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夏の電気代が高いのはなぜ?公的データで見る3つの原因と対策【2026年8月版】

エネチョイス編集部

この記事の結論

夏の電気代が高い理由は「冷房で使用量が増える」ことだけではありません。環境省の家庭CO2統計(令和5年度確報値)では、電気に由来する世帯当たりCO2排出量は8月・9月が152kg-CO2で、年間で最も少ない6月の101kg-CO2の約1.5倍です。そこに三段階料金が重なります。東京電力エナジーパートナーのスタンダードS(関東エリア)の場合、120kWhまでは1kWhあたり29.80円ですが、301kWh以上は40.49円で、増えた分ほど高い単価が適用されます。ただし2026年は7月使用分から9月使用分まで国の電気・ガス料金支援があり、電気(低圧)は7月・9月が3.5円/kWh、8月が4.5円/kWhの値引きで、利用者側の申請は不要です。一方、国のDR家庭用蓄電池事業は2026年5月29日に予算到達で公募終了しており、蓄電池を補助金前提で検討することは2026年8月時点ではできません。

夏に電気代が上がるのは、冷房で使う電力量が増えるからだけではありません。 多くの家庭が契約している三段階料金では、増えた分ほど高い単価が適用されるため、kWhの伸び以上に請求額が伸びます。そして2026年の夏は、国の電気・ガス料金支援が入っている一方で蓄電池の国庫補助は公募が終わっている、というねじれた状況にあります。

この記事では体感や広告表現ではなく、環境省・経済産業省・気象庁・消防庁・電力会社が公表している数値だけを使って整理します。

【2026年8月25日時点】 国の「電気・ガス料金支援」は2026年7月使用分〜9月使用分が対象で、電気(低圧)の値引き単価は7月・9月が3.5円/kWh、8月が4.5円/kWhです。一般家庭の申請は不要です。出典: 経済産業省 資源エネルギー庁 電気・ガス料金支援

一方、国の「DR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正・上限60万円/申請)」は2026年5月29日に予算到達で公募終了しており、2026年8月時点で新規申請はできません。次回公募は未公表です。出典: SII 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業

この記事でわかること

  • 夏の電気代が高くなる3つの原因(使用量・単価構造・気温)を公的データで確認する
  • 「夏がいちばん高い」わけではないという、月別データが示す実態
  • 2026年の夏だけ入っている国の値引きと、その金額の読み方
  • エアコンを我慢しない前提で、まだ実施率が低い対策はどれか
  • 窓・太陽光・蓄電池について、2026年8月時点で使える制度と使えない制度

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夏の電気代が高い3つの原因

原因1:冷房で使用量が増える。ただし年間ピークは冬

環境省「令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査(確報値)」は、全国の世帯を対象に月ごとのエネルギー使用実績を集計した政府統計です。電気に由来する世帯当たりCO2排出量(=電気の使用量に連動する指標)を月別に並べると、次のようになります。

電気由来CO2(kg-CO2/世帯・月)
2023年6月101(年間最小)
2023年7月120
2023年8月152
2023年9月152
2023年12月138
2024年1月183(年間最大)

出典: 環境省 家庭部門のCO2排出実態統計調査(令和5年度確報値・掲載図データ「世帯当たり月別エネルギー種別CO2排出量」)

読み取れることは2つあります。ひとつは、8月・9月の電気使用が年間最小の6月の約1.5倍であること。もうひとつは、電気の年間ピークが夏ではなく1月であることです。全国平均では冬の暖房のほうが電気を使っています。それでも夏の電気代が話題になりやすいのは、6月から8月にかけての上がり方が急で、変化として目につきやすいからです。

同調査では、世帯当たりの年間電気消費量は3,911kWh、年間の電気の支払金額は11.05万円(いずれも全国平均。太陽光などの自家発電による電気は含まない)と集計されています。世帯人数別の平均額は一般家庭の電気代平均は?月額・年間の目安で確認してください。

なお政府自身も、8月は使用量が多い前提で制度を設計しています。電気・ガス料金支援サイトの試算ツールは「暑さが厳しい8月分は、7月と9月より約2割多い使用量を自動表示」すると明記しています。

原因2:三段階料金で「増えた分」に最も高い単価がかかる

二つ目は料金の単価構造です。東京電力エナジーパートナーのスタンダードS・スタンダードL(関東エリア、税込)の電力量料金は次のとおりです。

使用量の区分1kWhあたりの単価
〜120kWh29.80円
121kWh〜300kWh36.40円
301kWh〜40.49円

基本料金は10Aにつき311.75円(15Aの場合は467.63円)、最低月額料金は1契約328.08円です。出典: 東京電力エナジーパートナー スタンダードS/L(関東エリア)

