自治体の蓄電池補助金は、「都道府県 → 市区町村」の順に公式サイト(.lg.jp)を直接開いて確認するのが最短です。 家庭向けに全国の自治体制度を横断検索できる公的データベースは見当たらず、金額の計算式も受付期間も併用ルールも自治体ごとに別物だからです。
そして2026年8月時点は、国の家庭用蓄電池補助金が新規申請できない期間です。使える可能性があるのは自治体の制度だけ、という前提から出発する必要があります。
【2026年8月25日時点】 国のDR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正・1申請あたり上限60万円)は2026年3月24日に公募が始まりましたが、2026年5月29日に交付申請額の合計額が予算に達したことを確認したため公募終了しています。次回公募の案内は掲載されていません。出典: SII 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業
この記事でわかること
- 自治体の補助金を探す順番と、公式サイトでの具体的な検索手順
- 見つけたページで読み取る5項目(金額の計算式・受付期間・着工前申請・併用可否・対象機器)
- 併用ルールが自治体ごとにどれだけ違うか(実在する制度で比較)
- 電話で確認するときの窓口名と、聞くべき質問
- 補助金が見つからなかったときの考え方
前提:国の制度は2026年8月時点で使えない
家庭用蓄電池向けの国の補助金は公募終了している
国のDR家庭用蓄電池事業(正式名称は「令和7年度補正 再生可能エネルギー導入拡大・分散型エネルギーリソース導入支援等事業費補助金(DRリソース導入のための家庭用蓄電システム等導入支援事業)家庭用蓄電システム導入支援事業」)は、当初2026年3月24日から12月10日までの公募期間が設定されていました。しかし公式サイトには「2026年5月29日(金)に交付申請額の合計額が予算に達したことを確認したため、公募は終了しました」と掲示されています(出典: SII DR家庭用蓄電池事業について)。
住宅省エネ2026キャンペーンにも蓄電池は入っていない
国の住宅系補助金としてまとめて案内されることの多い「住宅省エネ2026キャンペーン」は、2026年8月25日時点の公式サイトで、みらいエコ住宅2026事業・先進的窓リノベ2026事業・給湯省エネ2026事業・賃貸集合給湯省エネ2026事業の4事業で構成されています。家庭用蓄電システムを補助対象に挙げた事業は掲載されていません(出典: 住宅省エネ2026キャンペーン)。
つまり「国の補助金が出るうちに」という説明を受けたら、その場でこの2つの公式サイトを開いて確認するのが正しい対応です。経緯は国のDR補助金の終了と次回の見通しにまとめています。
自治体の補助金は国の交付金が原資になっていることがある
一方で、自治体の制度は動いています。理解を早めるために原資を押さえておきましょう。
大和市は自らの補助制度について、環境省「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金(重点対策加速化事業)」を活用したものだと明記しています(出典: 大和市 「自家消費」をしたい方へ)。この交付金の交付対象は地方公共団体等であり、個人が直接申請するものではありません(出典: 環境省 地域脱炭素推進交付金)。
国のお金が自治体を経由して住宅用設備の補助になっている例があるため、「同じ設備に国の補助事業と自治体の補助金を重ねてはいけない」という設計が生まれます。併用可否が自治体ごとにバラバラなのは、この構造が背景にあります。
調べる順番は「都道府県 → 市区町村」
基本の手順
- 都道府県名 + 「蓄電池 補助金」 で検索し、
pref.○○.lg.jpのページを開く - 都道府県の脱炭素ポータル等に市区町村のリンク集があれば、そこから自分の市区町村へ進む
- なければ**市区町村名 + 「蓄電池 補助金」**で検索し、
city.○○.lg.jpなどのページを開く - 開いたページが**今年度(令和8年度=2026年度)**のものかを確認する
都道府県を先に見るのは、金額の桁が大きい制度が都道府県レベルに置かれていることが多いためです。たとえば東京都の令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業は蓄電容量10万円/kWh、DR実証に参加しない場合で上限120万円/戸という設定です(出典: 東京都 家庭における蓄電池導入促進事業)。詳細は東京都の蓄電池補助金2026を参照してください。
