2026年8月25日時点で、家庭のV2Hに使える国の補助金は「令和7年度補正のCEV補助金」1本だけです。 補助額は、V2H充放電設備の購入費に対して税抜価格の1/2以内かつ1基75万円まで、設置工事費に対して個人宅で1基55万円まで。上限どうしを足すと130万円になります。
ただし急ぎの話でもあります。この事業は先着順で、配分額約55億円に対し2026年8月21日時点の予算残額は約5億円とセンターが公表しています。書類の締切より先に、予算のほうが尽きる可能性があるということです。
【2026年8月25日時点】 V2H補助金の交付申請期間は2026年7月17日〜2026年9月30日17時です。ただし「交付申請額の累計が予算額に達した場合は、交付申請受付期限(令和8年9月30日)を待たずに受付を終了いたします」と告知されています。出典: 次世代自動車振興センター V2H充放電設備、V2H充放電設備・外部給電器 予算残高に関するお知らせ(2026年8月21日)
この記事でわかること
- 2026年8月時点で申請できるV2H補助金の正式名称と実施主体
- 上限額「設備75万円・工事55万円」の内訳と計算式
- 申請の要件(EV保有の証明、5年間の処分制限、国の他の補助金との重複不可)
- 自治体の上乗せの実例(東京都)と、国の補助金との併用ルール
- V2H機器のメーカー公表価格と、対応車種の確認方法
いま申請できるV2H補助金は「令和7年度補正のCEV補助金」
制度の正式名称と実施主体
V2Hの補助金は俗に「CEV補助金」と呼ばれますが、正式名称は**令和7年度補正「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金」**です。実施主体は一般社団法人次世代自動車振興センター(NeV)で、EV・PHEV車両そのものへの補助金とは別の事業として運営されています。
この補助金は、EV・PHEVへの充電と、EV・PHEV・FCEVから施設への放電(給電)ができる装置、つまりV2H充放電設備の導入費用を対象としています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名 | 令和7年度補正 クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金 |
| 実施主体 | 一般社団法人次世代自動車振興センター(NeV) |
| 交付申請期間 | 2026年7月17日(金)〜2026年9月30日(水)17時 |
| 実績報告期限 | 2027年1月29日(金) |
| 補助対象者 | 地方公共団体、法人(マンション管理組合法人・認可地縁団体を含む)、法人格をもたないマンション管理組合、個人 |
| 対象車両 | EV・PHEV・FCVである登録車および軽自動車 |
| 処分制限期間 | 設置が完了した日から5年間 |
出典: 次世代自動車振興センター 令和7年度補正 V2H充放電設備 応募要領
予算残高は繰り返し公表されている
この事業でいちばん気にすべきなのは、締切日より予算残高です。センターは8月4日、8月10日、8月21日と繰り返し残高を公表しており、2026年8月21日付の文書には次のように書かれています。
令和7年度補正予算で実施している「V2H充放電設備・外部給電器の導入促進補助事業」については、配分額を約55億円としておりますが、多数の交付申請を受理した結果、8月21日(金)現在、予算残額が約5億円になりましたことをお知らせいたします。 (出典: V2H充放電設備・外部給電器 予算残高に関するお知らせ)
同じ文書には「本事業は先着順で申請を受け付けており、交付申請額の累計が予算額に達した時点で受付を終了いたします」「予算額に達した日以降の申請については受理されず、無効となります」とも書かれています。あわせて8月21日には、申請が集中して審査に時間を要する可能性があるという案内も出ています(出典: 申請内容の審査状況について)。
検討中の方は、9月30日という日付を目標にするのではなく、最新の予算残高をセンターのサイトで確認したうえで動くのが現実的です。
補助額は「設備費75万円」と「工事費55万円」の二階建て
設備費:税抜価格の1/2以内、1基75万円まで
V2H充放電設備の本体に対する補助金は、次の2つのうち低いほうの額になります。
- V2H充放電設備の購入費(税抜)× 補助率 1/2以内
- V2H充放電設備の型式ごとにセンターが定める補助金交付上限額
