再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーの買取にかかる費用を電気利用者全員で分担する仕組みで、2026年度の単価は1kWhあたり4.18円です。 経済産業省が目安として示す月400kWhの需要家モデルでは、月額1,672円、年額20,064円が電気料金に上乗せされます。
【2026年8月28日時点】 2026年度の再エネ賦課金単価は1kWhあたり4.18円。2026年5月検針分の電気料金から2027年4月検針分まで適用されます。出典: 経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」(2026年3月19日)
毎月の電気料金の明細にある「再エネ賦課金」。正式名称は再生可能エネルギー発電促進賦課金です。この記事では、経済産業省と資源エネルギー庁が公表している数字だけを使って、仕組みと今後の見通しを整理します。
この記事でわかること
- 再エネ賦課金の仕組みと、単価が決まる計算式
- 2026年度の単価4.18円/kWhで家庭がいくら負担するか
- 2022〜2026年度の推移と、2023年度だけ下がった理由
- 支援対象の見直しから読み取れる今後の見通し
- 家庭でできる負担軽減の3つの方法
再エネ賦課金の仕組み
再エネ賦課金は、FIT制度(固定価格買取制度)で電力会社が再エネ電気を買い取る費用の一部を、電気利用者全体で分担する仕組みです。
資源エネルギー庁は、この制度を「再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度」と説明し、買い取る費用の一部を賦課金として集めていると明記しています。対象となる電源は太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスの5種類。住宅の屋根に載せる10kW未満の太陽光は、自分で消費した後の余剰分が買取対象です(資源エネルギー庁「FIT・FIP制度 制度の概要」)。
同ページによると、再エネ賦課金には次の特徴があります。
- 電気を使うすべての人が負担する
- 負担額は電気の使用量に比例する
- 単価は全国一律になるよう調整される
- 単価は毎年度経済産業大臣が決め、推測値と実績値の差は翌々年度の単価で調整する
つまり、電力会社を乗り換えても、料金プランを変えても、賦課金の単価は同じです。
賦課金が電気料金に乗るまでの流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 発電 | 再エネ発電事業者が太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスで発電する |
| 2. 買取 | 電力会社が国の定めた価格で買い取る(FIT制度)。FIP制度では市場価格にプレミアムが上乗せされる |
| 3. 差引 | 買取費用等から、電力会社が節約できた燃料費等(回避可能費用等)を差し引く |
| 4. 分担 | 残りを販売電力量で割り、全国一律の単価として電気利用者が負担する |
計算方法
家庭の負担額の計算はシンプルです。
再エネ賦課金 = 単価(円/kWh)× 1か月の電力使用量(kWh)
2026年度の単価4.18円/kWhで単純計算すると、次のようになります。
| 月間電力使用量 | 賦課金(月額) | 年間の負担額 |
|---|---|---|
| 200kWh | 836円 | 10,032円 |
| 300kWh | 1,254円 | 15,048円 |
| 400kWh(経産省の需要家モデル) | 1,672円 | 20,064円 |
| 500kWh | 2,090円 | 25,080円 |
400kWhの行は、経済産業省が公表している需要家モデルの負担額(月額1,672円、年額20,064円)と一致します。需要家モデルの400kWhは総務省家計調査に基づく一般的な世帯の1か月の使用量です。
単価そのものはどう決まるか
2026年度の単価4.18円/kWhの算定根拠として、経済産業省は次の3つの数字を公表しています。
| 項目 | 2025年度の想定 | 2026年度の想定 |
|---|---|---|
| (1)買取費用等 | 4兆8,540億円 | 4兆8,507億円 |
| (2)回避可能費用等 | 1兆7,906億円 | 1兆6,495億円 |
