世帯人数から蓄電池の容量を一発で決められる計算式はありません。 総務省「家計調査」2024年平均の実額では、3人世帯と4人世帯の電気代の差は月154円しかなく、電気代は世帯人数に比例していないからです。
容量を決める材料は、世帯人数ではなく「自宅の実際の年間電気使用量」「太陽光の容量」「停電時に何を動かしたいか」の3つ。これは蓄電池メーカー自身が公式サイトで案内している選び方です。
【2026年8月25日時点】 国のDR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正・上限60万円/申請)は2026年3月24日に公募が始まり、2026年5月29日に予算到達で公募終了しています。次回公募は未公表のため、2026年9月時点で国の新規申請はできません。出典: SII 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業
この記事でわかること
- 家計調査2024年の世帯人数別・電気代の実額(月額と年換算、1人当たり)
- 環境省の統計による世帯人数別の年間電気使用量(kWh)と1日平均
- メーカーが公式に示している蓄電池容量の選び方と実際のラインアップ
- 太陽光パネルの容量を年間発電量から逆算する手順
- 2026年8月時点の価格・補助金・売電単価と、見積もりで確認すべき項目
世帯人数別の電気代と電気使用量|金額は人数に比例しない
家計調査2024年平均の実額
総務省統計局「家計調査」2024年(令和6年)平均の、1世帯当たり1か月間の電気代です。単身世帯と二人以上の世帯は集計区分が分かれている点に注意してください。
| 世帯人員 | 1か月の電気代 | 年換算(12か月) | 1人当たり月額 |
|---|---|---|---|
| 1人(単身世帯) | 6,756円 | 約8.1万円 | 6,756円 |
| 2人 | 10,878円 | 約13.1万円 | 5,439円 |
| 3人 | 12,651円 | 約15.2万円 | 4,217円 |
| 4人 | 12,805円 | 約15.4万円 | 3,201円 |
| 5人 | 14,413円 | 約17.3万円 | 2,883円 |
| 6人以上 | 16,995円 | 約20.4万円 | 約2,711円 |
| 二人以上の世帯 平均 | 12,008円 | 約14.4万円 | 4,169円 |
出典: 総務省統計局 家計調査 2024年(令和6年)家計収支編(数値はe-Statの統計表で確認。二人以上の世帯は第3-1表「世帯人員別1世帯当たり1か月間の収入と支出」、単身世帯は第1表「1世帯当たり1か月間の収入と支出」)。年換算と1人当たりは編集部で算出(6人以上は同表の平均世帯人員6.27人、二人以上の世帯平均は2.88人で除算)。
目を引くのは3人世帯(12,651円)と4人世帯(12,805円)の差が月154円しかない点です。冷蔵庫・照明・待機電力のように人数に左右されない消費があるため、1人当たりで見ると単身世帯6,756円がもっとも高く、人数が増えるほど下がります。
「4人家族だからいくらくらい」という推定は実額から数千円ずれることがあります。 検針票で実績値を確認するほうが確実です。平均額の詳細は一般家庭の電気代平均でも扱っています。
月ごとの変動は年平均より大きい
同じ家計調査の2024年月別(二人以上の世帯)では、最低が6月の9,562円、最高が9月の13,831円で、最低月と最高月で約1.45倍の開きがあります(年平均12,008円に対して最高月は約1.15倍。支払ベースのため、9月の支出には主に8月の使用分が反映されます)。試算では年平均だけでなくピーク月も見ておきましょう。
金額ではなく使用量(kWh)で見る
電気代は契約プランや燃料費調整で動くため、容量を考えるときは使用量で見るほうが安定します。環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」(令和5年度・確報値)は世帯人数別の年間エネルギー消費量を公表しており、電気は二次エネルギー換算(1kWh = 3.6MJ)なのでkWhに戻せます。
| 世帯人数 | 年間電気消費量(GJ) | kWh換算 | 1日平均 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 8.66 GJ | 約2,410kWh | 約6.6kWh |
| 2人 | 14.25 GJ | 約3,960kWh | 約10.8kWh |
| 3人 | 18.47 GJ | 約5,130kWh | 約14.1kWh |
| 4人 | 20.58 GJ | 約5,720kWh | 約15.7kWh |
| 5人 | 23.23 GJ | 約6,450kWh | 約17.7kWh |
| 6人以上 | 32.28 GJ | 約8,970kWh | 約24.6kWh |
| 全体 | 14.08 GJ | 3,911kWh | 約10.7kWh |
出典: 環境省 令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査(確報値)(図1-62および表1)。kWh換算と1日平均は編集部で算出。全体の14.08GJは同調査が固有単位で示す3,911kWhと一致します。
金額では3人と4人が横並びなのに対し、使用量では1人と4人で2.4倍の差がつきます。なお同調査の全国平均は電気の年間支払金額11.05万円・消費量3,911kWhで、逆算した実効単価は約28円/kWh(基本料金や再エネ賦課金込み)です。
