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ソーラーシェアリングの仕組みと収益|2026年度FIT9.9円と一時転用許可の要件

エネチョイス編集部

この記事の結論

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)は、農地法の一時転用許可を受けて農地に支柱を立て、上部空間に太陽光発電設備を設置し、下部で営農を継続しながら発電する事業です。一時転用の許可期間は通常3年以内で、認定農業者等の担い手が営農する場合・遊休農地を活用する場合・第2種農地または第3種農地の場合は10年以内となります。下部農地の単収が平均的な単収からおおむね2割以上減らないことが継続の条件です。収益の入り口は「自分で発電事業者になる(売電・自家消費)」と「土地を貸して営農協力金や地代を受け取る」の2通りで、2026年度のFIT調達価格は10kW以上50kW未満の地上設置で9.9円/kWh(調達期間20年間)です。

農地に支柱を立てて上部に太陽光パネルを載せ、その下で農業を続ける——これが**ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)**です。

結論から言うと、2026年8月時点のソーラーシェアリングは「高い単価で売電して稼ぐ事業」ではなくなっています。 2026年度の事業用FIT調達価格(10kW以上50kW未満・地上設置)は9.9円/kWhまで下がり、さらに地上設置の10kW以上は、2026年度の落札案件を除き2027年度以降はFIT/FIP制度の新規認定対象とならないとされているためです。売電単価を前提にした計画は成り立ちにくく、自家消費やPPA、あるいは土地を貸して営農協力金・地代を受け取る形が現実的な選択肢になります。

【2026年8月28日時点】 2026年度の調達価格と2027年度以降の取扱いは、資源エネルギー庁の価格表(調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」を反映)に基づきます。制度は年度ごとに見直されるため、着手前に最新版を確認してください。出典: 資源エネルギー庁「買取価格・期間等」

この記事でわかること

  • ソーラーシェアリングの制度上の定義と設備に課される条件
  • 2026年度のFIT調達価格と、2027年度以降の新規認定の扱い
  • 農林水産省が公表する実際の事例の建設費・売電収入・費用内訳
  • 一時転用許可が3年になるか10年になるかを分ける条件
  • 全国で**4件に1件が「営農に支障あり」**とされている現実

ソーラーシェアリングの仕組み

太陽光パネルの俯瞰アングル

農林水産省は営農型太陽光発電を「一時転用許可を受け、農地に簡易な構造でかつ容易に撤去できる支柱を立てて、上部空間に太陽光を電気に変換する設備を設置し、営農を継続しながら発電を行う事業」と定義しています(出典: 農林水産省「営農型太陽光発電について」(令和8年1月))。

ポイントは、農地を潰さないことです。転用の対象になるのは支柱の基礎部分だけで、下の農地は農地のまま営農を続ける必要があります。

一時転用許可でチェックされる項目

令和6年4月1日から、それまで通知で運用されていた許可基準が農地法施行規則に規定され、ガイドラインも制定されました。

チェック項目求められる内容
支柱の高さ効率的な農業機械等の利用が可能な高さ(最低地上高2m以上
日照農作物の生育に適した日照量を保つための設計であること
営農の継続品質に著しい劣化がなく、平均的な単収と比較しておおむね2割以上減収しないこと
報告毎年の栽培実績及び収支の報告が適切に行われること
地域との調整地域計画の区域内の農地の利用集積等に支障がないと協議の場で合意が得られていること

(出典: 農林水産省「営農型太陽光発電設備について【令和6年4月改訂版】」

なお制度上「遮光率は何%まで」という一律の数値基準はありません。判断されるのは遮光率そのものではなく、下部農地の単収と品質です。

遮光率と収量:国の実証結果

農林水産省は平成30〜令和元年度に秋田県・静岡県で営農実証を行い、結果を公表しています。

場所・作物発電出力遮光率実証で報告された内容
静岡県島田市・茶22kW50%50%程度の遮光でも収量や品質に影響がないとの結果。一番茶の新芽の生育が早い傾向、凍霜害の発生が抑えられる傾向
静岡市清水区・ブルーベリー13kW36%収穫時期が数日程度遅れる傾向があるが、収量・果実品質は慣行と同等
静岡市清水区・キウイフルーツ13kW36%収量・果実品質は慣行と同等。傷や汚れは減少傾向、一方でカイガラムシが増加傾向
秋田県秋田市・えだまめ39.6kW31%生育への影響はあるが収量・品質は慣行と同等と推定。支柱に注意して作業する必要があり作業時間が増加

