エコキュートのタンク容量は「家族の人数」だけでは決まりません。 メーカーが公開している1日の使用湯量の目安と、その試算条件(何℃のお湯を何L使う前提か)を突き合わせて決めるのが、公式情報だけで判断できるやり方です。
同じ370Lでも、三菱電機は「3〜4人用」、コロナは「3〜5人用」と表記します。どちらかが誤っているのではなく、試算の前提条件が違うだけです。この記事では各社の目安表と試算条件をそのまま並べ、自宅の使い方に当てはめる手順を示します。
【2026年9月1日時点】 経済産業省の「給湯省エネ2026事業」が受付中で、ヒートポンプ給湯機(エコキュート)は基本額7万円/台、性能加算3万円/台です。事業サイトのトップページには、通常補助と撤去加算それぞれの「予算に対する補助金申請額の割合」が表示されています。この割合は毎日更新され、予算上限に達し次第受付終了です。出典: 給湯省エネ2026事業、補助額と補助上限
この記事でわかること
- 三菱電機・コロナが公表している家族人数別の使用湯量の目安と、その試算条件の原文
- タンク容量より多い量の「40℃のお湯」が使える理由と、その計算根拠
- メーカー別の容量ラインナップと公式表記の想定人数
- 容量を1段階上げたときに増える設置寸法の実数
- 給湯省エネ2026事業の補助額と、対象になるための条件
タンク容量は「1日の使用湯量」から逆算する
三菱電機が公開している目安
三菱電機はエコキュートの選び方ページで、家族人数・使用湯量・推奨容量を次のように示しています。
| 家族人数 | お湯の使用量の目安(40℃換算・冬期)合計 | 対応するタンク容量 |
|---|---|---|
| 5〜7人 | 985L | 550Lタイプ |
| 4〜5人 | 755L | 460Lまたは430Lタイプ |
| 3〜4人 | 640L | 370Lタイプ |
| 2〜4人 | 525L | 300Lタイプ・180Lタイプ(コンパクト エコキュート) |
| 1〜2人 | 410L | 180Lタイプ(エコキュート ライト) |
列見出しが示すとおり、この使用湯量は冬期の40℃換算の数値です。タンクから出てくるお湯の量そのものではありません。
試算条件は次のとおり明記されています。
試算条件(当社想定)給水温度9℃・シャワー温度及び浴槽湯はり温度40℃。◎浴槽湯はり量180L ◎シャワー湯量[1階給湯時] 80L/人 程度使用。◎洗面・台所 35L/人 程度使用
(出典: 三菱電機 エコキュートの選び方)
同じページには「上記の使用湯量目安は、浴槽の大きさ、シャワーの使い方などによって変わります」という注記もあります。
この条件をそのまま式にすると、1日の使用湯量 = 180L(湯はり)+ 115L × 人数(シャワー80L+洗面台所35L) になります。人数に2・3・4・5・7を入れると410L・525L・640L・755L・985Lとなり、公式表に載っている5つの数値をすべて再現できます(公式表は人数を範囲で示しているため、「2〜4人=525L」は3人、「5〜7人=985L」は7人を入れた値に対応します)。ただしこの式は編集部が試算条件から逆算したもので、三菱電機が式として公表しているものではありません。
コロナが公開している目安
コロナは同じ内容を「お湯はり1回+シャワー◯回」という形で示しています。
| 家族人数 | 容量 | 想定する使い方 |
|---|---|---|
| 4〜7人 | 460L | お湯はり1回+シャワー7回+キッチン・洗面・手洗い |
| 3〜5人 | 370L | お湯はり1回+シャワー5回+キッチン・洗面・手洗い |
| 2〜4人 | 300L | お湯はり1回+シャワー3回+キッチン・洗面・手洗い |
| 1〜2人 | 185L | お湯はり1回+シャワー2回+キッチン・洗面・手洗い |
計算条件は「お湯はり温度設定40℃、シャワー湯量毎分10Lで8分使用。(貯湯ユニット内温度80℃・給水温度5℃)」で、「使用湯量は目安であり、使い方などにより変わります」と注記されています(出典: コロナ わが家にはどのエコキュート?)。
毎分10L×8分=80Lですから、シャワー1回あたり80Lという前提は三菱電機と同じです。一方でコロナは浴槽の湯はり量やキッチン・洗面の想定湯量を数値で公表しておらず、給水温度も三菱電機の9℃に対して5℃としています。2社の想定人数がずれる背景にはこうした前提条件の差があると考えられますが、内訳が公開されていない以上、どの要素がどれだけ効いているかは断定できません。一般論として給水温度が低いほど同じ40℃を作るのに必要な貯湯量は増えるため、寒冷地や冬場を基準に考えるなら余裕を持たせておくほうが安全です。
