オール電化向けの電力プランは「夜が安い」という点だけが共通していて、安さの度合いも、安い時間帯の長さも、申し込める条件も、電力会社ごとにまったく違います。 2026年8月25日時点で、新規に申し込める各社の公式料金表を突き合わせると、いちばん安い時間帯の単価は14.59円/kWh(九州電力)から29.44円/kWh(北海道電力)まで、およそ2倍の開きがありました。
「オール電化なら深夜は15円くらい」という説明は、エリアによっては現在の料金表と合いません。この記事では、大手5社の公式料金ページに掲載されている単価と時間帯区分だけを並べます。
【2026年8月25日時点】 本記事の単価はすべて各社公式サイトに掲載されている税込単価です。実際の請求額には、これに燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金が加算されます。単価は改定されることがあるため、契約前に各社の公式ページで最新の数値をご確認ください。また、国のDR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正・上限60万円/申請)は2026年3月24日に公募が始まり、2026年5月29日に予算到達で公募終了しています。次回公募は未公表のため、2026年9月時点で新規申請はできません。出典: SII 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業
この記事でわかること
- 大手5社のオール電化向けプランの夜間単価と時間帯区分(公式料金表の数値)
- 「深夜が安い」の中身がエリアで約2倍違うという事実
- 東京電力エリアでスタンダードS(従量電灯型)と比べた場合の試算
- 申し込みに設備条件や契約期間の縛りがある会社と、すでに新規受付を終了した旧プランがあること
- 太陽光・蓄電池を足すとプランの見方がどう変わるか
「夜間が安い」の中身は電力会社ごとに違う
いちばん安い時間帯の単価と、その時間帯の長さを並べます。いずれも2026年8月25日時点で新規に申し込めるプランで、数値は各社公式ページの表記です。
| 電力会社 | プラン名 | いちばん安い時間帯 | 時間 | 単価(税込) |
|---|---|---|---|---|
| 九州電力 | 電化でナイト・セレクト | 夜間(21時-翌7時 / 22時-翌8時 / 23時-翌9時から選択) | 10時間 | 14.59円/kWh |
| 関西電力 | はぴeタイムR | ナイトタイム(毎日23時-翌7時) | 8時間 | 15.37円/kWh |
| 中部電力ミライズ | スマートライフプラン | ナイトタイム(22時-翌8時 / 23時-翌9時 / 21時-翌7時から選択) | 10時間 | 16.52円/kWh |
| 東京電力エナジーパートナー | スマートライフS / L | 午前1時-午前6時 | 5時間 | 27.86円/kWh |
| 北海道電力 | エネとくスマートプラン | 夜間・日祝時間(日曜・祝日等以外の日は22時-翌8時、日曜・祝日等は終日) | 10時間(日曜・祝日等は終日) | 29.44円/kWh |
出典: 九州電力 電化でナイト・セレクト、関西電力 はぴeタイムR、中部電力ミライズ スマートライフプラン、北海道電力 エネとくスマートプラン、東京電力エナジーパートナー スマートライフ(オール電化)
東京電力エナジーパートナーのスマートライフS/Lは時間帯区分が2つだけで、安いのは午前1時〜午前6時の5時間。残りの午前6時〜翌午前1時は一律35.76円/kWhです。九州電力や中部電力ミライズは10時間の夜間帯を3パターンから選べます。
さらに言うと、関西電力のいちばん高い時間帯(デイタイム、夏季28.87円/kWh・その他季26.24円/kWh)は、東京電力のいちばん安い時間帯(27.86円/kWh)とほぼ同水準です。 エリアが違えば、比較の土台そのものが違うということです。
エコキュートの沸き上げをどこに寄せられるかは、この時間帯の設計に直結します。給湯まわりのコスト構造はエコキュートの電気代の内訳で整理しています。
大手5社のオール電化向けプランを公式料金表で比較
基本料金と、夜間以外の時間帯も含めた全体像です。電力量料金の単価はいずれも1kWhあたりで、金額はすべて税込・燃料費調整額別。出典は前掲の各社公式ページと同じです。
| 電力会社・プラン | 基本料金(税込) | 高い時間帯 | 中間の時間帯 |
|---|---|---|---|