ただし1日平均の使用量がそのまま必要な蓄電池容量になるわけではありません。 蓄電池がまかなうのは太陽光でつくれない時間帯の分だけで、配分は在宅時間・オール電化かどうか・季節で変わります。オール電化世帯はオール電化の電気代シミュレーションを参照してください。
蓄電池の容量は世帯人数だけでは決まらない
メーカーが公式に示している選び方
京セラは単機能型蓄電システムEnerezzaの製品ページで、容量ラインアップをこう説明しています。
蓄電システムのラインアップとして、5.5kWh、11.0kWh、16.5kWh(いずれも定格容量)の3種類を用意しました。自宅に設置している太陽光発電システムの容量、それぞれの生活スタイル、非常時に使用したい電力量などから、最適な蓄電池の容量を選んでいただけます。 (出典: 京セラ 単機能型蓄電システム Enerezza)
メーカー自身が挙げる判断軸は「太陽光の容量」「生活スタイル」「非常時に使いたい電力量」で、世帯人数は入っていません。 世帯人数別の容量表は、メーカーの推奨ではなく誰かがつくった目安だと読んでおくのが安全です。
京セラ・オムロンの公式仕様は5kWh台から16kWh台
| メーカー・型式 | 蓄電池容量(定格) | 初期実効容量 |
|---|---|---|
| 京セラ EGS-LM0550 | 5.5kWh | 4.7kWh |
| 京セラ EGS-LM1100 | 11.0kWh | 9.4kWh |
| 京セラ EGS-LM1650 | 16.5kWh | 14.1kWh |
| オムロン KP-BU63-B | 6.3kWh | 5.7kWh |
| オムロン KP-BU65C-A | 6.5kWh | 5.8kWh |
| オムロン KP-BU97C-A | 9.7kWh | 8.7kWh |
| オムロン KP-BU130C-A | 13.0kWh | 11.6kWh |
| オムロン KP-BU164-2S | 16.4kWh | 14.8kWh |
出典: 京セラ Enerezza 仕様表(PDF)(初期実効容量はJIS C4413による)、オムロン KPBP-Aシリーズ 仕様(同社の欄名は「実効容量」)
上の8機種はいずれも、カタログの定格容量より実効容量が小さくなります(京セラは約15%、オムロンは約1割)。 見積書には定格と実効の両方を書いてもらいましょう。容量の考え方は蓄電池は何kWhが最適かでも整理しています。
容量より先に効いてくる「出力」の制限
大容量にすれば何でも動くわけではありません。京セラEnerezzaのパワーコンディショナ(SBS-300)は定格出力が最大3.0kW、自立運転機能は2.0kVAで、5.5kWhのEGS-LM0550では入出力電力を約1.5kWに抑制すると仕様表に注記されています。停電時に大電力の家電を動かしたいなら、容量(kWh)より先に出力(kW)と自立運転の方式を確認する必要があります。
「毎日フル充放電」前提の試算には注意
パナソニックは免責事項のなかで、次のケースを無料修理の対象外としています。
蓄電池の日常使用可能容量に対し1日1サイクルを超えて、日常的に使用されていることが確認された場合。 (出典: パナソニック 免責事項)
1日に何度も充放電を回して元を取る、という説明を受けたら、その使い方が保証条件と矛盾しないかを確認してください。
太陽光パネルの容量は年間発電量から逆算する
太陽光発電協会(JPEA)は公式サイトで、経済産業省 調達価格等算定委員会の2019年度意見書に基づく設備利用率13.5%から、1kWシステムあたりの年間発電電力を1,183kWh/kW/年として算出していると注記しています(出典: JPEA 住宅用太陽光発電システムのメリット)。
この係数を先ほどの年間使用量に当てはめると、「発電量と使用量が年間で釣り合う名目上の容量」は次のとおりです。
| 世帯人数 | 年間電気使用量 | 釣り合う容量 |
|---|---|---|
| 1人 | 約2,410kWh | 約2.0kW |
| 2人 | 約3,960kWh | 約3.3kW |
| 3人 | 約5,130kWh | 約4.3kW |
| 4人 | 約5,720kWh | 約4.8kW |
| 5人 | 約6,450kWh | 約5.5kW |
| 6人以上 | 約8,970kWh | 約7.6kW |
(環境省の年間使用量をJPEAの1,183kWh/kW/年で除して編集部が算出)
これは年間の総量が釣り合う容量であって、「発電した電気をそのまま使い切れる容量」ではありません。 屋根の方角・勾配・面積、日影、パワコンの容量でも実発電量は変わります。見積もりを読む前に当たりをつける数字として使ってください。
2026年8月時点の価格・補助金・売電単価
本体価格は「非公表」が一般的、公表例もある
家庭用蓄電池は、公式サイトに本体価格を掲載していないメーカーもあります。オムロンのKPBP-Aシリーズ仕様ページには価格の記載がなく、見積もり依頼の導線だけが用意されています。一方で、京セラは型式ごとの希望小売価格(税込)を公表しています。
| 型式 | 蓄電池容量 | 希望小売価格(税込) |
|---|---|---|
| EGS-LM0550 | 5.5kWh | 3,036,000円 |
| EGS-LM1100 | 11.0kWh | 5,236,000円 |