都道府県が市区町村のリンク集を持っていることがある
- 東京都: 東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)が区市町村の補助金等情報を公開しています。区市町村ごとに「補助金例」と各自治体公式サイトへのリンクが並ぶリンク集で、詳細は各自治体サイトで確認する形式です。
- 神奈川県: かながわ脱炭素ポータルサイト 補助金・支援に、政令指定都市と地域ブロック別に整理された県内市町村のリンク集が置かれています。
ここで注意したいのが、家庭向けと事業者向けの取り違えです。神奈川県には国・県内市町村の補助金等という別のリンク集もありますが、こちらは冒頭に「ここに掲載されているものは、事業者を対象にしたもの」と明記されています。自治体サイトでは家庭向けと事業者向けが隣接して置かれているため、ページの対象読者を最初に確かめてください。
制度名に「蓄電池」が入らないことがある
自治体サイト内検索で「蓄電池」がヒットしない場合、制度名に蓄電池という語が入っていないだけ、というケースがあります。実際の制度名を並べると、そのばらつきがわかります。
| 自治体 | 令和8年度の制度名 |
|---|---|
| 東京都 | 家庭における蓄電池導入促進事業 |
| 埼玉県 | 家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金 |
| 神奈川県 | 令和8年度神奈川県住宅用太陽光発電・蓄電池導入費補助金 |
| 水戸市 | 令和8年度住宅用蓄電システム設置補助制度 |
| 宇都宮市 | 令和8年度宇都宮市家庭向け脱炭素化促進補助金 |
| 多摩市 | 令和8年度住宅用創エネルギー・省エネルギー機器等導入補助金 |
出典は本文中の各リンクのとおりです。「蓄電池」でヒットしないときは、脱炭素・創エネ・省エネ・再エネ・住宅用といった語でも検索してみてください。
見つけたページで読み取る5項目
1. 金額は「定額」「kWh単価」「経費の何分の1」のどれか
同じ蓄電池補助金でも、金額の決まり方は3種類に分かれます。
| 方式 | 実例 |
|---|---|
| 定額型 | 埼玉県は蓄電池「10万円/件」、水戸市は「最大5万円の補助金を交付します」 |
| 容量単価型 | 東京都は「蓄電容量:10万円/kWh」、宇都宮市は「1kWh当たり2万円(最大20万円)」、神奈川県は「蓄電システム台数に1台当たり15万円を乗じた額」 |
| 経費比例型 | 多摩市は「補助対象経費に4分の1を乗じた額」、大和市は「蓄電池容量(SII登録値)kWh×15万5千円の金額と家庭用蓄電池の設置に要する経費のいずれか少ない方の3分の1」 |
出典(いずれも令和8年度の制度ページ): 埼玉県、水戸市、東京都、宇都宮市、神奈川県、多摩市、大和市
経費比例型は施工店の見積額で受け取れる額が変わります。多摩市はさらに、市内事業者の利用で上限6万円、市外事業者なら上限4万円と地元事業者に差をつけています。
そして金額より先に確認したいのが、太陽光発電とセットであることを求められていないかです。ここで挙げた自治体では、蓄電池単独で申請できるほうが少数派でした。神奈川県は「住宅用の太陽光発電と蓄電池を併せて導入する経費の一部を補助します」として蓄電池単独を対象外とし、大和市は「太陽光発電設備と家庭用蓄電池(5kWh以上20kWh以下)の同時設置が必要」、多摩市は蓄電システムが「住宅用太陽光発電システムと連系されているもの」であること、宇都宮市は定置型蓄電池を「太陽光発電システムを導入後に申請」すること、水戸市は申請書類として「蓄電システムと太陽光発電システムを連系する旨の念書」を、それぞれ条件にしています。金額表を見比べる前に、この前提を先に読んでください。
2. 受付期間と「先着順」の記載
多くの制度は先着順で、期間が残っていても終わります。
- 大和市: 「補助金交付申請書により、先着順で受付けます」「申請件数が予算に達した場合など、申請期間中でも受付を終了することがあります」
- 多摩市: 「先着順となります。申請受付期間内であっても受付を終了していることがあります」
- 神奈川県(第2期): 「電子申請システムのみの先着順(500件程度)」「受付可能件数を超過してからの申請であった場合には、不受理になる可能性があります」
- 埼玉県: 「先着順での受付となります。補助金申請額が予算額に達した時点で申請の受付を終了します」