なお185Lは選び方ページの目安表には載っていますが、2026年8月25日時点のコロナのエコキュート商品一覧では最小容量が300Lで、185Lの現行機種は確認できませんでした。実際に購入できる容量は商品一覧側で確認してください。
コロナはさらに「2世帯住宅等でおふろが2ヵ所にある場合、2台のエコキュートが必要となります」とも明記しています。浴室が2つある家では容量を上げるのではなく台数で対応する、という整理です。
自宅の使用湯量を出す手順
- 湯はりをする日の浴槽の湯量を確認する(メーカー試算では180L)
- シャワーの人数 × 1回あたりの湯量を足す(毎分10Lなら、8分で80L、12分で120L)
- キッチン・洗面に人数 × 35L程度を足す
- 出た数字を上の目安表と突き合わせる
シャワーが長い家庭、朝晩2回シャワーを浴びる人がいる家庭は、この計算だけで1段階上の容量に届きます。逆に湯はりをほとんどしない家庭では、人数の割に小さい容量で足りることがあります。人数より使い方のほうが効きます。
エコキュートそのものの基本的な選定手順はエコキュートの選び方ガイドにまとめています。
「タンク容量=使えるお湯の量」ではない
370Lのタンクから取り出せるお湯は370Lではありません。使用温度より高い温度でお湯を貯め、給水と混ぜて使うからです。
コロナが計算条件に書いている「貯湯ユニット内温度80℃・給水温度5℃」を使うと、話は単純な混合計算になります。80℃の湯と5℃の水を混ぜて40℃を作る場合、40℃の湯1Lあたりに必要な80℃の貯湯は約0.47Lです。370Lのタンクなら、理論上はおよそ790L分の40℃のお湯に相当します。
ただしこれは理論値です。実際には貯湯ユニット内の温度分布や配管・放熱のロスがあります。参考までに三菱電機が370Lタイプに示す使用湯量の目安は640L(冬期40℃換算)で、上の理論値より小さい値です。ただしこの2つは前提が違い(理論値はコロナの80℃/5℃、640Lは三菱電機の給水温度9℃)、そのまま引き算できる数字ではありません。判断に使うのは理論値ではなく、各社が公開している使用湯量の目安にしてください。
メーカー別の容量ラインナップと公式の想定人数
各社の公式ページに記載されている容量と想定人数を、表記のまま整理します。
| メーカー・シリーズ | 容量とメーカー表記の想定人数 |
|---|---|
| 三菱電機 Sシリーズ | 550L(主に5〜7人用)、460L(主に4〜5人用)、430L薄型(主に4〜5人用薄型タイプ)、370L(主に3〜4人用)、370L薄型(主に3〜4人用薄型タイプ)、180L(主に2〜4人用コンパクト エコキュート) |
| 三菱電機 Pシリーズ | 460L(4〜5人用)、370L(3〜4人用) |
| 三菱電機 コンパクトエコキュート | 180L(1〜4人用) |
| コロナ | 460L(4〜7人用)、370L(3〜5人用)、300L(2〜4人用) |
| パナソニック | 公式ラインアップに560L・460L・370L・300L・195L(薄型コンパクト)を掲載(人数目安の表記なし) |
出典: 三菱電機 Sシリーズ、三菱電機 Pシリーズ、三菱電機 コンパクトエコキュート、コロナ エコキュート商品一覧、パナソニック エコキュート ラインアップ
目を引くのは、460Lの想定人数が三菱電機は「4〜5人」、コロナは「4〜7人」と大きく違う点です。試算条件が違うため、カタログの人数表記を横並びで比べても意味がありません。比べるなら人数ではなく**使用湯量の目安(L)**です。
また、パナソニックのラインアップページのように人数目安を掲げていないメーカーもあります。人数表記は規格で決まった数字ではありません。
各社の機種そのものの違いはエコキュートのメーカー比較で扱っています。
容量を1段階上げると何が増えるか
設置寸法が大きくなる
容量を上げるときにまず確認したいのは、本体の外形寸法です。コロナのハイグレードシリーズの公式仕様では、貯湯ユニットの外形寸法は次のとおりです。
| 容量 | 貯湯ユニット外形寸法(高さ×幅×奥行) |
|---|---|
| 370L | 1,860mm × 630mm × 730mm |
| 460L | 1,850mm × 700mm × 795mm |
(出典: コロナ エコキュート ハイグレード 仕様)
高さはほぼ同じですが、幅で70mm、奥行で65mm大きくなります。通路幅や隣家との離隔がぎりぎりの敷地では、この数cmが効いてきます。
