電気代の明細に並ぶ項目は「基本料金」「電力量料金」「燃料費調整額」「再エネ賦課金」の4つ。そして2026年8月時点の東京電力エリアでは、このうち燃料費調整額が大きなマイナス(値引き)で、合計額だけを眺めても何が効いているのかは見えません。
【2026年8月28日時点】 2026年度の再エネ賦課金は全国一律1kWhあたり4.18円(2026年5月検針分から2027年4月検針分まで適用)。東京電力エナジーパートナーの関東エリア低圧の燃料費調整単価は2026年9月分で▲10.96円/kWh(国の電気・ガス料金支援4.50円/kWhを含む)。出典: 経済産業省「2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」、東京電力エナジーパートナー「燃料費調整単価等一覧」
この記事でわかること(金額はすべて電力会社および経済産業省の公表値です)
- 電気代を構成する4項目が、それぞれ何で決まるか
- 東京電力 従量電灯B(30A・260kWh)1か月分を公表単価どおりに分解した金額
- 燃料費調整額がいまマイナスである理由と、国の値引き支援の扱い
- 明細に出てこない「託送料金」の中身
- 内訳を踏まえて、どこから手を付けると効くか
電気代は4つの要素で構成されている
請求額は次の4つの合計です。
| 構成要素 | 何で決まるか | 変動のしかた |
|---|---|---|
| 基本料金(または最低料金) | 契約アンペア数、またはプランごとの定額 | 使用量が変わっても原則一定 |
| 電力量料金 | 使ったkWh × 段階別の単価 | 使った分だけ増える |
| 燃料費調整額 | 使ったkWh × 毎月の燃料費調整単価 | 毎月変わる。マイナスにもなる |
| 再エネ賦課金 | 使ったkWh × 年度ごとの全国一律単価 | 年1回、5月検針分から切り替わる |
比率は電力会社・契約・その月の燃料価格で変わるため、「基本料金が◯%」という固定の目安は成り立ちません。実額で見たほうが早いので、公表単価をそのまま当てはめて計算します。
30A・260kWhの1か月を分解する
東京電力エナジーパートナーがモデル料金に使う条件(従量電灯B、30A、260kWh)に、同社の料金単価表と2026年9月分の燃料費調整単価、2026年度の再エネ賦課金単価を掛け合わせた機械的な試算です。口座振替割引は含めていません。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 基本料金(30A) | 1契約 | 935円25銭 |
| 電力量料金 第1段階 | 120kWh × 29円80銭 | 3,576円00銭 |
| 電力量料金 第2段階 | 140kWh × 36円40銭 | 5,096円00銭 |
| 燃料費調整額 | 260kWh × ▲10円96銭 | ▲2,849円60銭 |
| 再エネ賦課金 | 260kWh × 4円18銭 | 1,086円80銭 |
| 合計 | 約7,844円 |
構成比に直すと基本料金が約11.9%、電力量料金が約110.6%、燃料費調整額が約▲36.3%、再エネ賦課金が約13.9%。電力量料金だけで請求額を超え、燃料費調整額のマイナスがそれを削っているという形です。合計に対する割合では語れない、というのがまず押さえるべき点になります。
基本料金の仕組みと見直しポイント
基本料金はアンペア数で決まる
東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bは、契約の大きさを原則10〜60Aの範囲で申し出により決めます。基本料金は次のとおりです(税込・1か月、2026年8月28日閲覧)。
| 契約アンペア | 基本料金(税込) |
|---|---|
| 10A | 311円75銭 |
| 15A | 467円63銭 |
| 20A | 623円50銭 |
| 30A | 935円25銭 |
| 40A | 1,247円00銭 |
| 50A | 1,558円75銭 |
| 60A | 1,870円50銭 |