(出典: 農林水産省「営農型太陽光発電について」(令和8年1月)

いずれも特定の圃場・品種での結果で、地域や設計が変われば同じにはなりません。設置予定地の日射条件はNEDOの日射に関するデータベースで確認できます。

2026年度の収益の入り口は2つ

見落とされがちですが、設備を設置しているのは発電事業者が73%(4,323件)、農業者・農地所有者は27%(1,630件)です(令和5年度末、有効回答5,953件)。多くの農地では、農家自身が発電事業者になるのではなく、土地を貸して営農を続ける形が選ばれています。

1. 自分で発電事業者になる(売電・自家消費)

2026年度のFIT調達価格は次のとおりです。

区分2026年度の調達価格調達期間
10kW以上50kW未満(地上設置)9.9円/kWh20年間
50kW以上(地上設置・入札制度対象外)9.6円/kWh20年間
10kW以上(屋根設置)19円/kWh(1〜5年目)、8.3円/kWh(6〜20年目)20年間

2024年度以降に新規認定を取得した案件のうち、最大受電電力が10kW以上のものは、上記に発電側課金相当額を加えた額になります。制度の全体像はFITとFIPの違いで解説しています。

制度上、営農型に関わる論点は2つあります。

  • 地域活用要件の例外: 10kW以上50kW未満の事業用太陽光には自家消費型の地域活用要件がかかりますが、営農型太陽光は「3年を超える農地転用許可が認められる案件」であれば、自家消費を行わない案件でも災害時の活用が可能であればFIT新規認定の対象とされています
  • 2027年度以降: 事業用太陽光(地上設置・10kW以上)の区分は、2026年度の落札案件を除き2027年度以降はFIT/FIP制度の新規認定対象とならないとされています(2026年度以前に認定を受けた案件のFIP制度への移行は認められます)

つまり、売電を軸にした新規計画を組める時間は限られています。農林水産省の事例集にも、生活協同組合と20年間の売電契約(オフサイトPPA)を結んで県内の配送センターへ供給する事例や、小売電気事業者を通じて市内の公共施設へ供給する事例が掲載されています。自家消費と売電のどちらが得かも併せて検討してください。

2. 土地を貸して営農協力金・地代を受け取る

発電事業者が設備を持つ場合、農地側が受け取るのは営農協力金や地代です。農林水産省の事例集に記載された金額は次のとおりです。

事例農地側が受け取るもの
千葉県千葉市(水稲13a)営農協力金10万円/10a・年、地代15,000円/10a・年
茨城県神栖市(甘藷6a)営農協力金3.5万円/年(実証段階の金額)、地代5万円/年(圃場全体に対して)
千葉県匝瑳市(大豆13a)地域への還元8万円/年(10a当たり約6.2万円/年)
神奈川県相模原市(ブルーベリー・ぶどう70a)地代14万円/年(営農協力金はなし)

金額は案件ごとの交渉で決まるもので、相場として一般化できるものではありません。

農林水産省の事例で見る収支の実像

事例集に建設費と売電収入が併記されているものを並べます。

事例発電出力下部農地建設費売電収入当時の売電単価
千葉県匝瑳市(千葉エコ・エネルギー)49.5kW13a・大豆約1,600万円約200万円/年32円/kWh
静岡県浜松市(OIKOS天竜)49.5kW7a・茶約1,500万円220万円/年32円/kWh
茨城県神栖市27.5kW6a・甘藷1,500万円約100万円/年(実証段階の金額)記載なし
千葉県千葉市49.5kW(AC)/79.2kWp(DC)13a・水稲1,900万円小売電気事業者経由で市内公共施設へ供給

浜松市の事例では、年間費用の内訳まで公表されています。借入返済120万円/年、発電設備の保険料5万円/年、固定資産税・事務経費13万円/年、パワーコンディショナー交換費用の積立12万円/年、地域への還元15万円/年、施設管理費5万円/年。20年間の収支試算は収入4,400万円・支出3,400万円・所得1,000万円とされています。匝瑳市の事例は収入4,000万円・支出2,100万円・所得1,900万円です。

