【2026年8月19日時点】 静岡県には住宅用の蓄電池・太陽光を個人へ直接補助する県制度がありません。県の役割は「共同購入」と「0円ソーラー」の紹介で、現金の補助は市町の制度を使います。国のDR補助金は2026年5月29日に公募終了。出典: 静岡県 補助制度。各市町の受付状況は必ず公式サイトで確認してください。
静岡県で蓄電池・太陽光を検討する方が最初につまずくのが、「県の補助金を探しても見つからない」という点です。結論から言うと探し方が違います。静岡県はお金を出すのが市町、仕組みを出すのが県という役割分担だからです。県の施策と市町の補助金を一次情報で切り分けて整理します。
この記事でわかること
- 静岡県に個人向けの県補助金がない理由と、県が代わりに用意している2つの仕組み
- 実際に使える市町の補助金(浜松市・三島市・沼津市・富士市を公式サイトで確認)
- 静岡市に住宅用の直接補助がないという事実
- 県がまとめた「市町の補助制度一覧」の読み方と、金額のばらつき
- 国のDR補助金(終了)との関係、着工前申請と事後申請の違い
静岡県に「個人向けの県補助金」はない
静岡県エネルギー政策課の「補助制度」ページに掲載されているのは、中小企業GX経営推進事業費補助金、地域課題解決型再生可能エネルギー導入推進事業費補助金、燃料電池車両・水素関連の各補助金、LPガス料金高騰対策緊急事業費補助金などです。いずれも事業者向けで、住宅用の太陽光発電・蓄電池を個人に補助するメニューはありません。
同じページの末尾には「県内市町の補助制度」として令和8年度県内市町再生可能エネルギーに関する補助制度(Excel) が公開されており、県は「各制度の詳細は市町へお問い合わせください」と案内しています。住宅用については市町へ誘導する立場であることが明確です。
東京都のように都が蓄電池1kWhあたり10万円(DR実証不参加で上限120万円/戸)を出す構図とは前提が違います。静岡県では、自分の市町に制度があるかどうかで、受け取れる額が0円にも10万円にもなるというのが実態です。
県が用意している2つの仕組み
| 施策 | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| 太陽光発電設備等共同購入支援事業 | 購入希望者を募って一括発注し、割引率を効かせて購入する仕組み。プランは(1)太陽光10kW未満 (2)太陽光10kW未満+蓄電池 (3)蓄電池 の3つ。参加登録は無料で、登録後に見積内容を見てから判断できる。住宅のほか事業所等への導入も可 | 令和8年4月30日〜令和8年12月9日(参加登録) |
| 静岡県0円ソーラー事業 | 事業者が費用を負担して太陽光発電設備および蓄電池を設置し、利用者は電気料金またはリース料を支払う。契約期間(約10年)終了後は設備が無償譲渡される。県は事業プランを紹介する立場で、県が補助金を出す制度ではない | 随時受付 |
出典: 静岡県 太陽光発電設備等共同購入支援事業 / 静岡県0円ソーラー事業
共同購入の割引イメージとして、静岡市の公式ページは「施工費込みで市場価格約157万円の設備を、共同購入であれば約112万円(28.8%オフ)で設置することができます」という一例を挙げています(出典: 静岡市 住宅向け太陽光パネル・蓄電池等の共同購入)。あくまで一例で、屋根の形状・向き・機器構成によって結果は変わります。共同購入は補助金ではないため、市町の補助金と性質が異なる点も押さえておいてください。
実際に使えるのは市町の補助金
県が令和8年4月に実施した調査をまとめた一覧では、住宅用太陽光の補助制度を持つ自治体が28、蓄電池・V2Hの制度を持つ市町が26掲載されています(太陽光の28のうち静岡市はPPA事業者向けで、個人住宅の設置は対象外)。静岡県は35市町なので、おおむね7割以上の市町に何らかの制度がある計算です。
ただし金額は市町でまったく揃っていません。蓄電池で見ると一律2万円の市もあれば、一律10万円の市町もあります。「静岡県の蓄電池補助金はいくら」という問いに一つの答えはなく、市町名まで決めないと金額が出ないというのがこの県の特徴です。
