【2026年8月19日時点】 長野県の令和8年度「クルマとつなぐ屋根ソーラー補助金」は令和8年4月22日から受付中(太陽光+蓄電池で20万円、蓄電池のみで15万円)。松本市は8月31日時点で申請受付中・予算消化60%以上70%未満。国のDR補助金は2026年5月29日に公募終了。出典: 長野県公式、松本市公式。最新状況は各公式サイトで要確認。
長野県で蓄電池・太陽光を検討中の方向けに、県の補助金の中身(金額・条件・申請方法)、松本市・長野市の状況、県内市町村の上乗せ制度、国の補助金の状況を2026年8月時点の一次情報で整理します。
長野県の制度は他県とかなり性格が違います。kWあたり・kWhあたりの単価ではなく、設備区分ごとに決められた「上限額」の合算であること、そして太陽光パネル単体では補助が出ないことが最大の特徴です。ここを勘違いすると計画が崩れるので、まず県の制度から押さえます。
この記事でわかること
- 長野県「クルマとつなぐ屋根ソーラー補助金」(令和8年度)の補助額一覧と条件
- 太陽光単体が対象外・既存住宅限定という2つの落とし穴
- 松本市の制度(蓄電池20万円)と、長野市に市独自制度が見当たらない件
- 県内市町村の上乗せ例と、併用できる自治体・できない自治体
- 国のDR補助金(終了)との関係と、事後申請ならではの進め方
長野県「クルマとつなぐ屋根ソーラー補助金」(令和8年度)
県の制度は令和8年度からEV等への補助が新設され、太陽光・蓄電池・V2H・EVの組み合わせで補助額が決まる形になりました。組み合わせ別の補助額は次のとおりです。
| 導入する設備の組み合わせ | 補助額(上限) |
|---|---|
| 太陽光発電システム+蓄電システム | 20万円 |
| 太陽光発電システム+V2H充放電システム | 25万円 |
| 太陽光発電システム+蓄電システム+V2H | 40万円 |
| 蓄電システムのみ(太陽光パネル設置済みの方) | 15万円 |
| V2H充放電システムのみ(太陽光パネル設置済み) | 20万円 |
| 蓄電システム+V2H(太陽光パネル設置済み) | 35万円 |
| 太陽光発電システム+電気自動車等 | 30万円 |
| 電気自動車等のみ(太陽光パネル設置済み) | 25万円 |
| 電気自動車等+上記の組み合わせ | 40万円〜65万円 |
出典: 長野県 クルマとつなぐ屋根ソーラー補助金(更新日: 2026年6月17日)、クルマとつなぐ屋根ソーラー補助金交付要綱(PDF)
この表の金額は「定率補助の上限」ではなく、設備区分ごとに決められた上限額を足し合わせた金額です。交付要綱第6条3項は、太陽光発電システム5万円・蓄電システム15万円・V2H充放電システム20万円・電気自動車等25万円という区分別の上限額を示したうえで、補助対象経費(消費税相当額を除く)の額と上限額のいずれか少ない額を区分ごとに算出し(千円未満切捨て)、それらを合算すると定めています。太陽光+蓄電池の20万円は「5万円+15万円」の合算というわけです。
したがって、神奈川県のような「1kWあたり◯万円」の積み上げとは異なり、太陽光を3kW載せても6kW載せても上限額は変わりません。住宅用の太陽光・蓄電池は通常、設備費が区分別の上限額(5万円・15万円)を大きく上回るため、実務上は上限額どおりの金額になるのが一般的です。ただし制度上は経費が上限額を下回れば補助額もその範囲にとどまる点に注意してください。
対象になる人・住宅の条件
- 自己の居住する県内の既存住宅であること(新築は対象外)
- 「信州の屋根ソーラー認定事業者」との販売契約による新規設置であること
- 居住地に既設の補助対象設備がないこと(入れ替え・増設は対象外)
- 環境省の**「うちエコ診断」(WEB版に限る)**を受診すること
- 県税の納税証明書(未納のない証明)、住民票の写しの提出が必要
設備の仕様要件
| 設備 | 要件 |
|---|---|
| 太陽光発電 | 発電出力が10kW未満(太陽電池モジュールの公称最大出力の合計値と、パワーコンディショナの定格出力の合計値のいずれか低い方で判定) |