ただし、いずれも売電単価32円/kWhの時期の数字です。 2026年度の9.9円/kWhはその3分の1以下で、同じ設備・同じ発電量でも売電収入は当時の水準にはなりません。事例の収支をそのまま自分の計画に当てはめるのは避けてください。

なお撤去・処分費用については、農林水産省のガイドブックが「事業終了後に適切な撤去及び処分を行うため、その実行に係る費用を想定した上で積立を行い、その開始時期と終了時期、想定積立金額と毎月の積立金額を明らかにして事業計画を策定しましょう」としています(出典: 営農型太陽光発電取組支援ガイドブック(2025年度版))。

一時転用許可が3年になるか10年になるか

農地に支柱を立てるには、農地法に基づく一時転用許可が必要です。許可期間は通常3年以内ですが、次のいずれかに該当するときは10年以内になります。

  • 認定農業者等の担い手が下部の農地で営農を行う場合
  • 遊休農地を活用する場合
  • 第2種農地または第3種農地を活用する場合

この「3年を超えるかどうか」は、前述したFITの地域活用要件の扱いにも直結します。10年許可が取れるかどうかが、事業の組み立てを大きく左右します。

許可後は年1回の報告義務があります。報告の結果、営農に支障が生じている場合は現地調査のうえ改善措置等の指導が行われ、指導に従わない場合は是正勧告や原状回復命令等の措置が取られます(出典: 農林水産省「営農型太陽光発電設備について【令和6年4月改訂版】」)。

手続きの流れは、初期検討 → 営農継続の体制づくり(農業委員会への一時転用相談、電力会社への事前相談、施工業者探し)→ 計画策定(営農計画、設計・見積取得)→ 各種申請(接続契約等の申込、FIT事業計画認定申請、一時転用申請)→ 工事 → 営農開始・電力供給開始・年次報告、という順序です。一時転用許可の申請時には、適切な営農が行われる見込みかどうかについて知見者の意見書を添付する必要があります。所要期間は農業委員会の開催時期や電力会社の回答時期に左右されるため、余裕を持った計画が必要です。

4件に1件で「営農に支障」という現実

制度が厳格化された背景には、発電に重きが置かれ営農がおろそかにされ、下部農地の利用に支障が生じている事例が散見されたという事情があります(出典: 農林水産省「再生可能エネルギー発電設備を設置するための農地転用許可」)。数字で見ると次のとおりです。

令和5年度末時点で、下部農地での営農に支障があったものは24%(1,221件)。前年度の22%(927件)から2ポイント上昇しています。支障の内訳は以下のとおりです。

支障の内容割合(件数)
単収減少・生育不良(営農者に起因)71%(872件)
設備工事等の遅延12%(144件)
単収減少・生育不良(災害等)7%(87件)
その他10%(118件)

「営農者に起因」とは、栽培管理等が不適当だったことにより同年同作物の単収と比較して2割以上減少しているものや、生育状況が不良であるものを指します。

栽培作物の分布も実態を物語ります。観賞用植物が36%(2,147件)で最多、うちさかき・しきみが32%(1,901件)。次いで野菜等28%(1,654件)、果樹13%(791件)、米・麦・大豆・そばなどの土地利用作物は9%(541件)にとどまります。みょうが6%、きのこ類6%、茶4%。耐陰性が高く手間の少ない作物に強く偏っているのが全国の姿です。

累計では、一時転用許可件数6,137件・下部農地面積1,361.6ha(令和5年度末)。平成25年度から令和5年度までの新規許可のうち、荒廃農地を活用したものは10.2%(628件)です(出典: 営農型太陽光発電設備設置状況等について(令和5年度末現在))。

住宅の屋根に載せる太陽光とはまったく別の制度

ソーラーシェアリングは農地が前提の制度で、住宅の屋根に載せる太陽光とは適用される制度も単価もまったく別です。10kW未満の住宅用は2026年度で24円/kWh(1〜4年目)・8.3円/kWh(5〜10年目)、調達期間10年間です。区分ごとの違いは住宅用と産業用の違いが参考になります。発電の基本的な仕組みは太陽光発電の仕組みで、地域によって発生する出力制御は太陽光発電の出力制御で解説しています。