| 東京電力EP スマートライフS | 10Aにつき311.75円(10A〜60A) | 午前6時-翌午前1時 35.76円 | 区分なし(2区分制) |
| 東京電力EP スマートライフL | 1kVAにつき311.75円(6kVA以上) | 午前6時-翌午前1時 35.76円 | 区分なし(2区分制) |
| 関西電力 はぴeタイムR | 最初の10kWまで2,409.40円、10kWをこえる1kWにつき416.94円 | デイタイム(平日10-17時)夏季28.87円 / その他季26.24円 | リビングタイム(平日7-10時・17-23時と休日扱い日7-23時)22.80円 |
| 中部電力ミライズ スマートライフプラン | 契約容量10kVAまで1,838.44円、こえる1kVAにつき321.14円 | デイタイム 38.80円 | @ホームタイム 28.61円 |
| 九州電力 電化でナイト・セレクト | 契約電力10kW以下1,888.80円、11-15kW 4,758.20円、15kW超1kWにつき573.88円 | 平日昼間 夏冬27.63円 / 春秋24.74円 | 休日昼間 夏冬22.01円 / 春秋18.61円 |
| 北海道電力 エネとくスマートプラン | 1kWにつき486.20円(契約電力はスマート契約で決定) | 日中時間(毎日8-22時、日曜・祝日等を除く)38.22円 | 区分なし(2区分制) |
基本料金の決まり方も社ごとに違います。東京電力エナジーパートナーは契約電流または契約容量あたりの従量制、中部電力ミライズは契約容量ベース、関西電力・九州電力・北海道電力は契約電力ベースです。とくに北海道電力のエネとくスマートプランは、30分ごとの使用実績(最大需要電力)から契約電力が決まる方式で、ブレーカーの容量では決まりません。「◯Aだといくら」という横並び比較は成立しないので、検針票で自分の契約容量を確認したうえで各社の計算式に当てはめる必要があります。
季節と曜日で単価が変わる会社がある
関西電力は夏季(7月1日〜9月30日)とその他季でデイタイム単価が分かれます。九州電力は「春秋」(3月1日〜6月30日、10月1日〜11月30日)と「夏冬」(それ以外)で分かれ、さらに平日と休日でも単価が違います。休日には土日祝のほか、1月2日・3日、4月30日〜5月2日、12月30日・31日が含まれます。
九州電力の休日昼間・春秋は18.61円/kWhで、東京電力エナジーパートナーの夜間単価27.86円/kWhより安い水準です。「昼が高い」もエリア次第だということがわかります。
割引がセットになっている会社がある
関西電力のはぴeタイムRには「電化割引」があり、エコキュート等の電気式給湯設備等に加えてIHクッキングヒーター等を設置している場合、基本料金と電力量料金の合計(燃料費調整額は含まない)から5%が割り引かれます。
北海道電力のエネとくスマートプランは割引ではなく時間帯の設計で差をつけています。日曜と「祝日等」(「国民の祝日に関する法律」に規定する休日、1月2日・3日、4月30日〜5月2日、12月30日・31日)は終日が安いほうの「夜間・日祝時間」29.44円/kWhとなり、日中時間38.22円/kWhが適用されません。土曜日は除外されておらず、日曜・祝日等以外の日と同じ扱いです。
申し込める条件と契約期間の縛り
オール電化向けプランは、希望すれば誰でも契約できるわけではありません。
- 東京電力エナジーパートナー(スマートライフS/L): 総容量(入力)が1kVA以上の夜間蓄熱式機器またはオフピーク蓄熱式電気温水器を使用している方が対象。同社は「適用となるプランは、設備状況により当社にて決定いたします」と案内しており、SとLを利用者が選ぶ形ではありません
- 関西電力(はぴeタイムR): 原則として総容量1kVA以上の電気式給湯設備等を使用している方が対象。台所や洗面など浴室を含まない給湯需要の一部をまかなう小型電気温水器等は除かれます。加えて「このご契約メニューを適用した後1年に満たないお客さまについては、原則として他のご契約メニューに変更することはできません」と明記
- 中部電力ミライズ(スマートライフプラン): 電灯契約の方が対象で給湯設備の指定はなし。ただし「変更後のご契約は原則として1年間以上継続していただきます」とされ、「供給設備の工事または自然災害などによる停電時の料金割引措置は、スマートライフプランにはございません」という注記もあります
昔のオール電化プランは今から契約できない
東京電力エナジーパートナーの「電化上手」「おトクなナイト8・10」「深夜電力」などは、2016年3月31日をもって新規加入の受付が終了しています。現在契約している人は引き続き利用できますが、同社は「転居先では新しいご契約となるため、ご利用いただけません」と案内しています(出典: 東京電力エナジーパートナー 規制料金プラン(ご家庭向け))。