| EGS-LM1650 | 16.5kWh | 7,436,000円 |
出典: 京セラ Enerezza 仕様表(PDF)。同表の注記によれば、この価格は屋外設置の場合に蓄電池ユニット、パワーコンディショナ、通信モデム、リモコン、逆潮防止用CTとケーブル類を含む構成の価格です。工事内容や屋根・分電盤の状況で最終的な支払額は変わるため、実際の費用は販売店の見積もりで確認してください。
国の補助金は使えない期間、自治体の制度は動いている
国のDR家庭用蓄電池事業は2026年5月29日に予算到達で公募終了しています(SIIの2026年9月4日更新時点の公表値は交付決定総数12,067件、交付決定総額5,173,107,946円)。次回公募は未公表です。詳しくは国のDR補助金の終了と次回の見通しにまとめています。
東京都の令和8年度「家庭における蓄電池導入促進事業」は、蓄電池パッケージが蓄電容量10万円/kWh(助成対象経費(税抜)が上限)、DR実証に参加しない場合は上限120万円/戸。ユニット増設は6万円/kWh、同じく不参加なら上限72万円/戸で、DR実証参加時は加算があります。さらに令和8年10月1日以降の事前申込は、SIIの令和8年度登録済製品一覧に載っている機器のみが助成対象になります(令和8年4月1日〜6月30日に契約締結または契約・工事完了した事業を除く)。出典: 東京都 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業
売電より自家消費に振れる構造になっている
2026年度の住宅用FIT(10kW未満)は、1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhです(出典: 資源エネルギー庁 買取価格・期間等)。先ほどの実効単価(約28円/kWh)と並べると、5年目以降は売電に回すより自家消費に回したほうが手元に残る金額が大きくなる構造です。実効単価は契約プランと季節で動くので、自宅の検針票の単価に置き換えて確かめてください。
家族構成が変わる前提でどう考えるか
世帯人数が多い家ほど導入が進んでいる
環境省の同じ統計によれば、家庭用蓄電システムの使用率は全体2.0%で、1人世帯0.5%、3人世帯3.3%、4人世帯4.4%、5人世帯6.5%、6人以上6.6%。戸建の太陽光は戸建全体11.7%、4人世帯19.4%、5人世帯21.9%です(図2-126、図2-92)。**世帯人数が増えるほど導入率は上がりますが、5人世帯でも蓄電池は6.5%**で、多人数世帯なら当然に入れるもの、という段階ではまだありません。
増設という選択肢と、その条件
将来人数が増えるなら、あとから増設する道もあります。シャープは、後付け・増設ができる機器の組み合わせに条件があり、可能な期間は蓄電池連携型パワーコンディショナの設置後おおよそ5年以内が目安だと案内しています(出典: シャープ 蓄電池システム)。東京都の助成にも増設のメニュー(6万円/kWh)があります。「増設できる構成か」「その期限はいつまでか」を契約前に書面で確認しておくと、家族構成の変化に対応しやすくなります。
人数が減る側のリスクも見ておく
子どもの独立で人数が減れば使用量は下がります。環境省の統計では4人世帯が約5,720kWh、2人世帯が約3,960kWhで、差は年間約1,760kWh。容量が過大な蓄電池は、使い切れない分だけ投資回収が遅くなります。 独立が10年以内なら、その後の使用量で試算し直しましょう。
見積もりで確認すること
国民生活センターは2021年6月3日に「家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意!」を公表しています。PIO-NETの相談件数は2016年度325件、2017年度553件、2018年度926件、2019年度1,302件、2020年度1,314件と増加傾向にあり、同センターは急いで契約せず複数社を比較検討するようアドバイスしています(出典: 国民生活センター)。
容量を決める前に、次の項目が書面に落ちているかを確認してください。
- 自宅の実績使用量(検針票ベースの年間kWhと、もっとも多い月のkWh)
- 蓄電池ユニットの型式と、蓄電容量・初期実効容量の両方
- パワーコンディショナの定格出力(kW)、停電時の自立運転出力、全負荷か特定負荷か
- 想定している充放電の回数(1日1サイクルを超える運用が前提になっていないか)
- 見積価格に含まれる機器と工事の範囲、含まれないもの
- 補助金の申請時期と対象機器要件(東京都は令和8年10月1日以降の事前申込で要件が変わります)
書面の読み方は見積書のチェックポイントで詳しく解説しています。
まとめ
- 家計調査2024年平均の電気代は単身6,756円、4人世帯12,805円。世帯人数が増えても比例して増えず、3人と4人の差は月154円にとどまる
- 使用量で見ると差は明確で、環境省の統計では1人世帯約2,410kWh、4人世帯約5,720kWh(年間)。設備の容量は金額ではなくkWhの実績から考える
- 蓄電池の容量は世帯人数では決まらない。京セラも太陽光の容量・生活スタイル・非常時に使いたい電力量から選ぶよう案内している。定格と初期実効容量の差(1割前後)や出力(kW)の制限も要確認
- 2026年9月時点で国のDR補助金は公募終了。東京都は10万円/kWh・上限120万円/戸(DR実証に参加しない場合)で継続中だが、令和8年10月1日以降の事前申込は対象機器の要件が変わる