総務省統計局の家計調査(2025年平均)によれば、二人暮らし(2人世帯)の電気代は1か月あたり12,144円です。 ただしこの平均値は世帯主の平均年齢68.5歳・有業人員0.83人という世帯像の上に成り立っていて、そのまま「うちの目標額」に使える数字ではありません。
この記事では推計値ではなく公的統計の実数だけを使い、平均との差がどこから生まれ、どこを削れるのかを整理します。
【2026年8月25日時点】 国のDR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正・補助上限1申請あたり60万円)は2026年3月24日に公募が始まり、2026年5月29日に交付申請額が予算に達したため公募終了しています。次回公募は未公表のため、国の補助金を前提にした購入計画は現時点では立てられません。出典: SII 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業
この記事でわかること
- 家計調査の実数で見る二人暮らしの電気代(年平均・月別・単身との比較)
- 平均値を自宅に当てはめるときに外してはいけない3つの前提
- 二人暮らしで電気代が伸びる構造的な理由(エアコン台数・暖房室数・給湯方式)
- 契約アンペアと料金単価から逆算した、節約の効き幅の計算方法
- 太陽光・蓄電池を検討する前に知っておく普及率・売電単価・補助金の現状
二人暮らしの電気代は月12,144円(2025年平均)
世帯人員別に見た1か月の電気代
総務省統計局の家計調査(家計収支編)2025年年報のうち、世帯人員別の収入と支出をまとめた第4表から、電気代の月平均を抜き出すと次のとおりです。
| 世帯人員 | 電気代(月平均) | 光熱・水道 合計 |
|---|---|---|
| 1人(単身世帯) | 7,337円 | 13,333円 |
| 2人 | 12,144円 | 22,691円 |
| 3人 | 13,915円 | 25,626円 |
| 4人 | 13,928円 | 25,942円 |
| 5人 | 15,665円 | 28,271円 |
| 二人以上の世帯 平均 | 13,218円 | 24,544円 |
出典: 総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2025年(第4表 世帯人員別1世帯当たり1か月間の収入と支出、および単身世帯 第1表)
2人世帯の12,144円を12倍すると年間約14万6千円。単身世帯の7,337円の約1.7倍で、2倍にはなりません。冷蔵庫や照明、待機電力のように「人数に比例しない部分」があるためです。一方で3人世帯(13,915円)との差は1,771円しかなく、1人増えるインパクトは1人目から2人目のときが最も大きいという形です。
2人世帯の消費支出は月281,014円で、電気代はその約4.3%。光熱・水道22,691円の内訳ではガス代4,663円・上下水道料4,221円を上回り、電気代が53.5%を占めます。光熱費の見直しは電気から入るのが合理的です。
月別に見ると5,000円以上動く
同じ家計調査の月次結果(第3-1表 世帯人員別)から、2025年の2人世帯の電気代を月別に並べると次のようになります。
| 月 | 2人世帯の電気代 | 月 | 2人世帯の電気代 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 13,678円 | 7月 | 10,238円 |
| 2月 | 15,252円 | 8月 | 11,621円 |
| 3月 | 15,252円 | 9月 | 12,349円 |
| 4月 | 13,760円 | 10月 | 11,615円 |
| 5月 | 11,490円 | 11月 | 9,897円 |
| 6月 | 9,915円 | 12月 | 10,666円 |
出典: 総務省統計局 家計調査 2025年各月 第3-1表(世帯人員別)。各月の統計表はe-Stat 家計調査から取得しています(統計局 家計調査 月次結果)。12か月の単純平均は12,144円で、上の年報値と一致します。