交付規程の別表2では、V2H充放電設備1基あたりの補助金交付上限額を750千円(75万円)と定めています。ただし「型式ごとの上限額」はこれより低い機種があります。2026年7月17日更新の対象機器一覧では15社の型式が登録され、型式ごとの上限額は449,000円〜750,000円の幅があります。
| メーカー(例) | 型式(例) | 充電出力 | 放電出力 | 型式ごとの上限額 |
|---|---|---|---|---|
| ニチコン | VSG3-666CN7ES | 5.9kW | 5.9kW | 600千円 |
| ニチコン | VCG-666CN7 | 5.9kW | 5.9kW | 449千円 |
| デンソー | DNEVC-D6075-2 | 6kW | 6kW | 550千円 |
| 長州産業 | CV-M02A-N | 5.9kW | 5.9kW | 640千円 |
| 東光高岳 | CFD1-B-V2H1 | 3kW | 3kW | 500千円 |
| 新電元工業 | EVS010T200B | 11kW | 9.9kW | 750千円 |
出典: 補助対象V2H充放電設備一覧(別表1)型式ごとの補助金交付上限額(令和8年7月17日更新)
注意したいのは、この一覧は「補助対象として登録されている型式」の一覧であって、いま新品を発注できる型式の一覧ではないという点です。たとえば上の表で上限額がいちばん低いニチコンVCG-666CN7は、メーカーが「JET認証終了に伴い、2026年2月で生産終了となっております」と告知しており、流通しているのは2026年2月22日以前に出荷された販売店在庫のみです(出典: ニチコン EVパワー・ステーション VCGシリーズ)。補助対象一覧に載っていることと、購入できることは別に確認してください。
つまり「機器代の半額がそのまま戻る」とは限りません。同じ価格帯の機器でも、選ぶ型式によって上限額が20万円以上違うことがあります。見積もりの段階で、型式が一覧のどこに載っていて上限がいくらなのかを販売施工会社に確認しておきましょう。
工事費:定額(1/1以内)、個人宅は1基55万円まで
工事費のほうは補助率が違い、定額(1/1以内)、つまり条件を満たせば工事費の全額が対象になり得ます。個人宅・マンション(共用分電盤)・その他施設の場合、工事項目ごとの上限額は次のとおりです。
| 工事項目 | 項目ごとの補助上限額 |
|---|---|
| 基礎工事 | 35,000円 |
| 据付工事 | 80,000円 |
| 本体搬入費 | 15,000円 |
| 電気関連工事 | 300,000円 |
| 諸費用 | 120,000円 |
| 1基設置の場合の補助金交付上限 | 550,000円 |
出典: 応募要領 4-7. 設置工事の補助金交付額:公共施設・災害拠点以外(個人宅、マンション等(共用分電盤)、その他施設)
交付額は「工事項目ごと補助上限額の合計を審査した額」「工事費の合計を審査した額」「補助金交付上限額(55万円)」の3つのうち、いちばん低い額(千円未満切捨て)です。なお公共施設・災害拠点として申請する場合は上限が95万円になり、工事項目の立て方も別建てになります。
設備と工事を合わせた理論上の最大は130万円
設備費75万円と工事費55万円がどちらも満額に達した場合、1基あたりの合計は130万円です。ただしこれは上限どうしを足しただけの理論値で、機器の型式ごとの上限や実際の工事内容によって下がります。契約前に「この型式・この工事内容だといくらの見込みか」を書面で確認しておくことをおすすめします。
V2Hではない「普通充電コンセント」の補助金もある
V2Hまでは必要ないという場合、戸建て住宅の充電用コンセントを対象にした別枠もあります。こちらは設備の購入費と設置工事費の合算に対して定額(1/1以内)、上限50千円(5万円)、交付申請期間は2026年3月31日17時〜2026年9月30日17時です(出典: 戸建て住宅充電用コンセント 応募要領)。V2Hより金額は小さいものの、自宅での充電手段をまず確保したいという場合の選択肢になります。
申請前に押さえる5つのルール
1. 個人宅はEVの保有を書類で証明する
個人宅にV2H充放電設備を設置する場合、交付申請の添付書類として「電気自動車等を保有していることを証する書類」が必要です。自動車検査証(車検証)であれば、型式の記載と、燃料の種類が電気もしくは圧縮水素であることが確認できる必要があります。2023年1月以降(軽自動車は2024年1月以降)に発行される電子車検証には使用者の住所などが記載されないため、「自動車検査証記録事項」を併せて提出するよう案内されています。
2. 国の他の補助金とは重複できない
