いについては太陽光の出力制御とはで整理しています。
4. 国民負担
第7次エネルギー基本計画は「2024年度の再生可能エネルギー賦課金は2.7兆円に達すると想定されている」と記載し、国民負担の抑制を課題として挙げています。実際、2026年度の賦課金単価は1kWhあたり4.18円で、1か月の電力使用量が400kWhの需要家モデルでは月額1,672円、年額20,064円の負担になります。この単価は2026年5月検針分から2027年4月検針分まで適用されます(出典: 経済産業省 2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価)。
再エネ比率を上げるほど負担も増えるという構造があり、だからこそ政府はコスト低減と入札制の活用を進めています。
家庭の屋根は制度上どう位置づけられているか
第7次エネルギー基本計画は、屋根設置太陽光を「比較的地域共生がしやすく、自家消費型で導入されることで系統負荷の低い」選択肢と位置づけ、優先的に活用する方針を示しています。
住宅については、**「2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」**と明記されています。公共部門については「2030年に設置可能な建築物等の約50%、更には、2040年に設置可能な建築物等の100%に太陽光発電設備を設置することを目指す」としています(出典: 資源エネルギー庁 第7次エネルギー基本計画(PDF))。
蓄電池についても同計画は、「再生可能エネルギー等で発電された電力を蓄電し、夕方の需要ピーク時などに電力供給できるほか、迅速な応答性を有する調整電源として」重要だと記述し、ディマンドリスポンス(DR)と合わせて電力システムの柔軟性を担う手段に挙げています(出典: 資源エネルギー庁 第7次エネルギー基本計画(PDF))。なおこの記述は系統用蓄電池を含む蓄電池全般についてのもので、家庭用蓄電池の補助金にDR参加要件が付くのも同じ「柔軟性の確保」という文脈にあります。
一方で、契約時には注意も必要です。
- 「再エネ100%」をうたう電力プランは、実際の電源構成ではなく非化石証書などの環境価値の組み合わせで成立している場合があります。何をもって100%としているのかを契約前に確認してください
- 補助金を前提にした金額提示を受けたら、その制度が現時点で公募中かどうかをその場で確認してください
- 自家消費の考え方は太陽光の自家消費とはにまとめています
2026年8月時点のお金の話
売電価格
2026年度の住宅用太陽光(10kW未満)は、初期投資支援スキームにより1〜4年目24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWhです。このスキームは2025年度下半期(2025年10月)に導入されたもので、2026年度・2027年度も同じ価格が適用されます。事業用太陽光(屋根設置・10kW以上)は19円/kWh(〜5年)、8.3円/kWh(6〜20年)、事業用太陽光(地上設置・10kW以上50kW未満)は9.9円/kWh、同(地上設置・50kW以上、入札対象外)は9.6円/kWhです(出典: 資源エネルギー庁 買取価格・期間等)。
年数ごとの推移は太陽光発電の売電価格推移で確認できます。売って稼ぐより、使って減らす方向に制度設計が寄っている点は、家庭の判断に直結します。
補助金
国のDR家庭用蓄電池事業は、2026年5月29日に予算到達で公募終了しています。SIIの公表では交付決定総数8,508件、交付決定総額3,593,467,441円(2026年8月19日更新)です。次回公募は未公表のため、2026年8月時点で国の新規申請はできません。詳しくは国のDR補助金の終了と次回の見通しにまとめています。
自治体の制度は動いています。東京都の令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業は蓄電容量10万円/kWh、DR実証に参加しない場合は上限120万円/戸。令和8年10月1日以降に事前申込をする場合は、SIIによって令和8年度の登録済製品一覧に登録された機器のみが助成対象になります(出典: クール・ネット東京 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業)。詳細は東京都の蓄電池補助金2026を参照してください。
なお本体価格は、太陽光も蓄電池もオープン価格としているメーカーが多く、公式サイトに記載がないのが一般的です。相場を語る記事は多いものの、実際の金額は販売店の見積もりで確認するのが確実です。
まとめ
- 2024年度の電源構成は新エネ等15.6%、水力(揚水含む)7.4%で、再エネは約23%。ただし水力には揚水が含まれる点に注意
- 2030年度は36〜38%程度(第6次)、2040年度は4〜5割程度(第7次)。後者は確定値ではなく、複数シナリオによる幅として提示されたもの
- 伸び悩みの理由は適地不足・系統制約・出力制御・国民負担の4点。2026年度の賦課金単価は4.18円/kWh
- 家庭の屋根は制度上の主力で、政府は2030年に新築戸建の6割への設置を目指す。国の蓄電池補助金は公募終了中のため、資金計画は現在の公募状況を確認してから組む