設置スペースが厳しい場合は、薄型やコンパクトタイプという選択肢があります。三菱電機のSシリーズには430Lの薄型(主に4〜5人用)と370Lの薄型(主に3〜4人用)が、コロナには370L・460L・300Lの薄型モデルがあります。三菱電機のコンパクトエコキュート(180L)は、公式ページで「設置面積約半分(当社角型370L比)という省スペース設計」「狭小地はもちろん、住宅まわりのさまざまなデッドスペースにもすっきりと設置できます」と説明されています。
なお、満水時の質量は容量によって変わり、基礎工事の仕様に直結します。数値は各機種の仕様書に記載があるため、見積もり時に施工店から仕様書を出してもらって確認してください。
省エネ性能は容量では決まらない
「大きいタンクは保温にエネルギーを使うから不利」という説明を見かけますが、公式の省エネ指標を見るとそう単純ではありません。コロナのハイグレードシリーズでは、370Lの機種も460Lの機種も年間給湯保温効率は同じ3.5と表示されています(出典: コロナ エコキュート ハイグレード 仕様)。
年間給湯保温効率はJIS C 9220に基づく指標で、給湯省エネ2026事業の性能加算要件にも使われています。同事業が公表している2025年度目標の区分表では貯湯容量ごとに基準値が定められており、370Lと460Lはどちらも「320L以上550L未満」という同じ区分に入ります(一般地の基準値は3.5、寒冷地は2.9)。上の2機種の3.5という値は、この一般地の基準値ちょうどの水準です(出典: 給湯省エネ2026事業 エコキュートの対象要件)。したがってこの数値を並べて「放熱ロスが同じ」と読むことはできませんが、容量が違っても同じ効率値のモデルは実在する以上、容量差がそのまま電気代差になると決めつけないほうが正確です。実際の電気代は契約プラン、地域、使用湯量で変わります。
エコキュートのランニングコストの考え方はエコキュートの電気代を参照してください。
設置場所を決めてから容量を決める
容量選びは設置計画と切り離せません。とくに運転音は、公的機関が調査対象にしたことのあるテーマです。
消費者庁の消費者安全調査委員会は、平成26年12月19日に「家庭用ヒートポンプ給湯機から生じる運転音・振動により不眠等の健康症状が発生したとの申出事案」の事故等原因調査報告書を公表しています。報告書の概要には次のような記載があります。
- 「ヒートポンプ給湯機は屋外に設置され、給水した水を温めて湯を作るヒートポンプユニットと、この湯を蓄える貯湯ユニットで構成されている。深夜電力を利用するため、一般的には午後11時から午前7時までの時間帯に稼動する。」
- 申出事案と類似事案を合わせた19事案のうち、ヒートポンプ給湯機の設置場所が発症者の寝室から5m以下だったのは13事案
- 「寝室までの距離が短い、窓等の開口部に近い等、『騒音等防止を考えた家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブック』に沿って設置されているとは言い難いものが多くみられた」
(出典: 消費者安全調査委員会 事故等原因調査報告書【概要】、報告書ページ)
この報告書の注記は、日本冷凍空調工業会の据付けガイドブックが据付け場所の選定ポイントとして示している3点を、次のように引用しています。
- 「お客様および隣接するご近所様の寝室の傍は避ける。」
- 「ヒートポンプユニットの近辺(上方向含む)に窓や床下通風口等の音の侵入口があれば極力距離をとる。」
- 「ヒートポンプユニットの周囲に極力スペースを設け、壁や塀で音が反射しないように工夫する。」
(出典: 消費者安全調査委員会 事故等原因調査報告書【概要】 の注記。ガイドブック本体は日本冷凍空調工業会のページからPDFで配布されています)
容量を上げれば貯湯ユニットは大きくなり、置ける場所の選択肢は減ります。先に「音の面で問題のない置き場所」を確保し、そこに入るサイズの範囲で容量を選ぶという順序で考えると、後戻りを避けやすくなります。
2026年8月時点の補助金と売電単価
給湯省エネ2026事業
エコキュートを対象とする国の補助制度は、2026年9月1日時点で受付中です。
| 区分 | 金額 | 上限 |
|---|---|---|
| 基本額(ヒートポンプ給湯機=エコキュート) | 7万円/台 | 戸建住宅はいずれか2台まで、共同住宅等はいずれか1台まで |
| 性能加算額 | 3万円/台 | 同上 |
| 撤去加算(電気蓄熱暖房機) | 4万円/台 | 2台まで |
| 撤去加算(電気温水器) | 2万円/台 | 基本額で補助を受ける台数まで |
上限台数の「いずれか」は、ヒートポンプ給湯機・ハイブリッド給湯機・エネファームを合わせた台数の上限という意味です(出典: 給湯省エネ2026事業 補助額)。