応募要領の交付要件には「国の他の補助金と重複していない申請であること」と明記されています。ただし同じ箇所に、**「地方公共団体の補助制度は、本補助金と重複して申請できる場合があります」**というただし書きが続きます。国どうしはダメ、国と自治体は可能性あり、という整理です。詳しい併用の考え方は補助金の併用ルールを整理した記事も参考にしてください。
3. 設置後5年間の処分制限がある
補助金を受けたV2H充放電設備は、設置が完了した日から5年間が処分制限期間です。この間は勝手に撤去・譲渡・売却・目的外使用ができません。設置場所の土地や給電対象施設の所有者が申請者と異なる場合は、5年間設置することを所有者が許諾したことを証する書類の提出が求められます。転居や建て替えの予定がある方は、この5年をどう見るかを先に決めておきましょう。
4. 先着順で、締切前に終わり得る
前述のとおり、この事業は先着順です。「9月30日17時までにオンライン申請システムで申請ボタンを押した申請が有効」というのが原則ですが、予算額に達すればその時点で終了します。センターに到着した日が予算到達日以降なら、申請は受理されず無効になります。
5. 実績報告の期限は2027年1月29日
交付決定を受けたあと、工事の完了と支払いの完了を経て実績報告を出す必要があります。**実績報告期限は2027年1月29日(金)**で、期限を過ぎると受け付けてもらえません。センターは「工事もしくは支払い完了の日から30日以内を目途に」実績報告を出すよう呼びかけています。個人が個人宅に設置する場合で割賦販売・ローン・クレジット契約を利用したときは、契約の締結をもって支払い完了として扱われます。
自治体の上乗せはどうなるか(東京都の例)
国の補助金と自治体の助成は併用できる場合があります。金額の規模がわかりやすいのが東京都の制度です。
令和8年度 戸建住宅におけるV2H普及促進事業
東京都(クール・ネット東京)の令和8年度事業では、助成額が次のように定められています。
| 区分 | 計算式 | 上限 |
|---|---|---|
| 通常の申請 | 助成対象経費 × 1/2 − 国その他の団体の補助金 | 50万円 |
| 増額申請 | 助成対象経費 × 10/10 − 国その他の団体の補助金 | 100万円 |
出典: クール・ネット東京 令和8年度 戸建住宅におけるV2H普及促進事業、同 手続きの手引き
増額申請ができるのは、V2H設置後の交付申請兼実績報告の時点で、要件を満たす太陽光発電システム(発電出力50kW未満、JETPVm認証またはIEC相当の認証を受けたモジュールなど)と、電気自動車もしくはプラグインハイブリッド自動車の両方を所有している場合です。
手引きに載っている試算例を見ると、制度の効き方がわかります。増額申請で本体70万円・工事40万円(計110万円)、国の補助金が70万円だったケースでは、都の助成額は40万円となり、国と都を合わせて110万円、つまり助成対象経費の全額に届く計算が示されています。一方で通常申請の試算例には、**国の補助が大きいと都の助成額が0円になり「都補助額が0となるケースにおいては申請できません」**と注記されたパターンも載っています。
事前申込が先、契約はその後
東京都の事業は、助成対象機器の売買契約やリース契約を締結する前に事前申込を行うのが原則です。令和8年度の事前申込受付期限は2027年3月31日(水)17時とされています。国のCEV補助金とはスケジュールの考え方が違うので、両方を狙うなら順序の設計が要になります。
お住まいの自治体の制度は都道府県だけでなく市区町村にもあります。東京都以外の地域については東京都の補助金制度を整理した記事の読み方を参考にしつつ、各自治体(.lg.jpドメイン)の公式ページで最新の受付状況を確認してください。
V2H機器の価格と対応車種を公式で確認する
メーカーが公表している価格
V2H充放電設備は、メーカーが希望小売価格を公表しているケースとオープン価格のケースが混在しています。公式サイトで金額が確認できるものを挙げます。
| メーカー・シリーズ | メーカー公表価格 | 備考 |
|---|---|---|
| ニチコン EVパワー・ステーション VSG3シリーズ | 1,280,000円(税抜) | 自動切替開閉器付き標準モデル。別途工事費 |
| ニチコン VSG3-666CN7HS / VSG3-666CN7HB(重塩害モデル) | 1,400,000円(税別) | 工事費・輸送費別 |
| ニチコン EVパワー・ステーション VCGシリーズ | 89.8万円〜(消費税別) | 別途工事費。全モデル生産終了済み(下記参照) |
出典: ニチコン EVパワー・ステーション VSG3シリーズ、VCGシリーズ
