電気の「1kWhいくら」は、料金表に書いてある電力量料金だけでは決まりません。 実際に払っている単価は、電力量料金に燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)を足し、さらに基本料金を上乗せした合計を、使った量(kWh)で割った数字です。
そして2026年8月時点では、燃料費調整額が大きなマイナスになっています。料金表の単価をそのまま足し算すると、実際より高く見積もることになります。この記事では、電力会社と省庁が公表している単価だけを使って、実質単価の出し方と現在の水準を確認します。
【2026年8月25日時点】 燃料費調整単価は毎月見直されます。また国の電気・ガス料金支援による値引き単価(低圧供給)は、2026年8月分が3.50円/kWh、2026年9月分が4.50円/kWhという期間限定の措置です。実際の単価は契約中の電力会社の公式ページで最新のものを確認してください。出典: 東京電力エナジーパートナー 燃料費調整のお知らせ(2026年9月分)
この記事でわかること
- 1kWhの単価を構成する4つの要素と、実質単価の計算式
- 2026年度の再エネ賦課金4.18円/kWhと、その適用期間
- 公表単価から計算した2026年8月時点の実質単価の水準
- 検針票から自分の実質単価を出す手順
- 「売る1kWh」と「買う1kWh」の値段の差、単価を下げる手段と注意点
「1kWhの単価」は4つの要素の足し算
実質単価の計算式
家庭の電気料金は、次の4つで構成されます。
| 構成要素 | 何で決まるか | 使用量に比例するか |
|---|---|---|
| 基本料金(または最低料金) | 契約アンペア数・契約容量 | しない(固定) |
| 電力量料金 | 使用量。段階制のプランでは使うほど単価が上がる | する |
| 燃料費調整額 | 貿易統計の平均燃料価格。毎月変動 | する |
| 再エネ賦課金 | 国が毎年度決める全国一律単価 | する |
したがって、実質的な1kWhあたりの単価は次の式で出ます。
実質単価(円/kWh)=(基本料金 + 電力量料金 + 燃料費調整額 + 再エネ賦課金)÷ 使用量(kWh)
基本料金は使用量に比例しないので、同じプランでも使う量が少ない月ほど実質単価は高くなります。一方、段階制のプランでは使う量が多い月ほど電力量料金の単価が上がります。1つの数字で「うちは1kWh◯円」と言い切れないのはこのためです。
再エネ賦課金は2026年度4.18円/kWhで全国一律
再エネ賦課金は、FIT制度・FIP制度で買い取られた再生可能エネルギー電気の費用を、電気を使う全員で分担する仕組みです。資源エネルギー庁は「再エネ賦課金の単価は、全国一律の単価になるよう調整を行います」「ご負担額は電気の使用量に比例します」と説明しています(出典: 資源エネルギー庁 FIT・FIP制度 制度の概要)。
経済産業省が2026年3月19日に公表した内容は次のとおりです。
- 2026年度の賦課金単価: 1kWhあたり4.18円
- 適用期間: 2026年5月検針分の電気料金から2027年4月検針分の電気料金まで
- 1か月の電力使用量が400kWhの需要家モデル(総務省家計調査に基づく一般的な世帯の1か月の電力使用量)では、月額1,672円、年額20,064円
(出典: 経済産業省 再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します)
つまり、どの電力会社と契約していても、この4.18円/kWhが上乗せされます。仕組みの詳細は再エネ賦課金とは何かで解説しています。
燃料費調整額は毎月動く。2026年8月時点はマイナス
燃料費調整制度は、原油・LNG・石炭の輸入価格の変動を電気料金に自動反映する仕組みです。平均燃料価格が基準を上回ればプラス調整、下回ればマイナス調整になります。
東京電力エナジーパートナーが公表している関東エリア・低圧の燃料費調整単価(税込)は次のとおりです。
| 適用年月 | 燃料費調整単価(税込) | 国の電気・ガス料金支援の値引き |
|---|---|---|
| 2026年9月分 | -10.96円/kWh | 4.50円/kWh(単価に反映済み) |
| 2026年8月分 | -10.27円/kWh | 3.50円/kWh(単価に反映済み) |
| 2026年7月分 | -7.19円/kWh | なし |
| 2026年6月分 | -7.30円/kWh | なし |
| 2026年5月分 | -7.37円/kWh | なし |