| (3)販売電力量 | 7,708億kWh | 7,665億kWh |
(1)から(2)を差し引いた3兆2,012億円を(3)の7,665億kWhで割ると、約4.18円/kWhになります。買取費用が横ばいでも、回避可能費用等が減れば単価は上がるという関係です(経済産業省 2026年3月19日ニュースリリース)。
再エネ賦課金の推移と今後の見通し
これまでの推移
直近5年度の単価と、月400kWhの需要家モデルでの負担額は次のとおりです。いずれも経済産業省のニュースリリースの公表値です。
| 年度 | 単価(円/kWh) | 需要家モデルの月額 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 2022 | 3.45 | 1,380円 | 経産省(2023年3月24日) |
| 2023 | 1.40 | 560円 | 経産省(2023年3月24日) |
| 2024 | 3.49 | 1,396円 | 経産省(2024年3月19日) |
| 2025 | 3.98 | 1,592円 | 経産省(2025年3月21日) |
| 2026 | 4.18 | 1,672円 | 経産省(2026年3月19日) |
各年度の単価は、その年の5月検針分から翌年4月検針分まで適用されます。4月分の電気料金にはまだ前年度の単価が使われる点に注意してください。
2023年度だけ1.40円と大きく下がったのは、ウクライナ危機による市場価格の高騰で回避可能費用等が1兆4,609億円から3兆6,353億円へ急増したためです。経済産業省もリリースの中で下落の理由として明記しています。賦課金は「買取費用が増えたから上がる」だけでなく、燃料価格や卸電力市場の動きでも大きく振れます。
2023年度の1.40円から2026年度の4.18円まで、3年で2.78円/kWh上がりました。月400kWhの家庭なら月額1,112円の増加です。
今後の見通し
終了時期を示した国の公表値はありません。 ただし、方向性を読み取れる材料は2つあります。
1つ目は買取期間の満了です。FIT制度の調達期間は住宅用太陽光(10kW未満)が10年間、事業用太陽光が20年間と定められています(資源エネルギー庁「買取価格・期間等」)。期間が終わった設備は買取費用から外れていくため、その分は賦課金の押し上げ要因ではなくなります。
2つ目は支援対象の絞り込みです。調達価格等算定委員会の「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」では、事業用太陽光(地上設置)について「FIT制度開始から現在にかけて、大規模のみならず全ての規模において技術革新等による着実なコスト低減が実現され、FIT/FIP制度からの自立の時期が到来しつつある」として、2027年度以降、再エネ賦課金を用いた支援の対象外とすることが議論されました(調達価格等算定委員会 意見(PDF))。経済産業省も2026年3月のリリースで「2027年度以降は、事業用太陽光発電(地上設置)はFIT/FIP制度における支援の対象外となります」と明記しています。
一方、同じ意見書は住宅用太陽光と事業用太陽光(屋根設置)について「コスト低減が着実に進展してきたものの、自立化に向けては更なるコスト低減が必要」と評価しており、支援はまだ続きます。
まとめると、新たに支援対象となる電源は絞られる方向だが、単価が来年下がると断定できる公表値はないというのが2026年8月時点の状況です。回避可能費用等は市場価格に連動するため、燃料価格次第で上下する点も変わりません。
再エネ賦課金の負担を軽減する3つの方法
賦課金は「単価 × 使用量」で決まり、単価は全国一律で動かせません。しかも賦課金がかかるのは、小売電気事業者から買った電気(販売電力量)に対してです。つまり家庭側で動かせる変数は使用量だけで、買う電気の量を減らすことが実質的な対策になります。
方法1:太陽光発電の自家消費
太陽光で発電して自宅で使った電気は、電力会社から買っていないため賦課金の対象になりません。1kWh自家消費するごとに、2026年度なら4.18円分の賦課金がかからない計算です。