| 蓄電システム | 蓄電容量4kWh以上、かつ国の戸建住宅ZEH化等支援事業の対象製品(令和8年度に加え、経過措置で令和7年度登録済製品も対象) |
| V2H | 国のクリーンエネルギー自動車インフラ導入促進補助金の補助対象設備として登録があるもの |
| 電気自動車等 | 国のクリーンエネルギー自動車導入促進補助金の対象車両(EV・PHEV。燃料電池自動車等は除く) |
見落としやすい2つの落とし穴
1つ目は「太陽光発電システム単体の設置は、補助対象となりません」という点です。 県は屋根ソーラーとクルマ・蓄電をつなぐことを目的にしているため、パネルだけを載せる計画では県補助はゼロになります。太陽光だけ先に入れて後から蓄電池を足す進め方をするなら、後年に「蓄電システムのみ15万円」で申請する形になります。太陽光と蓄電池を同時に入れるか分けるかの判断材料は太陽光だけ設置して後から蓄電池は可能?も参考にしてください。
2つ目は「既存住宅限定」という点です。 これから家を建てる方は県のこの補助金の対象外です。新築の場合は県の「信州健康ゼロエネ住宅助成金」など別の制度、または松本市のように新築も対象にしている市町村の制度を検討することになります。
申請は「事後申請」。工事前に止める必要はない
長野県の制度は、交付決定を待ってから着工する神奈川県などの方式とは逆で、工事完了後に申請する事後申請方式です。交付申請書と実績報告書が1つの様式(様式第1号)になっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請受付開始 | 令和8年4月22日(水曜日)から |
| 着手報告 | 販売契約を結んだ日から7日以内に認定事業者が県へ報告 |
| 設置完了の期限 | **令和9年2月26日(金曜日)**まで(やむを得ない場合は延長承認申請あり) |
| 申請期限 | 事業完了日から30日以内。最終期限は令和9年3月12日(金曜日) |
| 申請方法 | 居住地を管轄する地域振興局の環境関係課へ紙で2部、または「ながの電子申請サービス」でオンライン(PDFのみ) |
事後申請なので「交付決定まで工事を待つ」必要はありませんが、代わりに着手報告の7日以内ルールと認定事業者との契約であることが生命線になります。認定事業者以外に発注してしまうと、工事の出来がどれだけ良くても補助は受けられません。契約前に「信州の屋根ソーラー認定事業者かどうか」を必ず確認してください。
長野市の状況
2026年8月19日時点で、長野市には住宅用の太陽光・蓄電池を対象とした市独自の補助制度が見当たりません。
- 長野県がまとめている県内市町村の太陽光発電・太陽熱利用システム等普及助成事業等一覧(令和8年6月26日現在)の住宅シートに、長野市の記載はありません
- 長野市の地球温暖化対策「補助金」ページに掲載されているのは長野市温室効果ガス排出量見える化・削減支援事業補助金のみで、これは市内の事業所等が温室効果ガス見える化クラウドサービスを導入する費用(年額利用料の3分の1・上限5万円)を補助するもの。家庭の蓄電池・太陽光は対象外です
したがって長野市にお住まいの方は、県の補助金(太陽光+蓄電池で20万円、蓄電池のみで15万円)が実質的な軸になります。市の制度は年度途中で新設・拡充されることもあるため、契約前に長野市の公式サイトで最新の状況を確認してください。
松本市「住まいのゼロカーボン推進補助金」(令和8年度)
松本市は県内でも手厚い部類の制度を持っています。
| 補助対象機器 | 補助金額 | 上限 |
|---|---|---|
| 太陽光発電設備 | 50,000円/kW | 20万円 |
| 定置型蓄電池 | 200,000円(定額) | 20万円 |
| 電気自動車等充給電設備(V2H) | 200,000円 | 20万円 |
| 電気自動車 | 200,000円 | 20万円 |
| 太陽熱利用設備(自然循環型) | 40,000円/基 | 20万円 |
| 太陽熱利用設備(強制循環型) | 80,000円/基 | 20万円 |
出典: 松本市 令和8年度「住まいのゼロカーボン推進補助金」(更新日: 2026年8月31日)
松本市の条件と受付状況
