契約アンペアの見直しで下がるのは「基本料金」だけです。 東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bなら基本料金は10Aあたり311円75銭(税込)なので、1段階下げれば月311円75銭、年3,741円。60Aから40Aに下げれば年7,482円になります(出典: 東京電力エナジーパートナー 従量電灯B・C)。
そしてもうひとつ、見落とされがちな事実があります。関西・中国・四国・沖縄の各エリアには、そもそも契約アンペアという仕組みがありません。 これらのエリアは最低料金制で、アンペアを下げるという選択肢自体が存在しません。この記事では、各社の公式単価表と東京電力の公式資料を軸に、見直しの効果と限界を整理します。
【2026年8月25日時点】 電気料金の単価は改定されます。本記事の金額はすべて2026年8月25日に各社公式ページで確認した税込単価で、実際の請求額には燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金が加わります。なお、国のDR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正・上限60万円/申請)は2026年3月24日に公募が始まり、2026年5月29日に予算到達で公募終了しています。出典: SII 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業。詳しくは国のDR補助金の終了と次回の見通しにまとめています。
この記事でわかること
- 契約アンペアで変わるのは基本料金だけという前提と、エリア別の削減額
- 契約アンペアがある6エリアと、ない4エリアの違い
- 東京電力公式の家電別アンペア目安を使った適正アンペアの決め方
- 変更手続きが無料になる条件と、季節的な変更が断られる理由
- 太陽光・蓄電池は契約アンペアの見直しに効くのか
契約アンペアが決めるのは「基本料金」だけ
東京電力エナジーパートナーは公式サイトで「月々の電気料金の『基本料金』は、ご契約アンペアに応じて決まります。なお、ご使用量に応じて決まる『電力量料金』の単価は変わりません」と説明しています(出典: 東京電力エナジーパートナー ご契約アンペアの選び方)。
つまりアンペアを下げても、使った電気の単価は1円も安くなりません。効くのは固定費の部分だけです。
東京電力エナジーパートナー 従量電灯Bの基本料金
| 契約アンペア | 基本料金(月額・税込) | 60Aとの差額(月額) | 60Aとの差額(年額) |
|---|---|---|---|
| 10A | 311円75銭 | 1,558円75銭 | 18,705円 |
| 15A | 467円63銭 | 1,402円87銭 | 16,834円44銭 |
| 20A | 623円50銭 | 1,247円00銭 | 14,964円 |
| 30A | 935円25銭 | 935円25銭 | 11,223円 |
| 40A | 1,247円00銭 | 623円50銭 | 7,482円 |
| 50A | 1,558円75銭 | 311円75銭 | 3,741円 |
| 60A | 1,870円50銭 | — | — |
出典: 東京電力エナジーパートナー 従量電灯B・C(差額は公式の基本料金からの計算値)
10A刻みで1段階につき311円75銭。きれいな比例です。なお自由料金プランでも扱いは同じで、スタンダードSの基本料金も「10Aにつき311.75円」と公式に記載されています(出典: 東京電力エナジーパートナー スタンダードプラン(関東エリア))。規制料金か自由料金かで、アンペアの刻み方は変わりません。
エリアによって削減額は3割以上違う
同じ「60Aから40Aへ」でも、金額はエリアでかなり違います。
| 電力会社(プラン) | 40Aの基本料金 | 60Aの基本料金 | 60Aから40Aへの年間差額 |
|---|---|---|---|
| 北海道電力(従量電灯B) | 1,672円00銭 | 2,508円00銭 | 10,032円 |
| 東北電力(従量電灯B) | 1,478円40銭 | 2,217円60銭 | 8,870円40銭 |
| 中部電力ミライズ(従量電灯B) | 1,284円56銭 | 1,926円84銭 | 7,707円36銭 |
| 九州電力(従量電灯B) | 1,264円96銭 | 1,897円44銭 | 7,589円76銭 |
