デンソーのV2H充放電器は、2026年9月時点で現行モデルが「SDシリーズ(DNEVC-SD6075)」の1系統だけです。 長く販売されてきたDシリーズ(DNEVC-D6075、DNEVC-D6075-2)は2026年2月22日に製造を終了し、在庫限りの販売になっています(デンソー公式)。
【2026年8月29日時点】 国のV2H補助金(令和7年度補正「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金」)は、2026年8月27日(木)中にセンターへ到着した申請をもって交付申請の受付を終了しました。8月28日以降に到着した申請は無効です。出典: 次世代自動車振興センター お知らせ(PDF)
この記事でわかること(数値はメーカー公式と公的機関の公表値です)
- 現行のSDシリーズと、製造終了したDシリーズの違い
- DNEVC-SD6075の公式スペックと、価格・保証の考え方
- 使える車と使えない車の条件
- 国と東京都の補助金が、いま申請できるのか
- 契約アンペアや施工業者など、導入前に詰める条件
現行はSDシリーズ、Dシリーズは2026年2月に製造終了
デンソーは2010年から経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム実証事業」の一環としてV2H充放電器を開発し、2019年に同社初のモデルを発売しました。現行のSDシリーズ(DNEVC-SD6075)は2024年1月18日に発表され、同年3月中旬からデンソーソリューションを通じて受注が始まっています(デンソー ニュースリリース)。改良点は3つです。
- セパレート化と小型軽量化 ── 前モデルの約91kgから約63%軽量化して約34kgに。据置に加えて外壁への設置も可能になった
- 停電時の運転切り替えを自動化 ── 前モデルは機器側と車両側の双方で手動操作が必要だった
- 充放電性能の効率化 ── 出力が比較的少ない軽負荷時に、効率を約10%向上
そして2026年2月26日、デンソーは「Dシリーズの『DNEVC-D6075』『DNEVC-D6075-2』は、2026年2月22日に製造を終了いたしました。在庫品がなくなり次第、販売を終了いたします」と告知しました(デンソー公式)。新規に検討するなら実質的にSDシリーズ一択です。
DNEVC-SD6075の公式スペック
デンソーの仕様ページに掲載されている内容です。
| 項目 | DNEVC-SD6075 |
|---|---|
| 構成 | パワーユニット+プラグホルダのセパレート(据置/壁掛) |
| 外形寸法 | パワーユニット W470×H620×D200mm、プラグホルダ W160×H355×D160mm |
| 本体質量 | パワーユニット 26.2kg、プラグホルダ 7.9kg |
| 充電時のAC入力電力 | 6kW未満 |
| 放電時のAC出力電力 | 連系時 6kW未満、自立時 6.0kVA未満(片相3kVA未満) |
| 防塵防水性能・設置環境 | IP55相当、屋外、耐塩仕様(重塩害対応タイプはオプション) |
| 使用周囲温度 | −20〜+50℃(日射影響を含む) |
| 価格 | オープン価格 |
製造終了したDシリーズはW809×H855×D337mm、約91kg、IP46(換気部除く)、運転時騒音 約45dBで、設置環境は屋外・標高2,000m以下・−20〜+40℃でした(Dシリーズ仕様)。SDシリーズは冷却方式が自然空冷になり、使用周囲温度の上限も+50℃まで広がっています(SDシリーズ仕様)。ただしSDシリーズの仕様表に騒音値の記載はなく、静音性を数値で比較することはできません。実測値は販売店に確認してください。
充放電を止める充電率は5%刻みで設定できます。手動充電・タイマー充電は30〜100%、余剰電力充電タイマーとグリーンタイマーは50〜100%、連系運転時の放電は0〜80%、自立運転時の放電は0〜30%の範囲です(充電・放電のFAQ)。太陽光の余剰が出た時間帯だけEVに充電する「グリーンタイマー」も使えます(特長ページ)。
価格はオープン価格。費用の見当は公的な上限額から読む
デンソーは価格を**「オープン価格」**と明記し、メーカー希望小売価格を公表していません。設置費用も「建物の状況等により異なります」「販売店が調査後にお見積り」との回答です。本体・工事とも、見積もりを取らないと金額は確定しません。
規模感の手がかりが、国の補助金で設定されていた上限額です。機器の交付額は「購入費(税抜)×補助率1/2」と「型式ごとの補助金交付上限額」の低いほうでした(型式ごとの補助金交付上限額 PDF、令和8年7月17日更新)。
| 型式 | 充電/放電出力 | 補助金交付上限額 |
|---|---|---|
| DNEVC-SD6075 | 6kW / 6kW | 74万円 |
| DNEVC-SD6075S | 6kW / 6kW | 75万円 |
| DNEVC-D6075-2 | 6kW / 6kW | 55万円 |