- 対象住宅は新築・既築の両方(県の制度が既存住宅限定なのと対照的です)
- 市内に本店・支店・営業所等を有する事業者に、新品の機器の設置を依頼すること
- 補助対象工事の完了日(新築は検査済証の交付日)から180日以内に申請すること(事後申請)
- 市税の滞納がないこと。補助は年度内に一軒の住宅につき1回限り
- 蓄電池は太陽光発電設備に連結すること、10年以上のメーカー保証、電力変換装置が一体的に構成されていること、増設でないこと
- 受付期間は令和8年4月1日〜令和9年3月31日。ただし予算が上限に達した時点で受付終了
- 令和8年8月31日時点の受付状況は「申請受付中」、予算消化は60%以上70%未満
- 申請は窓口のみ。郵送および支所・出張所での受付は不可
令和8年度の主な変更点として、太陽電池モジュールの公称最大出力の合計値が10kWを超えていてもパワーコンディショナの定格出力の合計値が10kW未満なら対象になった一方、太陽光発電設備と定置型蓄電池の増設は補助対象外になりました。この10kW未満の判定方法は県の交付要綱(別表第1)と同じ考え方なので、県と市の両方に申請する場合も設備要件の食い違いを気にする必要はありません。
松本市は県との併用が可能
松本市は「県、国の他の補助金等との併用が可能です」と明記しており、県のクルマとつなぐ屋根ソーラー補助金についても「松本市住まいのゼロカーボン推進補助金との併用が可能」と案内しています。
つまり松本市で太陽光5kW+蓄電池を同時に設置する場合、県の20万円に加えて市から太陽光20万円(5万円×5kW=25万円ですが上限20万円)+蓄電池20万円で、単純合算では合計60万円です。ただし県は他の補助金の交付額を補助対象経費から差し引くルール(要綱第6条2項)を置いているため、実際の合計はこれより小さくなる場合があります。
ただし1点だけ注意があります。県の交付要綱第6条2項は「この要綱に基づく補助金以外の補助金等の交付を受ける場合は、その交付を受ける金額に相当する額の経費は、補助対象経費としない」と定めており、市の補助金を受けた分は県の補助対象経費から差し引かれます。住宅用の太陽光・蓄電池は設備費が市の補助額を差し引いてもなお県の上限額(太陽光5万円・蓄電システム15万円)を大きく上回るのが通常なので、実務上は県も満額になります。とはいえ工事費が小さいケースでは県の補助額が上限に届かない可能性があるため、見積もりが出た段階で地域振興局に確認しておくと確実です。
なお市の予算消化は8月時点で6〜7割に達しているため、年度後半になるほど枠のリスクは上がります。
県内その他の市町村の例
長野県の一覧(令和8年6月26日現在)から、代表的な市の制度を抜粋します。金額・条件は変わることがあるため、必ず各市町村の公式ページで最新情報を確認してください。
| 市町村 | 太陽光 | 蓄電池 |
|---|---|---|
| 松本市 | 5万円/kW(上限20万円) | 20万円 |
| 上田市 | 13,000円/kW(上限78,000円) | 経費の1/10以内(上限6万円) |
| 安曇野市 | 既築3万円/kW(上限20万円)、新築1万円/kW(上限10万円) | 一律10万円 |
| 佐久市 | 既築3万円/kW(上限20万円)、新築1万円/kW(上限10万円) | 10万円限度 |
| 塩尻市 | 25,000円/kW(限度額10万円) | 一律10万円 |
| 飯田市 | 1万円/kW(上限8万円、蓄電池と同時申請で上限10万円) | 1万円/kWh(上限10万円) |
| 千曲市 | 蓄電池と同時設置で経費の1/10(限度額15万円) | 経費の1/10(限度額10万円) |
| 中野市 | 蓄電池と同時設置で経費の1/2以内(限度額15万円) | 経費の1/2以内(限度額10万円) |
| 茅野市 | 蓄電池と同時設置で上限10万円(市内認定事業者の場合。市外は5万円) | 単独は上限5万円(市外は2.5万円) |
| 須坂市 | 1kWあたり1万円(限度額3万円) | 経費の1/10(限度額5万円) |
出典: 長野県 補助金等について(再生可能エネルギー関連)(県内市町村の助成事業等一覧・令和8年6月26日現在)