以下は、政令市と主要市の制度を各市の公式サイトで直接確認したものです。
浜松市: 令和8年度スマートハウス・次世代自動車補助金
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 家庭用蓄電池 | 80,000円(SII登録の国の令和7年度以降ZEH補助金対象設備であること、新設または既設の太陽光があること) |
| V2H充放電設備 | 80,000円 |
| エネファーム | 50,000円 |
| 太陽熱利用システム | 20,000円 |
| 太陽光発電システム | 20,000円(3kW以上。蓄電池またはV2Hと一緒に設置し、同時に補助申請を行う場合のみ対象。全量売電は除く) |
| 受付 | 令和8年5月1日〜令和9年3月15日(平日8時30分〜17時) |
| 申請時期 | 設置後の申請。工事完了日または代金支払日の遅い方が令和8年3月16日〜令和9年3月15日であること |
| 予算超過時 | 募集期間ごとに定める予算を超えたときは、期間内の申請者で按分して交付決定 |
| 主な要件 | 市内の戸建に居住、市税完納、賃貸住宅でない、同一世帯を含め同種補助の受給歴がない、原則「はままつ太陽光発電クラブ」への入会 |
出典: 浜松市 令和8年度浜松市スマートハウス・次世代自動車補助金の受付について
浜松市で押さえるべきは3点です。
- 事後申請です。三島市などの「着工前申請」とは逆で、設置してから申請します。交付決定を待って着工する必要はありません。
- 先着ではなく按分です。予算を超えても門前払いにはなりませんが、受け取れる額が減る可能性があります。
- はままつ太陽光発電クラブへの入会が原則要件です。会員は自宅の太陽光が生んだ環境価値(CO2削減効果)を市に提供し、市がJ-クレジット化して活用します。売電収入とは別枠ですが、環境価値を自分で売却できなくなる点は理解した上で申し込んでください。
太陽光単体では補助対象にならず、蓄電池かV2Hとセットで同時申請したときだけ2万円が付く設計は、見積もりの組み方に直結します。
静岡市には住宅用の直接補助がない
静岡市の「環境関連支援制度」に掲載されているエネルギー関連の制度は、県の共同購入事業の案内と、グリーン電力地産地消設備整備事業補助金です。後者は「市内に主たる事業所を有するPPA事業者であること」が条件で、個人が自宅に設置するケースは対象外です(10kW未満で1kWあたり6万円・上限59万4,000円。補助対象は太陽光発電設備のみで蓄電池は含まれません)。
静岡市民が2026年8月時点で取れる選択肢は、県の共同購入に参加する、0円ソーラーのプランを比較する、国の次回公募を待つ、のいずれかです。市の制度が新設される可能性はあるため、静岡市GX推進課のページは定期的に確認しておきましょう。
三島市・沼津市・富士市の制度
三島市: スマートハウス設備導入費補助金(令和8年度)
| 対象設備 | 補助金額 |
|---|---|
| 家庭用リチウムイオン蓄電池 | 【既築】上限50,000円 / 【新築】上限25,000円 |
| V2H充放電システム | 【既築】上限50,000円 / 【新築】上限25,000円(燃料電池も同額) |
| 住宅用太陽光発電(10kW未満) | 公称最大出力×10,000円(1,000円未満切り捨て)。【既築】上限40,000円 / 【新築】上限20,000円。蓄電池かV2Hと併せて設置する場合に限り対象 |
予算額は6,500,000円。着工前に申請が必要で、交付決定通知を受け取ってから着工することが交付の条件です。申請から交付決定通知の送付まで2週間程度かかるため、工期から逆算します。受付は先着順で予算がなくなり次第終了。リース品・中古品は対象外です。国や県の補助金との併用は可能とされていますが、補助対象経費が国の補助金等で満額充当されている場合は市の補助を受けられません。
沼津市: 住宅用新エネ・省エネ機器設置費及び省エネリフォーム費補助金
この補助金は既存住宅が対象で、新築住宅を対象とした本制度は令和元年度をもって終了しています(新築の方は後述の別制度が使えます)。