これは注意書きだけの話ではありません。埼玉県は令和8年5月18日に受付を開始した同じ補助金で、太陽光発電設備と太陽熱利用システムについて9日後の5月27日に「補助金申請額が予算額に達しましたので、受付を終了します」と掲示しています(蓄電池とエネファームは継続中)。
残り枠は公式サイトに書かれないことが多いため、ここは電話で聞く価値がある項目です。
3. 交付決定の前に着工してよいか
これを外すと補助金がゼロになります。
- 神奈川県: 「交付決定の日以降に事業の着手」が条件で、「交付決定通知書の日付よりも前に事業の着手をした場合には、補助金の交付ができません」
- 埼玉県: 「補助金交付申請書の提出後、各交付団体の交付決定を受けてから工事に着手すること」
- 大和市: 「設備設置工事着工予定日の2週間前までに申請書と添付書類を郵送又は持参で提出してください」
- 宇都宮市: 令和8年4月1日から令和9年3月31日までに契約を締結していることが条件で、申請は事業完了後
このように事前申請型と事後申請型が混在しています。施工会社に工期を相談する前に確認しておく項目です。申請の流れは補助金の申請方法と必要書類でも解説しています。
4. 国・上位自治体との併用可否
次章で詳しく比較します。
5. 対象機器の要件(SII登録済製品かどうか)
金額の条件をクリアしても、機器が対象外なら申請できません。
東京都は令和8年10月1日以降の事前申込について「SIIによって令和8年度の登録済製品一覧に登録された機器のみが助成対象となります」としています(令和8年4月1日から6月30日までに契約締結、または契約・工事完了した事業は除く)。大和市は補助額の計算に「蓄電池容量(SII登録値)」を用います。
SII(環境共創イニシアチブ)の蓄電システム登録済製品一覧では、メーカー名・SII登録型番・製品名に加え、蓄電容量、初期実効容量、電力変換装置タイプ、ECHONET Lite AIF認証の有無が確認できます。同ページには、令和4年度から令和7年度の登録済製品一覧はSIIの令和8年度の補助事業では対象外である旨も記載されています。「去年は対象だった型番」が今年も対象とは限りません。見積書の型番をこの一覧で照合しておきましょう。
併用ルールは自治体ごとに別物
同じ「国と自治体の併用」でも、結論が正反対になります。
| 自治体 | 併用に関する記載 |
|---|---|
| 多摩市 | 「国・都の補助金について併用が可能です」。ただし「補助対象経費から、国・都からの交付額・交付予定額を差し引いていただく必要があります」 |
| 東京都 | 「助成対象機器について、都及び公社の他の同種の助成金を重複して受けていないこと」が要件 |
| 埼玉県 | 「補助対象設備を同じにする国の補助事業及び国庫支出金を財源とする市町村の補助事業等との併用ではないこと」 |
| 大和市 | 国の補助金との併用は不可。「神奈川県の補助金との併用は可能です」 |
| 神奈川県 | 「国や市町村の補助金と併用できますか」に対し「可能です。ただし、補助金の種類により、県との併用を認めていない場合がありますので、御利用を検討されている補助制度の確認をお願いします」 |
読み取れるポイントは3つです。
- 併用可でも「満額×2」にはならないことがある。多摩市のように、上位の補助額を差し引いた残りが補助対象経費になる方式が使われます
- **禁止されるのは「同じ設備への重複」**という書き方が多い。埼玉県は「補助対象設備を同じにする」、東京都は「助成対象機器について」と、対象物を単位に判定しています
- 両方の要綱を突き合わせる必要がある。神奈川県が「県との併用を認めていない場合がある」と書いているとおり、片方が可でも相手方が不可なら併用できません
併用の考え方は補助金の併用ルールでさらに詳しく整理しています。
電話で確認するときの窓口と質問
担当課の名前は自治体ごとに違う
代表電話に「蓄電池の補助金の担当部署をお願いします」と伝えれば取り次いでもらえますが、実際の課名は次のように分かれています。
| 自治体 | 担当窓口 | 公開されている電話番号 |
|---|---|---|
| 埼玉県 | 環境部エネルギー環境課 住宅等省エネルギー推進担当(蓄電池は認定NPO法人環境ネットワーク埼玉) | 048-830-3042(蓄電池は048-767-6151) |
| 神奈川県 | 脱炭素戦略本部室 補助金審査事務局 | 050-1784-5835 |
| 水戸市 | 環境保全課 保全係 | 029-232-9154 |