2026年9月分は、国の電気・ガス料金支援を反映する前が-6.46円/kWh、反映後が-10.96円/kWhです。差の4.50円/kWhが国の値引き分にあたります(出典: 東京電力エナジーパートナー 燃料費調整のお知らせ(2026年9月分)、燃料費調整単価等一覧)。
ここで押さえておきたいのは、マイナス幅のうち少なくない部分が期間限定の国の支援だということです。同社の一覧によれば、支援による値引き単価(低圧供給)は2026年2月分から3月分までが4.50円/kWh、4月分が1.50円/kWh、5月分から7月分は設定なし、8月分が3.50円/kWh、9月分が4.50円/kWhと、月によって有無も金額も変わっています。「今の単価がこの先も続く」という前提で設備投資の回収年数を計算するのは避けたほうが安全です。
最新の公表単価(2026年9月分)で実質単価を計算する
ここからは、東京電力エナジーパートナーの公表単価を使って具体的に計算します。使うのは、2026年8月25日時点で最新の2026年9月分の単価です。他エリアの方は、契約中の電力会社の公式ページで同じ手順を踏んでください。
従量電灯Bの単価(税込・1か月)
| 項目 | 単価 |
|---|---|
| 基本料金 10A | 311円75銭 |
| 基本料金 20A | 623円50銭 |
| 基本料金 30A | 935円25銭 |
| 基本料金 40A | 1,247円00銭 |
| 基本料金 50A | 1,558円75銭 |
| 基本料金 60A | 1,870円50銭 |
| 電力量料金 第1段階(最初の120kWhまで) | 29円80銭/kWh |
| 電力量料金 第2段階(120kWhをこえ300kWhまで) | 36円40銭/kWh |
| 電力量料金 第3段階(上記超過) | 40円49銭/kWh |
| 最低月額料金 | 328円08銭 |
自由料金の「スタンダードS」(関東エリア)も、基本料金311円75銭/10A、電力量料金29.80円 / 36.40円 / 40.49円と同じ単価です(出典: スタンダードS・L(関東エリア))。
30A・260kWhのモデルは約30円/kWh
同社は毎月、従量電灯B・30A契約・使用電力量260kWhの平均モデルで請求額を公表しています。
| 適用年月 | 電気・ガス料金支援 反映前 | 反映後 |
|---|---|---|
| 2026年9月分 | 9,013円 | 7,843円 |
| 2026年8月分 | 8,933円 | 8,023円 |
このモデル料金には消費税等相当額、燃料費調整額、再エネ賦課金が含まれます(出典: 東京電力エナジーパートナー 燃料費調整のお知らせ(2026年9月分))。
260kWhで割ると、実質単価はこうなります。
- 2026年9月分・支援反映後: 7,843円 ÷ 260kWh = 約30.2円/kWh
- 2026年9月分・支援反映前: 9,013円 ÷ 260kWh = 約34.7円/kWh
国の支援がなくなるだけで、実質単価は約4.5円/kWh上がるという関係です。
400kWh使う家庭ならいくらか
上の公表単価を使って、40A契約・月400kWhのケースを本記事で試算すると次のようになります(2026年9月分の単価、燃料費調整は支援反映後の-10.96円/kWhを使用)。
| 内訳 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 基本料金(40A) | — | 1,247円 |
| 電力量料金 第1段階 | 120kWh × 29.80円 | 3,576円 |
| 電力量料金 第2段階 | 180kWh × 36.40円 | 6,552円 |
| 電力量料金 第3段階 | 100kWh × 40.49円 | 4,049円 |
| 燃料費調整額 | 400kWh × -10.96円 | -4,384円 |
| 再エネ賦課金 | 400kWh × 4.18円 | 1,672円 |
| 合計 | 12,712円 |
実質単価は 12,712円 ÷ 400kWh = 約31.8円/kWh。同じ条件で燃料費調整を支援反映前の-6.46円/kWhにすると合計14,512円、約36.3円/kWhになります。
ただし、この試算は40A契約、先ほどのモデルは30A契約なので、差には基本料金の違いも混ざっています。契約を30Aに揃えて400kWhで計算すると合計12,400円=約31.0円/kWh。それでも260kWhのモデル(約30.2円/kWh)より高いという結果です。使用量が増えると第3段階(40円49銭/kWh)の比率が上がるためで、段階制プランでは「使えば使うほど1kWhが高くなる」ことが数字で確認できます。
自分の検針票から実質単価を出す
一番簡単な出し方