| 東京電力エナジーパートナー(従量電灯B) | 1,247円00銭 | 1,870円50銭 | 7,482円 |
| 北陸電力(従量電灯ネクスト) | 1,210円00銭 | 1,815円00銭 | 7,260円 |
出典: 北海道電力 従量電灯、東北電力 従量電灯B、中部電力ミライズ 基本メニュー(電灯契約)、九州電力 従量電灯B、東京電力エナジーパートナー 従量電灯B・C、北陸電力 ご家庭でお使いいただくお客さま(年間差額は各社公式単価からの計算値)
北海道電力と北陸電力では年間で2,700円以上の開きがあります。ネット上でよく見る「年◯円お得」という数字は、たいてい東京電力を前提にしたものです。自分のエリアの単価表で計算し直してください。基本料金と電力量料金の役割分担は電気代の内訳を徹底解剖でも整理しています。
アンペア制のエリアと、最低料金制のエリア
契約アンペアが存在するのは、公式単価表に「契約電流」または「契約アンペア」の欄があるエリアです。今回確認した範囲では、北海道・東北・東京・中部・北陸・九州の6エリアが該当します。
一方、次の4エリアは最低料金制で、基本料金そのものがありません。
| 電力会社(プラン) | 最低料金(税込) |
|---|---|
| 関西電力(従量電灯A) | 最初の15kWhまで 1契約 522円58銭 |
| 中国電力(従量電灯A) | 最初の15kWhまで 1契約 759円68銭 |
| 四国電力(従量電灯A) | 最初の11kWhまで 666円89銭 |
| 沖縄電力(従量電灯) | 最初の10kWhまで 1契約 643円05銭 |
出典: 関西電力 従量電灯A、中国電力 従量電灯A、四国電力 従量電灯A、沖縄電力 従量電灯
関西電力は「ご使用量によって電力量料金単価が異なる3段階料金制度となっています。なお、基本料金はございませんが、15kWhまでは一律の最低料金がございます」と説明しています。これらのエリアの読者にとって、契約アンペアの見直しという打ち手はありません。分電盤にブレーカーが付いていても、それは屋内配線を守るための設備であって、料金の契約とは別物です。
なお北陸電力の従量電灯ネクストには、10アンペア未満に「契約電流5アンペア」という区分があり、この区分だけは最低料金(最初の8kWhまで315円39銭)で計算されます。エリアごとに設計が違う点は押さえておきましょう。
いまの契約アンペアと、適正なアンペアを確かめる
確認方法は2つ
東京電力エナジーパートナーは、契約アンペアの確認方法として次の2つを案内しています。
- 分電盤のアンペアブレーカーの色を見る。赤=10A、桃=15A、黄=20A、緑=30A、灰=40A、茶色=50A、紫=60A
- **電気ご使用量のお知らせ(検針票)**を見る。Web検針票でも確認できる
アンペアブレーカーが取り付けられていない住宅もあります。スマートメーターで契約アンペアを設定している場合はブレーカー自体が付いていないため、検針票やWeb検針票で確認することになります(出典: 東京電力エナジーパートナー ご契約アンペアの選び方)。
家電のアンペア目安は公式表で
東京電力は「アンペア数(A)は、『100Wで1A、1,000W(1kW)で10A』とお考えください(100Vの場合)」としたうえで、主な家電の目安を公開しています。
| 電気機器 | アンペアの目安 |
|---|---|
| インバータエアコン(冷房時おもに10畳用平均) | 冷房5.8A(立ち上がり時など14A)、暖房6.6A(立ち上がり時など20A) |
| IHクッキングヒーター(200V) | 20A〜30A(最大使用時58A) |
| 電子レンジ(30Lクラス) | 15A |
| アイロン | 14A |
| IHジャー炊飯器(5.5合・炊飯時) | 13A |
| 食器洗い乾燥機(100V卓上タイプ) | 13A |
| ドラム式洗濯乾燥機(洗濯・脱水容量9kg) | 洗濯時2A、乾燥時13A |
| ヘアードライヤー | 12A |
| 掃除機 | 弱2A、強10A |
| 電気カーペット(3畳用) | 1/2面4A、全面8A |
| テレビ | 液晶42型2.1A、プラズマ42型4.9A |
| 冷蔵庫(450Lクラス) | 2.5A |
出典: 東京電力エナジーパートナー 主な電気機器のアンペアの目安。同社は「各電気機器を使用した場合の想定値です。実際のワット数・アンペア数は各機器の取扱説明書などをご確認ください」と注記しています。
