EVの電気代は「1kmあたり何Wh使うか × 電力量単価」だけで決まります。 日産サクラの交流電力量消費率は124Wh/km。月1,000km走るなら必要な電力量は124kWhで、電気の目安単価31円/kWhをかけると約3,840円です。ここに車種の違いも充電の仕方も全部乗ってくるので、まず自分の月間走行距離と契約単価を確認するのが早道です。
【2026年8月28日時点】 レギュラーガソリンの全国平均は169.9円/L(2026年8月24日時点の調査値、令和8年8月26日公表)。出典: 資源エネルギー庁「石油製品価格調査」。電気料金の目安単価は31円/kWh(税込、令和4年7月22日改定)。出典: 全国家庭電気製品公正取引協議会
この記事でわかること(数字はすべてメーカー公式・公的機関の公表値です)
- 走行距離別のEVの電気代の目安と、その計算の中身
- 自宅充電と急速充電で単価がどう変わるか
- 同クラスのガソリン車との燃料代の差
- 自動車税と自動車重量税で実際にいくら差がつくか
- 2026年8月時点の車両価格と補助金の現在地
EVの電気代は月いくら?走行距離別の目安
まず「交流電力量消費率」を公式値で押さえる
EVのカタログには「交流電力量消費率(WLTCモード・国土交通省審査値)」という項目があり、単位はWh/kmです。1km走るのに何Whの電力量を使うかを示す数字で、電気代の計算はここから始まります。
日産の公式諸元では以下のとおりです。
| 車種・グレード | 交流電力量消費率 | 一充電走行距離 | 総電力量 |
|---|---|---|---|
| サクラ S / X / G | 124Wh/km | 180km | 20kWh |
| リーフ B5 S | 118Wh/km | 521km | 55kWh |
| リーフ B5 X / B5 G | 131Wh/km | 469km | 55kWh |
| リーフ B7 X | 130Wh/km | 702km | 78kWh |
| リーフ B7 G | 133Wh/km | 685km | 78kWh |
出典: 日産サクラ 主要諸元(PDF)、日産リーフ 主要諸元(PDF)。リーフの値はプロパイロット2.0非装着車のもので、装着車は数値が変わります。
つまり実用的な国産EVはおおむね118〜133Wh/kmの範囲に収まっています。1kWhあたりに直すと7.5〜8.5km前後です。
走行距離別の電気代
上の消費率に電力量単価をかけただけの表です。単価は全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWh(税込)を使っています。
| 月間走行距離 | 必要電力量(124Wh/km) | 必要電力量(133Wh/km) | 電気代(31円/kWh) |
|---|---|---|---|
| 300km | 約37kWh | 約40kWh | 約1,150〜1,240円 |
| 500km | 62kWh | 約67kWh | 約1,920〜2,060円 |
| 1,000km | 124kWh | 133kWh | 約3,840〜4,120円 |
| 1,500km | 186kWh | 約200kWh | 約5,770〜6,180円 |
月1,000kmで4,000円前後、というのがひとつの目安になります。年間1万2,000km走る家庭なら電気代は年4.6〜4.9万円という計算です。
高速道路が多いと数字は上ぶれする
同じ諸元表にはモード別の内訳も載っています。サクラは市街地モード100Wh/km、郊外モード113Wh/km、高速道路モード142Wh/km。リーフB7 Gは市街地121Wh/km、郊外127Wh/km、高速道路145Wh/kmです。
高速道路中心の使い方だと、市街地中心より2〜4割多く電力量を使うことになります(サクラは100Wh/kmに対し142Wh/kmで約4割増、リーフB7 Gは121Wh/kmに対し145Wh/kmで約2割増と、車種によって差の大きさが違います)。上の表は総合値なので、通勤が高速中心の人は少し多めに見ておくのが安全です。加えて、冬のヒーターや夏のエアコンの使用状況で実測値が変わることは、日産の諸元表にも注記があります。
充電方法で単価はこう変わる
自宅充電:契約プラン次第で1〜2割動く
同じ124kWhでも、契約している電力量料金の単価で支払額は変わります。東京電力エナジーパートナーのスマートライフS/Lを例にとると、電力量料金は次のとおりです。
| 時間帯 | 電力量料金(税込) |
|---|---|
| 午前6時〜翌午前1時 | 35.76円/kWh |
| 午前1時〜午前6時 | 27.86円/kWh |
基本料金はスマートライフSが10Aあたり311.75円、スマートライフLは1kVAあたり311.75円です。出典: 東京電力エナジーパートナー「スマートライフS/L」。同ページには表示単価に燃料費調整額が含まれる旨の記載があり、単価は改定されるため契約前に最新の料金表を確認してください。