併用の可否は自治体でバラバラ
ここが長野県で一番注意すべきポイントです。
- 松本市: 県・国の補助金と併用可能と明記
- 茅野市・千曲市・中野市・富士見町・原村など: 制度名に「既存住宅エネルギー自立化補助金」と付くとおり、県制度への上乗せを前提とした設計
- 須坂市: 「長野県から同種の補助金の交付を受けることができる場合は、この補助金の交付を受けることはできない」と定めており、県と市のどちらか一方になります
「県+市+国」の3階層で必ず足し算になる、という前提で見積もりを組むと足元をすくわれます。申請前に県と市町村の両方の窓口で併用可否を確認してください。
併用が認められる自治体でも、県は交付要綱第6条2項で他の補助金の交付を受けた金額に相当する額を補助対象経費から除くと定めています。設備費が県の上限額(太陽光5万円・蓄電システム15万円など)を大きく上回る通常のケースでは県の補助額は変わりませんが、工事費が小さい場合は差し引きの影響が出る可能性があります。
国のDR補助金との関係
- 国のDR補助金(令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業・上限60万円/申請)は2026年5月29日に交付申請額が予算に到達し、公募終了しました(SII公式)。次回は未公表です
- したがって2026年8月時点で新規に使えるのは、県の補助金+(お住まいの市町村に制度があれば)市町村の補助金です
- 次回の国の公募が出た際は、県・市町村の要領で併用可否を改めて確認してください。次回に備える準備は国のDR補助金は終了、次回はいつ?を参照してください
なお参考までに、東京都は蓄電池1kWhあたり10万円・上限120万円(DR実証に参加しない場合)という水準です。長野県は組み合わせ別の上限額型で金額の桁が異なりますが、その分手続きが事後申請で読みやすく、太陽光と蓄電池をセットで入れる家庭には予定を立てやすい制度と言えます。
申請の流れと注意点
- 「信州の屋根ソーラー認定事業者」を含めて複数社から見積もりを取る。蓄電池が4kWh以上かつ国のZEH化等支援事業の登録製品かも確認
- 環境省の「うちエコ診断」(WEB版)を受診しておく。県の申請に診断結果が必要です
- 販売契約を締結。契約日から7日以内に認定事業者が県へ着手報告
- 工事・設置完了(県は令和9年2月26日まで)。市町村の制度も申請するなら工事前後の写真を忘れずに
- 事業完了日から30日以内に県へ申請(地域振興局へ紙2部、または「ながの電子申請サービス」)。県税の納税証明書・住民票の写しも準備
- 市町村へも申請(松本市なら工事完了から180日以内・窓口のみ)
- 審査 → 交付決定 → 振込(入金時期の目安は補助金はいつ振り込まれる?)
長野県は事後申請のため「交付決定を待って着工」の空白期間がなく、工期を組みやすいのが利点です。一方で認定事業者との契約・うちエコ診断・着手報告7日以内という県特有の要件を1つでも外すと補助が受けられません。見積もり段階で施工会社にこの3点を確認しておくのが確実です。
制度全体の比較は蓄電池・太陽光の補助金一覧もご覧ください。
まとめ
- 長野県の令和8年度「クルマとつなぐ屋根ソーラー補助金」は太陽光+蓄電池で20万円、蓄電池のみ(太陽光設置済み)で15万円が上限(太陽光5万円・蓄電システム15万円という区分別上限額の合算。補助対象経費が上限額を下回る場合はその額まで)
- 太陽光パネル単体は対象外、既存住宅限定(新築は対象外)、認定事業者との契約が必須
- 事後申請方式。着手報告は契約から7日以内、設置は令和9年2月26日まで、申請は完了から30日以内(最終期限は令和9年3月12日)
- 松本市は太陽光5万円/kW(上限20万円)+蓄電池20万円で県と併用可。8月31日時点で予算消化6〜7割
- 長野市には住宅用の市独自制度が見当たらず、県の補助金が軸になる
- 併用可否は市町村ごとに異なる(須坂市は県と併用不可)。申請前に両方の窓口で確認を。併用できる場合も、県は他の補助金の交付額を補助対象経費から差し引くルール(交付要綱第6条2項)がある
- 国のDR補助金は2026年5月29日に公募終了、次回未公表