この表を使って、冬の夕食時を想定してみます。IHクッキングヒーターの家庭なら、IH(20A)とIHジャー炊飯器(13A)、エアコン暖房の立ち上がり(20A)、冷蔵庫(2.5A)、テレビ(2.1A)で合計57.6A。この時点で60A契約が目安になります。
ガスコンロの家庭なら、電子レンジ(15A)とエアコン暖房の立ち上がり(20A)、洗濯乾燥機の乾燥(13A)、冷蔵庫(2.5A)、テレビ(2.1A)で合計52.6A。50Aでも足りず、この使い方なら60Aが目安になります。いずれも上の公式目安を足し合わせた本記事の試算で、実際の値は機器によって変わります。
東京電力は「同時にどれだけの電気機器をご使用になるかが、ご契約アンペアを選ぶ際のポイントです。1年を通じてもっとも電気をご使用になるとき(同時に多くの電気機器を使う夕食時、冷房機器を使う夏、複数の暖房機器を使う冬など)を想定してお考えください」としています。同社のわが家のアンペアチェックや東北電力のご家庭のアンペアチェックを使えば、自分の家電構成でシミュレーションできます。エアコンの使い方そのものを見直す余地はエアコンの電気代を半分にする10のテクニックにまとめました。
変更手続きは無料、ただし季節ごとの変更はできない
東京電力エナジーパートナーの案内をそのまま整理します。
- 申込先: カスタマーセンターまたはインターネット
- 工事費: 変更前後の契約アンペアが10〜60アンペアの範囲であれば無料
- アンペアブレーカーがある場合: 取り外し工事を行い、変更後はスマートメーターで契約アンペアを設定する。工事の際に10〜15分程度停電する
- すでにスマートメーターで設定している場合: アンペアブレーカーの取り付けは行わない
- 例外: 契約内容および電気設備の状況によっては電気工事店による工事が必要になる場合があり、その費用は利用者負担
- 料金の切り替わり: 変更した月の基本料金は日割りで精算される
- 60Aを超えたい場合: 従量電灯Cの扱いになるため、カスタマーセンターへ相談
- 集合住宅: 所有者や管理人の承諾が必要な場合がある
そして、いちばん誤解されているのがここです。東京電力は「電気のご契約は年間契約を基本としており、アンペアの大きさは1年間で最もたくさん電気をお使いになるときにあわせてご契約させていただいておりますので、季節的な変更は承ることができません」と明記しています(出典: 東京電力エナジーパートナー ご契約アンペアの選び方)。
「夏だけ60Aにして秋に40Aへ戻す」という運用は、そもそも前提から外れています。年間のピークに合わせて1つ決める、という考え方で臨んでください。
下げる前に確認したい3つの落とし穴と、もうひとつの注意点
1. 合計額が下がるとは限らない
東京電力自身がこう注意喚起しています。
ご契約アンペアを減らした場合、「基本料金」は見直したご契約アンペアに応じて下がりますが、「電力量料金」はご使用状況によっては変わらない場合や増えてしまう場合もあるため、ご契約アンペアを下げることで「電気料金の合計額」が必ずしも下がるとは限りませんのでご注意ください。 (出典: 東京電力エナジーパートナー ご契約アンペアの選び方)
さらに、従量電灯Bには最低月額料金328円08銭が設定されています。使用量が極端に少ない世帯では、10Aまで下げても請求額がこの水準で下げ止まります。世帯人数別の使用実態は一般家庭の電気代平均を参考にしてください。
2. 立ち上がり時の電流は定常時の3倍近い
東京電力の目安表では、インバータエアコンの暖房は定常時6.6Aに対して立ち上がり時など20A。冷房も5.8Aに対して14Aです。IHクッキングヒーターにいたっては通常20A〜30Aでも「最大使用時58A」と書かれています。
平均的な消費電力だけで計算すると、この立ち上がりで落ちます。ブレーカーが落ちれば家中の電気が止まり、パソコンの作業やレコーダーの録画も巻き添えになります。年3,741円のために毎月ブレーカーを上げに行く生活になるなら、割に合いません。
3. オール電化はアンペアではなくkVA契約になることがある
東京電力のオール電化向けプラン「スマートライフ」には2種類あり、スマートライフSは10A〜60Aのアンペア契約ですが、スマートライフLは「主開閉器(漏電遮断器など)の容量に応じた6kVA以上の場合の契約」で、基本料金は1kVAにつき311円75銭です(出典: 東京電力エナジーパートナー スマートライフ(オール電化))。
