2026年8月25日時点で新築戸建てに使える国のZEH補助金は「令和8年度 ZEH支援事業」で、補助額はZEHが1戸あたり45万〜55万円、ZEH+が80万〜90万円の定額です。 ただし事業規模は約23億円、単年度事業の想定採択件数は約2,700件しかなく、受付は先着順。さらに交付決定番号を得る前に着工した工事は補助対象外になるため、間取りを決める段階で条件を確認しておく必要があります。
この記事では、SIIが公開している公募要領とパンフレットに書かれている数値だけを使って、2026年に実際に申請できる条件を整理します。
【2026年8月25日時点】 令和8年度 ZEH支援事業(新築戸建)の一般公募は受付中で、単年度事業の締切は2026年12月11日(金)17時です。一方、国のDR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正・上限60万円/申請)は2026年5月29日に予算到達で公募終了しており、新規申請はできません。出典: ZEH Web 新築戸建ZEH、SII 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業
この記事でわかること
- 2026年度(令和8年度)に実際に申請できるZEH補助金の名称と補助額
- ZEH・ZEH+・Nearly ZEH・ZEH Orientedの条件の違いを数値で
- 蓄電池・EV充電設備などの加算額と、その条件
- 先着順のスケジュールと、交付決定前に着工すると落ちるという落とし穴
- 国交省「みらいエコ住宅2026事業」など他制度との併用可否
2026年度に申請できるZEH補助金と補助額
正式名称は「令和8年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(戸建住宅・集合住宅のZEH化・省CO2化促進事業)」、略称が令和8年度 ZEH支援事業です。執行はSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)が行い、申請はZEHポータルからの電子申請になります。
住宅の種類ごとに3つの事業に分かれています。
| 事業 | 対象 | 公募状況(2026年8月25日時点) |
|---|---|---|
| 新築戸建住宅のZEH・ZEH+化等支援事業 | 新築の注文戸建・建売戸建 | 一般公募 受付中 |
| 新築集合住宅のZEH-M化等支援事業 | 集合住宅(事業者向け) | 公募受付中 |
| 既存住宅のZEH・ZEH+化改修事業 | 既存住宅の改修・診断 | 公募受付中 |
出典: ZEH Web
新築戸建の補助額(単年度事業)
建物の規模にかかわらず、ZEHの種別と地域区分で金額が決まる定額方式です。
| 補助対象住宅の種別 | 補助額 |
|---|---|
| ZEH(地域区分1〜3) | 定額55万円/戸 |
| ZEH(地域区分4〜8) | 定額45万円/戸 |
| ZEH+(地域区分1〜4) | 定額90万円/戸 |
| ZEH+(地域区分5〜8) | 定額80万円/戸 |
ZEHとZEH+で区切りの地域区分がずれている点に注意してください。ZEHは1〜3地域が55万円、ZEH+は1〜4地域が90万円です。また、Nearly ZEHとZEH OrientedはZEHと同額、Nearly ZEH+はZEH+と同額と定められています。
出典: 令和8年度 ZEH支援事業 公募要領(個人申請・PDF)、令和8年度 ZEH関連事業パンフレット(PDF)
着工が翌年度にまたがる場合は「複数年度事業」を選べます。1年目はBELS取得費として定額5万円/戸、2年目にZEH50万円(1〜3地域)または40万円(4〜8地域)、ZEH+85万円(1〜4地域)または75万円(5〜8地域)が交付され、公募は2026年11月6日〜2027年1月8日17時です。
既存住宅は「改修事業」が別枠
既存住宅は新築戸建の枠では申請できませんが、ZEH+改修(補助対象経費の1/3、上限1〜4地域400万円/戸・5〜8地域300万円/戸、要件は断熱等性能等級6以上かつBEI≦0.7)、ZEHリノベ(上限250万円/戸)、ZEH診断(上限BELS取得あり25万円/戸・なし20万円/戸)が用意されています(出典: ZEH Web 既存住宅のZEH・ZEH+化改修事業)。
ZEH・ZEH+の条件を数字で確認する
補助金の可否を決めるのは、次の5つです。ここが2026年の「条件」の本体になります。
1. 外皮性能(UA値)