出典: 東京電力エナジーパートナー「料金単価表‐電灯」。同じ表に最低月額料金328円08銭も併記されています。なお「まったく電気を使用しない場合の基本料金は、半額となります」という取り扱いは、主な契約種別の料金計算式のほうに記載されています。
アンペアを下げると年いくら下がるか
60Aから40Aへ変更すると、基本料金の差は1,870円50銭 − 1,247円00銭 = 623円50銭。12か月で7,482円です。使用量が同じでも減る、数少ない固定費の削減策です。
ただし同時に使う家電の合計に足りていることが前提で、下げすぎるとブレーカーが落ちます。手順や目安は「契約アンペア数の見直しで基本料金を下げる方法」で解説しています。
アンペア契約がない料金プランもある
関西電力の従量電灯Aは基本料金がなく、最初の15kWhまでが一律522円58銭の最低料金制です(関西電力 従量電灯A)。東京電力エナジーパートナーにも従量電灯Aがあり、こちらは最初の8kWhまで328円08銭です。
つまり「電気代の内訳 = アンペア × 従量」とは限りません。自分の明細が「基本料金」なのか「最低料金」なのかを、まず確かめてください。
電力量料金(従量課金)の3段階制
使うほど単価が上がる
東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bの電力量料金は3段階です(税込)。
| 段階 | 使用量 | 単価 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 最初の120kWhまで | 29円80銭/kWh |
| 第2段階 | 120kWhをこえ300kWhまで | 36円40銭/kWh |
| 第3段階 | 上記超過 | 40円49銭/kWh |
同じ3段階制でも、会社が違えば単価も違う
関西電力の従量電灯Aも同じ3段階制ですが、単価は大きく異なります。
| 段階 | 使用量 | 単価 |
|---|---|---|
| 最低料金 | 最初の15kWhまで | 522円58銭(1契約) |
| 第1段階 | 15kWhをこえ120kWhまで | 20円21銭/kWh |
| 第2段階 | 120kWhをこえ300kWhまで | 25円61銭/kWh |
| 第3段階 | 300kWh超過分 | 28円59銭/kWh |
出典: 関西電力 従量電灯A
この差だけを見て「関西のほうが安い」と結論づけることはできません。 後述するとおり燃料費調整の基準が両社で違うためです。同じ260kWhを公表単価どおりに計算すると、東京電力エナジーパートナーが約7,844円、関西電力が約6,729円で、差は縮みます(いずれも2026年9月分の燃料費調整単価と2026年度の再エネ賦課金4円18銭で計算し、口座振替割引は適用しない場合。関西電力の公表する計算例は、燃調・賦課金を除き口座振替割引55円を適用して6,175円です)。単価表の1行だけでなく、燃料費調整額まで含めて比べてください。
電気料金の中には託送料金が入っている
明細には書かれていませんが、電気料金には送配電設備を使うための託送料金相当額が含まれています。東京電力エナジーパートナーは「電気料金には、当社が一般送配電事業者の送配電設備を利用する際に発生する接続送電サービス利用料(託送料金相当額)を含んでおります」と説明しており、公表されている目安は次のとおりです(税込、東京電力エリア・低圧供給)。
| 内訳 | 単価の目安 |
|---|---|
| 託送料金平均単価 | 9円44銭/kWh |
| うち賠償負担金相当額 | 9銭/kWh |
| うち廃炉円滑化負担金相当額 | 7銭/kWh |
| うち電源開発促進税相当額 | 41銭/kWh |
出典: 東京電力エナジーパートナー「託送料金相当額等について」
賠償負担金は福島第一原子力発電所の事故以前から備えておくべきだった賠償資金の不足分、廃炉円滑化負担金は原子力発電所の廃止を円滑に実施するための資金と説明されています。260kWh使えば託送料金だけで約2,454円。先ほどの試算(約7,844円)に当てはめると、**請求額のおよそ3割は、電気そのものではなく「電気を運ぶ費用」**という計算になります。なお東京電力エナジーパートナーは、この単価を「目安」として示しています。