エコキュートやIHを入れてオール電化にすると、契約の単位そのものがアンペアから変わる場合があります。この場合は「アンペアを下げる」ではなく「主開閉器の容量」の話になり、分電盤側の設計が絡みます。
訪問業者の「アンペア見直し」話には注意する
国民生活センターは2026年2月10日、電気・ガスの契約トラブルについて注意喚起を公表しました。相談事例として「訪問してきた事業者からアパート全体の電力プランが変更になると言われて契約したが電力プランの変更は事実ではなかった」「電力会社の代理店を名乗る事業者から電気の切替やウォーターサーバーのレンタルなどを長時間勧められ契約した」といったケースを挙げ、「契約の意思がない場合は、はっきりと断り、検針票の記載情報は慎重に取り扱いましょう」とアドバイスしています(出典: 国民生活センター 電気・ガスの契約トラブルにご注意!)。
契約アンペアの確認に検針票を使う話をしましたが、その検針票を玄関先で他人に見せる必要はありません。アンペア変更は、契約中の電力会社に自分で申し込めば済みます。同じ構図の訪問販売トラブルは蓄電池の訪問販売に注意にもまとめています。
太陽光・蓄電池は契約アンペアの見直しに効くのか
結論から言うと、効く場面は限られます。
契約アンペアが問題になるのは、東京電力自身が例に挙げているとおり「同時に多くの電気機器を使う夕食時」です。太陽光がほとんど発電していない時間帯なので、太陽光だけではこのピークを直接は削れません。
蓄電池は放電中であれば系統から買う電力を肩代わりします。ただし、放電できる量には上限があります。オムロンのマルチ蓄電プラットフォームKPBP-Aシリーズは、蓄電池ユニットの交流出力が単機能タイプで2.5kW〜5.9kW(力率1.0)、ハイブリッドタイプで5.6kW(力率0.95)。停電時の自立運転になると、定格出力は単機能・ハイブリッドで2.0kVA、ハイブリッドにトランスユニットを接続した場合で4.0kVAまで下がります(出典: オムロン KPBP-Aシリーズ 仕様)。テスラのPowerwall 3は蓄電容量13.5kWh、定格出力最大9.69kW、保証10年です(出典: テスラ Powerwallの仕組み)。日本での発売は2026年8月3日で、本体価格は非公表です(出典: テスラ 日本でのPowerwall 3販売開始リリース)。
ここで押さえるべきは3点です。
- 残量がゼロなら放電できない。曇天が続いた翌日の夕方は、蓄電池が空のまま夕食時を迎えることがある
- 出力を超える分は系統から引く。蓄電池の出力上限を超えた瞬間の電力は、結局は買電になる
- メーカーは契約アンペアを保証していない。今回確認した範囲では、「蓄電池を入れれば契約アンペアを下げられる」と公式に案内しているメーカーはありませんでした
したがって、蓄電池を入れたから契約アンペアを2段階下げる、といった判断はおすすめできません。蓄電池が空で太陽光も発電していない時間帯のピークで決めるのが安全側です。
蓄電池の導入判断は、契約アンペアではなく自家消費の経済性で考えるほうが筋が通ります。2026年度の住宅用FIT(10kW未満)は1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhで、売電より自家消費が有利になる場面が増えています(出典: 資源エネルギー庁 買取価格・期間等)。国のDR補助金は2026年5月29日で公募終了していますが、東京都の令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業は10万円/kWh、DR実証に参加しない場合は上限120万円/戸で継続しており、2026年10月1日以降はSII令和8年度登録品のみが対象になります(出典: 東京都 家庭における蓄電池導入促進事業)。
まとめ
- 契約アンペアの見直しで下がるのは基本料金だけ。東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bなら10A刻みで月311円75銭、年3,741円。60Aから40Aで年7,482円
- 削減額はエリアで3割以上違う。北海道電力なら60Aから40Aで年10,032円、北陸電力なら年7,260円。自分のエリアの公式単価表で計算する
- 関西・中国・四国・沖縄は最低料金制で、契約アンペアという仕組み自体がない
- 変更は10〜60Aの範囲なら無料だが、東京電力は季節的な変更は承れないと明記。1年でいちばん電気を使う瞬間、それも家電の立ち上がり時を基準に決める