ここで見落としやすいのが、安い時間帯が午前1時〜午前6時の5時間しかないという点です。帰宅してすぐ充電を始めると割高な35.76円/kWhの時間帯に入ります。月1,000km分(124kWh)で比べると、35.76円なら約4,430円、27.86円なら約3,450円で、差は月約980円。充電器やタイマー機能で開始時刻を1時以降にずらせるかどうかが効いてきます。時間帯別プランの考え方は時間帯別電灯プランの選び方でも整理しています。
急速充電:単価が「kWh」ではなく「分」で決まる
外出先の急速充電は、多くのサービスが分単位の課金です。日産のZESP3の場合、プレミアム100は月額4,400円で急速充電100分(普通充電600分)が含まれ、課金は1分単位。カード1枚あたりの事務手数料は1,650円です(出典: 日産 ZESP3)。含まれる100分で割ると1分あたり44円相当という計算になります。
分課金の重要な帰結は、1kWhあたりの単価が一定にならないことです。同じ30分でも、充電器の出力と車両側の受入電力によって入る電力量が変わります。電池残量が多いときほど受入電力は落ちるため、満充電近くまで粘るほど分あたりの効率は悪くなります。
なおe-Mobility Powerは、多くの充電スポットで1回の利用時間の上限が30分に設定されていること、充電が終わったら速やかに車両を移動することを案内しています(出典: e-Mobility Power「充電器の使い方」)。急速充電は「長距離移動の途中で足す」用途に向いた設備で、日常の充電を置き換える前提の設備ではありません。自宅側の準備はEVの自宅充電設備ガイドにまとめています。
ガソリン車と燃料代を比べる
レギュラーガソリンの全国平均は169.9円/L(2026年8月24日時点)。この単価で1,000km走るのに必要な燃料代は次のようになります。
| 燃費 | 1,000kmに必要なガソリン | 燃料代 |
|---|---|---|
| 15km/L | 約66.7L | 約11,330円 |
| 20km/L | 50.0L | 約8,500円 |
| 23.2km/L | 約43.1L | 約7,320円 |
23.2km/Lは日産デイズ2WDの非ターボ車(X、ハイウェイスターX、ハイウェイスターXプロパイロットエディション)のWLTCモード燃料消費率(国土交通省審査値)です。同じデイズでも2WDターボは21.5km/L、4WDは21.0km/L、4WDターボは19.4km/Lで、グレードによって19.4〜23.2km/Lの幅があります(出典: 日産デイズ 主要諸元(PDF))。
同じ軽自動車どうし、サクラとデイズを月1,000kmで並べるとこうなります。
| 項目 | サクラ(124Wh/km) | デイズ 2WD X(23.2km/L) |
|---|---|---|
| 月1,000kmの燃料・電気代 | 約3,840円(31円/kWh) | 約7,320円 |
| 同(深夜27.86円/kWhで充電) | 約3,450円 | ー |
| 年12,000kmでの差 | 約4.2〜4.6万円安い | ー |
普通車クラスで、燃費15km/Lのガソリン車とリーフ(133Wh/km)を比べると、月1,000kmで約11,330円対約4,120円。差は月約7,200円、年間で約8.6万円です。走行距離が多いほど差が開く構造なので、月の走行距離が短い家庭ほどこの差は小さくなります。
税金は本当に安いのか
自動車税(旧・種別割):EVは1リットル以下の区分
※令和8年度税制改正で環境性能割が令和8年3月31日をもって廃止され、「自動車税種別割」は「自動車税」に、「軽自動車税種別割」は「軽自動車税」に名称が戻りました。以下、税率表など出典の引用は従前の名称のまま記載します。
自動車税(旧・種別割)は排気量で決まりますが、電気自動車には排気量がないため1リットル以下の区分が適用されます。東京都の税率表では以下のとおりです。
| 区分 | 年税額(自家用乗用車) |
|---|---|
| 電気自動車 | 25,000円 |
| ガソリン車 1リットル以下 | 25,000円 |
| ガソリン車 1〜1.5リットル | 30,500円 |
| ガソリン車 1.5〜2リットル | 36,000円 |
出典: 東京都主税局「自動車税種別割」。1.5リットルクラスのガソリン車と比べた差は年5,500円、2リットルクラスなら年11,000円です。桁が変わるほどの差ではありません。
なお、ここまで燃料代の比較に使ったサクラとデイズはどちらも軽自動車で、かかるのは都道府県税の自動車税ではなく市町村税の軽自動車税(旧・軽自動車税種別割)です。税額は市町村の条例で定められるため、軽同士の税額差を知りたい場合はお住まいの自治体の公表値を確認してください。
グリーン化特例による軽減もあります。適用期間は令和8年度税制改正で2年延長され令和8年4月1日〜令和10年3月31日、適用期間中に新車新規登録した場合の翌年度分のみが対象です(令和8年度に登録なら令和9年度分。国土交通省 グリーン化特例の概要PDF)。電気自動車も対象で、軽減幅は概ね75%とされています。
自動車重量税:エコカー減税で免税