- 太陽光発電システムと定置用リチウムイオン蓄電池、太陽光とV2H、太陽光と蓄電池とV2H、いずれかの新規同時設置で一律10万円
- エネファーム新規設置: 一律4万円(ほかに断熱リフォームのメニューあり)
- 受付: 令和8年4月1日〜令和9年3月12日。ただし申請は工事着工予定日の14日前まで
- 予算に達し次第終了。市の他の補助金との併用は不可
蓄電池だけ、太陽光だけの設置では対象外で、同時設置が前提になっている点に注意してください。
出典: 沼津市 新エネ・省エネ機器を設置される方及び省エネリフォームを実施される方に補助金を交付します
新築を建てるなら別枠の「個人向け新築住宅ZEH化事業」
沼津市には上の補助金とは別に、個人向け新築住宅ZEH化事業(重点対策加速化事業補助金) があります。対象は新築戸建住宅の建築主、または新築戸建建売住宅(建売を前提に建築され、一度も登記されたことのない住宅)の購入予定者・販売事業者です。
- ZEH性能を有する住宅: 55万円/戸(CLT導入時はさらに90万円/戸を上乗せ)
- 太陽光発電設備: 出力1kWあたり7万円
- 蓄電池: 蓄電池の価格(円/kWh)の1/3(家庭用は15.5万円/kWh(工事費込み・税抜き)額の1/3が上限)
- 申請期間: 令和8年5月29日〜令和8年11月30日
既存住宅向けの制度が一律10万円なのに対し、新築ZEHはこちらのほうがはるかに大きい額になります。新築を検討している方が既存住宅向けのページだけを見て諦めると取りこぼすので、必ず両方を確認してください。金額・要件の詳細は市の公式ページで確認を。
出典: 沼津市 個人向け新築住宅ZEH化事業(重点対策加速化事業補助金)
富士市: 予算到達で6月30日に受付終了
富士市の市民ゼロカーボンチャレンジ補助金は、県内でも手厚い部類でした。太陽光は1kWあたり40,000円(上限200,000円)に子育て・若者世帯なら1kWあたり10,000円(上限50,000円)の加算、蓄電池・V2Hは定額5万円(子育て・若者世帯は1万円加算)。受付期間は令和8年4月1日〜令和9年2月26日の予定でしたが、交付見込み額が予算額に達したため令和8年6月30日をもって受付終了しています(予算総額31,840,000円)。
年度が始まって3か月で締め切られたという事実は、他市町を検討している方にも効く教訓です。年度末まで受け付けている前提でスケジュールを組むと間に合わないことがあります。
出典: 富士市 市民ゼロカーボンチャレンジ補助金制度概要 / 【市民】自己所有による太陽光発電システムの導入に関する補助金 / 【市民】蓄電池・V2Hの導入に関する補助金
その他の市町(県調査・令和8年4月時点)
以下は県が公開している一覧からの抜粋です。令和8年4月時点の県調査であり、富士市のようにその後受付終了している場合があります。金額・受付状況は必ず各市町の公式サイトで確認してください。
| 市町 | 蓄電池 | 太陽光 |
|---|---|---|
| 熱海市 | 1件8万円(V2Hは5万円) | 1件8万円 |
| 富士宮市 | 上限10万円(対象経費の1/2以内。リース時は上限5万円) | 1kWあたり2万円(1/2以内)・上限199,000円 |
| 島田市 | 10万円(太陽光の同時または事前設置が必要) | 一覧に掲載なし |
| 焼津市 | 一律4万円(V2Hは10万円) | 一律5万円(1世帯1回限り) |
| 藤枝市 | 1kWhあたり2万円・上限6万円(太陽光との併設・着工前申請が条件) | 一覧に掲載なし(V2Hは別制度で対象経費の1/3・上限8万円) |
| 袋井市 | 費用の1/2以内、既存建物のみ10万円 | 既存建物で1kWあたり2.5万円・上限10万円 |
| 牧之原市 | 1kWhあたり2万円・上限8万円(市内業者施工なら10万円) | 1kWあたり1万円・上限4万円(市内業者施工なら5万円) |
| 長泉町 | 一律10万円(V2Hは5万円) | 3kW以上10kW未満で一律10万円 |