第3段階を減らしたときの実際の効果
月400kWh使う家庭が100kWh減らせば、単価の最も高い第3段階(40円49銭/kWh)から消えていきます。ただし燃料費調整額と再エネ賦課金も使用量に比例するため、実際に減る金額は3つの合計です。
40円49銭 − 10円96銭 + 4円18銭 = 33円71銭/kWh。100kWhで約3,371円。燃料費調整額がマイナスのいまは、単価表の40円49銭をそのまま削減額として使うと過大評価になります。
ただしこの▲10円96銭には後述する国の値引き支援4円50銭が含まれています。支援が終わって燃料価格が同じなら燃料費調整単価は▲6円46銭、1kWhあたりの削減額は38円21銭、100kWhで約3,821円という計算になり、削減の値打ちはむしろ上がります。
燃料費調整額とは
3か月前の燃料価格が、2か月後の請求に乗る
燃料費調整制度は、原油・LNG(液化天然ガス)・石炭の3か月間の貿易統計価格から平均燃料価格を算定し、基準燃料価格との差を2か月後の電気料金に反映する仕組みです。東京電力エナジーパートナーの規制料金(従量電灯など)の基準燃料価格は86,100円/kl。平均燃料価格が129,200円(基準の1.5倍)を超えた部分は調整しない上限があります。
一方、スタンダードSなどの自由料金プランにこの上限はありません。同社は「燃料価格が高騰した場合には、当社の自由料金プランの方が燃料費調整額が高くなる可能性があります」と明記しています(燃料費調整制度とは)。
2026年はマイナス調整が続いている
関東エリア低圧の燃料費調整単価(税込、円/kWh)の推移です。
| 適用月 | 燃料費調整単価 |
|---|---|
| 2026年9月分 | ▲10.96 |
| 2026年8月分 | ▲10.27 |
| 2026年7月分 | ▲7.19 |
| 2026年6月分 | ▲7.30 |
| 2026年5月分 | ▲7.37 |
| 2026年4月分 | ▲8.93 |
| 2026年3月分 | ▲12.09 |
| 2026年2月分 | ▲12.22 |
| 2026年1月分 | ▲7.72 |
同社は2023年6月に規制料金を見直した際、燃料費調整の前提諸元も最新の電源構成や燃料価格に合わせて改定しています。基準燃料価格86,100円/klに対して足元の燃料価格がそれを下回り、調整額がマイナス側に振れ続けているという構図です。電力量料金の単価表だけを他社と比べても意味がないのは、このためです。
関西電力の従量電灯Aは基準燃料価格が27,100円/klと低く、2026年9月分の平均燃料価格50,100円/klは上限の40,700円/klを超えたため、上限で頭打ちにした単価が適用されました。それでも燃料費調整単価は▲2.26円/kWhです(関西電力 2026年9月分の燃料費調整単価)。
国の値引き支援が燃料費調整単価に混ざっている
上の数字には、国の「電気・ガス料金支援」による値引きが含まれています。低圧の値引き単価は2026年8月分が1kWhあたり3.5円、9月分が4.5円。関西電力は10月分も3.5円と案内しています(関西電力「燃料費調整制度について」)。
つまり関西電力の▲2.26円/kWhは、支援分を除けばプラス2.24円/kWh。支援が終われば、燃料価格が動かなくてもその分だけ請求額は上がります。燃料費調整額は時限的な値引きが混ざっている前提で読んでください。
再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)
2026年度は1kWhあたり4.18円
再エネ賦課金は、FIT制度で買い取った再生可能エネルギー電気の費用を電気の使用者が広く負担する仕組みです。2026年度の単価は全国一律4.18円/kWhで、2026年5月検針分から2027年4月検針分まで適用されます。
経済産業省は、総務省家計調査に基づく1か月400kWhの需要家モデルで月額1,672円、年額20,064円の負担と示しています(経済産業省 2026年3月19日)。
単価はどう決まるか
同省の算定根拠では、2026年度の想定は買取費用等4兆8,507億円、回避可能費用等1兆6,495億円、販売電力量7,665億kWh。差額の3兆2,012億円を販売電力量で割ると約4.18円/kWhになります。