電化上手の現行単価は夜間時間(毎日23時〜翌朝7時)が28円85銭、朝晩時間(毎日7〜10時と17〜23時)が35円87銭、昼間時間(毎日10〜17時)が夏季43円93銭・その他季40円44銭です(出典: 東京電力エナジーパートナー 電化上手)。夜間単価は現行のスマートライフS/Lより高い水準ですが、夜間帯は8時間あります。中古住宅の購入などで「電化上手が使える」と言われたら、名義変更で引き継げるかを電力会社に直接確認してください。
北海道電力の「eタイム3プラス」も、2024年4月1日をもって新規加入の受付が終了しています(同社サイトでも「新規加入の受付を終了したメニュー」に分類)。現行単価は午後時間(毎日13〜18時)51円02銭、朝晩時間(毎日8〜13時と18〜22時)43円61銭、夜間時間(それ以外=22時〜翌8時)26円74銭で、ヒートポンプ式暖房機や家庭用の電気式ロードヒーティングを使っている場合は冬期間(12〜3月分)の電力量料金が10%割り引かれる「暖房融雪割引」もあります。ただしこの割引額には上限が設定されており、ヒートポンプ式給湯機は対象外です(出典: 北海道電力 eタイム3プラス)。「北海道のオール電化は夜26.74円」と書かれた情報を見かけても、いまから新規に申し込めるのはエネとくスマートプラン(夜間・日祝時間29.44円/kWh)のほうです。
従量電灯のままだと損をするのか(東京電力エリアで確認)
「オール電化にしたら専用プランに変えないと損」という説明をよく見かけますが、実際の単価で確かめます。比較相手は、時間帯で単価が変わらない自由料金プランのスタンダードSです。なお規制料金の従量電灯Bも、現行の電力量料金は29円80銭 / 36円40銭 / 40円49銭、60Aの基本料金は1,870円50銭、最低月額料金は328円08銭とスタンダードSと同額なので、以下の試算はどちらでも同じ結果になります(出典: 東京電力エナジーパートナー 従量電灯B・C)。
| 項目 | スマートライフS | スタンダードS |
|---|---|---|
| 基本料金 | 10Aにつき311.75円 | 10Aにつき311.75円 |
| 電力量料金 | 午前6時-翌午前1時 35.76円 / 午前1時-午前6時 27.86円 | 〜120kWh 29.80円 / 121-300kWh 36.40円 / 301kWh〜 40.49円 |
| 最低月額料金 | 328.08円 | 328.08円 |
出典: 東京電力エナジーパートナー スマートライフ(オール電化)、東京電力エナジーパートナー スタンダードS/L/X(関東エリア)
まず気づくのは、基本料金の単価が同じだという点です。「オール電化向けプランは基本料金が高い」という一般論は、少なくとも東京電力エナジーパートナーには当てはまりません。
そのうえで、契約60A(6kVA相当)、月間使用量500kWh、うち150kWhを午前1時〜午前6時に寄せられた場合を計算します(燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金は除く)。
- スタンダードS: 基本料金311.75円×6=1,870.50円、電力量料金は120kWh×29.80円=3,576円、180kWh×36.40円=6,552円、200kWh×40.49円=8,098円で合計18,226円。総額20,096.50円
- スマートライフS: 基本料金1,870.50円、電力量料金は150kWh×27.86円=4,179円、350kWh×35.76円=12,516円で合計16,695円。総額18,565.50円
この条件では月額約1,531円、年間約1万8千円の差です。ただしこれは上記の前提を置いた場合の計算例であって、保証された金額ではありません。夜間に寄せられる量が減れば差は縮みます。たとえば月間使用量が120kWh以下でほぼ日中に使う家庭なら、スタンダードSの29.80円/kWhに対してスマートライフSは35.76円/kWhとなり、スマートライフのほうが高くなります。「オール電化だから専用プラン」ではなく、「夜間にどれだけ寄せられるか」で判断するのが実際のところです。自分の使用パターンでの試算方法はオール電化の電気代シミュレーションにまとめています。
太陽光・蓄電池を組み合わせるとプランの見方が変わる
日中の使用量が多い家庭では、時間帯別プランの選択だけでは打ち手が限られます。太陽光発電を組み合わせると、単価の高い日中を自家発電でまかなうという別の選択肢が出てきます。