ポイントは、増えた分には第3段階の単価がそのまま乗ることです。月の使用量が300kWhから400kWhに増えれば、増えた100kWhは40.49円/kWhで計算され、上記の公表単価をもとに当編集部が単純計算すると、増分だけで4,049円になります(実際の請求額には基本料金、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金などが加わります)。第1段階の29.80円との差は1kWhあたり10.69円です。「使用量が1.3倍だから電気代も1.3倍」ではなく、それより大きく振れる構造だと理解しておくと、請求書を見たときの驚きが減ります。

原因3:夏そのものが年々暑くなっている

気象庁の統計では、**2025年夏(6〜8月)の日本の平均気温は基準値(1991〜2020年の30年平均)から+2.36℃**で、1898年の統計開始以降で最も高い値でした。2位は2024年と2023年の+1.76℃です。日本の夏の平均気温は長期的に100年あたり1.38℃の割合で上昇しています(出典: 気象庁 日本の季節平均気温)。同じ使い方でも冷房負荷は上がるため、「去年と同じつもりなのに高い」という感覚には根拠があります。

2026年の夏は、国の値引きが入っている

2026年7月使用分から9月使用分までは、経済産業省 資源エネルギー庁の「電気・ガス料金支援」が実施されています。同事業サイトによると、2026年5月25日の総理大臣記者会見で示された方針を受け、燃料輸入価格の上昇が電気料金に反映されていくと見込まれることから、使用量が多くなる7月から9月に支援を実施することとされました。

区分2026年7月・9月使用分2026年8月使用分
電気(低圧・一般家庭)3.5円/kWh4.5円/kWh
電気(高圧・企業)1.8円/kWh2.3円/kWh
都市ガス14.0円/立方メートル18.0円/立方メートル

出典: 経済産業省 資源エネルギー庁 電気・ガス料金支援

押さえておきたい点は4つです。

  1. 一般家庭の申請は不要。制度を利用している小売事業者が、毎月の料金から使用量に応じて値引きします
  2. 7月使用分とは、原則として7月中の検針日から8月中の検針日までの使用に係る分を指すと案内されています。カレンダー月とずれます
  3. LPガス(プロパンガス)は対象外です
  4. 同サイトは、値引きのために個人情報や手数料を求める不審な電話やメールが発生していると注意喚起しています。手続きは不要であり、個人情報や手数料が求められることはないと明記されています

8月に400kWh使う家庭なら、4.5円/kWh×400kWh=1,800円が値引き額の目安です(値引き単価に使用量を掛けて算出できると同サイトが案内しているため、その方式による計算)。ただし支援は9月使用分までの期間限定です。

我慢しない前提で、使い方を見直す

夏の節約でまず出てくる「エアコンを我慢する」は、健康リスクの側から否定されます。総務省消防庁が2026年8月25日に公表した確定値では、令和8年7月の全国の熱中症による救急搬送人員は41,174人で、7月としては調査を開始した平成20年以降で3番目に多い水準でした。発生場所別は住居が17,160人(41.7%)と最多、次いで道路が8,643人(21.0%)です。年単位で見ても、令和7年(2025年)の5月から9月の合計は10万510人で、集計のある平成20年以降で最も多くなっています(出典: 総務省消防庁 熱中症情報令和8年7月の熱中症による救急搬送状況)。最多が「住居」という事実は、これが屋外ではなく自宅の冷房環境の話だということを示しています。

まだ実施率が低い行動から手をつける

環境省の家庭CO2統計は、省エネ行動の実施率も調べています。ここを見ると「すでに全員がやっていること」と「まだ空いているところ」が分かれます。

省エネ行動実施している実施していない
エアコンの室外機の吹き出し口に物を置かないようにしている86%5%
冷房時にすだれやブラインドなどで日射をさえぎるようにしている55%37%
冷蔵庫の温度設定を夏は「中」以下、他の季節は「弱」にしている49%51%

出典: 環境省 家庭部門のCO2排出実態統計調査(令和5年度確報値)

室外機まわりの片付けはすでに86%が実施済みで伸びしろがほとんどありません。一方、日射をさえぎる対策は37%が未実施、冷蔵庫の季節設定は51%が未実施です。手つかずの家庭なら、ここが最初の一手になります。