最も高い2月・3月の15,252円と、最も低い11月の9,897円では5,355円の差があります。年間平均の12,144円だけを見ていると、冬の請求書に驚くことになります。
注意したいのが集計の基準です。家計調査の消費支出は「実際に支払った金額」で計上されます(出典: 家計調査 用語の解説)。統計局も年報の解説で「8月の電気使用量が前年同月に比べて多かったとしても、家計調査では、その結果は支払月となる9月分に表れる」と注意を促しています(出典: 家計調査年報(家計収支編)2025年 家計収支の概要)。
つまり月別の数字は電気を使った月ではなく、支払った月に載ります。3月が高いのは3月に大量に使ったからではなく、真冬の使用分の請求が3月の支払いに乗るためです。
「平均12,144円」を自宅に当てはめる前に
平均がどんな世帯の集まりなのかを見ないと判断を誤ります。家計調査の同じ表から2人世帯の属性を拾うと、次のとおりです。
- 世帯主の平均年齢: 68.5歳
- 有業人員: 0.83人
- 持家率: 88.3%
つまり家計調査の「2人世帯」は、子どもが独立した夫婦やリタイア後の夫婦が主役の集団です。日中の在宅時間が長く、持家に住む割合が高いという前提が入っています。
同じ表の「二人以上の世帯のうち勤労者世帯」の2人世帯なら、世帯主の平均年齢57.3歳、有業人員1.55人で、電気代は11,580円。全体より564円低く、日中に家を空ける時間が長いほうが安く出るという素直な結果です。
地域差も無視できません。環境省の家庭部門のCO2排出実態統計調査(令和5年度確報値)による世帯当たりの年間電気消費量は、全国平均3,911kWhに対し関東甲信3,600kWh、北陸5,300kWhと1.4倍以上の開きがあります(出典: 環境省 家庭部門のCO2排出実態統計調査 図1-72)。「平均より高い=使いすぎ」ではありません。 世帯構成・在宅時間・地域・住まいの広さを揃えないと比較になりません。世帯人数別の平均は世帯人数別の電気代平均でも整理しています。
二人暮らしで電気代が伸びる構造的な理由
「二人になった途端に電気代が跳ねた」という感覚には設備側の裏付けがあります。環境省の家庭CO2統計(令和5年度確報値)から世帯人数別の数字を並べます。
| 項目 | 1人世帯 | 2人世帯 | 全体 |
|---|---|---|---|
| エアコンの使用台数(平均) | 1.46台 | 2.48台 | 2.28台 |
| 暖房室数(平均) | 1.46室 | 2.13室 | 2.02室 |
| 冷蔵庫の使用台数(平均) | 1.09台 | 1.22台 | 1.20台 |
| 年間電気消費量 | 8.66GJ | 14.25GJ | 14.08GJ |
出典: 環境省 家庭部門のCO2排出実態統計調査(令和5年度確報値)(図2-35、図2-59、図2-10、図1-62)
エアコンは1.46台から2.48台へ(約1.7倍)、暖房する部屋は1.46室から2.13室へ(約1.5倍)。人数は2倍でも、空調する台数と部屋数は1.5〜1.7倍にとどまります。電気消費量が8.66GJから14.25GJへ1.65倍になっているのと、同じくらいの倍率です。電気1kWhは3.6MJなので、14.25GJは年間およそ3,960kWh、月あたり約330kWhです(同統計の全国平均14.08GJは、kWh表示の全国平均3,911kWhと一致します)。
暑い時期(8月頃)の平日のエアコン使用時間(1台目)は、2人世帯では8時間以上が57.7%。冷房の設定温度は平均26.9℃で、単身世帯の26.8℃とほぼ変わりません(同統計 図2-39・図2-43)。効いているのは設定温度ではなく、稼働している台数と時間です。
給湯方式も分岐点です。2人世帯では電気ヒートポンプ式給湯器(エコキュートなど)が17.7%、電気温水器が7.2%で、約4分の1が給湯を電気でまかなっています(同統計 表2-3、複数回答)。オール電化で電気代が高く出るのは、他の家庭ならガス代に載る分が電気代に移るためです。光熱費は全体で比べないと判断を誤ります。
契約と単価から逆算する、節約の効き幅
節約は「何円得か」を自分で計算できる形にしておくと判断が早くなります。ここでは東京電力エナジーパートナーのスタンダードS(関東エリア)の公表単価で計算の型を示します。