自動車重量税については、電気自動車・燃料電池自動車・天然ガス自動車・プラグインハイブリッド自動車が新車新規登録等の際に免税となります。適用期間は令和8年5月1日から令和10年4月30日までで、適用期間中に新車新規登録等を行った場合に限り1回限りの特例です。あわせて初回継続検査時(最初の車検)も免税になります(出典: 国土交通省「エコカー減税(自動車重量税)の概要」PDF)。
免税されるのは新車新規登録時と初回継続検査時までで、それ以降の継続検査では本則税率が適用されます。「ずっと無税」ではない点に注意してください。
EVの電気代をさらに安くする4つの方法
方法1:充電の開始時刻を夜間帯に寄せる
前述のとおりスマートライフS/Lの安い時間帯は午前1時〜午前6時です。5時間で124kWhは入りませんが、月間分を数回に分ければ十分に間に合います。充電器側かクルマ側のタイマーで開始時刻を設定しましょう。
方法2:急速充電は長距離移動時に限定する
分課金の急速充電は、1回の上限が30分に設定されているスポットも多く、日常の充電手段としては効率が良くありません。日常は自宅の普通充電、遠出のときだけ急速充電、という切り分けが基本です。
方法3:太陽光発電の電気を自家消費に回す
「太陽光で充電すれば0円」という説明は正確ではありません。 電力会社への支払いは発生しませんが、その電気はFIT制度で売電できたものだからです。2026年度の住宅用(10kW未満)の買取価格は1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWh(資源エネルギー庁「買取価格・期間等」)。
つまり自家消費に回すコストは、実質的に売電単価そのものです。とはいえ買電の目安単価31円/kWhと比べれば、5年目以降は売るより自分で使ったほうが明確に有利になります。この考え方は太陽光の自家消費を増やす方法でも詳しく扱っています。
方法4:V2H・蓄電池の補助金の現在地を確認する
EVを家庭の蓄電池として使うV2Hについては、次世代自動車振興センターのV2H充放電設備補助(令和7年度補正)が予算到達により2026年8月27日到着分で受付を終了しました(8月28日以降の到着分は無効・次回公募は未公表)。車両のCEV補助金と戸建て住宅充電用コンセント補助金は2026年9月1日時点で受付が続いています(次世代自動車振興センター)。
一方、国の家庭用蓄電池向けのDR補助金(令和7年度補正、上限60万円/申請)は2026年5月29日に交付申請額が予算に達して公募が終了しており、次回の予定は公表されていません(SII)。自治体の助成は続いており、東京都の令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業は蓄電容量10万円/kWh、DR実証に参加しない場合の上限は120万円/戸です(東京都)。V2Hの仕組みはV2Hとは何か、補助金の全体像はEV・V2Hの補助金まとめを参照してください。
車両価格と補助金:2026年8月時点
ランニングコストの差は年数万円規模ですが、購入時の差はそれより大きく動きます。次世代自動車振興センターが公表している令和7年度補正CEV補助金の銘柄ごとの補助金交付額(令和8年8月27日現在、車両登録日が令和8年4月1日以降のもの)では、日産車は次のとおりです。
| 車種 | 補助金交付額(令和8年4月1日〜12月31日登録) | 令和9年1月1日以降の登録 |
|---|---|---|
| 日産リーフ(全グレード) | 129万円 | 100万円 |
| 日産サクラ(全グレード) | 58万円 | 58万円 |
出典: 次世代自動車振興センター「補助対象車両一覧」PDF。同一覧にはグレードごとの定価(メーカー希望小売価格・税抜)も併記されており、現行リーフはB5 Sの399.0万円からB7 Gの545.4万円まで(AUTECH・NISMOを含めると最高632.0万円)、サクラは222.6万〜280.2万円と記載されています。
注意したいのは、登録時期で交付額が変わる点と、処分制限期間が設定されている点です。自家用車両の処分制限期間はリーフが4年、サクラが4年とされており、期間内に手放すと補助金の返還が必要になる場合があります。補助金の受付状況と残額は変動するため、契約前に公式サイトで最新の情報を確認してください。
まとめ
- EVの電気代は「交流電力量消費率 × 走行距離 × 単価」で決まる。日産サクラ124Wh/km、リーフ118〜133Wh/km(WLTCモード・国土交通省審査値)で、月1,000kmなら目安単価31円/kWhで約3,840〜4,120円
- 同じ月1,000kmを軽ガソリン車(デイズ2WD X・WLTC 23.2km/L)で走ると、レギュラー169.9円/L(2026年8月24日時点)で約7,320円。燃料代の差は月約3,480円、年約4.2万円
- 税金の差は年5,500〜11,000円程度。自動車重量税はエコカー減税で新車新規登録時と初回継続検査時が免税だが、それ以降は本則税率
- 「太陽光で充電すれば0円」は不正確。売電できたはずの24円/kWh(1〜4年目)または8.3円/kWh(5〜10年目)が実質コスト。それでも買電31円/kWhより安い