補助対象になるための要件も公開されています。エコキュートは「省エネ法上のトップランナー制度において、2025年度目標基準値以上の性能を備えた」うえで、「インターネットに接続可能な機種で、翌日の天気予報や日射量予報に連動することで、昼間の時間帯に沸き上げをシフトする機能を有するもの」であることが条件です。ただし要件にはもう一つの経路があり、原文は「または、おひさまエコキュート。」と続きます。おひさまエコキュート(太陽光発電の余剰電力を活用するヒートポンプ給湯機)については「2025年度の目標基準値を満たしていないものも対象とする」とされています。性能加算は、その基準値に対して「JIS C 9220 年間給湯保温効率又は年間給湯効率(寒冷地含む)+0.2以上の性能値」が求められます(出典: 給湯省エネ2026事業 エコキュートの対象要件)。
つまり国が補助する条件そのものが「昼間に沸き上げる機能」を前提にしている、というのが2026年時点の状況です。三菱電機の「お天気リンクEZ」のように、天気予報と連動して太陽光の余剰電力を沸き上げに回す機能は、各社が実装を進めています。深夜電力だけで沸かす前提から、日中の自家消費を織り込む前提へと設計思想が移っていると読めます。
交付申請は予算上限に達するまで(遅くとも2026年12月31日まで)、予約申請は遅くとも2026年11月16日までとされています。予算枠のある制度なので、契約前に最新の執行状況を確認してください。
売電単価が下がっていることの意味
2026年度の住宅用FIT(10kW未満)の買取価格は、1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhです(出典: 資源エネルギー庁 買取価格・期間等)。
売るより使うほうが有利になる場面が増えているため、太陽光が載っている家では「昼間に沸かして余剰を自家消費に回す」使い方の価値が上がります。この場合、深夜に沸かしきる前提で容量を決めるより、昼間の追加沸き上げも含めた1日全体の湯量で考えるほうが実態に合います。
蓄電池も一緒に検討している場合
補助金の状況は給湯と蓄電池で別です。国のDR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正・上限60万円/申請)は2026年5月29日に予算到達で公募終了し、次回公募は未公表のため2026年9月時点で新規申請はできません(出典: SII 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業)。詳細は国のDR補助金の終了と次回の見通しにまとめています。
一方、自治体の制度は動いています。東京都の令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業は10万円/kWh、DR実証に参加しない場合は上限120万円/戸です(出典: 東京都 家庭における蓄電池導入促進事業)。詳しくは東京都の蓄電池補助金2026を参照してください。
見積もりで確認したい項目
- 提案されている型番と、タンク容量(L)
- その容量に対するメーカー公式の使用湯量の目安と、自宅の計算値の差
- 貯湯ユニットの外形寸法と満水時質量、設置予定場所の実測値
- 年間給湯保温効率の値と、給湯省エネ2026事業の性能加算に該当するか
- ヒートポンプユニットの設置位置と、自宅および隣家の寝室からの距離
- 本体価格と工事費の内訳(実売価格は販売店によって異なるため、複数社の見積もりで比較する)
なお、三菱電機のように機種ごとの希望小売価格(税別)を公式サイトに掲載しているメーカーもありますが、これは実売価格ではありません。価格は販売店の見積もりで確認するという前提で進めてください。
まとめ
- タンク容量は人数ではなく1日の使用湯量で決める。三菱電機の試算条件では「180L+115L×人数」で計算でき、370Lタイプは640L、460Lタイプは755Lの使用湯量が目安
- **同じ460Lでも三菱電機は「4〜5人」、コロナは「4〜7人」**と表記が違う。人数表記ではなく使用湯量(L)で比較する
- 容量を上げると設置寸法は大きくなる(コロナの公式仕様では370L→460Lで幅+70mm、奥行+65mm)。一方で年間給湯保温効率は容量が違っても同値のモデルがあり、容量差=電気代差とは限らない
- 2026年9月1日時点で給湯省エネ2026事業が受付中。エコキュートは基本7万円/台+性能加算3万円/台。ただし「インターネット接続で昼間に沸き上げをシフトする機能」が対象要件に入っているため、対象機種かどうかを型番単位で確認する