金額のインパクトは賦課金だけにとどまりません。調達価格等算定委員会は、2026年度の**自家消費分の便益を27.45円/kWh(結論部分の別紙では27.31円/kWh)**と設定しています(大手電力の2014〜2023年度の家庭用電気料金単価に消費税10%を加味した値)。一方、2026年度の住宅用FIT買取価格は1〜4年目24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWh。1〜4年目の24円でも便益27.45円/kWhを下回り、5年目以降は8.3円とその差がさらに開きます。 制度上の想定値で見る限り、初年度から売電より自家消費のほうが1kWhあたりの価値は高い計算です。
ただし実態としては、住宅用太陽光の余剰売電比率は2025年1〜8月のデータで平均64.8%(中央値60.7%)。発電量の6割前後は売電に回っているのが現状です(調達価格等算定委員会 意見(PDF))。昼間の在宅時間が短い家庭ほど、自家消費率は上がりにくくなります。
方法2:蓄電池で自家消費率を高める
蓄電池を併設すると、昼に余った電気を夜に使えるため、買電量をさらに減らせます。どこまで自家消費率が上がるかは、パネル容量・蓄電容量・生活パターンで変わるため、契約前に施工事業者のシミュレーションで確認してください。
補助金の現在地も押さえておきましょう。国の「令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業」(1申請あたり上限60万円)は2026年5月29日に交付申請額が予算に達して公募終了しており、次回の予定は公表されていません(SII 公式)。自治体の助成は継続しており、東京都の令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業は蓄電容量10万円/kWh、DR実証に参加しない場合の上限は120万円/戸です。
方法3:省エネで買う電気そのものを減らす
設備投資をしなくても、使用量を減らせば賦課金は比例して減ります。2026年度の単価で計算すると、月間400kWhを350kWhに減らした場合、賦課金は月209円、年2,508円の削減です。
金額としては大きくありませんが、減った50kWhには電力量料金そのものもかかっていたはずなので、電気代全体で見た効果はこの数倍になります。賦課金だけを狙うのではなく、使用量全体を見直すのが実務的です。
再エネ賦課金は「投資」でもある
負担が増え続けているのは事実ですが、資源エネルギー庁は制度の意義を次のように説明しています。「再生可能エネルギーの電気が普及すれば、日本のエネルギー自給率の向上に有効です。エネルギー自給率が向上すると、化石燃料への依存度の低下につながり、燃料価格の乱高下に伴う電気料金の変動を抑えるといった観点から、すべての電気をご利用の皆様にメリットがあるものだと考えています」(資源エネルギー庁)。
実際に、事業用太陽光(地上設置)は「自立の時期が到来しつつある」と評価され、2027年度以降は支援の対象外となります。支援によってコストが下がり、支援なしで成立するようになった、という制度本来の流れが一部の電源では実現した形です。
とはいえ、家計から見れば2023年度の年6,720円が2026年度には年20,064円(いずれも400kWhモデル)になっています。制度の是非とは別に、自分の家庭で買う電気を減らせるかどうかを冷静に検討するのが現実的な向き合い方です。
まとめ
- 2026年度の再エネ賦課金は1kWhあたり4.18円。2026年5月検針分から2027年4月検針分まで適用され、月400kWhの需要家モデルで月額1,672円、年額20,064円
- 単価は「(買取費用等 − 回避可能費用等)÷ 販売電力量」で決まる。燃料価格が高騰した2023年度は1.40円まで下がった実績があり、市場価格次第で上下する
- 終了時期を示した公表値はない。ただし事業用太陽光(地上設置)は2027年度以降、賦課金を用いた支援の対象外になる
- 単価は全国一律で動かせない。買う電気を減らすことが家庭でできる唯一の対策で、自家消費1kWhにつき4.18円分の賦課金がかからない
あわせて読みたい
- FITとFIPの違いをわかりやすく - 買取制度の全体像
- 卒FIT後はどうする?買取先の選び方 - 買取期間が終わったあと
- 太陽光の自家消費を増やす方法 - 買電量を減らす具体策
- 国の蓄電池補助金(DR)が終了、次回はいつか - 補助金の現在地
- 2026年の電気代はどうなる - 料金全体の見通し