工事費は個人宅なら1基設置で55万円が補助上限で、内訳は基礎工事3.5万円・据付工事8万円・本体搬入費1.5万円・電気関連工事30万円・諸費用12万円でした(応募要領 PDF)。電気関連工事の枠が突出して大きい点からも、分電盤まわりが費用の中心だとわかります(V2Hの設置費用)。
対応車種はCHAdeMO放電対応が条件
SDシリーズの対応車種一覧(2026年8月現在)には、日産、三菱、トヨタ・LEXUS、ホンダ、ダイハツ、SUBARU、Mercedes-Benz、マツダ、BYD、Hyundai、KIAの車種が、年式・型式・総電力量・充電上限・放電下限まで掲載されています。トヨタ車ではbZ4X(71.4kWh、57.7kWh、74.7kWh)やRAV4 Z、アルファードPHEVなどが対象です。
ただし可否はメーカー単位ではなく個別の車両で決まります。公式一覧には次の注意書きがあります。
- CHAdeMO放電対応車種以外は使用できない。2023年3月以降に発売されたプリウスPHEVはCHAdeMO放電非対応のため利用不可
- 燃料電池車のMIRAI、クラウンセダンFCEVは停電時のみ使用可能(平常時は使えない)
- プリウスPHEVやアルファードPHEVなどは、エンジンがかかった状態では充放電できない
- 一覧にない車種は「設置・使用は控えてほしい」とされている
自分の車で使えるかは公式一覧で年式・型式まで照合してから判断するのが正解です(bZ4XとV2H)。
補助金は2026年8月時点でこうなっている
国の補助金は、2026年8月29日時点で新規申請ができません。 令和7年度補正のV2H充放電設備補助は交付申請期間を2026年7月17日〜9月30日としていましたが、8月28日到着分で予算額を超えたため期間が短縮され、8月27日(木)中に到着した申請をもって受付終了となりました(次世代自動車振興センター お知らせ PDF)。次回の公募予定は公表されていません。
一方、自治体の助成は続いています。東京都の令和8年度「戸建住宅におけるV2H普及促進事業」は受付中です(事業ページ、手続きの手引き PDF)。
- 通常の申請:助成対象経費×1/2 − 国その他の補助金(上限50万円)
- 増額申請(要件を満たす太陽光とEV・PHEVを所有する場合):助成対象経費の全額 − 国その他の補助金(上限100万円)
- 受付終了日:2027年3月31日(水)17時
- 主な要件:都内の戸建住宅への設置(共同住宅・二世帯住宅は対象外)、中古品でないこと、2026年4月1日〜2028年9月29日に設置、設置日にCEV規程に基づく補助対象V2Hであること、原則として機器の契約前に事前申込(2026年4月1日〜6月30日に契約した分のみ例外)
「CEV規程に基づく補助対象V2H」という条件は、機器が次世代自動車振興センターの型式一覧に載っている必要があるという意味で、DNEVC-SD6075とDNEVC-SD6075Sはいずれも掲載されています。制度は年度と地域で違うのでV2H補助金の全体像も確認してください。
導入前に詰めておきたい6つの条件
- 電力契約の容量 ── デンソーは導入に「40A〜60Aでの契約や6kVA以上の契約」が必要とし、倍速充電を十分に活用するには8kVA以上を勧めています(電力契約のFAQ)。
- 施工できる業者が限られる ── 施工にはデンソーの施工説明会(Web会議・およそ月1回開催)の受講が必須で、受講後に付与された施工IDとパスワードを機器に入力しないと施工できません(施工説明会のご案内、ダウンロード資料)。
- 申請と工期 ── 電力会社への系統連系申請が要り、太陽光の余剰売電をしている場合はJPEAへの申請も必要です。工事は1日〜1日半程度で、うち1時間程度は邸宅全体が停電します(設置のFAQ)。
- 停電時に何が動くか ── 自立運転の出力は6.0kVA未満(片相3kVA未満)。デンソーは「EVからの供給可能電力量が40kWh、家庭の1日の使用電力量が10kWhであれば約3〜4日間」を目安に挙げています。自動放電が始まるのは停電時にコネクタが接続・ロックされている場合です(特長ページ)。
- 保証の条件 ── 一般住宅向けは引き渡し日から10年間(一般住宅以外は1年間)。ただし事前確認書と施工完了報告書の提出が条件です(保証・メンテナンスのFAQ)。
- 設置場所の制約 ── 標高2,000m以上には設置できません。重塩害エリアでは重塩害対応タイプが必要です(設置のFAQ)。
他メーカーとの位置づけはV2H機器の比較とニチコンのV2Hも参考になります。
まとめ
- デンソーのV2Hは現行がSDシリーズ(DNEVC-SD6075)。Dシリーズは2026年2月22日に製造終了し、在庫限りの販売
- 価格はオープン価格。本体・工事とも販売店の見積もりで確認する
- 国のV2H補助金は2026年8月27日到着分で受付終了。東京都の助成(1/2・上限50万円、増額申請なら全額・上限100万円)は2027年3月31日まで受付中
- 対応車種はCHAdeMO放電対応が条件。2023年3月以降のプリウスPHEVのように、同じ車名でも年式で使えないことがある