同調査では、1世帯が使用するエアコンの台数は全国平均2.28台、**冷房時の設定温度(1台目)は平均26.8℃**でした。内訳は26℃が18.3%、27℃が27.8%、28℃が29.7%、29℃が5.3%、30℃以上が1.7%です(29℃以上の合計は7.0%)。「28℃にすれば何%下がる」という断定はしません。削減率は住宅の断熱性能・在室人数・外気温で大きく変わり、公的に示された一律の数値がないためです。ただ平均が26.8℃である以上、1℃上げる余地がある家庭は少なくありません。運用の詳細はエアコンの電気代を下げるテクニックにまとめています。

料金プランは「いつ使うか」で決まる

時間帯別プランは、冷房のように昼の電気が増える家庭では不利に働く場合があります。東京電力エナジーパートナーのスマートライフS・スマートライフL(税込)は、午前6時〜翌午前1時が35.76円/kWh、午前1時〜午前6時が27.86円/kWhという設定です(基本料金は10Aにつき311.75円。出典: 東京電力エナジーパートナー スマートライフS/L)。日中に在宅して冷房を使う世帯では割高な時間帯に使用が集中し、逆に給湯や蓄電池の充電を深夜に寄せられる世帯なら安い側を活かせます。プラン変更は「安くなるらしい」ではなく、自分の使用時間帯の実績で判断してください。

設備で下げる:窓、太陽光、蓄電池の順に見る

窓:先進的窓リノベ2026事業は受付中

環境省の「先進的窓リノベ2026事業」は、既存住宅の窓・ドアの断熱改修を補助する制度です。

  • 対象工事: ガラス交換、内窓設置、外窓交換(カバー工法・はつり工法)、ドア交換(カバー工法・はつり工法)
  • 補助上限: 1戸あたり100万円(補助額が5万円以上であることが要件)
  • 対象住宅: 建築から1年が経過した住宅、または過去に人が居住した住宅
  • 工事着手期間: 2025年11月28日〜遅くとも2026年12月31日まで(予算上限に達した場合は当該時点まで)
  • 申請: 一般消費者は直接申請できず、登録された窓リノベ事業者を通じて行う

以上は同事業の事業概要ページによります(出典: 環境省 先進的窓リノベ2026事業 事業概要)。予算の消化状況は同事業サイトのトップページで日次更新されており、**2026年8月25日午前0時時点で予算に対する補助金申請額の割合(概算値)は19%**です(出典: 環境省 先進的窓リノベ2026事業)。蓄電池の国庫補助が閉じている一方、窓の制度にはまだ枠が残っているのが現在の構図です。

太陽光:昼の冷房需要と発電の時間帯が重なる

冷房のピークは日中で、太陽光の発電も日中です。この重なりがあるぶん、夏は発電した電気を自家消費に回せる余地が大きくなります。制度面では売電単価の低下が判断に影響します。2026年度の住宅用FIT(10kW未満)は1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhです(出典: 資源エネルギー庁 買取価格・期間等)。前掲の第3段階単価40.49円/kWhと比べると、売るより自分で使うほうが1kWhの価値が大きい構図です。

導入率はまだ高くありません。家庭CO2統計では、太陽光発電システムを使用している世帯の割合は戸建住宅で11.7%、集合住宅で0.0%、全体で6.3%でした。設置費用はメーカーや販売店によって異なり、公式サイトに価格が示されていないことが一般的です。金額は複数社の見積もりで確認する前提で検討してください。回収年数の考え方は太陽光と蓄電池の投資回収で扱っています。

蓄電池:国は閉じている。自治体は動いている

国の「DR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正)」は1申請あたり60万円を上限とする制度でしたが、2026年3月24日に公募が始まり、2026年5月29日に交付申請額の合計額が予算に達したことを確認したとして公募終了しています。同事業サイトによると交付決定総数は8,508件、予算は関連3事業の合計59.6億円のうち54億円程度でした。次回公募は未公表です(出典: SII 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業)。経緯は国のDR補助金の終了と次回の見通しにまとめています。