| 宇都宮市 | 環境部 環境創造課 | 028-632-2408(直通) |
| 大和市 | 環境共生部 環境総務課 地球環境係 | 046-260-5493 |
| 多摩市 | 環境政策課 環境政策担当 | 042-338-6831 |
環境系の課に置かれることが多いものの、「エネルギー」「脱炭素」「環境創造」など名称は一定していません。神奈川県のように審査事務局へ外部委託している例もあります。さらに埼玉県は、蓄電池とエネファームの交付団体が県ではなく認定特定非営利活動法人環境ネットワーク埼玉で、県のページにも「蓄電池・エネファームについては、引き続き交付申請を受け付けております(問合せ先→電話 048-767-6151 認定特定非営利活動法人環境ネットワーク埼玉)」と別の連絡先が案内されています。制度のページに大きく載っている電話番号が、蓄電池の問い合わせ先とは限りません。
公式サイトに書かれていないことを聞く
電話で価値があるのは、ページに書かれていない情報です。
- 「現時点で予算はどのくらい残っていますか」(先着順制度の残枠)
- 「この型番は今年度の対象機器一覧に入っていますか」(SII登録の確認)
- 「交付決定前に工事を始めたら対象外になりますか」(着工タイミング)
- 「県(都)の制度と一緒に申請した場合、こちらの補助対象経費はどう計算しますか」(差し引きの有無)
- 「申請から交付決定まで、目安でどのくらいかかりますか」(工事日程の逆算)
補助金が見つからないとき、いつ動くか
制度がない自治体もある
すべての市区町村が蓄電池補助金を設けているわけではありません。市区町村になくても都道府県の制度が使える場合があるため、両方を確認する意味があります。ただし前述のとおり、制度が見つかっても太陽光発電とのセット設置が条件になっていることが多く、「蓄電池だけを後から足したい」という使い方では対象外になる制度が珍しくありません。
受付開始の時期は制度ごとにばらつく
令和8年度の受付開始を並べると、多摩市と宇都宮市が4月1日、大和市が4月10日、埼玉県が5月18日、東京都の事前申込が5月29日、神奈川県の第2期が9月7日と幅があります。「4月になれば一斉に始まる」という前提は成り立ちません。年度が替わったら早めに一度見て、受付前なら開始時期を控えておくのが現実的です。
補助金がなくても採算は変わる
補助金が見つからなくても、導入の判断材料はほかにもあります。2026年度の住宅用FIT(10kW未満)の買取価格は1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhです(出典: 資源エネルギー庁 買取価格・期間等)。売電単価が下がっているぶん、自家消費に回す価値が相対的に上がっており、これが蓄電池の投資回収に効いてきます。
「補助金がなくなる」という営業には注意する
国民生活センターは2021年6月3日に「家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意!」を公表しています。PIO-NETに寄せられた家庭用蓄電池の相談件数は2016年度325件、2017年度553件、2018年度926件、2019年度1,302件、2020年度1,314件と増加しており、「この値段は今日限り」と契約を急かされる事例が挙げられています。同センターは「その場で契約をせずに複数社から見積もりをとり比較検討しましょう」とアドバイスしています(出典: 国民生活センター)。
補助金の締切を理由に急かされたときこそ、この記事の手順で自分の目で公式ページを開いてください。見積書の読み方は見積書のチェックポイントで解説しています。
まとめ
- 自治体の補助金は都道府県 → 市区町村の順に、公式サイト(.lg.jp)を直接開いて確認する。家庭向けに全国を横断検索できる公的データベースは見当たらない
- 読み取る項目は金額の計算方式・受付期間と先着順・交付決定前の着工可否・併用可否・SII登録などの機器要件の5つ。制度名に「蓄電池」が入らないこともあるので、脱炭素・創エネ・省エネでも検索する
- 併用ルールは自治体ごとに正反対。多摩市は国・都と併用可(対象経費から差し引き)、埼玉県と大和市は国の補助事業との併用を認めていない。両方の要綱を突き合わせる
- 国のDR家庭用蓄電池事業は2026年5月29日に予算到達で公募終了しており、2026年8月25日時点で新規申請はできない。「国の補助金が使えるうちに」という説明は公式サイトで確認する