基本料金は契約アンペアに正比例する
スタンダードSの基本料金は**10Aにつき311.75円(税込)**です(出典: 東京電力エナジーパートナー スタンダードS)。したがって、
- 30A: 935.25円/月
- 40A: 1,247.00円/月
- 60A: 1,870.50円/月
60Aから40Aへ下げれば月623.50円、12か月で7,482円。40Aから30Aなら月311.75円、年3,741円です。使用量に関係なく毎月効くぶん優先度は高い項目ですが、下げるとブレーカーが落ちやすくなります。エアコン2台とIH、電気ケトル、ドライヤーが重なる時間帯があるなら、家電の同時使用を洗い出してから変更してください。なお契約アンペアという概念がない料金メニューやエリアもあります。
1kWh減らすといくら浮くのか
スタンダードSの電力量料金は3段階です。
| 使用量 | 単価(税込) |
|---|---|
| 〜120kWh | 29.80円/kWh |
| 121kWh〜300kWh | 36.40円/kWh |
| 301kWh〜 | 40.49円/kWh |
月330kWh前後を使う二人暮らしは第3段階に入っているので、使用量を1kWh減らしたときに浮くのは40.49円です。ここにさらに燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金が乗ります。2026年度の賦課金単価は1kWhあたり4.18円で、経済産業省は月400kWhの需要家モデルで月額1,672円・年額20,064円と示しています。適用は2026年5月検針分から2027年4月検針分までです(出典: 経済産業省 2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価)。月330kWhなら賦課金だけで月およそ1,379円です。
つまり1kWh節約したときの実質的な効果は、単価40.49円に賦課金4.18円と燃料費調整額を足した水準です。行動をまずkWhに置き換え、そこから円に直すと、期待値を見誤りません。
電気代の上振れは一時的なものではない
家計調査の品目分類(二人以上の世帯)で年間の電気代を追うと、2020年の128,050円から2025年は158,622円へ、5年間で約23.9%増えています(出典: 総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2025年 第6-1表)。東京電力エナジーパートナーも、スタンダードSの30A・260kWhモデルで2023年1月の電気料金が燃料費調整の適用がない場合と比べ1.4倍程度になったと公表しています(出典: 同社スタンダードS)。将来の単価は予測できませんが、過去5年は上振れ方向に動いたという事実は設備投資を考えるうえでの前提になります。
太陽光・蓄電池は二人暮らしでも成立するのか
まず普及率を知っておく
環境省の家庭CO2統計(令和5年度確報値)では、戸建に住む2人世帯の太陽光発電システム使用率は9.7%(戸建全体11.7%)。家庭用蓄電システムは2人世帯で1.7%、全世帯平均で2.0%、世帯人数を問わない戸建全体では3.7%です(出典: 環境省 家庭部門のCO2排出実態統計調査 図2-92・図2-124・図2-126)。まだ少数派ですが、2人世帯は持家率88.3%と高く、屋根を使える家庭自体は多い層です。
「電気代がゼロになっても」何年かかるかを先に置く
導入判断で最初に置きたいのは、電気代の削減だけで何年かかるかという基準線です。二人暮らしの年間電気代は約14万6千円(12,144円×12)。電気代がまるごとゼロになっても、削減できる金額の上限は年14万6千円です。
電気代の削減だけで回収する場合の最短年数 = 導入総額 ÷ 146,000円
総額200万円なら約13.7年。「電気代が完全にゼロ」という現実にはあり得ない前提の数字なので、自家消費だけなら実際はこれより長くかかります。