まとめ

  • ソーラーシェアリングは一時転用許可を受けて農地に支柱を立てる仕組みで、下部農地の単収が平均的な単収からおおむね2割以上減らないことが継続条件。支柱は最低地上高2m以上、年1回の報告義務がある
  • 一時転用許可は通常3年以内、認定農業者等の担い手が営農・遊休農地の活用・第2種または第3種農地のいずれかなら10年以内。この期間がFITの地域活用要件の扱いにも直結する
  • 2026年度のFIT調達価格は10kW以上50kW未満(地上設置)で9.9円/kWh。地上設置10kW以上は、2026年度の落札案件を除き2027年度以降はFIT/FIPの新規認定対象とならないとされており、売電前提の計画を組める期間は限られる
  • 全国では24%が「営農に支障あり」(令和5年度末)。うち71%が営農者に起因する単収減少・生育不良。設備より営農計画のほうが事業の成否を決める

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よくある質問

Q.ソーラーシェアリングの収益はどのくらいですか?

A.案件ごとに大きく異なるため、一律の目安は示せません。農林水産省の事例集では、49.5kW・下部農地13aの千葉県匝瑳市の事例で売電収入約200万円/年(当時の売電単価32円/kWh)、49.5kW・7aの静岡県浜松市の事例で売電収入220万円/年(同32円/kWh)と報告されています。ただしこれらは高いFIT単価の時期の数字で、2026年度の10kW以上50kW未満(地上設置)の調達価格は9.9円/kWhです。同じ設備でも売電収入は当時の水準にはなりません。

Q.農地の一時転用許可は何年間もらえますか?

A.通常は3年以内です。ただし(1)認定農業者等の担い手が下部の農地で営農を行う場合、(2)遊休農地を活用する場合、(3)第2種農地または第3種農地を活用する場合のいずれかに該当するときは10年以内となります。許可期間が満了した後も再許可の申請は可能ですが、従前の期間の営農状況が総合的に勘案されます。

Q.ソーラーシェアリングではどんな作物が栽培されていますか?

A.農林水産省の集計(令和5年度末、有効回答5,953件)では、作物分類別に観賞用植物が36%(2,147件)で最多、次いで野菜等28%(1,654件)、果樹13%(791件)です。主な作物別ではさかき・しきみが32%(1,901件)、みょうが6%(374件)、きのこ類6%(340件)、茶4%(213件)で、遮光を前提とした耐陰性の高い作物に偏っているのが実態です。

Q.2026年度でもFITは使えますか?

A.2026年度は使えます。10kW以上50kW未満の事業用太陽光には自家消費型の地域活用要件がありますが、営農型太陽光は3年を超える農地転用許可が認められる案件であれば、自家消費を行わなくても災害時の活用が可能であればFITの新規認定対象とされています。一方、資源エネルギー庁の価格表では、事業用太陽光(地上設置・10kW以上)の区分は2026年度の落札案件を除き2027年度以降はFIT/FIP制度の新規認定対象とならないとされています。着手前に最新の公表内容を確認してください。

出典・参考にした一次情報

本記事は以下の公的機関・事業者の公表資料にもとづいて作成しています(最終確認: 2026年8月28日)。制度・価格は改定されるため、申し込み前に各リンク先で最新の内容をご確認ください。

  1. 資源エネルギー庁「買取価格・期間等」 (www.enecho.meti.go.jp)
  2. 農林水産省「営農型太陽光発電について」(令和8年1月) (www.maff.go.jp)
  3. 農林水産省「営農型太陽光発電設備について【令和6年4月改訂版】」 (www.maff.go.jp)
  4. NEDOの日射に関するデータベース (www.nedo.go.jp)
  5. 営農型太陽光発電取組支援ガイドブック(2025年度版) (www.maff.go.jp)
  6. 農林水産省「再生可能エネルギー発電設備を設置するための農地転用許可」 (www.maff.go.jp)
  7. 営農型太陽光発電設備設置状況等について(令和5年度末現在) (www.maff.go.jp)

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