ZEHは地域区分ごとのUA値、ZEH+は断熱等性能等級6以上が求められます。UA値は小さいほど断熱性能が高いことを示します。
| 地域区分 | ZEHのUA値 | ZEH+のUA値 |
|---|---|---|
| 1・2地域 | 0.40以下 | 0.28以下 |
| 3地域 | 0.50以下 | 0.28以下 |
| 4地域 | 0.60以下 | 0.34以下 |
| 5〜7地域 | 0.60以下 | 0.46以下 |
| 8地域 | 基準なし | 基準なし |
ZEH+はさらに冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)も問われ、5地域3.0以下・6地域2.8以下・7地域2.7以下・8地域5.1以下、1〜4地域は基準値なしと定められています。
2. 一次エネルギー消費量の削減率
| 区分 | 再エネ等を除く削減率 | 再エネ等を含む削減率 |
|---|---|---|
| 『ZEH』 | 20%以上 | 100%以上 |
| Nearly ZEH | 20%以上 | 75%以上100%未満 |
| ZEH Oriented | 20%以上 | 要件なし(再エネ未導入も可) |
| 『ZEH+』 | 30%以上 | 100%以上 |
| Nearly ZEH+ | 30%以上 | 75%以上100%未満 |
エネルギー計算は建築物省エネ法に基づく方法で、空調・給湯・換気・照明に限定し、「その他一次エネルギー消費量」は除きます。ZEH+の省エネ削減率は30%以上で、以前の資料で見かける25%という数字は令和8年度の要件ではありません。
Nearly ZEHが認められるのは寒冷地(地域区分1または2)、低日射地域(日射区分A1またはA2)、多雪地域(垂直積雪量100cm以上)に限られます。ZEH Orientedは都市部狭小地等(北側斜線制限の対象地域で敷地85平方メートル未満、平屋を除く)または多雪地域が対象です。
3. 太陽光発電などの再エネ導入
ZEH・Nearly ZEHでは、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー・システムの導入が要件です。容量は問われませんが、売電を行う場合は余剰買取方式に限られ、全量買取方式は認められません。ZEH Orientedだけは再エネ未導入でも申請できます。
太陽光をどれくらい載せるかの考え方はZEHと太陽光発電の組み合わせ方で解説しています。
4. ZEHビルダー/プランナーが関与していること
申請する住宅は、SIIに登録されたZEHビルダー/プランナーが建築・設計または販売に関与している必要があります。ZEHビルダー/プランナーとは、2030年の「ZEH普及目標」を掲げてその実現に努めているハウスメーカー・工務店・建築設計事務所・リフォーム業者・建売住宅販売者を指し、2026年度からは登録フェーズ3が始まっています。登録済み事業者はSIIが公表しているため、契約前に一覧で確認できます。
5. 選択要件を1つ以上採用すること
❶再生可能エネルギーの自家消費の拡大措置、❷高度エネルギーマネジメント、のうち1つ以上の採用が必要です(ZEH Orientedは任意選択)。❶を選ぶ場合は次の5つから1つ以上を措置します。
- 初期実効容量5kWh以上の蓄電システム
- PVTシステム
- 太陽熱利用システム
- 昼間に沸き上げをシフトする機能を有する給湯機
- 電気自動車(PHEVを含む)の充電設備または充放電設備
なお再生可能エネルギーを導入しない場合、❶は選択できません。加えて令和8年度からは、再エネ・システムとHEMSが採用する制御システムのうちIP通信機能を有する製品について、JC-STAR★1の取得が要件に加わっています。
蓄電池・EV充電設備などの加算(選択要件)
住宅本体の補助額に、導入した設備ごとの加算が上乗せされます。
| 追加設備等 | 加算額 |
|---|---|
| 蓄電システム | 初期実効容量1kWhあたり2万円、補助対象経費の1/3、上限20万円/戸のうち最も低い額 |
| PVTシステム | 液体集熱式65万円または80万円/戸、空気集熱式90万円/戸(パネル面積による) |
| 太陽熱利用システム | 液体集熱式12万円または15万円/戸、空気集熱式定額60万円/戸(パネル面積による) |
| 昼間に沸き上げをシフトする給湯機 | 定額2万円/戸 |
| EVの充電設備または充放電設備 | 補助対象経費の1/3、上限10万円/戸のうち低い額 |
| 高度エネルギーマネジメント | 定額2万円/戸 |