単価は毎年度、経済産業大臣が設定します。資源エネルギー庁は推測値と実績値の差分は翌々年度の単価で調整すると説明しており(なっとく!再生可能エネルギー)、単年の増減だけで先は読めません。
自家消費した分にはかからない
再エネ賦課金も燃料費調整額も、電力会社から買ったkWhにしかかかりません。太陽光で発電して自宅で使った電気には、電力量料金も燃料費調整額も再エネ賦課金も発生しません。
なお2026年度の住宅用太陽光(10kW未満)のFIT買取価格は1〜4年目24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWhです(資源エネルギー庁「買取価格・期間等」)。買う電気を1kWh減らしたときの削減額(前述の試算では33円71銭)と並べると、5年目以降は売るより自分で使うほうが有利です。賦課金の仕組みは「再エネ賦課金とは」で整理しています。
電気代の内訳を理解した上での節約戦略
基本料金 → 契約アンペアの見直し
機器の買い替えなしに、毎月の固定費が下がります。60Aから40Aで年7,482円。効果に上限があることも確かです。
電力量料金 → 単価の高い部分から削る
資源エネルギー庁の省エネポータルサイトは、行動ごとの削減量を公表しています。金額換算は31円/kWh(令和4年7月 公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会 新電力料金目安単価・税込)で行われています。
| 見直す場所 | 条件 | 年間の削減量 | 金額換算 |
|---|---|---|---|
| エアコン(冷房) | 外気31℃、2.2kW機の設定を27℃から1℃上げる(9時間/日) | 30.24kWh | 約940円 |
| エアコン(暖房) | 外気6℃、2.2kW機の設定を21℃から20℃へ(9時間/日) | 53.08kWh | 約1,650円 |
| 電球 | 54Wの白熱電球から7.5Wの電球形LEDへ(年2,000時間) | 93.00kWh | 約2,883円 |
| 照明器具 | 68Wの蛍光灯器具から34WのLED照明器具へ(年2,000時間) | 68.00kWh | 約2,108円 |
| 冷蔵庫 | 設定温度を「強」から「中」へ(周囲温度22℃) | 61.72kWh | 約1,910円 |
| 電気ポット | 6時間保温せず、プラグを抜いて再沸騰 | 107.45kWh | 約3,330円 |
出典: 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約」(エアコン、照明、キッチン)
契約の第3段階単価が31円より高ければ削減額はこれより大きく、低ければ小さくなります。単価表を確認してから当てはめてください。
燃料費調整額と再エネ賦課金 → 買う量そのものを減らす
この2つは単価を選べず、使用量に比例するだけなので、電力会社から買う電力量を減らす以外に手がない項目です。太陽光の自家消費や、割安な時間帯に蓄えた電気を高い時間帯に使うピークシフトが効くのはここです。
- 自家消費の考え方 → 「太陽光発電の自家消費で電気代を削減する方法」
- 時間帯をずらす → 「ピークシフトとは?蓄電池で夜間電力を賢く使う方法」
- 投資として見たとき → 「太陽光+蓄電池のセット導入で年間いくら得するか」
まとめ
- 電気代は「基本料金」「電力量料金」「燃料費調整額」「再エネ賦課金」の4項目。構成比は契約と月で大きく動くため、固定の目安では語れない
- 東京電力 従量電灯B・30A・260kWhを公表単価どおりに計算すると約7,844円。うち燃料費調整額は**▲2,849円のマイナス(値引き)**で、国の電気・ガス料金支援4.50円/kWhを含む
- 2026年度の再エネ賦課金は全国一律4.18円/kWh。月400kWhのモデルで月1,672円・年20,064円
- 電気料金には**託送料金相当額(東京電力エリア低圧で1kWhあたり9円44銭が目安)**が含まれる。使用量を1kWh減らしたときの実際の削減額は、単価表の数字そのままではない