ここで見ておきたいのが売電単価です。2026年度の住宅用太陽光(10kW未満)のFIT調達価格は、1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhです。この価格は2025年度下半期にも前倒しで適用されています(出典: 資源エネルギー庁 買取価格・期間等)。
5年目以降の8.3円/kWhは、ここまで見てきたどの電力会社のどの時間帯の単価よりも低い水準です。 売るより使うほうが有利になる構造で、蓄電池で自家消費に回す設計が検討対象に入ってきます。オール電化との相性はオール電化と蓄電池の組み合わせで整理しています。
補助金については、国のDR家庭用蓄電池事業が2026年5月29日に予算到達で公募終了しており、2026年9月時点で新規申請はできません(詳細は国のDR補助金の終了と次回の見通し)。一方、自治体の制度は動いています。東京都の令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業は10万円/kWh、DR実証に参加しない場合は上限120万円/戸で、2026年10月1日以降はSII令和8年度登録品のみが対象です(出典: 東京都 家庭における蓄電池導入促進事業)。詳しくは東京都の蓄電池補助金2026をご覧ください。
プラン変更・電力会社切り替えの実務
資源エネルギー庁は、電力会社の切り替えについて次のように案内しています(出典: 資源エネルギー庁 電力会社の切り替え方法)。
- 現在契約している電力会社への解約手続きは、消費者の同意にもとづき切り替え先の電力会社が行うことが可能
- 標準的な期間は、スマートメーターへの交換工事が必要な場合はおよそ2週間程度、交換工事が不要な場合はおよそ4日程度
- 申し込みにはお客さま番号と供給地点特定番号が必要で、検針票等で確認できる
- スマートメーターへの交換には原則として費用はかからない(ただしメーター交換に伴う工事に費用がかかる場合がある)。交換時には1軒あたり約15分の停電を伴う場合がある
燃料費調整額の上限の有無
東京電力エナジーパートナーは自社サイトで、規制料金プラン(従量電灯などの特定小売供給約款にもとづくプラン)には燃料費調整額の変動単価に上限がある一方、自由料金プラン(スタンダードプランや電化上手などの電気需給約款にもとづくプラン)には上限がなく、燃料価格が高騰した場合には自由料金プランのほうが燃料費調整額が高くなる可能性があると説明しています(出典: 東京電力エナジーパートナー スマートライフ(オール電化))。単価表の数値だけを比べても、この差は見えません。
勧誘には注意する
国民生活センターは「電力・ガスの契約トラブル」として、契約中の電力会社名を名乗る業者の訪問を受け、プラン変更のつもりで申し込んだら別業者との契約だった、といった相談事例を公表しています(2026年6月8日更新)。同センターのアドバイスは、検針票の記載情報(氏名、住所、顧客番号、供給地点特定番号等)を慎重に扱い聞かれてもすぐ教えないこと、勧誘してきた会社と契約先の社名・連絡先を明確に確認することです。相談窓口は経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会(03-3501-5725)と消費者ホットライン(局番なし188)(出典: 国民生活センター 電力・ガスの契約トラブル)。
まとめ
- 2026年8月25日時点で新規に申し込めるオール電化向けプランのうち、いちばん安い時間帯の単価は公式料金表で14.59円/kWh(九州電力)〜29.44円/kWh(北海道電力)と約2倍の開きがある。安い時間帯の長さも5時間〜10時間と差がある
- 東京電力エナジーパートナーではスマートライフS/LとスタンダードSの基本料金単価は同じ(10Aにつき311.75円)。差がつくのは電力量料金で、夜間にどれだけ寄せられるかが分かれ目になる
- 申し込みには設備条件(東京電力・関西電力は1kVA以上の夜間蓄熱式機器等)や1年程度の継続を前提とする定め(関西電力・中部電力ミライズ)がある。東京電力EPの電化上手など旧プランは2016年3月31日、北海道電力のeタイム3プラスは2024年4月1日で新規受付終了しており、ネット上に残る旧プランの単価は今から契約できない
- 切り替えの標準期間はスマートメーター交換が必要なら約2週間、不要なら約4日(資源エネルギー庁)。訪問・電話勧誘によるトラブル相談が国民生活センターに寄せられているため、検針票の情報の扱いと契約先の確認には注意する