| 直交集成板(CLT) | 定額90万円/戸 |
| 地中熱ヒートポンプ・システム | 定額90万円/戸 |
出典: 令和8年度 ZEH支援事業 公募要領(個人申請・PDF)
蓄電システムの加算を受けるには、本年度にSIIへ製品登録されていること(令和7年度以前の登録製品は対象外)、導入価格(設備費+工事費・据付費)が蓄電容量1kWhあたり11.5万円という目標価格以下であること、再エネの自家消費量を増やす目的で導入されることが条件です。非常用の電力確保だけを目的とした限定的な運用は対象外とされています。
この11.5万円/kWhという数字は、見積もりを読むときの公的な目安になります。容量の決め方は蓄電池のkWh(容量)の選び方が参考になります。
なお選択要件として使うには初期実効容量5kWh以上が必要ですが、5kWh未満でも「追加設備」として加算の対象にはなります(その場合は別の選択要件を満たす必要があります)。
申請できる人・スケジュール・落とし穴
申請できるのは誰か
個人申請の対象は、新築注文戸建住宅の建築主となる個人、または新築建売戸建住宅の購入予定者となる個人です。1つの住宅につき1件のみで、同一人が複数申請することはできません。事業完了後すみやかにその住宅へ居住すること、財産処分制限期間(6年)中は事業目的に沿って管理・運用すること、環境省の「デコ活」宣言または応援団への参画も同意事項です。建売住宅の販売者となる法人向けには別の公募要領があります。
スケジュール(単年度事業)
| フェーズ | 期日 |
|---|---|
| 公募期間 | 2026年5月21日10時 〜 2026年12月11日17時 |
| 交付決定 | 申請受理日から3週間を目処。最終交付決定日は2026年12月23日 |
| 中間報告 | 原則BELS取得日から3週間以内。最終期限2027年1月6日17時 |
| 完了実績報告 | 事業完了日から15日以内。最終期限2027年1月22日 |
受付は先着順で、平日のみ、毎日17時に締め切られます。申請金額の合計が予算に達した日は、その日に届いた不備のない申請を対象に抽選が行われ、以降はポータルからの申請ができなくなります。事業規模は約23億円、想定採択件数は単年度事業で約2,700件、複数年度事業で約300件です。
見落としやすい落とし穴
- 交付決定前の着工は対象外: 新築注文戸建住宅(単年度)は、交付決定番号を得た後にBELSの取得を含む補助対象工事へ着手する必要があります。新築建売戸建住宅は、交付決定番号を得た後に売買契約を行う必要があります
- ZEHビルダー/プランナーごとの採択目安数: 単年度事業では、SIIが各事業者に設定した「一公募当たりの採択目安数」の3倍を超えた分は受付されません。この制限は2026年8月28日17時までの申請分に適用され、翌日以降は撤廃されると公募要領に明記されています
- 報告遅れは取下げ扱い: 中間報告・完了実績報告に不備があったり期日に遅れたりした場合、申請を取り下げたものとみなされます
つまり「補助金を当てにして先に着工する」という進め方はできません。契約と着工のタイミングを施工会社と詰めておくことが実務上の要点になります。
他の補助金と併用できるか
国庫を財源とする補助金のうち、補助対象が重複するものは併用できません。公募要領に掲載されている参考事例は次のとおりです。
| 補助事業名 | 設備 | 併用 |
|---|---|---|
| 給湯省エネ2026事業 | 燃料電池(エネファーム) | 可 |
| 給湯省エネ2026事業 | 電気ヒートポンプ給湯機(エコキュート・おひさまエコキュート) | 不可 |
| 給湯省エネ2026事業 | ハイブリッド給湯機 | 不可 |
| みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026) | — | 不可 |
| クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金 | EV充電設備または充放電設備 | 不可 |
出典: 令和8年度 ZEH支援事業 公募要領(個人申請・PDF)
国交省「みらいエコ住宅2026事業」とどちらを選ぶか
新築を建てる人にとって現実的な比較対象は、国土交通省のみらいエコ住宅2026事業です。ZEH支援事業とは併用できないため、どちらか一方を選ぶことになります。
| 事業・区分 | 補助額 | 対象世帯 |
|---|---|---|