| 函南町 | 1kWhあたり1万円・上限5万円 | 1kWあたり1万円・上限5万円(両方設置なら上限10万円) |
| 清水町 | 一律5万円(太陽光との同時導入のみ対象) | 一覧に掲載なし |
出典: 静岡県 令和8年度県内市町再生可能エネルギーに関する補助制度(Excel)
なお、県には令和8年度 省エネ住宅新築等補助制度(定額40万円、ZEH水準・県内中小工務店施工・国の「みらいエコ住宅2026事業」の対象外世帯が条件。第2期は令和8年11月2日〜令和9年3月12日、約30件)もありますが、これは新築・購入向けで蓄電池や太陽光そのものへの補助ではありません(出典: 静岡県 令和8年度 省エネ住宅新築等補助制度)。
国のDR補助金との関係
- 国のDR補助金(令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業・上限60万円/申請)は2026年3月24日に公募開始し、2026年5月29日に交付申請額が予算に達して公募終了しました(SII公式)。次回は未公表です
- 市町の制度は国の補助金と併用可としているものが多い一方、補助対象経費が国の補助金等で満額充当される場合は市の補助を受けられない(三島市)といった条件が付きます
- 次回の国の公募が出た際は、市町の要綱で併用可否と申請順序を必ず確認してください。詳しくは国のDR補助金は終了、次回はいつ?を参照
太陽光と蓄電池、どちらを先に入れるか
静岡県の市町の制度は、太陽光と蓄電池の「同時設置」を条件にしているものが目立ちます。沼津市は同時設置のみ、清水町も同時導入のみ、浜松市は太陽光への2万円が蓄電池かV2Hとの同時申請時のみ、三島市も太陽光は蓄電池かV2Hと併せて設置する場合に限り対象です。すでに太陽光がある家なら蓄電池単独で申請できる市町もありますが(浜松市・焼津市など)、これから両方入れるつもりなら分けずに同時に進めたほうが補助を取りこぼしにくい設計です。
売電価格の面でも、2026年度の住宅用FIT(10kW未満)は1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhと段階的に下がります(資源エネルギー庁 買取価格・期間等)。5年目以降は売るより自家消費に回したほうが有利になりやすく、蓄電池を組み合わせる意味は大きくなります。順番の考え方は太陽光だけ先に入れるのはアリかで整理しています。
申請の流れと注意点
- 自分の市町の制度を公式サイトで確認する。金額だけでなく「着工前申請か事後申請か」「先着か按分か」を最初に見る
- 複数社から見積もりを取る。蓄電池はSII登録製品(国の令和7年度以降のZEH補助金の対象設備)が要件になる市町が多いので、型番まで確認する
- 申請のタイミングを施工会社と合わせる。三島市・沼津市・富士市のように着工前の申請や事業計画の承認が必要な市町では、先に工事を始めると対象外です。逆に浜松市は設置後の申請
- 交付決定 → 工事 → 完了報告 → 審査 → 振込。入金時期の目安は補助金はいつ振り込まれる?を参照
- 予算枠は年度途中で尽きます。確認した時点で残額もチェックしてください(三島市は予算残額をサイトで公開)
制度全体の見取り図は蓄電池・太陽光の補助金一覧、県が直接補助を出す代表例は東京都の蓄電池・太陽光補助金もあわせてご覧ください。
まとめ
- 静岡県には住宅用の蓄電池・太陽光を個人へ直接補助する県制度がない。県の役割は共同購入(4月30日〜12月9日)と0円ソーラーの紹介
- 現金の補助は市町の制度。県の令和8年4月調査では太陽光が28自治体、蓄電池・V2Hが26市町に制度あり。金額は2万円〜10万円超まで大きく違う
- 浜松市は蓄電池8万円・設置後申請・予算超過時は按分、三島市は既築上限5万円・着工前申請、沼津市は太陽光との同時設置で一律10万円
- 静岡市には住宅用の直接補助がなく、共同購入か国の次回公募待ちになる
- 富士市は令和8年6月30日に予算到達で受付終了。年度末まで残っている前提で動かないこと
- 国のDR補助金(上限60万円)は2026年5月29日に公募終了、次回未公表