検針票またはWeb明細を開いて、次の割り算をするだけです。
1か月の請求金額 ÷ 1か月の使用電力量(kWh)= 実質単価(円/kWh)
請求金額には基本料金も燃料費調整額も再エネ賦課金も入っているので、これが「自分が実際に払っている1kWhの値段」です。エアコンを使う夏・冬と、使わない春・秋の2か月分を計算しておくと、季節による振れ幅も見えます。
基本料金を抜いた単価も出しておく
太陽光発電や蓄電池で購入電力を減らしたときの効果を見積もるなら、基本料金は減らないことを踏まえた計算が必要です。基本料金は契約アンペアを下げないかぎり変わらないため、購入電力が1kWh減ったときに減るのは「電力量料金+燃料費調整額+再エネ賦課金」の分だけです。
(請求金額 - 基本料金)÷ 使用電力量 = 使用量に連動する単価
先ほどの30A・260kWhモデルなら、(7,843円 - 935円)÷ 260kWh = 約26.6円/kWh。実質単価の約30.2円/kWhより3円以上低くなります。削減効果の試算に30.2円を使うと、効果を1割以上多く見積もることになるので注意してください。
時間帯別プランに変えると単価はどう変わるか
蓄電池やエコキュートを使う家庭では、時間帯別プランが選択肢になります。東京電力エナジーパートナーの「スマートライフS・L」の単価は次のとおりです。
| 項目 | 単価(税込) |
|---|---|
| 基本料金(スマートライフS・10〜60A) | 311円75銭(10Aにつき) |
| 基本料金(スマートライフL・6kVA以上) | 311円75銭(1kVAにつき) |
| 電力量料金 午前6時〜翌午前1時 | 35円76銭/kWh |
| 電力量料金 午前1時〜午前6時 | 27円86銭/kWh |
| 最低月額料金 | 328円08銭 |
ここに燃料費調整額と再エネ賦課金が加わります。2026年9月分の単価で計算すると、実際に払う単価は次のようになります。
- 昼(午前6時〜翌午前1時): 35.76 - 10.96 + 4.18 = 約28.98円/kWh
- 夜(午前1時〜午前6時): 27.86 - 10.96 + 4.18 = 約21.08円/kWh
燃料費調整額と再エネ賦課金は時間帯によらず同額なので、昼夜の差は7円90銭/kWhで固定です。この差が、蓄電池で夜間に充電して昼間に使う運用の経済的な根拠になります。ただし、時間帯別プランは第1段階のような安い単価帯がなく、午前6時から翌午前1時までの19時間が35円76銭/kWhです。夜間に電気を寄せられない生活パターンだと、かえって不利になります。
比較の考え方は時間帯別料金プランの選び方で詳しく整理しています。
「売る1kWh」と「買う1kWh」は値段が違う
太陽光発電を検討している場合、買う単価と売る単価を並べておくと判断がしやすくなります。
2026年度の住宅用太陽光発電(10kW未満)の買取価格は、初期投資支援スキームにより1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhです。この価格は2025年度下半期から前倒しで適用されています(出典: 経済産業省 2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価)。
先ほどの実質単価(約30.2円/kWh、支援反映後)と並べると、こうなります。
| 1kWhの使い道 | 金額 |
|---|---|
| 電力会社から買う | 約30.2円(2026年9月分・30A・260kWhモデル) |
| 売る(1〜4年目) | 24円 |
| 売る(5〜10年目) | 8.3円 |
発電した電気は、売るより自分で使ったほうが1kWhあたりの価値が高いという関係です。5年目以降は買う単価が売る単価の3倍以上になります。この差が、蓄電池で余剰電力をためて夜に使うという発想の出発点です。判断材料は売電と自家消費どちらが得かにまとめています。
なお、国の支援がなくなって買う単価が約34.7円/kWhに戻れば、この差はさらに広がります。逆に燃料価格が下がれば縮まります。単価差は固定ではないという点は押さえておいてください。
単価を下げる手段と、その前に確認すること
1. 契約アンペアの見直し
基本料金は使用量に関係なく毎月かかるため、契約アンペアを下げると実質単価がそのまま下がります。東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bで60Aから40Aに変更すると、基本料金は1,870円50銭から1,247円00銭になり、月623円50銭の差です。