ただしVCGシリーズは、スタンダードモデル(VCG-663CN3、VCG-663-CN7)が2024年8月、プレミアムモデル(VCG-666CN7)が2026年2月に、いずれも生産終了となっています。89.8万円〜という価格は、これから新品を発注できる金額ではなく、販売店に在庫が残っていた場合の参考値として読んでください(メーカーは在庫分の販売継続と、生産終了後10年の性能保証部品の保有を告知しています)。VSG3シリーズには同様の生産終了告知は出ていません。
ニチコンは公式サイトのFAQで「実際のお取引価格は、販売店にご確認ください。別途、工事費が必要です」と明記しています。メーカー公表価格はあくまで基準で、実際の支払額は販売施工会社の見積もり次第という前提で読んでください。他社は価格を公表していないことが多く、その場合は「非公表(見積もりで確認)」が正確な理解です。
保証については、ニチコンはVSG3シリーズについて「安心の長期保証」として保証期間10年と表示し、適用には「事前確認書」「設置完了報告書」の提出が必要と注記しています。
出力は家庭用蓄電池より大きい
補助対象機器一覧に載っている充電出力は3kW〜11kW、放電出力は3kW〜9.9kWです。家庭用の200V普通充電が3kW前後であるのに対し、ニチコンはVSG3シリーズについて「200V/3kWの普通充電に対して最大約2倍のスピード(最大6kW未満)で充電できます」と説明しています。
容量の違いについても、ニチコンは公式サイトで「家庭用蓄電システムの容量が5kWh〜19.9kWhであるのに対して EVのバッテリーは車種によって〜100kWh前後と大容量です」と記載しています。停電時のバックアップという観点では、EVを電源として使えることの意味は小さくありません。蓄電池とV2Hのどちらを選ぶかで迷っている方は、EVのバッテリーとV2Hを比較した記事もあわせてどうぞ。
対応車種はメーカーの一覧で確認する
V2Hはどのクルマでも使えるわけではありません。ニチコンがVSG3シリーズについて公開している対応車種一覧(2026年8月25日確認)には、日産、三菱、トヨタ、レクサス、SUBARU、ホンダ、マツダ、スズキ、ダイハツ、BYD、Hyundai、KIA、メルセデス・ベンツの車種が掲載されています。一方で、テスラやBMWの車種はこの一覧に掲載されていません(出典: ニチコン VSG3シリーズ 対応車種)。
対応可否は機器のシリーズごと、そして車種の年式ごとに変わり得ます。カタログや販売店の口頭説明ではなく、メーカー公式の対応車種一覧に自分の車種名がそのまま載っているかを確認するのが確実です。V2Hの仕組みそのものから理解したい方はV2Hとは何かを解説した記事から読むとスムーズです。
蓄電池のDR補助金は終了している
「V2Hと蓄電池の両方に国の補助金を使う」という組み合わせは、2026年8月時点では成立しません。国のDR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正・上限60万円/申請)は2026年3月24日に公募が始まり、2026年5月29日に予算到達で公募が終了しています。次回公募は未公表です(出典: SII 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業)。この経緯はDR補助金の終了と次回見通しをまとめた記事で詳しく整理しています。
なお東京都の家庭における蓄電池導入促進事業のように、自治体側で蓄電池の助成が続いている地域はあります。国と自治体を分けて考えるのが実務的です。
まとめ
V2H補助金は「制度があるかどうか」ではなく「予算が残っているかどうか」で判断する段階に入っています。公式の数字だけを押さえておきましょう。
- 2026年8月時点で使える国のV2H補助金は令和7年度補正のCEV補助金のみ。交付申請期限は2026年9月30日17時、実績報告期限は2027年1月29日
- 補助額は設備費が税抜価格の1/2以内かつ1基75万円まで、工事費が個人宅で1基55万円まで。型式ごとの上限額は449千円〜750千円と幅がある
- 先着順で、配分額約55億円に対し2026年8月21日時点の予算残額は約5億円。期限前に受付終了となる可能性がある
- 国の他の補助金とは重複できないが、自治体の制度は併用できる場合がある。東京都は通常1/2で上限50万円、太陽光とEV等を所有する増額申請なら10/10で上限100万円
補助金の金額・受付状況は日々変わります。申請を検討する際は、次世代自動車振興センターとお住まいの自治体の公式ページで、その時点の情報を確認してください。