ここに売電収入が乗れば年数は縮みます。ただし2026年度の住宅用太陽光(10kW未満)の買取価格は1〜4年目24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWhで、5年目以降は買電単価(第3段階40.49円/kWh)を大きく下回ります(出典: 経済産業省 2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価)。売電が金額として効くのは最初の4年、そのあとは自家消費に回したほうが1kWhの価値は高くなります。
もっとも国民生活センターは、余剰電力の売電より自家消費のほうが経済的なメリットが大きいとは限らない、とも注意喚起しています(出典: 国民生活センター)。見積書に「◯年で回収」とあれば、上の最短年数と突き合わせて確認してください。
容量は電気代に合わせて選ぶ
二人暮らしの月間使用量はおよそ330kWh、1日あたり約11kWhです。蓄電池は夜間や停電時に使う分をまかなう設備なので、使用量から離れた大容量を選ぶと初期費用だけが膨らみます。参考までに、テスラが2026年8月3日に日本で販売を開始したPowerwall 3は蓄電容量13.5kWh・定格出力9.69kW・保証10年で、価格は公表されていません。設置開始は2026年9〜10月以降の見込みです(出典: テスラ公式プレスリリース(2026年8月3日))。容量の決め方は蓄電池の容量の選び方で解説しています。
なお家庭用蓄電池はメーカーがオープン価格としていることが多く、公式サイトに本体価格の記載がないのが一般的です。総額は容量・工事条件・販売店で変わるため、複数社の見積もりで確認する前提で検討してください。自治体の助成には金額の目安が示されており、東京都の令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業は蓄電容量1kWhあたり10万円(DR実証に参加しない場合は上限120万円/戸、参加する場合は加算あり)。2026年10月1日以降に事前申込をする場合はSIIの令和8年度登録済製品のみが対象です(出典: 東京都 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業)。国の補助金は冒頭の注記のとおりで、詳しくは国のDR補助金の終了と次回の見通し、自治体分は東京都の蓄電池補助金2026にまとめています。
契約前に確認しておくこと
国民生活センターは2021年6月3日に「家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意!」を公表しています。PIO-NETに寄せられた相談件数は2016年度325件から2020年度1,314件へと増加傾向にあり、「この値段は今日限り」と急かされる、電力会社の関連会社を名乗られる、太陽光発電設備の無料点検で訪問した事業者に勧誘される、といった事例が挙げられています。同センターの案内は「その場で契約をせずに複数社から見積もりをとり比較検討しましょう」です(出典: 国民生活センター)。
同資料には、無料点検で訪問した事業者から「国の補助金が出るので安くなる」と言われ、約200万円の家庭用蓄電池を契約した事例も載っています。国のDR家庭用蓄電池事業は2026年8月時点で新規申請できないため、同じ説明を受けたらその場で公募状況を確認してください。見積書の読み方は見積書のチェックポイントにまとめています。
まとめ
- 家計調査2025年平均の二人暮らし(2人世帯)の電気代は月12,144円、単身世帯7,337円の約1.7倍。月別では2月・3月の15,252円が最高、11月の9,897円が最低で、年内で5,355円動く
- ただし家計調査の「2人世帯」は世帯主の平均年齢68.5歳・有業人員0.83人・持家率88.3%の集団。共働き寄りの勤労者世帯(2人)は11,580円で、平均像はそのまま自宅の目標値にはならない
- 電気代が伸びる理由は台数と時間。2人世帯のエアコンは平均2.48台(単身の約1.7倍)、暖房室数は平均2.13室(同約1.5倍)、年間電気消費量は1.65倍(環境省 家庭CO2統計 令和5年度確報値)
- 節約は単価に戻して計算する。東京電力EPのスタンダードSなら基本料金は10Aにつき311.75円、月330kWh世帯の限界単価は40.49円/kWh+再エネ賦課金4.18円/kWh。太陽光・蓄電池は「導入総額÷年間電気代」で最短の回収年数を置いてから見積もりを読む