自治体の制度は動いています。東京都の令和8年度「家庭における蓄電池導入促進事業」は、蓄電池パッケージが10万円/kWh、DR実証に参加しない場合の上限が120万円/戸です。DR実証に参加する場合は、エネルギーマネジメント機器およびIoT関連機器を設置するなら1台当たり15万円、設置しないなら1台当たり10万円が加算されます。令和8年10月1日以降に事前申込をする場合は助成対象機器の要件が変わり、SIIによって令和8年度の登録済製品一覧に登録された機器のみが助成対象となります(ただし令和8年4月1日から6月30日までに契約が完了した事業は従前の基準によります。出典: 東京都 家庭における蓄電池導入促進事業(令和8年度))。詳細は東京都の蓄電池補助金2026を参照してください。

見積もり・勧誘で確認しておきたいこと

夏は電気代への関心が高まる時期で、それに合わせた営業も増えます。次の点は書面で確認してください。

  • 「国の補助金が使えます」が現在形になっていないか。 2026年8月時点で、国のDR家庭用蓄電池事業は公募終了しています
  • 国の電気・ガス料金支援を、自社の特典のように説明していないか。 これは2026年7〜9月使用分に対する国の制度で、申請不要で値引きされるものです
  • 値引きを受けるための手数料や個人情報を求められていないか。 資源エネルギー庁は、そうした請求は制度上ないと明記して注意喚起しています
  • 削減額の試算の前提が書いてあるか。 使用量(kWh)、単価、時間帯、対象プランが示されていない試算は、こちら側で検証できません

まとめ

  • 夏の電気代が高いのは使用量と単価構造の両方が効くため。環境省の月別データでは8月・9月の電気使用は6月の約1.5倍、東京電力スタンダードSの第3段階単価40.49円/kWhは第1段階の29.80円/kWhより10.69円高い
  • 電気の年間ピークは1月で、夏は「上がり幅が大きい季節」。2025年夏の平均気温は統計開始以降で最も高く、使い方の工夫だけで毎年打ち消すのは難しくなっている
  • 2026年7〜9月使用分は国の電気・ガス料金支援が入っており、電気(低圧)は8月が4.5円/kWh、7月・9月が3.5円/kWh。申請は不要で、手数料や個人情報を求める連絡は制度上ない
  • 設備で下げるなら、窓の制度は受付中(1戸あたり上限100万円、2026年8月25日0時時点で予算消化19%)、国の蓄電池補助は公募終了。機器の価格は非公表のメーカーが多いため、複数社の見積もりで確認する

よくある質問

Q.夏の電気代は冬より高いのですか?

A.全国平均で見ると、電気の使用が最も多いのは夏ではなく冬です。環境省「令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査(確報値)」の世帯当たり月別データでは、電気に由来するCO2排出量は2024年1月の183kg-CO2が年間最大で、2023年8月と9月はいずれも152kg-CO2でした。ただし6月が101kg-CO2と年間最小のため、6月から8月にかけての伸び幅が大きく、請求書の変化として体感しやすいという特徴があります。

Q.2026年の夏は国からの電気代の値引きがありますか?

A.あります。経済産業省 資源エネルギー庁の「電気・ガス料金支援」は2026年7月使用分から9月使用分が対象で、電気(低圧)の値引き単価は7月・9月が3.5円/kWh、8月が4.5円/kWhです。都市ガスは7月・9月が14.0円/立方メートル、8月が18.0円/立方メートルです。一般家庭は申請不要で、制度を利用している小売事業者が毎月の料金から値引きします。LPガス(プロパンガス)は対象外です。なお同事業では、値引きを受けるために個人情報や手数料を求める不審な電話への注意喚起が出ています。

Q.夏の電気代を下げるためにエアコンを止めるのはありですか?

A.おすすめできません。総務省消防庁が2026年8月25日に公表した確定値では、令和8年7月の全国の熱中症による救急搬送人員は41,174人で、7月としては平成20年以降で3番目に多い水準でした。発生場所別では住居が17,160人(41.7%)と最も多くなっています。令和7年(2025年)の5月から9月の合計は10万510人でした。冷房そのものを止めるのではなく、設定・気流・日射の入り方・料金プランの側で調整するのが現実的です。

Q.蓄電池や太陽光は夏の電気代対策になりますか?補助金は使えますか?

A.昼間の冷房需要と太陽光の発電が重なる時間帯があるため、自家消費に回せる余地は夏に大きくなります。ただし2026年8月時点で、国のDR家庭用蓄電池事業(上限60万円/申請)は2026年5月29日に予算到達で公募終了しており、新規申請はできません。次回公募は未公表です。自治体の制度は動いており、東京都の令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業は10万円/kWh、DR実証に参加しない場合は上限120万円/戸です。導入費用はメーカーや販売店により異なるため、複数社の見積もりで確認してください。

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