ただしアンペアを下げすぎるとブレーカーが落ちます。同時に使う機器の合計をあらかじめ確認してから決めてください。IHクッキングヒーターやエコキュートを使う家庭では下げる余地が小さいことが多いです。
2. プラン・電力会社の見直し
自由化以降、基本料金なしのプランや、段階制ではなく一律単価のプランが選べます。ただし比較するときは、電力量料金だけでなく燃料費調整の扱いまで確認する必要があります。会社によって燃料費調整の算定方法や上限の有無が異なり、単価表だけを見比べると比較になりません。
切り替えの勧誘については、国民生活センターが注意喚起を出しています。2026年2月10日公表の資料では、「一人暮らしをしているアパートに事業者が訪ねてきて『このアパート全体の電力プランが変更になる。電気料金も安くなる』と言い、申込書を出してきたので記入してしまった」といった相談事例が紹介されており、消費者へのアドバイスとして次の点が挙げられています(出典: 国民生活センター 電気・ガスの契約トラブルにご注意!)。
- 契約先の事業者名や契約条件などをしっかりと確認し、料金プラン等の説明を受けたうえで契約の要否を検討する
- 契約の意思がない場合ははっきりと断り、検針票の記載情報は慎重に取り扱う
- 電気・ガスの契約と同時に別のサービスを勧誘された際は、本当に必要かよく検討する
同センターのテーマ別特集でも、「検針票の記載情報(氏名(契約名義)、住所、顧客番号、供給地点特定番号等)は慎重に取り扱い、情報を聞かれてもすぐ教えないようにしましょう」と案内されています(出典: 国民生活センター 電力・ガスの契約トラブル)。単価を下げる話と、玄関先で検針票を見せる話は別です。
3. 太陽光発電による自家消費
購入する電気そのものを減らすアプローチです。前述のとおり、自家消費した1kWhは購入単価分の価値があります。ただし基本料金は減らないため、削減効果の試算には「基本料金を抜いた単価」(先ほどの例で約26.6円/kWh)を使うのが正確です。
設置費用は施工条件や屋根形状で大きく変わり、メーカーがオープン価格としている製品も多いため、費用は複数社の見積もりで確認するという前提で考えてください。
4. 蓄電池と補助金の現状
蓄電池は、昼夜の単価差(スマートライフSなら7円90銭/kWh)と停電対策を組み合わせて判断する設備です。導入コストが単価差だけで回収できるかは、容量・使い方・保証期間に左右されます。
補助金の状況は2026年8月時点で次のとおりです。
- 国: DR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正、上限60万円/申請)は2026年3月24日に公募が始まり、2026年5月29日に交付申請額の合計額が予算に達したため公募終了しています。次回公募は未公表で、2026年8月時点で新規申請はできません(出典: SII 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業)。詳しくは国のDR補助金の終了と次回の見通しにまとめています。
- 東京都: 令和8年度の家庭における蓄電池導入促進事業は、蓄電池パッケージが蓄電容量1kWhあたり10万円(DR実証に参加しない場合は上限120万円/戸)、蓄電池ユニット増設が1kWhあたり6万円(同じく上限72万円/戸)。令和8年10月1日以降に事前申込をする場合は、SIIが令和8年度の登録済製品一覧に登録した機器のみが対象になります。ただし、令和8年4月1日から6月30日までに契約締結または契約・工事完了した事業は除きます(出典: 東京都 家庭における蓄電池導入促進事業)。詳細は東京都の蓄電池補助金2026を参照してください。
「国の補助金が出るから今が安い」という説明を受けたら、その場で公募状況を確認してください。
まとめ
- 1kWhの実質単価は「基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再エネ賦課金」の合計を使用量で割った金額。料金表の電力量料金だけでは決まらない
- 2026年度の再エネ賦課金は全国一律4.18円/kWh(2026年5月検針分〜2027年4月検針分)。400kWhモデルで月1,672円、年20,064円
- 東京電力エナジーパートナーの公表モデル(従量電灯B・30A・260kWh)は2026年9月分で7,843円=約30.2円/kWh。国の電気・ガス料金支援を反映しなければ9,013円=約34.7円/kWh
- 自分の単価は請求額÷使用量で計算できる。設備投資の効果を見るときは基本料金を抜いた単価(同モデルで約26.6円/kWh)を使う。燃料費調整と国の支援は毎月変わるため、今の単価が続く前提で回収年数を組まない