| みらいエコ住宅2026:GX志向型住宅 | 1〜4地域125万円、5〜8地域110万円 | すべての世帯 |
| みらいエコ住宅2026:長期優良住宅 | 1〜4地域80万円、5〜8地域75万円 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 |
| みらいエコ住宅2026:ZEH水準住宅 | 1〜4地域40万円、5〜8地域35万円 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 |
| ZEH支援事業:ZEH | 1〜3地域55万円、4〜8地域45万円 | 制限なし |
| ZEH支援事業:ZEH+ | 1〜4地域90万円、5〜8地域80万円 | 制限なし |
金額だけを見ればGX志向型住宅が大きいものの、求められる住宅性能も上がります。一方でZEH支援事業は世帯要件がなく、蓄電システムやEV充電設備の加算を積める点が違いです。世帯構成・目指す性能・入れたい設備の3点で分かれると考えると整理しやすくなります。
自治体の補助金
自治体の制度は財源によって扱いが変わるため、重複可否は自治体とSIIの双方に確認するのが確実です。たとえば東京都の「令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業」は蓄電容量10万円/kWhが基本単価で、DR実証に参加しない場合の上限は120万円/戸、参加する場合はエネルギーマネジメント・IoT機器を設置すれば1台あたり15万円、設置しなければ1台あたり10万円が加算されます。2026年10月1日以降はSIIの令和8年度登録済製品一覧の機器のみが対象になる点も要注意です(出典: クール・ネット東京 家庭における蓄電池導入促進事業)。
自治体制度の探し方は東京都の蓄電池補助金、複数制度の組み合わせ方は補助金の併用ルールにまとめています。
導入を判断するときの見どころ
補助金は「増額分」ではなく「差額」で見る
ZEH仕様で上がる建築費は、断熱材・サッシ・設備の選び方や施工会社によって幅が大きく、公的に確定した相場は公表されていません。見積もりで一般仕様とZEH仕様の差額を出してもらい、そこから補助額を引いた金額が実質の追加負担です。一律に語れる数字はないため、複数社の見積もりで比べるのが現実的です。あわせて、住宅ローン控除の借入限度額も性能区分で変わります(国税庁が公表している令和6年・令和7年入居分では、ZEH水準省エネ住宅は借入限度額3,500万円・控除期間13年。出典: 国税庁 No.1211-1)。
売電より自家消費が制度の方向
2026年度の住宅用太陽光(10kW未満)のFIT調達価格は、1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhです(出典: 資源エネルギー庁 買取価格・期間等)。ZEHの選択要件が「再生可能エネルギーの自家消費の拡大措置」になっているのと同じで、売電で回収するより自家消費を増やす設計のほうが制度と噛み合います。
一方、国のDR家庭用蓄電池事業は2026年5月29日に公募終了し、次回公募は未公表です。ZEH支援事業の加算(上限20万円/戸)と自治体制度は使えますが、「国の蓄電池補助金が使える前提」で予算を組むことは2026年8月25日時点ではできません。経緯と見通しはDR補助金の終了と次回の見通しにまとめています。
まとめ
2026年のZEH補助金は「金額」より「条件と順番」で決まります。定額の補助額そのものはシンプルですが、外皮性能・削減率・ZEHビルダー・選択要件・着工タイミングのどれか1つでも外すと交付されません。
- 令和8年度 ZEH支援事業の単年度補助額は、ZEHが45万〜55万円/戸、ZEH+が80万〜90万円/戸の定額
- 条件はUA値(ZEHは0.40〜0.60以下、ZEH+は断熱等性能等級6以上)、削減率(再エネ除きZEH20%以上・ZEH+30%以上)、再エネ導入(売電は余剰買取のみ)、SII登録のZEHビルダー/プランナー関与、選択要件1つ以上
- 蓄電システムは初期実効容量1kWhあたり2万円・上限20万円/戸が加算され、選択要件に使うには5kWh以上が必要
- 公募は2026年12月11日17時までの先着順で、想定採択件数は単年度約2,700件。交付決定番号を得る前の着工は対象外
- 国交省のみらいエコ住宅2026事業とは併用できないため、世帯要件と目指す性能で選ぶ
制度は年度ごとに要件が変わります。判断の前に、SIIの公募要領の最新版で自分の地域区分と設備が該当するかを確認してください。